−よもやま話-その26−

 所長のコジーノです。サイトの方に「日誌」を設けたので、此処の意義が薄れて
しまって・・・5ヶ月放置してました。
 コーナーそのものを撤収し様かなとも思いましたけど、真の雑記帳にでもして
今後は細々と否通知更新していこうと思ってます。


@覚え書きその1@
 
-あるところに3人の「フォレストジャイアント」の「イプ」「イペ」「イメ」という名の3兄弟
がいました。
 森に住み、狩猟と少しばかりの農作で日々暮らし、基本的に人間等と生活圏を共に
する事の無い(鉄の加工品の交易を除いて)彼ら種族の生活に、ここ数年不穏な影が
見え隠れするようになりました 。
 今住む森での狩猟で獲物が取れない事が多くなり、その上異常な長雨・長期の日照
りの繰り返し、害虫などの異常発生で食料の確保が難しくなったのです。

 そこで、12家族78人の部族の長「ムメジ」は、各家長との幾日もの話し合いの結果、
新たな森への移住を決意しました。そこで、若く戦士としても問題ない彼ら3兄弟に、
移住すべき新たな森の探索を命じました。3人とも、「お調子者」な性格である所に
不安を感じつつも
・・・・・・。

 さて、一族の命運を背負って村落を出発した3人でしたが、族長の不安は的中して
しまいます。出発時に「1ヶ月分」と言われ、村人皆が少しずつ出し合って、彼らに持た
せてくれた糧食を、僅か1週間で食べ尽くしてしまったのです・・・・・・・・・合言葉は
「何とかなるよ!」とお互い言い訳し合いながら。

 しかし、現実は甘くなく全然「何とか」なりませんでした。彼らが住まう森に限らず
各地に異常気象は起きており、道すがらでの糧食の補充は不可能だったのです。
 しかも、狩をするにも、森は人間達に開拓されており、族長から預かった地図は
既に意味を成さなくなっていました。勿論彼ら部族が移り住めるような森は、昼夜通して
歩けど、歩けど見つかりませんでした・・・。

  水だけの強行軍が幾日も続き、如何に並外れた体力の彼らにも限界が近づきつつ
あったある夜、人間の商隊らしき一行を、とある渓谷で見かけるのでした。
 他の種族との接触を極力嫌う彼らですので、平時ならどちらかと言うと彼らの方から、
その一行を避けるように行動するのですが、彼らの胃袋は既に目の前に食べ物の幻が
見えてしまう位限界を迎えていました。
 そんな彼らが取ったのは「強襲」でした。勿論彼らはそんなつもりは微塵も無く、事情を
話して食料を「分けて貰う」考えでしたが、人間からすると「強襲」以外例え様のない行動
でした。

 商隊は、2頭づつの大きなビックホーンが引く貨車が3台で、騎馬の護衛が3騎と、徒歩
の護衛が10人程いました。
 
まず、商隊を止める為に、荷車を引く大きな「ビック―ホーン」の鼻先へ、重さ数百キロ
は有ろうかと言う大岩を、岩棚から「イメ」が投げつけ足止めし、2人の兄が商隊の前へ
踊りでました。

 イキナリのジャイアントの登場に貨車の乗り手と、徒歩の護衛は一目散に逃げていき
ました。彼らは人間に使われている臆病者の「コボルト」だったのです。
 騎馬の護衛は、勇敢にも3兄弟へ向かっては来ましたが、一騎が「イプ」に投げ飛ば
されるのを見ると、彼らも荷物を残して逃げて行きました・・・・・・。

 乗り手を失って右往左往するビックホーンを静め、数十日ぶりの食事に有りつこうと、
先頭の貨車を封印する、南京錠を素手で引きちぎり扉を開けると・・・・・・そこにはぼろ
布をまとい、貨車にぎゅうぎゅう詰めにされた、人間の男達がいただけでした。
 2台目も同じく詰め込まれた人間の男達、3台目は同じようにボロを纏った人間の女達
が居るだけでした。そうです、この一行は物品を運ぶ「商隊」では無く、奴隷を運ぶ「奴隷
護送」の一隊だったのです。

