第2部第7章6〜10の写真


6 サウジアラビアの壁



サウジアラビアを通って、陸路でイエメンへ向かおうと思い立ちました。
それにはサウジアラビアのトランジット・ビザが必要なんですが、これを取るのがなかなかに難しいのです。
私の場合、ムスリム(イスラーム信徒)かどうか聞かれました。
もしハイと言えば、コーランを朗誦させられ、すぐにウソであることがバレタかもしれませんが、
もし幸か不幸かビザが発給されれば、サウジアラビアに入国できたかもしれません。
しかし国に入ってからこのウソがバレタ場合、ちょっと冗談では通じないような気がします。
何せあのウサマ・ビンラーディン氏を生んだこの国は、世界で最も厳格な宗教国家の一つなのです。
信仰に関する虚偽は厳しく責められるに違いありません。単なるシャレでは済まないと思います。
勇敢にもこの国への入国を果たした人がもしおられましたら、どうぞご一報ください。




7 ペルシア湾の夕暮れ



ペルシア湾って聞くと何か油くさい汚れた海のように思っちゃうけど、実際のペルシア湾はとてもきれいな海なのです。
写真は、ドバイ郊外のジュメイラ・ビーチ・パークで撮ったものです。
都心から車で15分くらいの所にこんなにきれいな海があるなんて、この街の市民がうらやましいです。
私は残念ながら一人だったので泳げませんでしたが、まったくもって惜しいことでした。
その代わり、たまっていた年賀状をすべて書き上げることができましたが・・・。
アラビアン・リゾートは砂漠だけでなく、マリン・リゾートも楽しめます。
ビザもいらなくなったことですし、一度行ってみてはいかがですか?




8 根無し草の街



写真は、ドバイの繁華街デイラの夜のスナップです。ネオンサインが鮮やかでしょ。
ここには、世界中から集まった世界的なメーカーのブランドが集結しています。日本の家電メーカーのも多いですね。
UAEの人口の7割以上は外国人労働者が占めます。
ここに昔から住んでいた生粋のUAE人は数は少ないのですが、街中でも一目で分かります。
全身白づくめの服に身を包んでいるからです。
彼らは重労働は外国人労働者にまかせ、比較的楽な仕事に従事しています。
それでいて、所得や社会的サービスの上では優遇されているようです。
石油というのは何とも恐ろしいものだなあ、と思わざるをえません。
この石油がもたらした富にあずかろうとして、多くのアジア諸国から労働者が集まってきます。
だから街を歩く人々もどこかバラエティに富んでいて、その街並みの無国籍ぶりに拍車をかけています。
自分が今どこにいるのか分からなくなるような街、それがドバイなのです。




9 内省的な旅



こんな無国籍風の風景に囲まれていると、思いが自然と自分の内の方へと向いてきます。
それでなくとも、ここはいわゆるバックパッカーの姿などあまり見当たらない所で一人でいることが多いですから、なおさらです。
私はここで今までの旅の総括と今後の旅の在り方をじっくりと考えることができました。
長い旅の節目には、こうした内省の時間が必要になると思います。
たった一週間しかこの国にはいませんでしたが、私はここで外より内の世界に多くの収穫を見出しました。
ある程度の外界の見聞の蓄積があれば、必ず自分の内側にそれを通じて形成された何かがあるでしょう。
旅が長くなればなるほど、その内なる旅の比重は大きくなる傾向があるのではないでしょうか。
外と内の両方の旅が一つになる時、本当の意味での旅の収穫が得られる。
私はそう思います。




10 再離陸



バックパッカーやってると、どうしても足回りのものが傷むのが早いです。靴とか、靴下とかは特にそうですね。
インドで買った靴なんて、1ヶ月履いただけでゴム底が裂けて真っ二つになってしまいました。
パキスタンで買った靴下は、一ヶ月も経たないうちにかかとの部分に大きな穴が開いてしまいました。
耐久性という面から言えば、まだまだ途上国の製品は頼りないようです。
途上国中心の長旅に出る人は、日本を出る前にしっかりとした靴を買っていった方がいいと思います。
靴は旅人の最重要必需品とも言えるものですから、あだやおろそかにはできません。
その点ドバイは先進国の製品が安く手に入る所ですから、価値ある買い物ができます。
西アジアでは(イスタンブールを除くと)最も良質な買い物が期待できます。
ビザ無し渡航が認められた今、ドバイは日本人にとっても魅力ある都市になりつつあるのではないでしょうか。
運河を行く渡し舟に乗って運河の両岸をゆっくりと往復しながら、アラビアのゆったりとした時間の流れに身を任せ、
のどかなショッピング・リゾートをぜひ楽しんでみてください。