明日を捜せ
第23話
信念の人、キリヤマ隊長のお話。
キリヤマ隊長こと、中山昭二さんは、昭和3年2月26日、東京市本郷区湯島天神下の造り酒屋に生を受けました。少年時代は、軍国主義下で、対中国・対米戦争の真っ只中、中山少年もまた当然のごとく14歳で、少年水測兵の一期生として海軍に入隊しました。

「当時の本郷区(現在の文京区)で1500人ぐらい受けて、採用されたのは50から60人くらいでしたかね。とにかく、骨格がいいって言われて入ったんですよ。ただ、入ってからは大変でしたね。当時は、懲罰が厳しい時期だったんですよ。なぐって鍛えるというやつですね」(中山昭二:談、※4)





STORY



「ひえぇぇ!何すんだよぉぉ!」(ヤスイ)
ダンプカーに追われる男。
「助けてくれぇぇぇ!…」(ヤスイ)
「逃げる、逃げる、ひたすら逃げる男…。追われる。この男、罪を犯したわけでもないのに、何故に追われるのだ?」(浦野光)
パトロール中、襲われているヤスイを発見したキリヤマ隊長。
息も絶え絶えなヤスイ。
「マル、サン…」(ヤスイ)
「えっ!マルサンって何のことだ?」(キリヤマ)
「…マル、サン…倉庫…爆発」(ヤスイ)
「なにぃ、マルサン倉庫が爆発するというのか…」(キリヤマ)
うなずくヤスイ。
そこへ再びダンプカーが襲ってきた。
「うわぁぁぁ!殺される」(ヤスイ)
「危ない!」(キリヤマ)
ダンプカーの運転手はヤスイにナイフを投げ、走り去ってゆく。
ヤスイのモモに刺さるナイフ。
キリヤマ隊長はヤスイを保護して基地へ運んだ。


メディカルセンター。
怪我の手当てが終わったヤスイは水晶玉を取り出す。
「何をやっているんだ?」(ソガ)
「占っているのです…。この玉で…。未来を映しているんですよ」(ヤスイ)
「ホントにその玉に映るのか?」(ソガ)
興味深げにヤスイを見つめるキリヤマ隊長。
「…マルサン倉庫…爆発!」(ヤスイ)
水晶玉に映し出される紅蓮の炎。
そして、撃たれるスーツ姿のキリヤマ隊長。
「…間違いない。やっぱりマルサン倉庫だ」(ヤスイ)
「本当に爆発するんだな」(キリヤマ)
「私の予言は外れたことがありません」(ヤスイ)
自信満々のヤスイ。
「その時にですね…。隊長さんもお怪我をしますよ…。気をつけた方がいい…」(ヤスイ)
「おい!デララメを言うと、承知せんぞ!」(フルハシ)
「私はね、これを商売にして生きているんですからね。なんでしたら、見てあげましょうか?運勢を…」(ヤスイ)
憤然とやり返すヤスイ。
「ふん!お断りだねぇ!」(フルハシ)
そこに、勝部通信隊員が入ってきた。
「マルサン倉庫一帯には別に異常はないそうです」(勝部通信隊員)
「ほれ見ろ!どうりでインチキくさいと思ったよ…」(ソガ)
「ハッハッハ…」(フルハシ、ソガ、アマギ)
「待て…」(キリヤマ)
神妙な面持ちのキリヤマ隊長。
「私は、ヤスイ君が見たものを信ずる。…いや、信じてみたい」(キリヤマ)
「隊長…」(フルハシ)
「これは命令だ。マルサン倉庫一帯を徹底的に調査するんだ。時限装置はないか、地雷を埋めた形跡はないか、念には念を入れて洗うんだ。いいか、マルサン倉庫は地球防衛軍の動脈だ。敵に指一本触れさせちゃならない!」(キリヤマ)


マルサン倉庫の徹底調査が行われた。
「マルサン倉庫。外見は普通の倉庫だが、これはあくまでもカモフラージュのため。この倉庫の地下には地球防衛軍の超兵器開発基地があり、惑星間長距離ミサイルなどの開発が行われている。まさに地球防衛軍の動脈なのだ。……幸いなことに、爆発物らしき物は発見されなかった」(浦野光)



