PHへの道

1・コトの発端
 そもそもぼくがPHにハマったのは、高校1年の秋の文化祭がきっかけでした。
 イラスト有志に出品されていた、ぼくより一つ年下の後輩さん(合成少年水槽展のコトナガさんです♪)のイラストに描かれていたお洋服が凄く可愛いなあと気になりまして。
 で、そういうフリルとリボンいっぱいのびらびらのお洋服がPHというブランドのものだってコトは知ってたんで、本物を見てみたいなあと思ったのです。
 実は、その前年にも、彼女のイラストでPHが描かれたものは見ていたのですが、そのときは「PHだ」と意識はしても、それほど惹かれはしていませんでした。どうしてその時急に、だったんでしょうね。今となっては、もうわからなくなってしまいました★
 人生って、本当に何事もタイミング。

 ちなみに、生まれて初めて見たPHのショップは、多分中学生の頃、今の位置に移る前の渋谷本店です。といっても、入口からちらっと覗いたぐらいですが。
 はっきりと商品を見たのは現在1番のお気に入りになっている新宿三越店です♪


2・Try it on
 『〜を着てみる』、つまり『試着をする』というコトです。
 ぼくが初めてPHを試着してみた(≒初めて着てみた)のは、ハマってから数ヶ月後、高校1年の正月のコトでした。
 その頃出ていた商品で、ひなぎくブーケ柄(?)のエプロンスカートがあったんですが、渋谷なんかへ見に行っては、可愛いなあと憧れていました。が、100%買わない(買えない・泣)ワケですから、ハンガーを手にとって見るコトすら恐れ多く、ちらりと見ては、溜息をついておりました。
 そうこうする内に冬休みになり、家族で帰省した新潟で、ふと気になって電話帳でPHを探してみたんです。そしたら市内中心部にあるというコトが判明! これはもう、見に行くしかないでしょう(苦笑)。
 さて、行ってみると当然のごとく、そこには渋谷で見てたのと同じスカートがありまして。やっぱり可愛いよなあと思いつついたわけですが。突然店員さんがやって来たかと思うと「何かお探しですか」などと仰ったのです。
 ・・・そこでこの馬鹿、何気なく流せばいいのに、つい「ひなぎくのエプロンスカートを」なんて言っちゃったワケですよ、100%買わないっつーに!!
 もーお、そしたらお姉さんはニコニコと微笑みながら、そのスカートのかかったハンガーを手にとって、丁寧に商品説明をしてくれたかと思うと、「試着だけでもしてみませんか?」と言うのです。
 そんなアナタ、試着なんていうものは『これに決めて大丈夫かな』と、買う気のある人がやるべきものじゃないですか!(とぼくは思ってる) 全くもって買う気のない人は、あんまりやるものじゃあないですよねえ。・・・が、1度でもPHに袖を通すコトができるんだという誘惑に勝てなかったんですね〜・・・。
 あれよあれよという間に、店員さんはスカートの他に、合わせる為にとブラウスとペチコートまで持って来てくださってしまい、ぼくは試着室の中へ。またこのブラウスが可愛かった!! 大きめの襟にフリルが沢山ついた真っ白なブラウス・・・ああ、うっとり。スカートが黒地だったもので、色のコントラストも美しく、店員さんも「メイドさんみたいで可愛いですよー」と言っておられました(笑)
 で、試着を終えた後。店員さんは、当然買うように勧めてくるワケなのですが、そんなお金などある筈もなく、ぼくはなんとかジャパニーズ曖昧スマイルで誤魔化して「もう少し考えてみます」などと言って、逃げるようにお店を後にしたのでした(別に足を速めたりはしてませんが。心理的に)。
 そんな初めての試着の思い出。


