第55号  その4


愛し合ってる会会報に掲載していた「母その1」から「母その3」は、ある出来事のあと、会報の中から削除していた。
が、程度の差はあるにしろ、「母」のことで同じように悩んでいる人がたくさんいるということを改めて知り、
なにも削除してしまうことはないと考え、削除した会報とともに最近の私の心情「母その4」を加えて再びアップすることにした。

いつもの7倍の速さでアクセスカウンターが進んだ日
「愛し合ってるかい」が2チャンネルにリンクを貼られていた。
何が起こったのか。
某サイトでの私の発言で”傷ついた”という人が「愛し合ってるかい」の掲示板にやって来た。
その人たちは、HNを替えて何度も何度も書き込んできた。
大勢の人が私を批判しているかのように見せかけるためだ。
そのうち、2チャンネルに出入りしている人や2チャンネルとは別の
裏掲示板なるところに出入りしている人たちまでが私の掲示板にやってきた。
某サイトの私の発言にカチンときた人が裏掲示板で私の噂をしていたらしい。

「アラシ」は1日でおさまったが、
そのとき知った2チャンネルや裏掲示板の存在のカルチャーショックから立ち直るには時間がかかった。
「本人のいないところで口汚い言葉で陰口を言い抜く」ことが本当に楽しいのだろうか。
私には、その世界に入り浸る人たちの気持ちがわからなかった。

気がつくと大勢の人が私を励ましてくれていた。
掲示板への書き込みやメールをたくさんもらった。
みんなの暖かい言葉のおかげで私は懲りずに復活した。
励ましてくれる人たちの世界がつくづく美しく見えた。
そして、私の周りにいる人々に感謝の気持ちでいっぱいになった。

  

でも、しばらくは「アラシ」のことを思い出すにつけ、一人ぼっちになると涙があふれた。
そんなとき、まさに天の声のように母のいいところが私の心に降りてきた。

私はいつもいい人に囲まれて暮らしている。
悪口が言いたくなるような人にはめったにお目にかからない。
無理や努力をしてそう思っているのではなく
天然自然に「私の周りはいい人ばかり」と思える性格。
それって、母そのものではないの。つまり母から受け継いだDNA。

私は母が他人の悪口を言っているのを聞いたことがない。
しかし、それは母が悪口を言わないように気をつけた結果ではなくて
悪口を言いたくなるような他人が母の周りにいなかったんじゃないかと思う。
たぶん、「私の周りはいい人ばかり」と感じる天性をもっているんだ。
考えてみれば、母は裏表のない人だ。
だから、娘には面と向かってヒドイことも言うのだが・・・

母には、そんないいところがあって、
私はそんな母にそっくりじゃないかと思ったら、
なんだか生まれて初めて母が愛おしく思えて泣けてきた。
母は、娘が傷つくことを言って平気な顔をしているし、
母親にはそんな権限があるとさえ思っている節がある。
私はそんな母が許せなかった。
そして、母のいいところを見つけようとしても、
どうしても見つけることができず、私は苦しんでいた。
私は「アラシ」の中で母親そっくりな自分を発見した。
そして、それはかなり「いい性格だ」と思うことができた。
「アラシ」諸氏がくれた贈り物だった。

年をとったが、幸い両親は病気もせずに元気に二人仲良く暮らしている。
両親は健康維持のため毎朝5時起きをして1〜2時間散歩しているという。
夫に長生きしてほしい一心で母が毎朝父を起こして出かけていくんだろう。
けなげだ。
母は自分のためになにをしたろう。
家族のためだけに生きてきた。
でも、私は母に感謝するどころか
人の心配ばっかりしなくていいから、自分の人生を歩みなさないよと思っていた。
人の世話を焼いてくれると「自分でできるわよ。頼んでないでしょ」と憎まれ口をきいた。
母から言わせれば、かずみのことは心からかわいいと思ってはいるが、
ときどき心から腹の立つことをいうヤツだと思ったのかもしれない。

1998.12〜2002.7

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