西ジャワのスンダは独特の伝統音楽とポップスが実に多彩だ。清々しいガムラン・ドゥグンや箏と竹笛のアンサンブル、カチャピ・スリンなど日本でも人気が高まっている。伝統的なドゥグン・カウィ(歌入りのガムラン演奏)から派生したポップ・スンダ、西ジャワのガムランに強烈なクンダン(太鼓)ビートとダイナミックでセクシーな舞踊のジャイポンガン、素朴な竹の楽器を叩きながら歌われるチャルン、チレボン地方のポップス、タルリンなど芸能の宝庫である。また最近はスンダ・ガムランに西洋の楽器をミックスさせた現代的なスンダ音楽も生み出されている。

Upit Sarimanah(10LP)
ウピット・サリマナは50〜70年代にかけて、伝統的なドゥグン・カウィ、ジャイポンガンの元になったクトゥックティル、ポップ・スンダなど数多くの録音を残している偉大な歌手。バックは当時'ES LILIN"の大ヒットを放ったバンドゥンのオルケス・ナダ・カンチャナ。

Euis(10LP)
61年に録音されたポップ・スンダの10インチ・レコード。歌手はアンナ・スサンティ、アトゥン、ママーの3人の歌手。"Euis"はポップ・スンダのスタンダード・ナンバーになった曲。バックの演奏はオルケス・エディ・カラモニー、イドリス・サルディ、オルケス・ナダ・カンチャナ。

Tatty Saleh,
Euis Komariah/
Papang Gihan(LP)

ジャイポンガンのベテランの踊り手で歌手のタティ・サレと、やはりベテラン歌手のウイス・コマリアとカップリングした70年代のポップ・スンダのLPレコード。

Tatty Saleh/
Pop Sunda(LP)

タティ・サレがスンダ語でダンドゥットを歌った70年代のLPレコード。バックは当時の一流ダンドゥット・バンドO.M.プルナマだ。独特のスンダのコブシがダンドゥット・ビートに絡む不思議なミクスチャー感覚。
Nining Meida/
Bubuy Bulan
(CT)
ナノ・S作曲のカランカンというドゥグン・カウィをポップ・スンダで歌い大ヒットさせ、一躍スンダのトップ・スターに上り詰めたニニン・メイダ。これはスタンダードなノスタルジア・ヒット曲集。
Nining Meida/
Kalangkang(VCD)

これはポップ・スンダの決定版ともいえるVCD。いままで見る機会のなかったニニン・メイダの美しい映像が見れる。彼女の代表曲カランカンやポップ・スンダの名曲の数々をを可憐な歌声で聴かせてくれる。

Doel Subang/
Bulan Batu Hiu
(VCD)
ポップ・スンダの男性アーティストではトップの位置にいるドゥル・スンバン。このVCDは伝統的なスンダ音楽の要素を取り入れた意欲作。スリンの清々しい音色が印象的だ。

Detty Kurnia /
Coyorpanon(CD)
久保田麻琴がリリック・アリヴォウォと共同プロデュースした93年のデティ・クルニアの日本版CD。伝統的なドゥグン・カウィ、上記のウピット・サリマナのヒット曲、日本の子守歌などをモダンなアレンジで構成したアルバム。

東亜の音楽 (CD)
昭和16年の日本が戦争に突入したころに編集されたSPレコードの復刻CD。10曲目にトゥンバン・スンダ(カチャピ・スリン)の古典曲、Udang Mas黄金の雨)が収められている。

Upit Sarimanah/
Sliwangi
(LP)
上記のポップ・スンダでも紹介したウピット・サリマナのドゥグン・カウィ(歌入りドゥグン)のLPレコード。彼女自身がリーダーを勤めるガムラン・グループ"Siliwangi”の演奏。彼女のファルセット・ボイスがさわやかだ。

