人物紹介 第一次西方戦役 第二次西方戦役
人物紹介
西方総督 ドレーク・アシュレイ
父クリフ・アシュレイも先代の西方総督。父はアルディス王即位と同時に西方総督として赴任。
アルディス王の意を汲み、辺境との仲を上手く取り持った。
大将軍の器と目され、本人も希望していたが、西方総督としてキャリアを終える。
能力的、人間的には父クリフに劣ると評されていた息子であり、父を是が非でも越えたい
という欲求が強く、父を凌ぐために、西方で武功を上げ大将軍の椅子を占めようとする
朝廷で、主流となりつつある、清流派に名を連ねる武官の筆頭。
第二次西方戦役終了後、アルシス王擁立に功があり、念願の大将軍の座を占めることに。
東部での戦功著しく、一時は自分を差し置いて大将軍に推されたバルカン卿を妬み、先代大将軍を大逆罪に
陥れ、バルカン卿を連座させ、追放することに成功。将軍としては無能ではあるが、陰険な政治家としては
極めて優秀なところを見せる。
エンリコ=デ=チェザレ
辺境伯。けっこうな年齢で、第二次東方戦役開始時は75を超えている。
アルタール中央政府の辺境蔑視に憤っており、辺境の完全独立を夢見る。
ジャナンドレア=デ=チェザレ
辺境伯次男。双剣の騎士、無敵のジャナンドレアの異名を持つ。実際二刀を用いた斬撃は凄まじく
立ちはだかるものを十文字に解体する。
しかし、もっとも得意とする武器は槍であり、愛槍「エリ=エリ=レマ=サバタクニ」の威力も
相まって、間違いなく槍を持てば宇宙最強の人である。
軍の指揮も絶妙で彼が指揮している軍勢は未だ負け無しである。
唯一の弱点は家族。特に長女のジェルソミーナに頭が上がらない。
黒い稲妻 ティボルード=レヴェリッジ
ジャナンドレア四天王の一人。リルドラケンの戦士兼射手。智謀にも優れ、ジャナンドレアの
参謀も勤める。直属の兵種は投槍兵
白き死神 クラウディオ=デ=ラ=フェンテ
エルフの軽戦士。白装束に身をつつみ、凄惨な戦いをするが、返り血を一滴も浴びないので
この仇名がついた。直属の兵種は軽弓騎兵
蒼き閃光 ノーマン=バウアー
ドワーフの射手。冷気を纏った銃を使う。直属の兵種は銃兵
紅い悪魔 アクセル=ブロンクヴィスト
人間の軽戦士、双槍を操り無慈悲に大量の死体を積み上げる。フェンテと違い、夥しい返り血を
浴びるため、こう呼ばれることに。レリダの街攻防戦の生き残り。直属の兵種は竜騎兵
セラフィーネ=ヴェルレーヌ
エルフの神官。辺境伯の元で、辺境伯の孫の家庭教師をしている。
第一次西方戦役
西方事の発端
もともと、アルタールとの国境線において、山脈や河川が無いために、
常に悶着の起きる地方だった。
あるとき、国境とされる地帯の、どちらの領土とも言える場所で魔法先史
文明時代の遺跡がみつかり、自然発生的に開拓村ができあがる。
両国の友好のしるしとして、中立地帯とし、互いの軍勢は一切の駐屯をしない
という条約が結ばれる。
紀元前8年
しかし、ある日、この開拓村が蛮族の襲撃を受け、辺境に助けを求めた。
救援を乞われた辺境軍は直ちに軍を編成し、村の救援に向かい、首尾よく
蛮族を撃退する。
ここで、一旦辺境側は条約に基づいて、軍を引き上げるが、その後も
たびたび襲撃を受けた村側からの懇願を受け入れ、村の近くに100人ほど
が滞在できる駐屯地を設営した。
しかし、この駐屯地設営後に蛮族の襲撃規模が大きくなり始め、
駐屯地規模では間に合わないと判断した先代辺境伯は砦の建設を始める。
この時まで、辺境の軍の駐屯を黙認していたアルタールではあったが、
さすがに砦の建設に到って、蛮族の襲撃を口実にした実効支配で条約違反
であると抗議をしてきた。
これに対し、今まで目と鼻の先で蛮族が暴れていたのに対し、何の援軍や
救援物資も送って来なかったアルタールに対し、村側が一斉に反発。
この反抗に対して、アルタール側は、全て辺境側の国境地帯の実効支配を
するための自作自演であると断じ、速やかな軍の撤収が無き場合は、
