第6章章扉と1〜3の写真とコメント


国ってな〜に?



これは、クルージ・ナポカの広場にあるハンガリー王マチャーシュの騎馬像です。
彼はこの街で生まれたのです。
え、何でハンガリーの王様がルーマニアで生まれたのかって?
それは、ここトランシルヴァニアは過去三度、最低でも実に685年もの期間にわたってハンガリー領土だったからです。
だから、トランシルヴァニア地方にはハンガリー人が今でも少数民族として暮らしています。
現在のルーマニアはワラキア、モルドバ両公国を母体としたルーマニア王国に、
第一次大戦後、ブコビナ、トランシルヴァニア、クリシャナ、マラムレシュ、バナトなどの諸地域を併合した結果として成立しました。
だからほとんど国の領域に変化がなかった日本に住む私たちとは、
国に対するイメージや感情がルーマニアの場合、かなり違ってくるのは当然でしょう。
この国の歴史を見ていると、ホントに「国ってな〜に?」てな感じに思えてきます。
ホント、国って何なんでしょうね。

今日から第6章が始まります。
この章の写真は少ないですから、
今までのルーマニアの旅路を復習するような過去の章の写真もまぜてます。
それでルーマニア旅行の雰囲気が伝われば、幸いです。


時を止めた町



ここはシギショアラです。
「ヨーロッパで唯一中世の都市の規模を守り続けている町」
と地元の人が誇りをこめて言うのも何となく分かります。
本当に小さい町なんです。
主な見所も丘を覆う形で広がる上の町に集まっていて、
じっくり見て回っても3時間とかかりません。
でも、中世のヨーロッパの雰囲気に浸りたいなら、この町は外せませんね。


ドラキュラの生家



これは、ドラキュラのモデルとなった15世紀のワラキア公ブラド・ツェペシュが生まれた家です。
丘の上の旧市街の一角に、今も現役の建物としてあります。
串刺公ブラドの生家として、今やシギショアラの観光名所になっています。
彼が生まれた時、この家の当主はもちろん彼の父親だったのですが、
その名前がブラド・ドラキュルというのです。
このあたりからドラキュラという名前が出てきたのでは、と私は勝手に邪推していますが、
知ってる人がいたら、教えてください。


小説の故郷



シギショアラから半日列車に乗って、ビストリツァにやってきました。
ビストリツァは、小説『吸血鬼ドラキュラ』の冒頭に出てくる町です。
「5月3日。ビストリツァ・・・」で始まるのです。
登場人物の弁護士ジョナサンはこの町のホテルに泊まり、ブルゴー峠のドラキュラ伯爵の城へ向かうという設定なのですが、
その筋書きに合わせたホテルがドラキュラ城として実際に営業しているそうです。
ブラショフのブラン城は有名ですが、
ビストリツァの方はあまり観光客は来ていません。
ドラキュラ巡りの際にはどうぞお忘れなく。