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…コラム…

  2021年 観た映画 4月

「ハイ・クライムス」(2002/米/カール・フランクリン監督/アシュレイ・ジャッド、モーガン・フリーマン、ジム・カヴィーゼル、他)
殺人事件の容疑者となった夫の無実を晴らそうと奮闘する女性弁護士の活躍を描く、ポリティカルサスペンス。まぁ、すべてが中途半端でしたが、A・ジャッドの品のある美しさとM・フリーマンのお茶目で渋い演技力でもっている作品。

「ノマドランド」(2020/米/クロエ・ジャオ監督/フランシス・マクドーマンド、デヴィッド・ストラザーン、他)
普通や安定という定義には個人差もあるが、いわゆる楽な生き方も知ってはいるのだろうが、リスクを覚悟の上で自分に正直に嘘をつかず素直に生きる人間とは、悲しくも何としなやかで逞しく、そして美しいのだろうか。主人公を演じたF・マクドーマンドの演技していない演技と言うか、「ファーゴ」の警察官役もそうだったが飄々とした存在感は流石である。

「ノクターナル・アニマルズ」(2016/米/トム・フォード監督/エイミー・アダムス、ジェイク・ギレンホール、マオケル・シャノン、他)
現実に血こそ流さないが、元妻への精神的復讐劇ですな。可もなく不可もなし。

「ファーゴ」(1996/米、英/ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督/フランシス・マクドーマンド、スティーヴ・ブシェミ、ウィリアム・H・メイシー、他)
流石コーエン兄弟良いですな!「ノマドランド」F・マクドーマンドを観て久し振りにまた観てしまった。S・ブシェミも良い!好きな映画!再鑑賞。

「ガール・オン・ザ・トレイン」(2016/米/テイト・テイラー監督/エミリー・ブラント、ヘイリー・べネット、レベッカ・ファーガソン、他)
通勤電車の窓から以前暮らしていた隣人の人妻の不倫現場を目撃したのを機に、殺人事件に巻き込まれる女性を軸に展開するサスペンス。主人公がアル中で朦朧とした記憶と共に進行するので時空列が判りずらいが、三人三様それぞれの女性が抱える闇の部分の描写は切ないが解る。E・ブラントの迫真の演技、H・ベネットの色気、R・ファーガソンの美貌には納得。そして映像も美しい。

「パッション」(2012/仏、独/ブライアン・デ・パルマ監督/レイチェル・マクアダムス、ノオミ・ラパス、他)
イデオロギーがどうのこうのとか、俗にいう批評家達が嫌う80年代のJ‐L・ゴダール作品ではなく、デパルマらしいスプリット・スクリーンあり、怪しい雰囲気ありのサスペンス劇。と言っても随分と肩透かしを喰らってしまった。

「ミセス・ノイズィー」(2019/日/天野千尋監督/篠原ゆきこ、大高洋子、長尾卓麿、他)
笑わせ泣かせて、とっても良い作品。観る角度、視点によって簡単に惑わされてしまう現在の情報社会は怖いですなぁ。とは言え、真の想いやりはブレないのです。

2021/04/26(Mon) 16:50


  2021年 観た映画 3月

「パーフェクトマン 完全犯罪」(2015/ヤン・ゴズラン監督/仏/ピエール・ニネ、アナ・ジラルド、他)
運搬業で生計を立てる作家志望の青年が、元アルジェリア召集兵で孤独死した男性の遺品整理中に当時の日記を見つけ、自分の作品として出版社に持ち込むと本は出版され瞬く間にベストセラーに。一躍有名になった彼は幸福で完璧な人生を手に入れたかに見えたが。。完全犯罪とは程遠い緻密さも計画性も無いチンケな行動には呆れるばかり。ルネ・クレマン「太陽がいっぱい」を意識したシーンなどもあるが、犯罪に対する質量がまず違う。ピエール・ニネもいい役者なのに今回はもったいなかった。それと、世の中 悪事の代償は大きいですなぁ。

「コンプリート・アンノウン〜私の知らない彼女〜」((2016/米/ジョシュア・マーストン監督/レイチェル・ワイズ、マイケル・シャノン、ダニー・グローヴァー、他)
解離性人格障害を患った方のように自ら苦悩する事もなく、どちらかと言うとどの人生でも成功しながら、これからも過去をリセットしながら別人として生きる彼女の目的は何なのか。