Titim Fatimah
Putjuk Tigirang (LP)
ウピット・サリマナと並んで60〜70年代に人気があった、ティティム・ファティマのドゥグン・カウイのLPレコード。この時期の彼女の録音はLPレコードで数多く残されている。
Nining Meida/
Tibelat (CD)
スンダのスリンの名手ブルハン・スカルマのグループ、カチャピアン・ノン・ブロックの演奏でニニン・メイダの過去のヒット曲などを清らかに歌う。通常のカチャピ・スリンのアンサンブルにルバーブなどを加えた演奏。

Tattty Saleh/
Tadjudin Nirwan (CT)
トゥンバン・スンダ(歌入りカチャピ・スリン)の歌手でもあり演奏家でもあるタティ・サレがカチャピアンとアンクルン(竹製の楽器)のアンサンブルで歌ったカセット。途中の竹の割れたような、不思議なリフが印象的だ。

Kacapi Suling (CD)
スンダの伝統音楽カチャピ(琴のような楽器)
とスリン(竹の笛)の国内版CD。スリン奏者エンダン・S率いるL.S.グリックの演奏だ。きらびやかなカチュピの音色と静寂なスリンのアンサンブルは日本人にもなにかなつかしい気持ちにさせてくれる響きをもっている。

Samba Sunda (CD)
ドゥグンの未来形ともいうべき新しいサウンド。ブラジルのサンバをモチーフにしながらスンダの打楽器や竹製ガムラン、バイオリンを加え、プログレッシブ・ロックを思わせるスリリングな展開に驚かされる。スンダ伝統音楽の柔軟性に感心。
Gamelan Degung (CD)
盲目のスリン奏者ウジャン・スリアナがリーダーを務めるガムラン・グループ、グントラ・パスンダンの国内盤CD。ウジャン氏のシンプルなメロディーとガムランのアンサンブルは実に深遠で清々しい。伝統ヒーリング・ミュージックのベスト・セラー・アルバム。

ジャイポンガンとは70年代に庶民の娯楽として親しまれていた伝統芸能クトゥック・ティルが元になっている。クトゥック・ティルとは“3つのクトック(コブ付の壺型ゴング”を使用した小編成のガムランによる舞踊芸能。ジャイポンガンは元々起伏のあまりないクトゥック・ティルのサウンドを強烈なクンダン(太鼓)・ビートを強調したサウンドに変化させ、プンチャ・シラット(インドネシア拳法)のシャープな動きを取り入れて現代的に発展させたもの。ジャイポンガンで特徴的なクンダンは大小の両面太鼓を組み合わせ、ピッチを変えながら抑揚の激しいビートを繰り出す。ジャイポンガンの創始者はググム・グンビーラで自ら「ジュガラ・レコード」というカセット会社を設立してジャイポンガンの普及に努め、80年代には全国規模で人気が広がった。

Upit Sarimanah /
Erang(LP)
ウピット・サリマナが歌うジャイポンガンのルーツ、クトゥック・ティルの12インチレコード。これがあのジャイポンガンのルーツ?と思わせる淡々とした演奏だ。

Euis Komariah/
Jugala Orchestra(CD)

ジャイポンガンの創始者ググム・グンビーラがリーダーを勤めるジュガラ・オーケストラ。スンダを代表する最も優れたグループでベテラン女性歌手(シンデン)のウイス・コマリアはググム・グンビーラの奥さん。ジャケットの撮影はあのサバ・ハバス・ムスタファ。

H.Idjah Hadidjaj
Serat Salira
(CD)
ググム・グンビーラが作ったレコード会社、ジュガラ・レコードの専属歌手イジャ・ハディジャ。これは日本で発売されていたCD。ジャイポンガンのCDは現地でもまだリリースされていない。

Si Heulang /
Seuri Leutik(CT)

ジャイポンガンで普段使われる伝統的な擦弦楽器ルバーブではなく、西洋楽器のバイオリン(現地ではビオラ)を使ったジャイポンガン。クンダンの名手スワンダの強烈なビートに縦横無尽にからむ狂った?ようなバイオリンの音色に頭がクラクラ。

