うそつき橋
これは街の中心にもほど近い鉄製の橋で、別名「うそつき橋」とも呼ばれています。
この橋の上に誰かが立ってうそをついたら橋がつぶれる、と考えられているからだそうです。
いずれにせよ、1859年に作られたものだそうです。
欄干やアーチ状の橋脚、四隅に配された電灯の柱などが当時の雰囲気をたたえていて、
この街の名所の一つに数えられているのも頷けます。
ちなみに橋の上に立っているのは、僕をこの街に招待してくれた青年の弟さんです。
彼と一緒にこれから街を回った後、郊外の野外民俗博物館へ行く予定なのです。
彼が呼んでいるので、このあたりで失礼します。
シビウの謎
これ、表通りからちょっと入った所で見つけたんですけど、何なんでしょう?
「靴は、いつも同じ個所が・・・シンパテックスなら、その部分からの・・・全天型のシンパテックス・・・」
と読み取れますが、シンパテックスって何でしょう?
靴の製品名か何かでしょうか?
でも日本語を読める人がほとんどいないこの街で、
しかも人目につかない裏路地にこんなこと書いて、
何かいいことでもあるんでしょうか?
でも、ただの落書きにしては内容がやけに具体的ですよね。
未だにこれが何であったのか、分からないでいます。
この「シビウの謎」、解ける人がいたらぜひご一報を!
家庭の味
これはサルマーレといって、ルーマニアの代表的な料理です。
酢漬けのキャベツで挽肉などを包み、スープで煮たものです。
酢が効いていて、爽やかな味がします。
写真のものは、青年のおばあさんが私の朝食に作ってくれたものです。
玄関前のイスに腰掛け、初夏の陽光にきらめく庭を眺めながら、いただきました。
最高のぜいたくだった、と今でも思います。
二人の旅路
シビウでの宿を提供してくださったご夫妻です。
僕をこの街に呼んでくれた青年のおじいさん、おばあさんです。
青年の本当のおじいさんが亡くなられた後、おばあさんは今のおじいさんと再婚されたのだそうです。
お二人は民族が違うのですが、そんなものはまったく関係ないのだと言わんばかりに、仲むつまじい感じです。
これだけ長く歩いてきても、さらに新たな出会いを求められたお二人に、人生の先輩としての尊敬の念を禁じえません。
どうぞ、いつまでもお幸せに!
街の記憶
街の中心の大広場には石造りのモニュメントが建っていて、
格好の待ち合わせ場所となっています。
私も青年との待ち合わせにはいつもここを使いました。
看板が二つあって、黒い十字架の下に人の名前がズラリと縦に並んでいます。
二枚合わせると70人ほどでしょうか。
1989年の民主革命の際、この街でも市民を巻き込んだ銃撃戦があったそうです。
この看板に書かれた人たちは、その戦いで落命した人たちだろうと思われます。
このモニュメントが人々の市民生活の中に無理なく溶け込んでいるのを見る時、
この街の記憶が理想的な形で後世に語り継がれているような気がします。
大上段に構えることのない、親しげな姿で。