監督:鈴木俊継 特殊技術:大木 淳 制作46話
#44「恐怖の超猿人」とカップリング作品です。
前回の犬山からほど近い、渥美半島の先端、伊良湖岬が今回の舞台です。
STORY
「平和で美しい伊良湖岬…。近頃、この一帯に怪現象が頻々と起こっているとの情報をキャッチした地球防衛軍では、ハイドランジャーで海底を捜索する一方、ウルトラ警備隊のダン、フルハシ、アンヌの3隊員を現地に派遣。その原因を追求することになったのである」(浦野光)
秘密捜査であるため、隊員服ではなく変装して出動する3人。
土木作業員姿のフルハシ…。
リゾートウェアのアンヌ…。
そして、オヤジシャツのダン…。
←だって、宇宙人なんだから…。
仕方がないよね、このセンス…。
土木作業員姿のフルハシは、射撃大会で使った空色のTシャツを着て、沖合いを双眼鏡で監視している。
すると、怪しい水中翼船が伊良湖岬沖に出没した。
「…ん!……」(フルハシ)
監視を続ける、フルハシ。
沖からだんだんと陸地に近づいてくる…。
やがて、水中翼船は港に着いた。
船から降り立った女は、赤いホンダS800で疾走する。
「あ、来たわ…」(アンヌ)
「よし…」(ダン)
すかさず、尾行に入るダンとアンヌ。
のんびりとプールでくつろぐ女。
見張る、ダンとアンヌ…。
「今日こそ尻尾を掴んでやるぞ…」(ダン)
時計を取り出し微笑む女。…素振りが、妙だ。
「アンヌ、女の近くで見張るんだ」(ダン)
プールに飛び込むアンヌ。
「また、ノンマルトの使者に続いて、ここでも水着姿を披露しちゃいました。プールに飛び込むシーンがあったんです。ただし、蒲郡で撮影したものではなく、東京に帰ってから撮ったように記憶しています。水着は自分のもので、水色のセパレーツ。ノンマルトの使者のときは、衣装さんに用意してもらいました」(ひし美ゆり子、※2)
ノンマルトの時は、衣装部調達のオレンジ色ワンピでしたが、今回は自前の水色セパレーツだそうです。あれ…?これって著書に掲載されている養成所時代の水着写真と同じ水着?…。
海底警戒中のハイドランジャー。
「不思議な音波が聞こえています…」(防衛隊員)
それは、魚雷の推進音だった…。
「うわぁぁ…」(防衛隊員)
魚理、命中!…。
爆沈するハイドランジャー。
立ち去る謎の女…。
目で追うダン…、アンヌはまだ泳いでいる…。
無線コール音。
「はい、こちらダンです…」(ダン)
「ハイドランジャーがやられたぞ。やはりその一帯には、敵の基地があると見なければならん。尾行している女の様子はどうか?」(キリヤマ)
「今のところ、別に。でも、水中翼船でどこからともなく現われることや我々の関心を引こうとする点など、どうも只の女じゃなさそうですね…」(ダン)
「一刻も早く正体を掴むんだ。我々もそちらに急行する」(キリヤマ)
「了解」(ダン)
ラジオ型無線機で、やり取りするダン。
しかもすごくデカい…。ビデオシーバーは、あんなに小さいのにネ…。
プールの短い方をやっと泳ぎきったアンヌ…。
女のいた場所に走り寄る…。
交信の終わったダンも来た。
「アンヌ、ハイドランジャーがやられたぞ」(ダン)
「ええっ?…ダン、これを忘れてったわ」(アンヌ)
爆発時刻で止まっている腕時計
「見ろよ、ハイドランジャーがやられた時間で止まっている。あの女を捜すんだ」(ダン)
「はい…」(アンヌ)
ホテル内を捜索する二人。
もう着替えてるアンヌ…。
←泳ぎは遅いが、着替えは早い…。
アンヌは、館内をくまなく捜索する。
タコさん風呂、イカさん風呂、すべり台風呂…。
三谷温泉「松風園」、楽しいお風呂のご紹介。
旅館全景を見せたところで、赤いホンダS800で逃げだす女。
「チキショー…。アンヌ、フルハシ隊員と本部に連絡を…」(ダン)
「はい」(アンヌ)
黒いセドリックで女の後を追うダン。
道の横には、スバルR360が停っている…。
怪しい女が疾走する赤いホンダS800。1963年10月、当時世界一の二輪車メーカーだった本田技研工業は、悲願の四輪車を発売しました。ホンダS500です。欧州製スポーツカー(MG、トライアンフ、ポルシェ356など)の半分程度の排気量で競合するために、エンジンは4気筒ともDOHCのうえに全気筒に可変ベンチュリタイプのキャブレターを装備するという豪勢かつ精緻なメカニズムでした。翌64年には排気量をアップした