「DAU.ナターシャ」(2020/独、ウクライナ、英、露/イリヤ・フルジャノフスキー監督/ナターリヤ・ベレンジナヤ、オリガ・シカバルニァ、ウラジーミル・アジッポ、他)
内容はさておき、「ソ連全体主義」当時のままに再建されたスターリン体制下の秘密研究都市で約2年間にわたり、実際にソ連時代の通貨を使用し、衣装も食事も、また毎日当時の新聞が届けられるという徹底した生活の中での撮影そのものが狂気の沙汰ですなぁ。

「バーニング・クロス」(2012/米、仏/ロブ・コーエン監督/タイラー・ベリー、エドワード・バーンズ、マシュー・フォックス、ジャン・レノ、他)
映画自体は大した作品ではないけれど、殺し屋ピカソ役のM・フォックスは減量したのかな、鋭くキレッキレッでした。

「回る春」(2011/アルゼンチン/エリセオ・スビエラ監督/ダニエル・ファネゴ、ロミーナ・リッチ、他)
初老の小説家と元教え子の不倫の恋。よくある話だが、う〜ん、よく判らぬ作品でした。

2021/03/05(Fri) 14:13


  2021年 観た映画 2月

「ヒットマン/ラスト・ミッション」(2015/英/ヴェルナー・シューマン監督/トーマス・スペンサー、デニス・ライオンズ、他)
殺し屋を主人公にしたクライムサスペンス。まぁ、可もなく不可もなくといったところですなぁ。

「パッチ・オブ・フォグ 偽りの友人」(2015/英/マイケル・レノックス監督/コンリース・ヒル、スティーブン・グレアム、他)
万引き常習犯のベストセラー作家につきまとう異常なストーカー男を描いたイギリス製サイコスリラー。どうしてサンディーが万引き常習者になったのかも判るし、脚本、ディテールも良く練られている。ロバート役のスティーブン・グレアムは「パブリック・エミナーズ」の”ベビー・フェイス”ネルソン役も良かったですなぁ。

「ランブル 音楽会を揺るがしたインディアンたち」(2017/カナダ/キャサリン・ベインブリッジ監督/リンク・レイ、チャーリー・パットン、ミルドレッド・ベイリー、ジェシ・エド・デイビス、ジミ・ヘンドリックス、他)
多くのジャンルのポピュラー音楽に影響を与えたインディアン音楽の真実を明かすドキュメンタリー。こんなにも沢山の有名ミュージシャンがインディアンの血を引いていた事実に驚き、多くの迫害や差別を受けながらも、その魂はうねる様に生き続けた史実に尊敬の念をおぼえた。音楽好きなら一見の価値あり!

「チャイナタウン」(1974/米/ロマン・ポランスキー監督/ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ、ジョン・ヒューストン、他)
この独特の退廃的な空気感がたまりませんなぁ。まさにフィルム・ノワール。何度も観ている大好きな映画!

「黄昏のチャイナタウン」(1990/米/ジャック・ニコルソン監督/ジャック・ニコリソン、ハーベイ・カイテル、メグ・ティリー、イーライ・ウォラック、他)
監督ニコルソン、全体の雰囲気も良く細部にまで気を配っているのは充分に解るのだが、残念ながらやはりポランスキー版には及ばない。あぁ、もったいない!再鑑賞。

「サード・パーソン」(2013/英/ポール・ハギス監督/リーアム・ニーソン、オリヴィア・ワイルド、エイドリアン・ブロディ、ミラ・クニス、他)
パリ、ローマ、NYを舞台に3組の男女を描いた群像劇。話が進んで行くに伴い、あれっ?これってひょっとして?と視点を変えて観ていくと判りやすいが、そうでなく普通に観ているとかなりしんどく置いてけぼりを喰う作品。ラストも観ている側それぞれに謎を問いかけてくる。

2021/02/05(Fri) 11:55


  2021年 観た映画 1月

「真夏の夜のジャズ」(1959/米/バート・スターン、アラム・アヴァキアン/ルイ・アームストロング、セロニアス・モンク、アニタ・オデイ、他)
その昔ビデオでは観ていたが、映画館での鑑賞は初。勿論それなりの迫力は有ったし珍しいミュージシャンの貴重な映像も観られたが、ジャズのドキュメンタリーとしては程遠く、セレブが集う海岸沿いのお洒落な避暑地での夏フェスとして観れば楽しめる作品であろう作品。

