最近、不燃木材(正式な認可を受けたもの、準不燃木材を含む)についての関心や需要が高まると共に、不燃木材の開発も進んできています。
平成16年6月17日開催の森林塾例会では、不燃木材に取り組んでおられる、東陶エムテック株式会社(http://www.totomtec.co.jp)の吉田悠紀氏とアドコスミック株式会社(http://www.adcosmic.com/)の山田雄亮氏に出席していただき、不燃材について説明していただきました。
説明によれば、平成13年11月9日国土交通省により、スギ、ヒノキ、カラマツ、ベイマツの4樹種について、準不燃材の認定を受けたものであるとのことです。
さらに、平成16年5月10日、不燃材としての認定がなされたということです。
認定された建築材料名は、含水ほう酸塩・無機りん酸系薬剤処理/木材ということで、樹種についてはスギ科(スギ属)、ヒノキ科(ヒノキ属、ネズコ属)、マツ科(トガサワラ属、マツ属、トウヒ属、モミ属、カラマツ属、ツガ属)について認定が得られています。
なお6月18日、集成材について準不燃認定が得られたとの追加連絡がありました。
防燃液剤は安全・無公害との説明です。
また、防蟻性(シロアリ忌避率98.9%)、防腐効果に優れているとの説明がなされました。
質疑応答は、建築家、消費者の立場からなされ、先ず安全性ですが、各種試験に結果については詳しい説明もありました。需用者からの質問には透明性をもって答えていただけるものと思います。
難燃・準不燃・不燃の違いについては、至極端的な答えとして、難燃は5分間燃えない、準不燃は10分間燃えない、不燃は20分間燃えないということだそうです。
気になる価格(準不燃木材)については、一般木材より割高とのことで、詳しくは価格表(公開)によりますが、一部を紹介しますと、ヒノキ12.5mm厚、長さ2000mm、有効巾105mm、で1平米当たり材料設計単価で15,400円、スギ同11,800円、ベイマツ同12,200円、カラマツ(長さ1900mm、他は同)14,500円、全樹種1等材標準、運賃消費税別となっています。
また現在の用途は、学校、美術館等の施設の壁面、天井、デパートのインテリアなどに需要があるようですが、耐火被覆材などにも使えれば一段と利用が進むように思います。
最後に建築家のI氏から、防燃液剤(ファイヤーレターデント防燃水)を販売したらとの意見も出ましたが、切り離し販売のコンセプトは無いとのことでした。(単なる塗布デモ効果はあるが、加圧注入により効果確保しているとのことです。)
感想としては、無垢材に比較して格段の研究と透明性のある説明を求められるということで苦労はあると思いますが、このような技術開発は木材を長持ちさせることなどにつながり、CO2排出を抑えることにもつながっています。
木肌の自然の風合いを損ないところが良いと思いました。経年変化もフォロー大切です。
頑張っていただきたいと思った次第です。
なお余談ですが、私(小澤)は自宅外構のヒノキ門扉の防腐に苦心をしておりますが、当初耐候性ニス処理を行っていましたが現在は、キシラデコールのもっとも色の薄いもの(木目を活かすため)を年一、二度塗布する方法を採っております。
木製外構は雨が当たる面、継ぎ目が要注意です。梅雨期は特に気をつけましょう。
以下に、準不燃材4樹種の写真を紹介します。
スギ材
スギ材(部分拡大)
ヒノキ
カラマツ
ベイマツ