小田原早川港出船のスルメイカ

 

                         本誌レポーター(東京)西原憲二

 

 これまでエサ釣り一本の自分だが、今年はルアータチウオなど新しい釣法も試みている。今回、本誌でたびたび取り上げられている直結仕掛けのスルメイカ釣りに初挑戦してみる。

 まずは本誌を参照しつつ仕掛け作りから。ブランコ仕掛けの場合、枝1本の付け方が悪くても全体には影響しないが、直結の場合、幹糸だけなので1箇所でも不十分だとそこから下の仕掛けすべてを失うことになる。プラヅノの本数は初心者なので6本程度に抑えようかとも考えたが、直結の特長を生かすべく最初からあえて10本とする。

 机上シミュレーションでは直結仕掛けの取り扱いがどうも実感できない。想像としては16メートルもの長さをうまく扱えるか、また巻き上げ中の糸のゆるみによるバラシを懸念する。

 さて当日。小田原早川港の富三丸を訪ねる。スルメイカは終盤ということもあり客は4人と少ない。自分は左ミヨシに入る。ミヨシといっても左舷の前半分を一人なので長い仕掛けの練習にはもってこいの状況だ。快晴微風の中、杉山勝昭船長の操船で定刻7時に出港する。本日のポイントは真鶴沖、140メートルダチで開始となる。

 ツノ10本用の投入器が船に備え付けられているためこれを利用したので投入は問題なし。ただし当然ながら、投入器にセットするときのツノの向きはブランコ仕掛けとは逆になるので要注意。潮はいっていないようでリールのカウンターもほぼ140メートルを指す。船長の指示どおり底からしゃくる。2しゃくり目にズドンと重みが加わりいきなりの乗り。竿を手持ちにし電動中速で巻き上げ開始。グイグイと力強いスルメイカの引きを楽しみながら巻く。問題の取り込み。無意識のうちに、まず道糸をキーパーに止め、ツノはとにかくドンドンとたぐって船中に取り込んだ。胴長35センチ堂々のスルメイカ1パイ。なんとかバラさなかった。

 第1投からうまくいった。と、自分では思った。ところがところが、船長から指導が入る。道糸を止めようとすると糸がゆるむから、中オモリを船中にぶら下げるだけでよい。仕掛けのたぐり方が小さくてちょこちょこしているので、大きく腕を振り上げてたぐる。

 真鶴沖の水深140180メートルを流す。糸が斜めに入るがすぐに手元に戻ってくるので、上潮は速いものの底潮は流れていないようだ。また、タナが底近くてほとんどが1パイづつなので数は伸びない。1日を通してぽつりぽつりのアタリ。天気がよいのでスルメイカを開いて沖干しを作りロープに吊していく。

 直結仕掛けを初めて使ってみての印象はブランコ仕掛けと比較して@手前マツリが少ないA取り込みでのバラシは大差ない、と感じた。

その後も杉山船長の熱心なアドバイスで仕掛けさばきがだんだんとサマになっていく。230分の沖揚がり時には、まだまだ不十分とはいえ直結仕掛けの感じがつかめてきた。

船中釣果は胴長3040センチのスルメイカが1332ハイ。自分はもちろんスソの13。釣果はスソでも新釣法の試みで楽しかった。次回は自信をもって直結仕掛けを扱えるだろう。

 

    『スルメイカ 直結仕掛けで シャクッて乗せる』

 

(当日の仕掛)

竿:シマノ・ネルビオV

リール:シマノ・電動丸3000XH、道糸PE6300m

仕掛け:中オモリ20号、プラヅノ18cm直結10

幹糸8号間1.5m、オモリ120