新世代のムラユ音楽
 50年のキャリアを誇るポップ・インドネシアの大御所、リント・ハラハップが自身の生まれ故郷でもあるスマトラのムラユを演奏する楽団グレネックを結成しました。友人で音楽学者のリザルディ・シアギアンとともに失われかけたムラユの伝統をロックや本格的なキューバ・ラテン風アレンジで、現代的に蘇らせた注目のアルバム「Satu」を2000年に発表しました。
 このコンサートはコンパス創刊36周年記念の一環で、毎年行っているコンパス紙選出の短編小説賞授賞式の余興として行われたそうです。グレネックが演奏したのはゲストということもあって、4曲のみ。
 1曲目はチェラチャップ(アルバム収録曲)、2曲目はリアウのダンジュンバライの伝承歌「イヨラー・モレック」(未収録)、3曲目はマレーシアでも盛んな伝統舞踊ザビンのリズムを取り入れた「ウライ・ウライ」(未収録)、4曲目はショーカリ...ア(アルバム収録曲)。
 グレネックは20人の大所帯で、リントはボーカルとアコースティック・ギター、リザルディ・シアギアンはボーカル、リュート、そしてスマトラ島東海岸に伝わるというガンブス。ムラユー・グンダン2人、ゴルダン・サンビラン(数個並んだ巨大な太鼓)3人、ギター2人、ベース、ドラム、アコーディオ
ン、ムラユ風?衣装のバックボーカルといった編成。
リザルディとリントが曲や楽器の説明を交えて演奏したにもかかわらず、お勉強会の雰囲気はなし。ただ、グループ名の説明と、インドネシアで一般にガンブスと言われているウードとの区別については、アフガニスタンからインドへのイスラムの伝播、ハイドラバードからスマトラへ移動した船乗りたちがもたらしたであろう音楽や楽器の歴史に言及していました。
 演奏はエレキ・ガンブスをメインにしたノリのよい演奏で、途中のエレキ・ギターのソロもムラユの曲調にうまく溶け込んでいたそうです。
 スジウォ・テジョもアルバムで取り上げていた4曲目のバタックの曲「Asyik sekali akh」メダンの日常的に使われる言い回しだそうです。
 リザルディは、ジャワ、バリなどインドネシアの音楽のほか、インド、キューバ、ブラジル音楽をアメリカの大学で勉強し、音楽学の修士号を持っている学者だそうです、演奏に使われているガンブスはハムザ・エル・ディーンの演奏スタイルからいろいろ学んだらしい。スマトラの民俗楽器にコードをくっつけた自家製エレキ・ガンブスだそう。北アフリカの音楽には関心を寄せているとのことです。
 マレーシアのシティ・ヌルハリザのインドネシアでの人気上昇に伴って、スマトラ・ムラユ音楽に新しい風を吹き込む注目のバンドです。
コメント作成協力&写真: Katsuhiko Haishima

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