  食事の期待を打ち砕かれた3兄弟はその場にへたり込みました。それを見た奴隷達は
蜘蛛の子を散らす様に、散り散りに何処へ逃げていきましたが、兄弟は気にも止めません
でした。
 一気に疲労が襲ってきましたが、気を取り直して「奴隷」達に与えていたであろう、食料
を探してみる事にしました。が、蛆のたかったいくばかりの果実と、カビの生えたパンの
欠片を見つけただけでした。
 その時3両目を物色していた「イペ」が呼びかけるので、「イプ」「イメ」が行ってみ
ると、
貨車の中にポツンと、まだ小さな1人の少女が座ってました。

 他の奴隷達は1人残らず逃げ出し、少女だけが今は広く感じられる貨車で、膝を抱え
3兄弟に気づいていないのか、何処を見るとも無く座っていました。
 戦士や獣相手には怯む事無い彼らですが、この状況には困惑しました。当初の
食料強奪(彼らからすると、食料調達交渉)が失敗に終わった今、此処に居る意味は無く
種族の新たな居住地探しと言う、大事な任務がある彼らは一刻も早く、糧食を確保し
探索を再開せねばならないのですが、元来心優しき彼らは人間と言えど、小さな子供を
こんな辺鄙な所へ見捨てるのは心が痛む事なのです。

で、
イプ「何だ?。怪我しとるのか?」
イメ「いや、そうは見えんけどな」
イペ「おい、早よ此処を離れんと、さっきの兵隊が仲間つれて戻ってくるぞ」
イプ「しかし、この子を此処へ残していくのは、危険じゃし、可哀想だろ?」
イメ「(2度頷く)」
イペ「じゃ、どうするよ?。何故この人間の子は他の連中と逃げんかった?。」
イプ「それはわからん」
イメ「(また、2度頷く)」
と、兄弟が議論しても意味無いので、少女に直接聞いてみる事にしました。代表して長兄の
イプが。

「おめぇは逃げんのか?」
たどたどしい「公用語」で聞いてみました。すると、
「逃げても行く所がないの」と少女。

 この後詳しく兄弟が聞いてみると、以前は大きな湖の近くにある小さな村落で暮らしていた
けど、ある夜、オーガー率いるゴブリンの野党に村は教われたと少女は淡々と言いました。
 野党が襲ってきた際、咄嗟に母親が彼女を物陰に隠したので、野党に見つかる事は無かった
のですが、騒ぎが収まり隠れた場所から出てみると、両親を含め村人全員が殺害されていたと
の事でした。その内、どこかからの出火で村は全焼。数日間焼け野原になった村で1人過ごした
のですが、ひもじさから食べる物を探しに彼女は着の身着のままで村を出ました。幾日も掛けて
街道へ辿り着いたものの、運悪く「人買い」に見つかってしまい、子供の奴隷として町の市へと
卸される所だったと言う事でした・・・。

 話を聞いた兄弟は揃って「むぅ〜」と唸るしか有りませんでした。今の自分達と重なったからです。
本来人間に関わらず他の種族とは関わりあわない性質。まして、今は部族の命運の掛かった探索
の最中。しかし、このままほっては置けない・・・・・・。
 そして、「じゃ、此処に居てどうするだ?」とイメが効くと、「また他の人買いに見つけられるのを、
ずっと此処で待つ・・・そうすれば食べ物も貰えるし・・・生きていける」と悲しい言葉。

 この言葉を聞いた次男イペが「おら達、仲間皆が住める静かな森を探して旅をしてるが、おめぇ
一緒にくるか?。途中おめぇを育てても良いって人間に会うかもしれんし・・・」と少女に声をかけると、
少し躊躇した風でしたが、元気に「うん」と答え、少女は初めて3人に笑顔を見せました。

 

 この後、この3兄弟と少女がどのような旅をしたのかは今は記しません。けれど、この時の少女が
後の「アームミンド王国」王族警護団、紫の盾隊隊長「エマ・クーニング」。王国で最も勇猛で、最も
優れた槌の使い手と呼ばれるに至る少女でした。

・・・・・・・・・・・・・・・もう少し整理してから書けばよかったような気がする(大汗。

 
 

 


 
                                                2003/09/03日記す。

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