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俺はまず、ため息をついた。 …ムサイ… ここはハンター試験会場へ向かう船の中。つまりここにいるのはほとんどハンター志望者って訳だ。ま、そのハンターになるためには知力は勿論かなりの体力も要求されることから何となくは予感していたが。
見渡す限り野郎ばかり。それもゴツイ・ムサイ・胡散臭いの三重奏ときたものだ。船員も全て野郎。海のアツイ漢達勢ぞろいだ。男子校にだってこんなに濃い空間はないだろうに。
…船室はもっとムサかった。狭い分濃度も出血大サービス実施中だったのだ。俺は二度目のため息をつき、せめて開放されている甲板に戻ろうと踵を返しかけたその時、船室の隅で揺れるハンモックが目に入った。 …その時はまさかこいつが俺と同じハンター志望者だとは夢にも思わなかったのだ。
『可愛くない奴』 マジで裏切られた。とことん騙された。こいつが初めて口を開いた時の衝撃とムカツキは一生忘れないだろう。(あまりにムカついて嵐の中で決闘までやらかした)まあ今は何だかんだで当り障りない会話を交わす位はするようになったが。 …沈黙……。 『…人形みてえ。』 ふと、そう思った。初めて見た時もそうだったが今は殊更に思う。 心ここに在らず、どころではなくもともと心を持たない人形。魂の入っていない、復讐というその目的だけを忠実にこなし続ける機械人形。美しく冷たい身体と空白のココロの…
『馬鹿げてる、俺は怪しいポエマーか』 ふ わ り … …驚いた。 降ってきた奴の身体は想像していたよりもずっと軽くて、想像以上にずっと柔らかくて、そして、想像できない程に暖かかったから。 「…レオリオ」 抑揚の無い声に我に返ってぎょっとした。俺の腕は奴の身体をしっかりと捕らえたままだったのだ。見ると、向こうの方で何を誤解したのか船員が2、3人こちらを見て、にやにやしている。 …笑って、いた。 口の端がとか、頬が引きつってるとか、そんな顕著なもんじゃない。目の本当に本当に奥のほうで、でも確かに笑っていた。先刻の遠くを見つめる瞳を見ていなければきっと気が付かなかったであろう小さな、小さな、「感情」。 「何が可笑しいんだよ」 今度は後方から飛んできた船員の冷やかし声に振り向いて怒鳴る。 そうさ誰があんな可愛くない奴を好きになるか!もしそんな奴がいたらお目にかかりたいもんだぜ!!っつーか思いっきり同情してやるね!!! 全く、誰があんな「人間」を…
…まさか数日後、鏡を見て同情する羽目になるになろうとは思ってもみなかった訳で。 fin |
…いかがだったでしょうか。(ビクビク)本当に何年かぶりの小説でこれだけのものなのにかなり戸惑ってしまいました。想像以上に情景描写・状況説明能力が劣化していました。ひとつひとつの表現を考えつくのにかなりの時間かかりましたし…。当初、5話連続の話を考えていたのですが。よかった、いきなりそっちを書かないで…。とりあえず少しずつ読める文章にしていこうと思います。
今回の話は試験会場に向かう船中での話です。なのであんまりいちゃいちゃもせず、ピカもそっけないことこの上なしです。それでも一応当初目指した「明るい話」にはなったかな、と思ってますがいかがでしょうか。
平成12年12月26日up