S600。そして65年10月には、念願の時速100マイル(160q)を突破したS800が相次いで発売されました。ホンダS800は、通称「エスハチ」と呼ばれ、同クラスのトヨタスポーツ800、通称「ヨタハチ」と人気を二分しました。また画面右には、58年の発売以降「てんとう虫」の呼び名でロングセラーとなった「スバル360」も写っています。当時の傑作車たちが劇中で活躍するのもセブンならではの魅力のひとつです。
土木作業員姿で警戒中のフルハシ。
「赤いスポーツカーです」(アンヌ)
「よし、わかった」(フルハシ)
すかさず道をふさぐフルハシ…。
しかし、赤いエスハチは、フルハシ検問を強行突破…。
続くダンの黒セドリック。
漁港の脇のカーブを曲がる…。
しかし、赤いエスハチは消えていた。
セドリックを降りて、周りの捜索を始めるダン。
その近くには灯台があった。
「…お…」(ダン)
無防備に灯台に近寄り、階段を駆け上がる…。
その時、ショック光線がダンを襲う…。
気を失う、ダン…。
気が付くダン。
しかし、体が拘束されていて、動かない。
「フッハッハッハ…」(男女)
←悪者は必ず、笑いながら登場する。
「ようこそセブン、ミイラとりがミイラ…。まんまと罠にかかったわね」(女)
←悪者は必ず、格言を流用する。
「罠?…」(ダン)
「ここは海底にある、我らサロメ星人の海底工場」(男)
←悪者は必ず、自己紹介する。
「工場?…」(ダン)
「あなたは私たちの作っているものを見たくて来たのでしょう。ことにあなたには、ぜひにでも見てもらいたい」(女)
←悪者は必ず、秘密を自慢する。
拘束具を解いて、ダンを自由にするサロメ星人の男女。
ダンをある場所へ誘う…。
「開け!」(女)
そこで、ダンが見たものとは…!
「あっ…」(ダン)
驚愕のあまり、後ずさりするダン。
それもそのはず、ウルトラセブンが立っていたのである…。
ロボットのにせセブンだ。
「いかが…」(女)
「こんなもの作って、どうするというんだ!」(ダン)
「無敵の超人ウルトラセブンを我らの味方にできたら…」(男)
「セブンは地球人の味方だ!」(ダン)
「それがもうすぐ地球人の敵になるわ!地球上のあらゆる物を
破壊する、ウルトラセブン…。正義の味方が悪魔の代名詞になるのよ…」(女)
「地球人はセブンが、侵略者になったと思うだろうな…」(男)
呆然とロボットセブンを見上げるダン。
先ほどの部屋に戻り、拘束具をつけられるダン…。
←とっとと、逃げろよ!
しかし、ロボットセブンは未完成だった。
「そこで、お前に頼みがある。我らがセブンは完成間近だが、ひとつだけ足りないものがある。ウルトラビームだ…。ビームの秘密を知りたい!」(男)
「ビームの…?」(ダン)
「我らがセブンは、我がサロメ星の科学を結集して作り上げたものだ。完成すれば天下無敵…。我らの計算では、本物のセブンでも倒せる!」(男)
「さあ、ダン…。ウルトラビームの秘密を云うのよ」(女)
「……」(ダン)
そんな重大な秘密を話すわけにはいかない。
「よし、トークマシンを使おう」(男)
(チキショー…。ウルトラ・アイさえあれば…)(ダン)
ダンは、ウルトラ・アイを車に置いてきたのだ。
ホーク1号が到着した。
フルハシ・アンヌと合流するキリヤマ隊長・ソガ・アマギ。
「どうした?」(キリヤマ)
「間違いなくダンの車です」(アンヌ)
「この先に灯台があります」(フルハシ)
「よし、行ってみよう」(キリヤマ)
灯台に近づく一行…。
「ちょっと待て!」(キリヤマ)
キリヤマ隊長が持っていた万年筆型の探知機が反応した。
「下がれ!」(キリヤマ)
石を放る。爆発し粉々になる石。
「見えないバリヤに包まれている…。引き上げよう」(キリヤマ)
ホーク1号に乗ってやってきたキリヤマ隊長たちですが、着陸後、なぜか私服姿で先陣のフルハシたちと合流します。
「…隊員服は二着ずつあったが、ヘルメットは一人ひとつづつしかなかった…」(森次晃嗣、※1)
と、ダンは述べています。最終回が近づき、隊員服やヘルメットも補修の必要があって休ませたのでしようか…。
ウルトラ警備隊員の変装簡略史。
その1:#8「狙われた街」
タバコの自動販売機を見張る、ダンとアンヌ。
ダン…千鳥格子のジャケット、黒いタートルネック、ダークゲレーのパンツ。
アンヌ…濃茶色のタートルネックセーター、ライトイエローのスカート。
その2:#15「ウルトラ警備隊西へ:後編」
ペダン星人の化けた、にせドロシーを捜す警備隊。
ダン…濃紺のスーツ、白シャツ、レンガ色のタイ&チーフ。…新入社員?