戦争も辞さないとの最終通告を送る。
実際に蛮族の襲撃も受けている中の完全な言いがかりに先代辺境伯が
激怒し、使者を罵倒して追い返したことから、第一次西方戦役が始まる。
この第一次西方戦役が両者にとって不幸な事になるのは、皮肉にも
双方とも、優れた戦略家がいたからであった。
兵力を小出しにし、国境紛争がジワジワと拡大し、全国土を戦火に
晒すような愚を避け、持て得る最大の力を持って、敵に一撃を与え
然る後に、有利な条件で講和を結ぶ。双方とも、不幸にして一致して
しまった戦略により、緒戦より死力を尽くした総力戦が始まったので
あった。
この戦役で名を上げたのが、当事30に手が届いた所であった現辺境伯
ジャナンドレアであった。2本の剣を巧みに操る双剣の騎士として、
アルタール軍に大いに恐れられたが、彼が最も力を発揮したのが、
魔法先史文明遺跡より発掘され、彼に献上された聖槍を振るった時だった。
彼と、彼の旗下で「白い死神」「黒い稲妻」と恐れられた2将の3者を
阻むことのできるアルタール軍はいないと言われた。
一時は中央軍を圧倒し、目論見通りに有利な講和が結べるかと思えたが、
補給路が長く伸び進軍速度が落ちたことと、補給路に近い自由都市の一部が
アルタール側につき、ゲリラ戦法で補給路を断つ動きに出たため進軍が停滞。
なりふり構わなくなったアルタール軍の恐るべき自爆攻撃や、戦役の英雄
ジャナンドレアの声望を恐れた先代辺境伯によるジャナンドレアの召還等も
あり、戦線が押し返され、双方ともに不本意な完全な膠着状態となり、まさ
しく泥沼の戦いとなってしまった。
皮肉にもこの戦いに終止符を打つきっかけになったのは、戦いの始まりの
元ともなった蛮族であった。
辺境、アルタールともに蛮族の動きが活発化し、守りの薄くなった国内での
蛮族の襲撃の頻度が大幅に増加し、戦争状態を維持していくことが難しくなっ
たのだ。
ちょうどアルタールでは最強硬だった先々王が病に倒れ、摂政として国政を
任されたアルディス王子が和平を強く推進したこともあり、なんとか停戦が
実現した。
講和なった両軍は、双方とも国内に取って返し、自国内に進行してきた
蛮族を迎え撃つことになった。
アルタールでは病身の国王がそのまま崩御し、穏健派のアルディス王子が王位に
立ったことで、辺境と事をかまえる気が無く、辺境はアルタールよりはるかに激し
かった蛮族の進行の撃退と、国力の復興に手いっぱいで、しばらくの間は両者に
平和がもたらされた。
第二次西方戦役
第一次西方戦役より6年の時が流れ、アルタール、辺境ともに平和を享受し
ていたが、またも両国間に不幸が起こる。
ことの始まりはSK6年。前年より始まったアルディス王による統一戦争が
元といえば元になる。
時の西方総督ドレーク・アシュレイが、アルディス王が陣頭に立ち、成果を
上げる東部戦線に対抗し西部域の平定を企てたのだ。
元々自由都市連合の西方部は、地味豊かで交易も盛んであったため、アルタール
への略奪行為などは行わなかったことと、第一次西方戦役でアルタール側に立ち、
辺境側の糧道を断つなどの功績があったために、アルタールとはゆるやかな同盟
が結ばれていた。
しかし、功に焦るドレークは西方自由都市レリダに対し、アルタール側に
対する全面降伏、即ち自治の放棄か、攻撃されての死かの選択を迫った。
さすがに困惑したレリダの街は、アルディス王への抗議の使者と、万一の為に
辺境への援軍を依頼した。
西方戦役のきっかけをまだ生々しく思い出せる辺境側は援軍の以来に当惑し
とりあえず、国境警備隊の1中隊を護衛に付け、長子であるアルメリコを特使
として派遣。
辺境側としても、アルディス王に問い合わせの使者を出すにとどまった。
しかし、何者かの陰謀か、または不幸な事故が偶然重なったか、辺境と
都市連合からアルディス王へ出された使者は、アルディス王の元へと到着する
ことはなかった。
特使が到着したことを知るとドレークは、特使とその護衛を辺境側の軍勢と断定し、