3・手作り計画
 周知の通り、PHのお洋服はとても高価い。そんでもってかなり個性的なものも多く、大抵の人はそのイメージが先入観としてあって、なかなか近づけない。よって、お金のないぼくが親を説得して買ってもらえるようになるまでは、長い道のりがあったワケなのですが。
 10代の溢れる好奇心と欲求はとどまるコトを知らない上に、試着までしてしまってますます加速し、もう欲しくて欲しくて堪らなくなってしまったんですね。
 そこで考え出した、お金がなくても可愛いお洋服を手に入れられる方法。
 要は、買えないのなら、自分で作ってしまえばいいのです!!(笑)
 というワケで、ぼくは何度かショップで実地調査を重ね(笑)、だいたいの形を把握して、エプロンスカートの製作に取りかかったのでした。
 その上で1番の問題となったのは、やはり生地のコト。何しろプリント地はPHのウリの1つですからね、似たようなものったってそうそうない。で、結局は相当妥協して、普通の小花プリントのものを買ってきました。
 実際に切ったり縫ったりという作業は、出来るだけ手を抜いてやったので、随分と楽でしたね。型紙もいらない、全部長方形の布の組み合わせでしたし。1番面倒だったのは、後ろあき部分の釦付けかな・・・。なにしろ数があるもので。
 そうして出来上がったエプロンスカートは、なかなか気に入るものになりました。友達とかも誉めてくれるんですよ〜♪ 多少のお世辞は勿論入ってるんでしょうが、それでも嬉しい♪

 そうしてこうして、趣味の項目に『裁縫』というものが入ってくるようになりました。
 まあ、基本的には楽に作れるスカートばかりなのですが、中にはワンピースもあります! これはなかなか頑張りましたよ〜。ローウェストで、スカートは3段ティアード、当然前全開できて、袖は半袖パフスリーブ。更にフード付きで、そこにはぐるりとフリルがつけてあり、前身ごろにはピンタックまで入れちゃいました!
 ロリータの方にも興味を持ち出してから、そっち系のスカートも数点作ってみたりしてます。
 今後はスカートだけじゃなくて、ブラウスとかも作ってみたいなあと思っています♪


4・初GET
 PHに興味を持って、いつのまにかすっかり惚れてしまって、お店を覗くようになり、試着も体験して、ついには自作までしてみて。
 ・・・ここまで来たら、もう本物を手に入れずにはいられないですよねえ。
 そうしてこうして迎えた運命の日ですが、それはぼくが高校2年の6月のコトでした。
 そのころぼくがご執心だったのは、クマプリントのセーラーワンピ。¥34000ぐらいのものでしたが、それは絶対に無理だなあと遠くから眺める存在でした。
 で、『もしかしたら手に入れられるかもしれない』と淡い期待を抱かせてくれたのが、同じくセーラーカラーのついたワンピースだったんですが、それはプリントものではなく、無地のカットソー(Tシャツより少し厚手)の開きのないもので、お値段はクマの半額以下の¥15000。いや、それでもぼくにとっては十分過ぎるほど高価なものではあったのですが。
 確か土曜日の放課後に、両親と一緒に日本橋のデパートへ美術展を見に行った帰りでした。ぼくは「見るだけでも・・・」とかなんとか言いくるめて、両親を新宿三越へ連れて行くコトに成功したのです。
 着いてみるとお目当てのワンピは、以前見た時にはアカ・クロ・シロ・コンの4色があったのですが、残っていたのはシロを除く3色。予定では、シロで爽やかさをアピールして母親を陥落しようとか思ってたのですが、ないのではしょうがないというコトで、急遽作戦変更(笑)。1番着慣れた色であるクロで攻めてみました。
 こう、ワンピのかかったハンガーを手にして、じっと上目遣い気味に母親を見つめるワケですよ(笑)。弱々しげに「・・・ダメ?」とか呟いてみたりして。
 そうこうするコト数分間にして、ぼくはついに母親から「それじゃあ試着してみる?」というコトバをひきだすのに成功したのです!! ブラボー!
 うきうきと試着室に入って着替えてみて、感動しましたね。もう、肌触りはいいし、たっぷりとしたスカートの長い裾が足に触れるカンジもいいし、セーラーは可愛いし、何よりクロだから着痩せして見えるし!!(笑)
 母親も、想像してたよりもずっといいものだと感じたようで、仕方なさそうにしながらも、購入に踏み切ってくれたのでした。
 いやあ、もうホントに嬉しかったですね〜。憧れていたものを手に入れられたというあの快感!! この気持ちは、今でも新しいお洋服をどうにかこうにか買ってもらうたびに、必ず感じています。親への感謝とゴクツブシでごめんなさいという懺悔と共に(苦笑)。



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