QETC1へのReturn
Return No.1;
以前の病院でMRを担当してましたので,非力ではありますが,私の意見を述べます。
> 急性期の脳梗塞画像診断は、CTとMRI?
実は、私もその先生と同じ意見です。6時間後でしたら、CTでは(特殊な場合を除いて)画像上変化がみられないと思います。MRIであれば6時間後に変化が画像上あらわれることが多いと思います。これは、多数文献発表があります。しかし、CTでも24時間後には変化がでてきても、いいと思いますが...読影をきっちりすれば..。しかし、私の経験上、ある患者さんで、CTを症状がでてから撮影(朝,夕)し、3日後にようやく画像に現われたという経験があります。
(この、意見に対してのReturn)
> また、急性期の脳梗塞画像診断は、CTとMRIのどちらが有用か?
私は,出血であれば、CT。梗塞であれば、MRIだと思います。



Return No.2;
> 急性期の脳梗塞画像診断は、CTとMRI?
脳梗塞の単純CTは梗塞の発生時期により当然異なります。大部分の脳梗塞では発症3-6時間後より軽度低吸収を示すようになり、12時間以上たつと低吸収域となり、3日目になるとハッキリとした低吸収域となります。 #装置の性能にもよりますが。
しかし、CTで低吸収域となるのは脳血流が正常の約5分の1以下になり不可逆性の組織変化を起こしたとき(器質的障害)のみであり、脳の虚血が起こりうる正常の約5分の2-5分の1の脳血流低下領域(機能的障害領域)ではCT上は変化を示しません。また、MRIではedema(細胞障害性・血管性)により組織の水分含有量が増加する(6時間以内で2-3%)ことにより梗塞が描出され時間にすると6時間以内に描出が可能となります。最近では、EPIを用いた高速撮影による拡散強調画像により3時間以内でも画像化することが可能となってきています。 #当院のMRI担当者の話によると、発症2時間の症例の描出が出来たと言っていました。
(Return No.1に対して)
>しかし,私の経験上,ある患者さんで,CTを症状がでてから撮影(朝,夕)し,3日後にようやく画像に現われたという経験があります。
詳しい症状・所見が分からないので何とも言えないんですが、このような症例では、主幹動脈などに閉塞が起こっても側副血行が良かったり、循環予備能や代謝予備能が徐々に低下していったと考えるのが妥当だと思います。脳梗塞はその病態が血栓性による物なのか、塞栓性なのか、血行力学性よる物なのかによって画像所見が変わってくるため、その発症機序を把握しておくことが重要だと思います。
> 急性期の脳梗塞画像診断は、CTとMRI?
当院は専門病院であるため救急患者に関しては、ファーストチョイスはCTであり、出血・梗塞の鑑別だけならばCTで充分であり、その後にどの様な検査・治療を行うのかと言う方が重要だと考えます。


−参考−
(日本医師会雑誌 vol.117 No13 1997.6.20発行)

脳梗塞 診断上のポイント
・脳卒中発作の直後にはCT所見はない。
・脳動脈支配領域に一致した低吸収域を認める
・発症6時間から脳浮腫が出現しはじめ、数日後に極期となり、2〜3週間で消退する。
・陳旧性梗塞巣では萎縮を伴う。
・発症3日後より3ヵ月ぐらいに増強効果を示しうる。増強効果は、2〜4週に最も著明となる。

(内科臨床とMRI 1994 vol.82 1994.6.20発行)
脳梗塞 急性期
この時期にMRIを撮像できることはあまりないが、組織内の水分量増加という病態はMRIが有効なはずである。動物モデルでは2〜4時間程からT2強調画像にて高信号を呈するとされ、臨床例でも2時間後には検出できる場合がある。
さらに虚血後6時間程で血液脳関門の破壊が起きると血管内から細胞外腔に水分や蛋白が漏出し、白質の細胞性浮腫に比べると非常に強い浮腫となり、数日から1週間後にかけて増強する。この時期までを通常急性期といい、その後の亜急性期になると少しずつ浮腫が減少してくる。


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