第30話
栄光は誰れのために
「アッハッハッハッハハハッハッハ……。そんな撃ち方で敵が倒せるんですか?」
「プフワッハッハッハッハッハッハ……。アオキです、よろしく…」
セブンでもっともよく笑う男が登場します。





STORY



作戦室、キリヤマ隊長の訓示。
「只今、参謀室から野戦訓練の計画が発表された。明朝6時を期して、星が原一帯で作戦行動に入る。目標になる戦車隊は、マグマライザーでリモートコントロールされることになっている。たとえ訓練ではあっても気持ちを引き締め、実戦のつもりで行動するように、以上」(キリヤマ) ←毎週毎週、実戦してるのにネ…。


屋外射撃場で、射撃訓練中のフルハシとアマギ。
「アッハッハッハッハハハ…」(青年)
大笑いする青年が近寄って来る。
「そんな撃ち方で、敵が倒せるんですか?」(青年)
挑戦的な物言いである。
「何ぃ…?」(フルハシ)
さらに歩み寄る青年。
「ちょっと失礼…」(青年)
ライフルを渡すアマギ。
「2発下さい」(青年)
DAHN! DAHN!
一発はクレー射的に、もう一発は上空の烏に…。
両方とも見事命中した。
顔を見合わせるフルハシとアマギ。
「プフワッハッハッハッハ……」(青年)
二人に構わずに笑い続ける。
「アオキです、よろしく…」(アオキ)
セブン史上、もっともよく笑う、キザ男の登場。


作戦室に戻るフルハシとアマギ。
「あ、君たち。紹介する者がいるんだ」(マナベ参謀)
参謀の後ろで、背を向けていた青年が反転した。 ←キザである。
「お…」(フルハシ&アマギ)
あのよく笑うキザ男ではないか。
「フホッハ…、先ほどは失礼しました」(アオキ)
また笑った。
「うん?…なんだ、もう挨拶は済んでいるのか…」(マナベ参謀)
(ええ、キツいのをね)って感じで口元を崩すアオキ。
「君たちに預けることになったアオキ君だ。明日の野戦では充分揉んでやってくれ」(マナベ参謀)
「よろしくお願いいたします」(アオキ)
笑わずに頭を下げるアオキに、思わず返礼するフルハシとアマギ…。しかし、目は怒っている。
「近い将来、ウルトラ警備隊の一員として活躍するかもしれない男だ、頼んだぞ…」(マナベ参謀)
下を向いて返事をしたくないフルハシとアマギ。
「…伊豆海岸より80キロの地点に国籍不明機が侵入してきました。直ちに調査願います」(スピーカー)
タイミングよく非常通信が入った。直ちに出動しようとする、フルハシ、アマギ、ソガ、アンヌの4隊員。
「待ってください!」(アオキ)
制止するアオキ。
「たかが一機や二機の敵機なら、私ひとりで十分です。任しといて下さい」(アオキ)
「バカいえ!ダメだ、ダメだ!」(フルハシ)
「待ってください!」(アオキ)
マナベ参謀の前に出て、
「参謀!」(アオキ)
あくまでも単独出動を望むアオキ。
「…よし、行ってこい」(マナベ参謀)
「ありがとうございます」(アオキ)
「フルハシひとりでいい…、つきあってやれ」(マナベ参謀)
(えっ、何で俺が…)という一瞬の表情…。
「…はっ」(フルハシ)
颯爽と出動するアオキ。但し、左手にはスポーツバッグをぶら下げている…。


国籍不明機は吹流しをつけていた。
これは、訓練用標的をあらわすものである。
コクピットには、キリヤマ隊長とダンがいる。
「間もなくやって来るだろう、実力もさることながら、大変な自信家だそうだ。遠慮しないで揉んでやれ」(キリヤマ)
「はぁ…」(ダン)
「おい、来たぞ…」(キリヤマ)
すれ違いざまに交差する、地球防衛軍支援戦闘機ウルトラ・ガード。
国籍不明機の吹流しを見て、事を悟ったフルハシ。
「ハハッ、そうだったのか。吹き流しをつけた敵機は初めてだな。相手はダンだ、気楽にやれ…」(フルハシ)
フルハシの何気ない一言がアオキのフライドを傷つけた。
(俺を試そうってつもりか…)(アオキ)
真剣に交戦するアオキ。
吹流しではなく、機体を狙ってミサイルを撃つ。
「貴様、気でも狂ったのか!」(フルハシ)
「フルハシさん、あれは敵機です。撃ち落としても当然ではありませんか!」(アオキ)
「何だって!貴様には、あの吹き流しが見えなかったのか」(フルハシ)
「手心を加えろっていうんですか。私たちは敵機の侵入を告げられて出てきたのですよ。そんな馴れ合いの訓練でお茶を濁して、何の役に立つんです」(アオキ)
「引き返せ!」(フルハシ)
怒る、フルハシ。