「横須賀の海兵団にいた連中なんか、半分くらい戦死しています。私は結局、小笠原諸島の父島に行かされましたけど、そこもひどかったですよ。食料が断たれて、餓死寸前でね。夜寝るときも、いつ死んでもいいように、必ずきれいな下着をつけてました…」(中山昭二:談、※4)

九死に一生を得て、無事に復員した中山青年は、偶然日劇に見に行ったバレエに魅せられます。そして昭和22年、益田隆舞踊研究所の門を叩き、バレエの道に入りました。

「当時、軍隊から帰ってきてバレエをやるなんてやつはいなかったから、変人扱いされましたよ。それに、最初に教わった人には、"あなたは踊りに向きません"て言われました。無骨だからって……」(中山昭二:談、※4)



メディカルセンター。
調査が徒労に終わった隊員たちがヤスイのもとへ。
「君もずいぶん人騒がせな奴だなぁ!」(ソガ)
「すると、異常なしで…」(ヤスイ)
「決まってるじゃないか!隊長を見ろ、ピンピンしてる」(アマギ)
「…そうですねぇ」(ヤスイ)
「命を狙われているっていうのも、どうやら怪しくなってきたぜ…」(アマギ)
「とんでもない…。私は本当に狙われているんですよ。宇宙人にですよ」(ヤスイ)
「おい、今度は宇宙人か…?」(ソガ)
「おい、そんなにいじめるなよ。爆発しないとまだ決まったわけじゃない…」(キリヤマ)
「そうですよね!」(ヤスイ)
「んっ…」(ソガ)
発光をはじめる水晶玉。
「空飛ぶ円盤だ、富士見が原に降りた」(ヤスイ)
「おい、いい加減にしろよ!」(アマギ)
「本当に見えたんですよ…」(ヤスイ)
「どうも気になるな…」(キリヤマ)


富士見が原一帯の捜索。
「再び、ヤスイの予言にしたがって、富士見が原一帯の大掛かりな捜索が行われた。だが、円盤らしい影さえ発見できず、すべてが徒労に終わったのである」(浦野光)


参謀室に集まる隊員たち。
「まったく異常なしだな…」(マナベ参謀)
「はぁ、空陸両面作戦でしたが、なんら異常は…」(フルハシ)
「キリヤマくん、今度の二度にわたる捜索は、まったく君らしくないぞ…。科学的裏付けがなされておらん!」(マナベ参謀)
「非常に、気になったものですから…」(キリヤマ)
「そりゃ、人間の予知能力を信ずるのもいい…。だが、それにも限度というものがある」(マナベ参謀)
「はぁ、しかし…」(キリヤマ)
困惑するキリヤマ隊長。


メディカルセンター。
「皆さん、信じてください。私は本当に見たんですよ」(ヤスイ)
「わかった、わかった、わかったよ」(フルハシ)
まるで信用しない口調のフルハシ。
「まあ、待て」(キリヤマ)
フルハシを制したキリヤマ隊長。
「君の協力には感謝する。今日のところはひとまず、引き取ってくれないか?」(キリヤマ)
「隊長さん!私は宇宙人に狙われているんですよ。それでも帰れって…」(ヤスイ)
「……」(キリヤマ)
己の信念と隊員たちへの心情の板ばさみ。
「倉庫は必ず爆発します。円盤は必ず来るんですよ!」(ヤスイ)
「もう。止せよ…」(アマギ)
うんざりといった口調のアマギ。
「今日がダメなら明日…。そうだ、明日を捜せばいいんですよ」(ヤスイ)
「君は私が責任を持って守る。だから、安心して帰りたまえ」(キリヤマ)
迷いに迷った末、ヤスイを家に帰したキリヤマ隊長。



バレエの道を志した中山青年は、益田隆舞踊研究所から、日本一といわれていた小牧正英バレエ団を経て、アーニイパイル舞踏団へ入団します。デビューは帝国劇場の公演でした。
昭和27年、日劇ショーに越路吹雪の相手役として出演中に、スタンバーグ監督目に止まり、20世紀フォックス映画「アナタハン」に出演します。