「ハウス・ジャック・ビルト」(2018/デンマーク、仏、独/ラース・フォン・トリアー/マット・ディロン、ブルーノ・ガンツ、他)
初めて観た彼の監督作品は1984年の「エレメント・オブ・クライム」。何とも言えぬ独特の救いのない作品ではあったが、妙に惹かれる部分もあり。その後「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「メランコリア」なども観てはいるが、確かに何れも正直心から共感できる作品ではない。今回の「ハウス・・・」も狂気に満ちた殺人鬼の不快なモノローグと共に5つの出来事が描かれているのだが、目を背けたくなるシーンもあれば強迫性障害のせいで何度も殺人現場に舞い戻って来たり、独自の突き抜けた芸術論を語らせたりと、殺人鬼の心の奥底に眠る深層心理を徹底的に描く手法にはしてやられたものである。私見だが、ブルーノ・ガンツ演ずるヴァージという謎の男はまさにジャックの心に宿るもう一人の自分であろう。面白かった。

「聖なる犯罪者」(2019/ポーランド、仏/ヤン・コマサ/バルトシュ・ビィエレニア、他)
聖と俗が共存し、真の救いとは?と考えさせられる作品。クリストファー・ウォーケン似の主人公の澄んだ眼差しと美しい映像は一見の価値はあるが、もう少しテンポ感を出してストーリー展開しても良かったのではないかとも思った。
竹下景子が初マドンナ役を務めた「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」で寅次郎が、住職である彼女の父に変わって法事を勤める抱腹絶倒シーンや笑いあり泣き有りの第32作とは勿論比べられはしないのだが、過去を偽り聖職者として生きる今作は微塵の笑いもない重い作品だった。

「かくも長き不在」(1960/アンリ・コルビ/仏/アリダ・ヴァリ、ジョルジュ・ウィルソン、他)
脚本が「二十四時間の情事」「雨のしのび逢い」そして彼女の自伝的小説でもある「愛人(ラマン)」のマルグリッド・デュラス。監督は上記の「二十四時間の情事」「去年マリエンバートで」などアラン・レネ作品他、寺山さんの「上海異人娼館/チャイナ・ドール」など編集技師で名高いアンリ・コルビ。コラ・ヴォケールの唄う「三つの小さな音符」を耳にする度、悲しくて切なくて泣いてしまうと判っているのだが観てしまう好きな映画。

「サウンド・オブ・サイレンス」(2001/米/ゲイリー・フレダー/マイケル・ダグラス、ブリタニー・マーフィ、ショーン・ビーン、他)
全米探偵作家協会賞を2度受賞した作家アンドリュー・クラヴァンの「秘密の友人」を元に、精神科医の主人公家族と悲痛な過去を持つ多重人格を演じている少女をメインとしたサスペンス映画。
原作はきっと面白いのだろうが読んでおらず比較出来ないが、脚本はじめ、展開やディテールがあまりにもお粗末な作りだったのが残念。余談だが、娘役のスカイ・マッコール・バートシアクは21歳、事件の鍵を握る少女役のブリタニー・マーフィは32歳でそれぞれ亡くなっているのは哀しい。

「ロスト・ボディ」(2012/スペイン/オスカルファウラ/フォセ・コロラド、ホワン・パブロ・シューク、他)
消えた死体にまつわる人々をめぐる謎が謎を呼ぶスペイン発サスペンス映画。監督・脚本は「ロスト・アイズ」の脚本家オリカル・パウロ。登場人物の細部にわたる内面描写と伏線がもう少しあればなぁなんて観ていたのだが、その謎はラスト間近に明かされた。う〜ん、これは完璧に騙されましたなぁ。面白かった。詳細を知らずの鑑賞をお薦めです。

「セールスマン」(2016/イラン、仏/アスガー・ファルハディー/シャハブ・ホセイニ、タラネ・アリシュスティ、他)
ハリウッド映画好きな方には退屈な映画と言えよう。性暴力を題材にした作品なのだが、イスラム教国家イランならではのそういった描写は一切描かず、被害女性ですら事件を恥とし公にも出来ぬ立場の弱さ、生活の貧困さを如実に描いている。いや、描きたくても描けないのであろう。だからか、全篇通して何だかしがらみに包まれた重〜い空気感が漂う。劇中A・ミラーの「セールスマンの死」が暗喩的に演じられるが家族の不条理をリンクさせたかったのかなぁ。
約90分の尺で良かったかも。

「ゴーン・ガール」(2014/米/デヴィッド・フィンチャー/ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、他)
これは最高楽しめた!デヴィッド・フィンチャー、ハラハラ、ウェ〜ッ!?が上手い!脚本も演出も良く、幼少の時から厳格な両親に育てられ、優等生を演じ続けて来た彼女自身が唯一心を許した夫の裏切りに対する用意周到な復讐劇。何と言っても美しくて頭が良く、そして冷酷な役はロザムンド・パイクにぴったり。
見応え充分!