地球防衛軍支援戦闘機「ウルトラ・ガード」。
通常は、航空防衛隊に所属する主力支援戦闘機であるが、ウルトラ警備隊でも偵察・練習や大型のウルトラホーク1号の運用が困難なケースで代替として使用される。その性能は、操作性、運動性に優れ、主翼下に6筒のロケットランチャーを有する重装備戦闘機でもある。
(未明書房刊「航空防衛に殉じた名機たち」より)


参謀室。
「アオキ君、紹介しよう。キリヤマ隊長とモロボシダン隊員だ」(マナベ参謀)
握手を求めるダン、渋々応じるアオキ…。
「なかなか、やるじゃないか」(ダン)
(何を!)という感じで目をむくアオキ、
「よろしくお願いいたします」(アオキ)
「危うく殺されるところだったぞ」(キリヤマ)
ジョークで場を和ませようとするキリヤマ隊長。
「ホントは、ウルトラ警備隊の欠員が、2名できるところでした」(アオキ)
「アオキ君!」(マナベ参謀)
ちょっと目を剥くダン。
「フハッハッ…ダン、こういうハリキリ男だ…頼んだぞ…」(マナベ参謀)
困ったマナベ参謀、ダンに振る。
「はい…」(ダン)
(今に見てろ…)(アオキ)
ダンに対し、敵意マンマンのアオキ。


震度計が妙な動きを示す。
「おかしいな震源地は、南東10キロ以内の地点なんだが…」(アマギ)
「10キロ以内っていえば、第28地区じゃないか…。星が原一帯だぜ!」(ソガ)
すばやく行動に移ろうとするアオキ。
「アオキ、勝手な行動は許さないぞ!」(ダン)
独走しようとするアオキを制するダン。
「僕と一緒だ。…ちょっと調査してきます」(ダン)
フルハシに言い残し出かけるダン。
渋々付いて行く、アオキ。


星が原に着いたダンとアオキは、震源地付近の調査を開始。
「アオキ、レーダー探知機をセットしてくれ」(ダン)
地中レーダーに何かが反応した。
「こっちに向かってくるな…。ちょっと待っていてくれ」(ダン)
アオキを残し、車外に出るダン。
(今だ、ダンより早く事件をキャッチできる)(アオキ)
ダンを出し抜き、単独行動をとるアオキ。
「おい、アオキ!」(アオキ)
妙な変動をキャッチしたアオキ。
独断でミサイル攻撃を開始。
「アオキ、何をしている?」(ダン)
「あの辺が怪しいんですよ」(アオキ)
「何か見たのか!」(ダン)
「えっ…いゃ、別に…」(アオキ)
「バカ!…相手がいるともいないともわからないのに、攻撃して何になるんだ!」(ダン)
「離してください」(アオキ)
あくまでも勝手なアオキ。


作戦室。
「とにかく不穏な動きがあるのは確かなんです」(ダン)
星が原一帯の状況を説明するダン。
「参謀会議で裁断が下った。野戦計画は実行する。但し、砂山付近の調査活動も作戦行動に加え、万一の事態に備えて実戦準備もしておくことになる。ダン、砂山付近の調査は君が中心になってやってくれ」(キリヤマ)
「ダン、明日の調査、俺が付き合うよ」(ソガ)
「いや、もう一度彼を連れて行こうと思っています」(ダン)


同時刻、マグマライザー格納庫。
マグマライザーの操縦席で点検に余念のない防衛隊員。
そこにやってきたアオキ。
「調子はどうだい?」(アオキ)
「あっ、上々ですよ」(隊員)
作業の手は動かしながら答える。
「それよりアオキさん、明日は頑張ってくださいよォ」(隊員)
「殊勲賞はきっと取って見せるからな。そう思え!」(アオキ)
「なぁに、あなたたちには負けませんよ、ハッハッハ…」(隊員)
作業が終わり、操縦席を後にする隊員。
ポケットから発信機を取り出すアオキ。
(この発信装置で、敵はマグマを襲ってくるかもしれない。それを叩き潰すんだ)(アオキ)
マグマライザーの乗員は、今、冗談を言い合った隊員なのだ。
発信装置を付けることは、彼に危険を与えることとなるのだ。
その危険もかえりみず、発信機を取り付けるアオキ…。
アオキの暴走が始まった。