18Dangdut Jaipong
(CT)
西ジャワのジャイポンガンの定番曲に中部ジャワのグンディン・グンディンがミックスしたチャンプルー・サリ。ルバーブとスリンの音色が新鮮。東ジャワのバニュワンギあたりにもつながるエキゾチックなサウンドだ。

Seleksi Terpopular/
Jaipongan(VCD)
ジャイポンガンのカラオケVCD。しかしジャイポンガンをカラオケで歌える人がインドネシアにいったい何人いるのだろう?女性歌手は一流を集めているし、のどかなスンダの風景と、ほんとにセクシーなスンダ美人のロンゲン(
踊り子)が悩ましい。

 
Calung Darso Putra/
Jangan Ali (CT)
スンダの竹のシロフォン、チャルンの第一人者、チャルン・ダルソ・プトラのカセット。7〜8本の竹筒を紐でつないで手で持ったバチで叩きながら歌も歌う。コロコロと響く素朴な楽器だがアンサンブルで演奏されるとかなり迫力がある。コーラスの女の子の声も可愛い。
Itye Trisnawati /
Heulang Ruyuk (CT)

ダンドゥットのベテラン姉さん、イチュ・トリスナワティのチャルン・ダンドゥットのスペシャル・カセット。さすがスンダのタシクマラヤ出身だけあって、チャルンの音色がイチェの濃厚な声にピッタリ・フィット。グンダンとチャルンの絡みが強烈だ。
 
Tetalu Pelog (CT)
ギターのリフとリコーダーの縦横無人なフレーズをじっくり聞いているとトランスにも似た目まいが。タルリン・クラシックを現代化した内容だが、ドロドロ・ベッタリのタルリン・ダンドゥットとの差がスゴイ。清々しいリコーダーの音色でヒーリング効果満点。
Itih. S /
Tek Tunggu Tunggu (CT)

タルリン・クラシックと呼ばれる伝統的な歌謡。タルリン・ダンドゥットの原形である。ディアン・レコードはタルリンにダンドゥットやジャイポンガンなどをミックスさせて数多くのカセットをリリースしている会社だ。
Yoyo. S & Rini Asmara/
Belajar Medit(CT)
男性タルリン・ダンドゥットの代表的な歌手ヨヨ・Sとリニ・アスマラのデゥエット。タルリンのデュエットは独特の味わいがあり胸キュンの歌声がたまらない。

Itih. S / Setetes Bun
(CT)
セクシーでハスキーな声が魅力的なイティ・Sのガムラン入りタルリン。タルリン・ダンドゥットの楽器編成に伝統色を持ちんだ中部
ジャワのチャンプル・サリを感じさせる作り。タルリンの新しい方向性に今後も期待。

Dariyah /Warilais (CT)
シントレンはジャワ色の強い路上で行われる大衆演劇。そのシントレンにジャイポンガンの要素をミックスさせたのがスーパー・シントレンだ。当時の燃え上がりつつあった地方ポップスの勢いがある。

Kamajaya Group /
Sintren Dangdut(CT)
シントレンをダンドゥットで味付けした
シントレン・ダンドゥットで有名なのが、このカマジャヤ・グループ。ギター、クンダン、スリンに特徴的なバイオリンのリフが独特の味を出している。

Koleksi Pop Modern(CD)
オルター・ポップの西ジャワ・ポップスのコンピレーション盤。マニア心をくすぐる内容が当時話題になったが、現地でもこういうコンピレーションは皆無。タルリン、シントレン、ガンバン・クロモンなど地方ポップス入門編としても最適だった。
Aneka Karaoke Tarling
(VCD)
なかなか見る機会の少ないタルリン・ダンドゥットのアーティスト、ヨヨ・Sやイティ・Sなどそうそうたるメンバーのお姿が拝見できる。ローカルなダサーイ、バックのダンサーなどタルリン・ダンドゥット・マニア必見の内容。