2021/01/20(Wed) 00:05


  2020年 観た映画 12月

「からみ合い」(1962/日/小林正樹)
遺産相続を巡って殺人事件までも起きるドロドロのからみ合い。金が絡むと恐ろしいですなぁ。クールな映像にジャズがよく合う。撮影は「黒い雨」(同監督)、「わるいやつら」「鬼畜」「砂の器」など、野村組でお馴染みの、巨匠 川又昴。再鑑賞。

「アンロック 陰謀のコード」(2017/英/マイケル・アプテッド)
オチと黒幕は判ってはいるのだが、結構面白かった!

「シチリアーノ 裏切りの美学」(2019/伊、仏、伯、独/マルコ・ベロッキオ)
「夜よ、こんにちは」「肉体の悪魔」などで知られるイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオがイタリアマフィア史上最大のミステリーを映画化。多くの登場人物の背景が淡々と描かれているのと、イタリア名がまずややこしく覚えられず、コーザ・ノストラ下にもコルレオーネ派とパレルモ派があり両者入り乱れての報復シーンでは、あれっ、この人さっき殺られたんじゃなかったの?なんてなかなか付いて行けず。。。
フランチェスコ・ロージ監督の「コーザ・ノストラ」(1973年製作)では、アメリカにおけるイタリア系犯罪組織の頂点に君臨したラッキー・ルチアーノを本国イタリアに強制送還後に焦点を当てて描いた実録マフィア映画もあったが、こちらは解りやすかったなぁ、なんて比べてみたり。
しかし、日本の今の政府はじめ、やくざの世界も利権や名誉を巡り、国民を巻き込んでは騙し合いと裏切りが平然と行われているんだろうなぁ。

2020/12/06(Sun) 18:11


  2020年 観た映画 11月

「赤い殺意」(1964/日/今村昌平)
藤原審爾の原作を「にっぽん昆虫記」でコンビの長谷部慶治と今村昌平が共同で脚色。今村昌平が監督した社会ドラマで撮影もコンビの姫田真佐久。今平さんは抑圧された人間の情念を描かしたらピカイチですな。
この作品では、春川ますみ演ずる貞子が、芋虫のような蚕へ嫌悪を感じながらも振り払うことなく、同時に内股を這う性的快楽から逃れられぬシーンに集約されているように思った。それは妾腹として生まれ扱われてきた彼女の原体験であり、したたかな逞しさでもある。何度か観ているが素晴らしい作品。

「虎狼の血」(2018/日/白石和彌)
1970年代初頭、当時の東映で辣腕を振るっていたワンマン社長の岡田茂氏が言い放ったキャッチフレーズが”不良性感度”。約50年の時を経て今まさに甦った東映イズム色濃い、暴力的でアンチモラル、アナーキーな作品。

2020/11/04(Wed) 15:06


  2020年 観た映画 10月

「十九歳の地図」(1979/日/柳町光男)
原作は戦後生まれで初めての芥川賞作家の中上健次。同氏とは同郷で高校の先輩。中上氏原作×柳町氏監督3作品はじめ、中上氏原作の映画化された作品はほとんど全て観ているが、やはりどの作品も忘れ難い。好き嫌い、賛否は当然あって然りだろうが、私の生まれ育った紀州熊野という風土、氏のいうところの隠国の熱くてどろどろとした独特の風を背負った町を知る者としては、この若者の満たされる事のない孤独と絶望からくる心の屈折はよく解る。しかし、中上作品は実に重い。紺野役の蟹江敬三が良い。「どういう具合に生きて行ったら良いのかわからないなぁ」この台詞は本作を象徴している。それから、沖山秀子も良い。この方の唄う「Summer・Time」はヒシヒシと胸に響いてきた記憶がある。確か’77年(この映画の2年前)実際にビルの8階から飛び降りて足に障害が残っているのだが、そのままの役どころとして出演されているのには観ていて胸が痛かった。2度目の鑑賞。

「奴隷の島、消えた人々」(2015/韓/イ・ジスン)
2014年、韓国社内に大きな波紋を投げかけた実在の出来事、新安塩田奴隷事件にヒントを得て製作された社会派ドラマ。世の中には、まだまだ闇に葬り去られている本当に悲惨な事件がいっぱいなんだなぁ。えっ!という展開にはビックリした。