アオキは、何年も研鑚を積んだ参謀本部の秘蔵っ子です。一般の防衛隊員たちからも一目置かれているのは、マグマライザー内の会話からもうかがえます。そして、ひょっこり現われた風来坊なのに、いきなり正隊員になったモロボシダンに、異常なライバル心を剥き出しにしています。まぁ、無理もないですネ…。
むしろ問題は、アオキに対するダンの態度ではないでしょうか。
ダンはウルトラ警備隊の中では、最も新入りの下っ端隊員です。その証拠にコーヒーを入れたり、他の隊員を家に送ったりと、結構パシリな仕事をやらされています。一方、アオキはマナベ参謀の言葉から、見習い隊員扱いでウルトラ警備隊に参加している地球防衛軍のエリート隊員です。エリート中のエリートの彼にとって、どこの馬の骨かもわからない風来坊上がりのダンが、自分の教育係であることは噴飯ものの出来事なのでしょう。しかもダンは、こんなアオキを理解しようとはしません。むしろ頭から押さえ込もうとしています。これがアオキのさらなる反発を買ってしまうことになるのです。
最終回ではセブンの上役、人呼んでセブン上司が登場して、セブンを諭します。結局セブンは、上司の忠告を破ることになるのですが、この辺、上下の人間関係という意味から大変大人向けのドラマであるといえるでしょう。



本隊より先発して、砂山付近を調査するダンとアオキ。
しかし、発信装置で位置を知られたマグマライザーは、既に敵襲を受けていたのだった。
平原に異様な物体が立っている。
それは、固まって息絶えた防衛隊員の変わり果てた姿だった。
「あっ、あいつ…」(アオキ)
格納庫で会話したマグマライザーの乗員である。
「マグマが何者かに奪われたんだ」(ダン)
もう後戻りはできなくなったアオキ。
マグマライザーは無人戦車隊を指揮して、防衛軍を砲撃する。
実戦と化した野戦演習。
「変だな、マグマは実弾使ってくるじゃないか」(ソガ)
「非常事態が起こったんじゃないの?」(アンヌ)
本隊に合流するダンとアオキ。
「隊長、作戦計画を変更して、隊員をこのまま後退させて下さい」(ダン)
「何だって?」(キリヤマ)
「マグマの乗組員が変死しているんです」(ダン)
駆けつけたソガとアンヌ。
「隊長!戦車が実弾を使って攻撃してきます!」(ソガ)
「実弾?」(キリヤマ)
「はい、かなりの被害者が出ているようです」(アンヌ)
「マグマが何者かに奪われたんだ!」(ダン)
「実戦体制に切り替えるんだ、前線に指令を伝えろ!」(キリヤマ)
後退する防衛軍。
「隊長、マグマを奪回して高原から脱出しましょう」(ダン)
「私にやらせて下さい!侵略者を必ず倒してみせます!」(アオキ)
「キサマ、思い上がるな!」(フルハシ)
考えるキリヤマ隊長…。
「…よし、…行け…」(キリヤマ)
「はい!」(アオキ)



キリヤマ隊長は何故、アオキの申し出を受け入れたのでしょう?
キリヤマ隊長の部下操縦法のひとつとして、やりたいようにやらせてみる、というやり方があります。これが上手くいくことによって、隊員は自信を得、隊長への信頼も増すという一石二鳥の部下操縦法です。ダンはまさに、このタイプですね。もっとも隊員たちのキャラ設定上、ダン以外の隊員はあまり作戦上の提案を隊長にもちかけたりはしていませんが…。
アオキがダンと違う点は、この点です。国籍不明機スクランブルに一人で出かけようとしたり、ダンの提案した作戦に一人で参画しようとしたり、これでは単に目立ちたがり屋です。しかし、そんな彼の申し出をキリヤマ隊長は受け入れるのです。アオキのプライドを考慮したのでしょうか…、それとも、彼の優秀性に賭けてみたのでしょうか…。キリヤマ隊長もエリートです。エリートはエリートの心を知る…というところだったのでしょうか…。



ポインターでマグマライザーに接近するダンとアオキ。
「アオキ、気をつけるんだぞ…」(ダン)
「俺ひとり犠牲になったって、やっつけてやりますよ」(アオキ)
「アオキ、待て!」(ダン)
ポインターを降りる二人、そこに戦車からの至近弾が…。
DOKKAHN!
気を失うダン。
「今だ…」(アオキ)
手榴弾で戦車を破壊するアオキ。
(ダンに勝てたんだ…。栄光は俺がつかんだんだ…)(アオキ)
微笑むアオキ。
しかし、マグマライザーの反撃がアオキを襲う。
「うわぁぁぁぁぁ!」(アオキ)
至近弾で重傷を負うアオキ。
この間に意識が回復したダンは、マグマライザーに乗り込む。
「畜生…、ダンに栄光を…」(アオキ)
血を流しながら悔しがるアオキ。
マグマライザー内にはプラチク星人がいた。
セブンに変身するダン。


