QTE18へのReturn1 2002.6.20 0:20

Rockwood
これは、肩鎖関節の損傷に対してその程度を表す分類法の一つです。

(資料より)
肩関節脱臼
疾患の概要と診断
肩鎖関節は、鎖骨外側端と肩峰前内側端で平面関節をつくり、鎖骨の動きを肩甲骨に伝える関節である。
この関節は、滑膜関節であるため回旋運動はできず、その大部分は滑動運動を主とした関節である。
鎖骨が上方へ、肩峰が下方へ転位する脱臼になる。
肩鎖関節の関節面は線維軟骨で覆われ、関節腔には衝撃を吸収する楔状の関節円板がある。
肩鎖関節の強度は、関節包とそれを補強する肩鎖靱帯だけでは弱く、鎖骨と肩峰を実質的に支持しているのは烏口鎖骨靱帯である。
烏口鎖骨靱帯は、菱形靱帯と円錐靱帯の2つがあり、前者は四角で平坦な烏口突起から上外前方へ向かって鎖骨に付着する。後者は三角形で鎖骨から下内後方へ向かって烏口突起に付着する。したがって、円錐靱帯は肩甲骨の後方への動きを抑制し、菱形靱帯は前方への動きを抑制して肩鎖関節の強度を保っている。
肩鎖関節の損傷は、この部分に知覚神経が豊富なために疼痛を強く感じる。
損傷の機会はそれほど希ではなく、肩の先端部への直達打撃や伸ばした手をついて倒れた場合に起きることが多い。
実際には、柔道やラグビーなどで肩を下にして転倒し、肩の外側に直達打撃を受けて肩峰が下方へ押し下げられる場合に頻発する。
また手を鎖骨から離れ後方へ押される。
このようにして起きた損傷に対してその程度を表すのに、Rockwoodの分類が用いられる。
この分類は、肩鎖関節撮影と立位正面荷重撮影を行い比較することでより明確になり、X線所見と外傷歴から診断する。


*資料は、医療法人同心会 古賀総合病院の診療放射線技師さんよりご提供頂きました。
お世話になりありがとうございました。今後とも宜しくお願い致します。
健寿会 黒木病院放射線科 診療放射線技師 巨勢秋男

Fig-Rockwood分類

typeT 肩鎖・烏口鎖骨両靱帯の損傷なし
単なる捻挫
typeU 肩鎖靱帯断裂あり、鎖骨の軽度の上方転位
烏口鎖骨靱帯の部分断裂
typeV 肩鎖・烏口鎖骨両靱帯断裂、鎖骨の中程度の上位転位
烏口・鎖骨間隙が正常の25〜100%に拡大
三角筋、僧帽筋鎖骨付着部断裂
typeW 肩鎖・烏口鎖骨両靱帯断裂、鎖骨の後方転位
烏口・鎖骨間隙が正常の25〜100%に拡大
typeX typeVの重症型
烏口・鎖骨間隙が正常の100〜300%に拡大
typeY 肩鎖・烏口鎖骨両靱帯断裂
鎖骨の肩峰の下または烏口突起の下に転位

Table-Rockwood分類
肩鎖関節正面撮影

体位
・自然立位で前後方向撮影にする。
・上体の前額面をカセッテに対して上腕を自然下垂にする。

中心線入射
・肩鎖関節はカセッテに対して垂直に入射する。

X線写真の必要条件
・関節間隙は鎖骨の肩峰端関節面が直線状に描出され、肩峰下面と鎖骨が一直線に描出する。

撮影上の注意
・肩鎖関節と烏口突起がよく描出するような適正濃度がよい。

Fig-肩鎖関節前後方向撮影
肩鎖関節立位正面荷重撮影

体位
・自然立位で前後方向撮影にする。
・上体の前額面をカセッテに対して上腕を自然下垂にする。
・重りは手首(前腕部)に固定する。

中心線入射
・肩鎖関節へカセッテに対して垂直に入射し両側同時撮影する。

X線写真の必要条件
・肩鎖関節と烏口突起がよく描出する。

撮影上の注意
・肩関節と烏口突起がよく描出するような適正濃度がよい。

Fig-肩鎖関節立位正面荷重撮影
その他、
Allmannは肩鎖関節損傷をGradeT〜Vに分類している。

正常
GradeT(軽度の圧痛と腫脹)
GradeU(亜脱臼)肩鎖靱帯と関節包が断裂する。
GradeV(脱臼)肩鎖靱帯と烏口鎖骨靱帯の両方が断裂する。

Fig-肩鎖関節損傷の分類(Allmann)


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