「まさか自分のところへ20世紀フォックスから出演依頼がくるとは思いませんでしたよ。運なんでしょうね。若い人に言いたいのは、運が巡ってきたときにそれに応えられるだけのものを持っていろってことですね」(中山昭二:談、※4)



参謀室。
休暇願を提出するスーツ姿のキリヤマ隊長。
TDFマーク付封筒に墨文字で「休暇願」と記されている。
←ウルトラ警備隊の隊長ともなると休暇をとるのは大変なのです。
「一日だけ、休暇をください」(キリヤマ)
「ん…、どうするつもりだ?」(マナベ参謀)
「あの男を信じたついでに、あの男が言っていた明日を捜してみます」(キリヤマ)
「頑固だな…、相変わらず。これを持っていけ」(マナベ参謀)
引出しから拳銃を取り出す。
「拝借します」(キリヤマ)
マナベ参謀の好意に感謝するキリヤマ隊長。



「そのころモロボシダン隊員は、一週間の宇宙パトロールを終えて帰還した」(浦野光)

…そうなのです。今回ここまでの前半部分にダンは出てきていません。主人公不在で物語は進行していたのです。セブン専属だったはずのモロボシダン。この間、ダンは何をやっていたのでしょう?
営業?…。それとも風邪ひいて寝込んでたりして…。



ダンのいなかった一週間のことを話す隊員たち。
「明日を捜しに…?」(ダン)
「隊長は責任感が強いからなぁ。放っておけなかったんだろ」(フルハシ)
「その予言者のために、やれマルサン倉庫だ円盤だって、いいように扱われたよ…」(ソガ)
「でも隊長はまだ信じているわ。だから休暇をとったのよ」(アンヌ)
「鬼の隊長も心霊現象にだけは、弱かったってわけだ」(アマギ)
←けっこう口の悪いアマギ。
少し考えてから作戦室を出て行こうとするダン。
「ダン、どこに行くんだ?」(フルハシ)
「隊長を捜してきます」(ダン)
微笑み混じりに答えるダン。


一人で捜索するキリヤマ隊長。
「探す…、キリヤマ隊長はあてどもなく、探し回る…。明日は一体どこにあるのか?ヤスイは一体どこに消えてしまったのか?」(浦野光)
日が傾いてきた。


夜、逃げ回るヤスイは、うずくまって泣いている女を見つけた。
「どうしたんです?具合でも悪いんですか」(ヤスイ)
声をかけられて顔を上げる女…、顔形が違う!宇宙人だ!
「ぎゃぁぁ!」(ヤスイ)
再び逃げ始めるヤスイ…。
しかし、遂に宇宙人の手に落ちて、連れ去らわれてしまう…。



中山昭二さんは、20世紀フォックスと東宝の日米合作映画「アナタハン」出演を機に、バレエから俳優に転向しました。そして、この映画の特技監督を務めていたのが、円谷英二監督だったのです。以後、「戦艦大和」「次郎物語」「零戦燃ゆ」などの映画や、「特別機動捜査隊」などのテレビドラマに出演しました。

「当時、NET(現テレビ朝日)の"特別機動捜査隊"に出ていました。ちょうどそのとき、円谷一さんから会いたいってお話があったんですよ。で、一さんに会って話を聞いたら、"ウルトラセブン"っていう番組で隊長をやってもらえないかと…。当時"ウルトラマン"のことは知ってましたけど、子供番組だってばかにしてたところもありました。変なダイダイ色の服着ててね。周りの連中も、石井伊吉(毒蝮三太夫)のような優秀な若手が、あんなマンガみたいな番組に出ているって噂してましたよ」(中山昭二:談、※4)

「ウルトラマン」では、ゲスト出演をしていました。#31「来たのは誰だ」の二宮博士役がそれです。もっとも、この作品の出演時に、円谷一氏と会談が会ったのかもしれません。とにもかくにも、隊長就任を快諾した中山さんは、「特別機動捜査隊」を1年間休んで、「ウルトラ警備隊」にやって来たのでした。