アンヌ…真紅のワンピース、黒サングラス、黒ブーツ、黒塗りの外車。…ゴージャス!?
ソガ…白い船員服(スーツ)、船長帽、パイプ。…渡り鳥シリーズ?
アマギ…チェックのネルシャツ、赤い登山帽、リュック。…イメージぴったり!
その3:#28「700キロを突っ走れ」
スパイナー移送ラリードライバー。
ダン&アマギ…レーシング・ツナギ、オレンジのヘルメット。
スパイナー移送を極秘警護する警備隊。
キリヤマ…赤い皮製キャップ、マウンテンジャケット、エンジのVネックセーター、ポロシャツ、ライトグレーのウールパンツ、双眼鏡。
アンヌ…タータンチェックのキャップ、ブルーデニムのワンピース、白スカーフ、ハーフブーツ。
フルハシ…白いキャップ、サングラス、茶色のハーフコート(というよりドカジャン?)、白いパンツ。
ソガ…グレーの正ちゃん帽、黄色いブルゾン、ダークグリーンのタートルネック、グレー系チェックのパンツ。そして、マンドリン…。
その4:#37「盗まれたウルトラ・アイ」
マゼラン星人マヤを捜すダン。
ダン…帽子、カバーオール、タートルネック、パンツ。…黒ずくめ。
その5:#42「ノンマルトの使者」
リゾート中に事件に巻き込まれたダン&アンヌの水着。
ダン…昔の海パン、昔の水中メガネ。
アンヌ…ピンクのワンピース。超ローレグ。
二人の私服。
ダン…サックスのパーカー、チェック柄のパンツ。
アンヌ…麦わら帽子、オレンジのスウェット、ベージュ系柄物の七分丈パンツ。そうそう、カツラ…。
事件解決後、みんなでリゾート。。
ダン…白い綿麻のサマーセーター、チェック柄のパンツ、ライトブルーのデッキシューズ。
アンヌ…ライトイエローのスウェット(THE TIGERS)、ベージュ系柄物の七分丈パンツ、コットンの柄物シューズ。そうそう、カツラ…。
フルハシ…悪趣味なプリントシャツ、グレー系コットンパンツ。
ソガ…サックスのスウェット、ネイビーのパンツ。
アマギ…イエローのTシャツ、白いスリムパンツ。
その6:#46「ダン対セブンの決闘」
伊良湖岬、秘密調査。
ダン…おやじチックなオープンシャツ。おやじチックなスラックス。
アンヌ…白いチューリップハット、オレンジのノースリーブ、ジーンズ。
フルハシ…作業着の上下、手ぬぐい、工事用ヘルメット、Tシャツ(射撃大会の流用)
プールサイド。
ダン…赤いアロハシャツ、昔の海パン。
アンヌ…水色柄物のセパレーツ水着(最近の陸上選手みたいな…)。
合流した警備隊員。
キリヤマ…白のスイングトップ、グレー系コットンパンツ。
アマギ…サックスのパーカー、サックスのベルボトム。
ソガ…スカイブルーのアロハシャツ、白いスリムパンツ。
その7:#47「あなたはだぁれ?」
フクロウ団地に潜入捜査。
ダン&フルハシ…作業着系のツナギ。
番外:#1「姿なき挑戦者」
変なセリフのヒーロー、モロボシ・ダン初登場。
ダン…黄色のジャンパー、グリーンのTシャツ、ジーンズ。平成シリーズも同じ!