「異端の鳥」(2019/チェコ、スロバキア、ウクライナ/イェジー・コシンスキ)
ナチスのホロコーストから逃れるために両親と離れて田舎に疎開した少年が、差別や迫害に抗いながらも強く生き抜く姿を短編形式で綴った心に突き刺さる作品。予告編を観てビビッ!と直感し観に行ったのだが、これ程までにガツンとやられるとは思わなかった。自分よりも常に弱い立場の者を傍に置く事によっての勝手な優越感と安心感。こういった人間の小さなエゴがやがて戦争にも発展していくのだろうと痛感。確かに痛々しい描写もそうだが、コントラストが効いたモノクロ映像は実に美しい。ハーヴェイ・カイテル、バリー・ペッパーも良い。懐かしいところでジュリアン・サンズも出てきた。百聞は一見に如かずですな。

2020/10/11(Sun) 22:51


  2020年 観た映画 9月

「キラー・インサイド・ミー」(2010/米、スウェーデン、英、カナダ/マイケル・ウィンターボトム)
原作はジム・トンプスン「おれの中の殺し屋」。まぁ、何と言うか、後味の悪いサイコ・キラー・サスペンスとでも言うのか。。。腑に落ちぬ脚本ではあるが、このルーを演じるケイシー・アフレック(兄はベン・アフレック)のヘラヘラと笑いながらの冷淡な狂気は尋常ではなく、暫く脳裏に焼き付いて離れない。うぅ〜っ!

「パリのランデブー」(1994/仏/エリック・ロメール)
「モード家の一夜」「満月の夜」などで知られるヌーヴェル・バーグの巨匠エリック・ロメール監督がパリを舞台に若い男女の恋愛をテーマにそれぞれ3つの物語を描いたオムニバス映画。3話とも淡々としているストーリーなんだけれど、その中に大人のユーモアと切なさがたくさん詰まっていて素敵です。いつもロメール作品を観て思うことだが、女性の描き方が実に上手い。ちょっとした仕草や表情、台詞まわし、細か〜いところまで眼が行き届いているんでしょうね。
また、パリを知り尽くしているロメールだからこそ、普段あまり観たことのない観光地ではないパリの路地裏や小さな公園、古い建物など、その少しくたびれたシャンソンが聴こえてきそうな街並みを案内してもらっている様な気持ちになる洒落た映画。それにしてもランデブーって妙に不思議な響きを持った単語ですなぁ。

「新しき世界」(2013/韓/パク・フンジョン)
韓国最大の犯罪組織への潜入モノ映画。今までいくつかの潜入モノ映画も観てきたがこの作品は面白かった。チョンチョンという組織のナンバー2を演じていたファン・ジョンミンがもの凄く良かった。

「メイキング・オブ・モータウン(米、英/ベンジャミン・ターナー、ゲイブ・ターナー)
スティービー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、スプリームス、ジャクソン5など、数多くのスターを輩出し、ソウルやR&Bの名曲の数々を世に送り出した音楽レーベル「モータウン」。その創設者であるベリー・ゴーディーを中心に親交の深かったスモーキー・ロビンソンなどの証言や貴重な映像を元に作られたドキュメンタリー。
初っ端、テンプスの「Get・Ready」が流れた瞬間からワクワク、おぉ〜っ!ですな。デヴュー当時のスティービーやマイケルの天才ぶりには圧巻され、ダイアナ・ロスなどの珍しい映像も嬉しかった。また、「What’s・Going・on」のリリースを巡ってのモータウン首脳陣とマーヴィン・ゲイのやり取りのエピソードには感慨深いものがあった。まぁ、こういう作品はまずは体験しないと!

2020/09/22(Tue) 14:08


  2020年 観た映画 8月

「光」(2017/日/大森立嗣)
まぁ、えらい暗くどろどろした愛憎劇ですな。余談だが、最近こういった傾向の作品ばかりを選んで観ている私も何処か病んでいるのかなぁ。

「白い闇の女」(2016/米/ブライアン・デキュベリス)
原作はコリン・ハリソンのミステリー小説「マンハッタン夜想曲」を「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディ主演で実写映画化。妖艶な美女が仕掛けた罠にはまっていく男を描いた官能サスペンス。
哀しい過去を持つ美しい未亡人役のイボンヌ・ストラノフスキーも、ギャングのボス役 スティーブン・バーコフも良い味を出しているのだが、ストーリー展開にいまいち入り込めず残念。口直しに「白いドレスの女」が観たくなった。
あぁ、そうそう、「フラッシュ・ダンス」(’84)のジェニファー・ビールスも出ているが、実に良い歳の取り方をしている!