夜のマルサン倉庫。
捜索中のキリヤマ隊長は、何者かの気配を感じる。
スーツ姿で拳銃を構える。
←隊長、やっぱり「特別機動捜査隊」だって…。
何者かの影が近づく…。
「ダンじゃないか」(キリヤマ)
「隊長!」(ダン)
「そうしてこんなところへ?」(キリヤマ)
「隊長と一緒に、明日を捜したくなりましてね…」(ダン)
「そうか…。聞いてきたのか…」(キリヤマ)
嬉しそうなキリヤマ隊長。
「私は古いタイプの人間かもしれないが、人間の予知能力、霊感といったものを無視できないタチでな」(キリヤマ)
MYUNYU MYUNYU MYUNYU
「はっ…」(ダン)
異様な気配に気付くダン。
「どうした?」(キリヤマ)
「人の気配がします」(ダン)
MYUNYU MYUNYU MYUNYU
何かが近づいてくる。
「隊長!どうやら予言は的中ですよ!」(ダン)
空から火の玉が降ってきた。
爆発するマルサン倉庫。負傷を負うキリヤマ隊長。
予言は現実になった…。



秘密の超兵器開発研究所がある「マルサン倉庫」。
マルサンの名称は、当時の怪獣ソフビ人形のメーカー名「マルサン商店」からとられたそうです。
「マルサン商店」は、セルロイド玩具からブリキ玩具を経て、日本で最初にプラスチック・モデルを開発した業界の雄でした。新開発した商品に「プラモデル」の名称をつけ、商標登録もしました。すっかり一般名詞化した「フラモデル」も「ウォークマン」同様、登録商標だったのです。ちなみに、当時の「マルサン商店」は、接着剤の「プラボンド」、塗料の「プラカラー」などの周辺商品も独自開発し、やはり商標登録していたのでした。
60年代に入り高度成長時代を迎えると、プラモデルは一大ブームとなりました。63年、初の国産アニメーション「鉄腕アトム」が放映されると、アトム関連商品が大人気となりました。キャラクター商品とマーチャンダイジング(狭義。商品権化という意)の始まりです。翌64年11月には、「リモコンで動くゴジラ」のプラモデルが、怪獣玩具第一号として発売され、380円という低価格も手伝って大いに売れました。
好成長を続けていた「マルサン商店」でしたが、65年に大ブームとなったスロットレーシングで大失敗し、多大の債務を抱える事となりました。困惑した経営陣が目をつけたのが、66年初頭から始まった「ウルトラQ」だったのです。「ゴジラ」プラモデルのヒットは記憶に新しいところでしたが、大失敗の後だけに、新たに金型をつくる資金的な余裕はありませんでした。そこで代替に低コスト素材として浮上したのがソフトビニールだったのです。
66年5月に、厳選の6体(ゴメス、ゴロー、ガラモン、ペギラ、カネゴン、パゴス)から始まった怪獣ソフビ人形は、以降の怪獣ブームに乗り、空前の大ヒット商品となりました。最盛期には、月間200万体を出荷したそうです。しかし、子供たちのソフビ熱は、66年11月からNHKで放映の始まった「サンダーバード」の影響も大きく、、67年4月に終了した「ウルトラマン」と同年10月に始まった「ウルトラセブン」の間の半年間で、すっかり冷めてしまったのでした。ブームはもはや、ソフビ人形からメカ・プラモデルに移行していたのです。
そのうえに、「キャプテンウルトラ」商品化で、番組ともども大惨敗してしまい、経営状態は一気に悪化します。67年7月、業績回復の祈りを込めて、カネ(円)がチル(散)からノコル(残)との意を込めて、「マルザン」と社名を改称しましたが、68年12月、消費動向を掴みきれなかった同社は、ついに倒産してしまいました。



