Perversity
1997.Nov.発行


どうしようもない この世界
抜け出すことなど誰にもできず
埋もれる他に 救いはなくて
ほら、とても楽しいよ
何も恐れることなどない
やわらかな真綿
それとも底無しの泥沼?
どっちだって同じだけど、ね




日影

負の性質が正にひかれるように
ぼくはあなたに魅かれる
この穢れたこころとからだで
あなたに相応しくないのに
だから
せめて ぼくはあなたの影になろう
決して交われない、
けれど一番傍にいられる
あなたの 影になろう




きれいな景色

夕日 きれい
空 きれい
池の水も きれい
木も花も小鳥も みんな きれい
大好きなあなたも きれいだね
――ぼく?
ぼくは……きれい?
こたえてよ
きれいな血に染まった
きれいな あなた




病窓

落ち葉の物語
『あのツタの葉が落ちたら――』
小さい頃 聞いたわ
わたしの窓から見えるのは
大きな大きな桜の樹
ねえ、あの葉が落ちる前に
ここへわたしを迎えに来てよ
あの葉が落ちる時、
わたしも窓から落ちそうよ?




子供部屋

部屋中にあふれる 可愛い人形たち
みてるよ わらってるよ ぼくのことを
いや、いや、
みないで わらわないで おねがいだから
みんなあげるから
ピアノもベッドも本棚も
この部屋も
ぼくも
みんなあげるから
おねがいだから、どうか……




kiss

痛いキズ
胸のキズ
手首のキズ

君にキス
優しくキス
激しくキス

――そのキズに キス




あめ

「あめのおとがきこえる」
君はそう言って 走って行った
窓の外へと
空は抜けるような青で
太陽は白く輝いていて
ああ 君の雨は
今、何処に降り注いでいるのだろう?



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