巨大化したセブンとプラチク星人のバトル。
いきなり勘弁ポーズを取り、許しを請うプラチク星人。
人の善いセブンは信用するが、やっぱり裏切る宇宙人…。
背中を見せたセブンにプラチク息をかける。
固まるセブン。
「あっセブン!」(アンヌ)
勝ち誇るプラチク星人。
すぐさま復活するセブン。
しかし、死闘は始まったばかりだった…。
延々と続く戦い。這いつくばりながらのバトル。
決まり手:セブンの力を振り絞ったエメリューム光線。
      プラチク星人焼死、骨になる。



プラチク星人は、ウルトラシリーズ最後の成田亨氏の手によるデザインです。成田亨氏は、デザインの主体を骨に置きました。これに応えた造形の高山良策氏も、着ぐるみの他に「骨人形」と形容した骨格モデルを制作しました。それが、骨格プラチク星人(燃焼後)です。



瀕死のアオキ。
「アオキ、しっかりしろ。マグマも奪回したし、侵略者も叩き潰したぞ」(ダン)
「私のための栄光が欲しかった。ダンさん…、私はあの時、林の中で見たんです。…ウッウ」(アオキ)
「なに!」(ダン)
「…そのことさえ…、報告しとけば…」(アオキ)
アオキはプラチク星人の宇宙船を目撃していたのだった。
「貴様…なぜそれを早く言わなかったんだ、そのために何十人という隊員が!…バカヤロー!」(ダン)
瀕死のアオキを殴るダン。
「…許して…ください…」(アオキ)
無言で、見つめあう二人。
「…だったら生きてぬいて、この償いをするんだ!」(ダン)
アオキに生き抜く指標を示すダン。
その時、骨格になったプラチク星人(燃焼後)が立ち上がった。
しかし、背中を向けているダンは気付かない。
襲いかかろうとするプラチク星人(燃焼後)。
最後の力を振り絞ってウルトラ・ガンのトリガーを引くアオキ。
見事に命中し、吹っとんだフラチク星人(燃焼後)…。
「ダンさん、これがあなたへの償いです」(アオキ)
こと切れる、アオキ。
「アオキ!アオキ!」(ダン)
死ぬまでわがままなアオキ…。
「…バカだな、貴様……」(ダン)
ダンの元に駆け寄る、フルハシとアマギ。
二人に向かって、首を横に振るダン。
(アオキ…、ウルトラ警備隊の栄光は、必ず守るぞ…)(ダン)
アオキの遺体に敬礼する、フルハシとアマギ…。
カメラ、ズームアウト…END。





ALIENS&MONSTERS



プラスチック怪人:プラチク星人
身長:2m〜40m
体重:最大1万5千t
出身:プラチク星?
武器:口から吐くプラチク息で敵を固める
特技:謝ってダマす。骨だけになっても生きている
弱点:プラスチックだけに炎に弱い





ACTOR&ACTRESS



わがまま星人:アオキ
わがまま星からやってきたアオキ隊員は、山口暁(あきら)さんが演じました。山口さんは、47年1月生まれでこの時20歳。16歳の時には「忍者部隊月光」に名月役でレギュラ−出演していました。また、この出演の後、クラタこと、南廣さんが隊長の「戦え!マイテイ・ジャック」に今井隊員役でレギュラー出演されました。
そして、芸名を豪久(たかひさ)に改名した後、73年には「仮面ライダーV3」の43話より51話までのわずか9話でしたが、「4号ライダー」として記憶に残る、ライダーマン=結城丈二を演じました。ライダーマン役を得ようとした時、山口さんはアオキ隊員ばりに「私を使ってください」とプロデューサーの自宅まで押しかけたそうです。
翌74年には「電人ザボーガー」の主人公、大門豊役をゲットし、俳優人生は順風慢帆に見えました。
しかしその後、体調を崩して俳優業の引退を余儀なくされます。引退後の山口さんは、夫人の実家の外食産業役員として書類と格闘しながら、神奈川県にある東海大相模高校の学食職員として現場にも出向き、「ライダーマンのおじさん」と生徒に慕われたそうです。
しかし、86年4月2日、突然の腹痛に見舞われて緊急入院した山口さんは、4日後の4月6日、肝臓ガンにより急逝されました。享年39歳でした。





LOCATION



館山(星が原一帯)





RATING



22.1%
不振といわれながらもこの数字!










                        





            「ウルトラセブン」ストーリー再録  第30話「栄光は誰れのために」
              06/SEP/2001 初版発行  21/JAN/2002 第二版発行
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脚本:藤川桂介  監督:鈴木俊継  特殊技術:的場 徹  制作30話