メディカルセンターで治療する隊長。
やってきたフルハシとソガ。
「隊長、申し訳ありませんでした」(フルハシ)
「何もお前たちがあやまることはない」(キリヤマ)
「いえ、我々は隊長を笑っていたんですから…」(フルハシ)
「ふっ…そうだろうと思ったよ…」(キリヤマ)
「隊長!ヤスイさんはやっぱり宇宙人に…」(ソガ)
「彼の予言通りだとするとな…。私の判断が甘かった…」(キリヤマ)
「いえ、追い出した我々の責任です」(フルハシ)
「殺されるから助けてくれと頼んでいた…、それを私は断った。…窮鳥懐に入れば猟師も殺さず…、それなのに私は…、懐に入った窮鳥を…。みすみす死のジャングルに、追いやってしまったのだ…」(キリヤマ)
←ベテラン俳優、中山昭二氏ならではのセリフ回し。
そこにアマギが、放射線照射装置を作って持ってきた。
「ダン、これでいいかい?」(アマギ)
「やつらの秘密基地をこれで突きとめてやりますよ!」(ダン)
「うん…ヤスイ君が捉えられているかもしれないな…」(キリヤマ)
「はぁ…」(ダン)
「よし…、フルハシはここに残ってくれ。…みんな、オレに付いて来い!」(キリヤマ) ←隊長、カッコいい!


捕われのヤスイ。
「どうしようってんだ…」(ヤスイ)
「お前の予知能力のおかげで我々の計画が邪魔された」(シャドー星人)
拷問を受けるヤスイ。
「やめてくれえ。殺さないでくれえ」(ヤスイ)
「では、我々の命令どおりに動くか?」(シャドー星人)
「どうすりゃいいんだ…」(ヤスイ)
「デタラメな予言をするのだ。そこへ注意を引きつける…」(シャドー星人)
.「なるほど、そうしておいて地球防衛軍基地をドッカーン!。…あっ、いや、私は何も知りませんですよ。…忘れました…」(ヤスイ)
「う〜ん、恐ろしい奴だ。我々の計画を知り抜いている…」(シャドー星人)
←これくらい予知能力なくてもわかりそう…。



ブームの去った怪獣ソフビ人形の行方ですが、#17「地底GO!GO!GO!」に登場した地底ロボット:ユートムで新規生産は打ちきられてしまいました。したがって、#18以降に登場した宇宙人・怪獣のソフビ人形は第二期以降のモデルです。そして「マルザン」倒産後、金型を継承していた「マルザン」出身者が創立した新会社「ブルマァク社」は、再放送による人気の再燃を予測した69年7月、円谷プロから版権使用の許諾を受け、新たな金型とともに生産を再開したのでした。
今日では、円谷コミュニケーションズやバンダイ出版といった大手から、マーミットやベアモデルといったガレキメーカーまで、数社がソフビ人形の発売を手がけています。その内訳は、ブルマァク社の復刻版から新規の造形・金型に至るまで、種類もサイズもカラーも多種多様です。出自もウルトラシリーズはもとより、「キャプテンウルトラ」「チビラくん」「ジャイアントロボ」「スペクトルマン」「シルバー仮面」など、当時発売されていなかったレアな特撮モノが網羅されています。
我が家に30年以上鎮座する「レッドキング」の、左足裏には「円谷プロ1966」が、右足裏には「○に囲まれたSAN」マークの刻印が入っています。この刻印が、当時制作された証なのです。



再び、富士見が原。
アマギの作った放射線照射装置で円盤を捜す。
MYUNYU MYUNYU MYUNYU
妙な気配を察したダン。
「アマギ隊員、見てください」(ダン)
シャドー星人の見張りを見つける。
「やっぱり、秘密基地だ…」(アマギ)
岩肌の入り口から、基地に潜入するダンとアマギ。
「危ない!待ち伏せしているぞ!」(ヤスイ)
円盤を発進させる、シャドー星人。
基地は地中に隠していた円盤とつながっていたのだ。
土砂に埋まるダンとアマギ。
セブンに変身するダン。


セブンの水平チョップが円盤に炸裂。
墜落し、不時着するシャドー星人の円盤。
「降伏する。これ以上乱暴しないでくれ」(シャドー星人)
しかし、爆発とともに、怪獣ガブラが現われた。
とんだウソつきのシャドー星人。
長い尻尾の攻撃に手を焼くセブン。
伝家の宝刀アイ・スラッガーが空を切る。
決まり手:アイ・スラッガー。首切り。