自由都市連合が、辺境と示し合わせて、アルタールへの反旗を翻す印であるとして、
レリダ討伐を宣言。旗下の軍勢を出撃させる。
しかし、西方討伐軍の先遣隊が街近くに布陣したところ、蛮族に急襲され
壊滅してしまう。
既にレリダの街に入っていた辺境側とレリダの自警団は、壊走する討伐軍の
逃走の支援を行い、街へと受け入れる。
これを端緒に和平を望んだ辺境と都市連合だったが、全滅し、助けてもらった
かたちになる討伐軍の残軍が、夜間に街を焼き討ち、辺境軍とも激しく戦うことに。
さらに先遣隊の後軍も現れ、レリダの街は恩を仇で返される形で壊滅。
辺境軍も特使を含む94名が死亡。生き残ったものは中隊長以下6名だった。
ことがここまで大きくなっても、未だ返事の無いアルディス王への態度への
不信感と、レリダの街炎上の報せを受けた辺境伯エンリコ=デ=チェザレは
辺境全体に非常事態宣言を発令。
ドレークは、先遣隊への攻撃が蛮族に扮した辺境軍であるとし、共謀した西方
自由都市連合と辺境に対し無条件降伏を勧告。
ことここに到ってなんとか生きて帰った中隊長よりレリダの街壊滅の真相と
長子アルメリコの死を知り、激怒した辺境伯は西方討伐軍に対し宣戦布告を行う。
かくして第二次西方戦役が始まるのであった。
第二次西方戦役では、アルタール側が軍の主力を東部に向けていたのと、ドレークの都市
連合に対する強硬政策の為に、都市連合が必要に迫られてとは言え辺境側に着いたため、
先の戦役のように糧道に苦しむことも無く、戦役当初は辺境側の圧倒的に有利に進む。
今回も陣頭に立つ辺境伯次男のジャナンドレアと、一次戦役時の勇者に加え、青い閃光、
紅き悪魔と恐れられる2将を加え、ジャナンドレアと四天王と言えば、アルタール側では
泣く子も黙る存在であった。
圧倒的に辺境側有利で進んでいたSK10年。突如として、蛮族の大部隊が辺境西部へ進攻。
庇護を求める自由都市のあらかたを傘下に収めていたのもあり、各都市の抑えの部隊だけを
残して、ほぼ全軍が対蛮族へと向かう。
形としては、前回時と同じく、ジャナンドレアの抜けた戦線で綻びが生じ、また自由都市
の東に位置する都市がアルディス王の巧妙な政策により切り崩され、戦線が後退へ向かう。
SK12年初頭のサドワの戦いによる東部自由都市連合の完全降伏により、アルタール側は
辺境に対しその持てる力を結集して攻勢に出、いたるところで辺境側を打ち負かす。
危機を感じた辺境側は夏を過ぎたあたりで、ジャナンドレア旗下からフェンテ、ブロンクヴィスト
の両将を引き抜き、対処させるが時既に遅く、戦線の後退速度を押しとどめるにしかならなかった。
元の国境線付近までは後退したが、国境線付近での激しい攻防が続く中、アルディス王が崩御。
後を追うように、辺境伯も身罷る。
NK2年、国内の蛮族の勢力を一掃したが、満身創痍で息絶え絶えの感のある辺境側と、新王
即位早々の混乱を避けたいアルタール側で講和への道が探られる。
講和の条件として、ひとつ上げられたのが四天王解体であったが、黒い稲妻ティボルード=
レヴェリッジは引退をすでに宣言しており、白き死神クラウディオ=デ=ラ=フェンテは最後
となった戦いで行方不明。蒼き閃光ノーマン=バウアーは講和締結後に銃技師としてアルタールに派遣が
決まっていたため紅い悪魔アクセル=ブロンクヴィストの処遇だけが問題であった。
ブロンクヴィストに関しては、事の発端であるレリダの街攻防戦の最後の生き証人でもあったため、
開戦の発端を糊塗したいアルタール軍は手を変え、品を変え身柄を要求。
結局のところ、紅い悪魔アクセル=ブロンクヴィストはアルタール軍から派遣されていたスパイ容疑で
処刑されるかたちとなり、講和は無事妥結した。
かくして、各所に多大な被害をもたらした第二次西方戦役は終了した。
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