「トークマシン準備完了」(下僕)
「よし、スイッチを入れろ」(男)
PIUPIUPIU…
「ウッ…ウウウ…」(ダン)
「さぁ、ウルトラビームの秘密を言え…」(男)
「早く言うのよ、ダン」(女)
「ウッウウウ…、M・2・S・H・3・G・W・F・B・1…」(ダン)
トークマシンで、ウルトラビーム生成の秘密を喋ってしまうダン…。
←簡単すぎるゾ!喋るなよ!…
「よぉし、よく言った…。これでウルトラビームができる。我らがセブンも完成するぞ」(男)
喜ぶ、サロメ星人たち…。
海岸。
「おそらくこの辺の地下には敵の基地がある…。おそらくダンも…」(キリヤマ)
「どうやって潜入します?」(アマギ)
「まともに行っては、ダンの二の舞になる…」(キリヤマ)
ウルトラビーム取り付けを見せられるダン。
「ウルトラビーム取り付けは、準備完了です」(女)
「よし、作業開始」(男)
作業を見守るダン…。
「ダン、見なさい。あなたの兄弟が誕生するのよ」(女)
ウルトラビーム照射。
動き出した、ロボットセブン。
「セブンを地上に出す。ウルトラ警備隊もセブンが相手なら不足はなかろう、フッハッハ…」(男)
ロボットセブンは、掛け声とともに地上へ向かった…。
「あっセブンだ!」(ソガ)
ウルトラ警備隊の目の前で、貨物船を攻撃するセブン。
←船の名前、黒潮丸…、いっつもこんな名前だね…。
「セブンが船を!」(フルハシ)
「狂ったのか!」(アマギ)
「まさか、そんなはずはないわ!」(アンヌ)
模様の違いに気づいてほしい…。
海底工場に時限装置をセットするサロメ星人。
「ここが、お前の墓場だ」(男)
←よくあるフレーズ。これが元祖?
「さようなら、ダン!」(女)
脱出するサロメ星人。
(早く何とかしなければ、基地もろとも吹っ飛ぶぞ…)(ダン)
拘束具をライターで焼き切るダン…。
←タバコも吸わないのに、なぜ持ってる?
しかも、ライターを拾うのに変な道具を持っているし…。
拘束具を焼き切って脱出!
爆発の始まる海底工場。
間一髪、間に合ったダンは、泳いで海岸へたどり着いた。
「アギラ、頼むぞ!」(ダン)
ウルトラ・アイを取りにいく間、アギラを使って時間を稼ぐ。
←カプセルは持っていたんだ…?
アギラVSロボットセブン。
相手がご主人さまでは、戦いにくい、お茶目なアギラ…。
ロボットのくせに人間臭いニセセブン。
やっと、ウルトラ・アイを手にできたダン…。
セブンVSセブン…、
いや、ダン対セブンの決闘が始まった。
ロボットを作れるが拘束具はマヌケなサロメ星人。
「ダンのやつ、やっぱり生きていたのか…」(男)
「でもご心配いりません。いくら本物でも、我らがセブンの敵ではありません」(女)
ダンとセブンの両者は、空中で激突する。
決まり手:体当たり。
「どっちが勝ったんだ…?」(アマギ)
「勝ったのか…」(男)
「我らのセブンが負けるはずありません」(女)
サロメ星人のほうに泳いでくるセブン
「もう世界は我々のモノ。地球人たちは、我らのセブンに征服されるでしょう…」(女)
近づいたセブンは、サロメ星人の水中翼船型宇宙船を持っていく。
そして、空中に飛び去っていく…。
かなたで閃光が…、サロメ星人の宇宙船が爆発したのだ。
「セブンは勝ったんだ、俺たちのセブンだ!」(アマギ)
「おーい」(ダン)
「あっ、ダンだわ!」(アンヌ)
「ダン!」(ソガ)
「隊長ぉ!」(ダン)
平和的な終曲〜伊良湖岬遠景。
ALIENS&MONSTERS
ロボット超人:ニセ・ウルトラセブン
身長:40m
体重:3万5千t
出身:伊良湖岬沖、海底秘密工場
特技:セブンの真似
特徴:腰のベルト模様
弱点:やっぱ、本家には勝てない
侵略星人:サロメ星人
身長:1m55p〜1m75p
体重:45s〜80s
出身:サロメ星
特技:人間に化けっぱなし
特徴:人間そのもの
弱点:人間くらいの弱さ
カプセル怪獣:アギラA
(#32「散歩する惑星」参照)
ACTOR&ACTRESS
黒いワンピースの水着姿とクリっとした瞳が印象的な女サロメ星人に、嘉手納清美さん。
嘉手納さんは、名前と風貌から沖縄の方と推察します。後に「ウルトラQ」のピーターの回でボクサー:ダイナマイトジョーを演じた工藤堅太郎氏と結婚しましたが、近年離婚されたようです。
セリフ回しと表情でイイ味を出している男サロメ星人には、高橋正夫さん。
これ以上のデータがありません…。
LOCATION
伊良湖岬
観音崎灯台
「ウルトラセブン」ストーリー再録 第46話「ダン対セブンの決闘」
30/SEP/2001 初版発行 29/JAN/2002 第二版発行
Copyright (C) 2001 Okuya Hiroshima All Rights
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脚本:上原正三・市川森一