円盤に近づくセブン。
「今度は本当に降伏する。ヤスイを返すから許してくれ」(シャドー星人)
「セブ〜ン!」(ヤスイ)
「怪我はないか?」(セブン)
「うん大丈夫だ。それよりも油断しちゃダメだぞ。奴らはけっして降伏したわけじゃないんだから…」(ヤスイ)
ヤスイの予言通り、首だけのガブラが攻撃をはじめた。
「セブン、危ない!」(ヤスイ)
首だけのガブラが飛んできて、セブンの左肩に噛み付く。
虚を突かれたセブン。
「そいつの歯には毒があるぞ!早く離せ!」(ヤスイ)
←もはや予言という域ではない…。
「そうだ、円盤をやっつけろ!…その首は、円盤から操作しているんだ!」(ヤスイ)
毒が回り苦しそうなセブン。
ガブラに左肩をかまれた姿勢から、渾身の力を振り絞って指先からビームを発射する。円盤に命中!破壊!
決まり手:指先ショット?


メディカルセンター。
左肩の治療をするダンの横で、
「おい、出たかい?俺の運勢…」(フルハシ)
水晶玉には何も映らない。
「ダメです…」(ヤスイ)
「頼むよ…。今度は信じるからさぁ」(フルハシ)
「ダメです…。超能力が無くなっちまったんです…」(ヤスイ)
「なんだってぇ〜?」(フルハシ)
「超能力が無くなっちまった……!やったぁ、もう逃げなくてすむんだぁ!」(ヤスイ)
狂喜乱舞するヤスイ。


エンディング・ナレーション。
「予感、テレパシー、…人間だれしも多少の予知能力はあるものです。もし、あなたに、超能力があっても、宇宙人来襲の予言だけはしないでください。命を狙われては、元も子もありませんからね…」(浦野光)
喜色満面の笑みを浮かべるキリヤマ隊長…。
野長瀬監督らしい、穏やかな終幕…。





ALIENS&MONSTERS



宇宙ゲリラ:シャドー星人
身長:2m
体重:70s
出身:シャドー星
武器:ダンプカー
特徴:目鼻の凹凸が逆転している
弱点:ウソ八百の卑怯者が勝てるわけない



猛毒怪獣:ガブラ
身長:48m
体重:3万t
出身:不明
武器:牙にしこまれた猛毒
特技:頭部だけでも生きられる
特徴:頭はライオン、からだは恐竜





ACTOR&ACTRESS



占い師のヤスイに、木田三千雄さん。昭和22年に松竹映画でデビューした大ベテランで、セブンファンのお孫さんを連れて撮影所入りしていたそうです。
それにしても、設定上ですがヤスイのフルネームは、ヤスイ・ヨタロウ…。ヨタロウはあんまりではないでしょうか?。また、どう見てもヤスイの方が、キリヤマ隊長よりも年上でしょう。なのに、キリヤマ隊長は「ヤスイ君」と君づけで呼んでいます。どうしてなのでしょう…?。

ウソつき宇宙人のシャドー星人。男の方は、声優の上田耕一さんが声だけでなくアクションもこなしています。





LOCATION



東宝撮影所?(ダンプがヤスイを襲うシーン、撮影所っぽい)





EXTRA



ガンコ一徹、鬼の隊長…。
曲がったことの嫌いな、厳しい隊長…。
でも、みんな大好きでたまらない、隊長…。
キリヤマ隊長こと中山昭二さんは、セブン以後、「特別機動捜査隊」に復帰しました。その後も「水戸黄門」「遠山の金さん」などの人気時代劇ドラマや舞台に多数出演しました。
そして、昭和63年より、日光江戸村(大新東グループ)に入社して、取締役の要職とともに、長年の演技経験を活かして後進の指導にあたっていました。
平成10年、セブン「1999最終章6部作 第6話」への出演が決まっていましたが、前々年崩した体調の復調が思わしくなく、大変に残念ながら、同年12月1日、逝去されました。
享年70歳。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。










                        





               「ウルトラセブン」ストーリー再録  第23話「明日を捜せ」
              12/JUL/2001 初版発行  08/JAN/2002 第二版発行
              Copyright (C) 2001 Okuya Hiroshima All Rights Reserved





制作23話  脚本:南川龍・上原正三  監督:野長瀬三摩地  特殊技術:的場 徹