2020/09/07(Mon) 14:22


  2020年 観た映画 7月

「羊の木」(2018/日/吉田大八)
富山県の寂れた港町を舞台に、6人の元殺人犯の身元引受人となり過疎問題を解決するという国家の極秘プロジェクトの中、担当する市役所職員はじめ町の住人との運命が交錯する人間ドラマ。”どこまで他人を信じられるか?”面白かった。

「そこのみにて光輝く」(2013/日/呉美保)
う〜ん、作品としてはもひとつ。役者陣はそれぞれのキャラクターを見事に演じていますね。特に池脇千鶴は良い。

2020/08/12(Wed) 15:19


  2020年 観た映画 6月

「凶悪」(2013/日/白石和彌)
2度目の鑑賞。実際に起こった事件を元にしているだけに、まぁそれなりに生々しい映画ですなぁ。こういう映画を観ていると、自分の身の回りが、いかに普通で平和な暮らしぶりというのを実感し、改めて有難いと感謝をするのでした。

「淵に立つ」(2016/日、仏/深田晃司」
はっきり言って、何度も観ようとは思わないが、こういう作品は嫌いではない。しかし、まぁ、救いも無く不条理ですわ。

2020/06/12(Fri) 13:39


  2020年 観た映画 5月

「三文役者」(2000/日/新藤兼人)
生涯300本もの作品に出演した日本屈指のバイプレイヤー殿山泰司の半生を描いた感動作。封切り当時の映画館で観て以来、何度か観ているがまったく色褪せる事なく今回も十分に楽しめた。愛すべき”泰ちゃん”を演ずる竹中直人はじめ、荻野目慶子の体当たり演技も見応え十分。「仕事行ってくるで〜、ほんまに仕事行ってくるで〜」の件には何度観ても大笑いしてしまう。もう一回観よう!

「哭声/コクソン」(2016/韓/ナ・ホンジン)
もう少しサスペンス風な作品だと思って観たのだが、私の苦手なオカルト・ゾンビ的要素がたっぷりでちとビックリ。謎の日本人(ネタバレになるので秘密)を演ずる國村隼は怖いぞ〜!

「誰よりも狙われた男」(2013/米/英/独/アントン・コービン)
スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの同名小説を「ナイロビの蜂」「裏切りのサーカス」でも知られるアントン・カービンが映画化。ひたすら地味でリアルなストーリー展開だけど、飽きさせないのは流石です。フィリップ・S・ホフマン渋いですなぁ。

「ゴッド・タウン 神なきレクイエム」(2013/米/ジョン・スラットリー)
1980年代のフィラデルフィア郊外の労働者階級が大勢住む閉鎖的な街、”ゴッド・ポケット”。このどうしようもない閉鎖的な街のどうしようもない住人達の犯罪ドラマ。好き嫌いのハッキリ分かれる作品であろう、イライラするシーンも多々有るが最後まで引き込まれて観てしまった。「バートン・フィンク」のジョン・タトゥーロも良し。2014年、自宅のトイレで薬物過剰摂取によって倒れ遺体で発見されたフィリップ・シーモア・ホフマン最後の主演作。好きな役者だっただけに非常に残念。

「哀しき獣」(2010/韓/ナ・ホンジン)
「哭声/コクソン」を撮った監督という事もあり鑑賞。まぁ、登場人物が入りに入り乱れて絡み合い、少し戸惑いながらも、一気に観てしまった。しかし、テーマはえらい切ない物語ですなぁ。

「飢餓海峡」(1964/日/内田吐夢)
数度目の鑑賞。長くて重厚感があって、左幸子演ずる杉戸八重が健気で儚くて、と判っていてもつい観てしまう作品。伴淳も三国連太郎も沢村貞子も良い。内田吐夢晩年の代表作!観て損はなし。

「止められるか、俺たちを」(2018/日/白石和彌)
2度目の鑑賞。良き時代、映画製作に情熱の限りを注いだ若者たちの生々しい群像劇。ガイラさんには本当にお世話になったし、足立さんとは今もadd9thで時々トーク・ライブをやって頂いている関係もあり、どうしても客観的には観られない、私にとっては特別な作品なのです。

2020/05/05(Tue) 11:46


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