QRA3へのReturn (国立療養所南福岡病院 熊谷 孝三氏よりの情報です)
1.モニター線量計の精度が2%である理由
ICRU24によれば、原発病巣を根治しようとすれば、体内線量として照射する線量は5%の精度は必要であります。これを維持しないと再発や正常組織の後障害がでてきます。
この5%を維持するためには、(1)組織−ファントームに照射する線量の精度を2.5%して(2)治療計画による線量計算精度を4.2%に抑えなければなりません。
また、(1)の全累積不確定度2.5%は最適モデルにおいて、物理定数の精度1.1%、一次標準線量計の精度0.5%、二次標準線量計の校正精度0.4%、フィールド線量計の校正精度1.0%、モニター線量計の校正精度0.7%、投与線量の精度0.7%を維持しなければなりません。
したがって、病巣を再発もなく後障害もなく、患者への投与線量の精度は全不確定度で5%であり、その5%を維持するためには最適モデルで約2%のモニター線量計の精度が必要になります。
累積不確定度の求め方は個々のランダム不確定度と系統不確定度をそれぞれ二乗して加算し、平方根で求めることができます。
この2%を毎日の照射で維持していくためには、線量測定法の熟知を装置の品質保証が大事です。
2.校正の相対誤差が+0.65%である意味
通常は患者計画標的容積には、肺癌で考えれば1回200cGy、総線量で60Gy照射します。この+0.65%の精度は1回204.3cGy、総線量60.39Gy照射したことになります。
また、不確定度であらわしますと上記(1)の組織−ファントームに照射する線量の精度2.5%が2.94%になります。
(1.1^2+0.5^2+0.4^2+1.0^2+(1.7+0.65)^2+0.7^2)^1/2=2.94%
また、全不確定度で表せば5%が5.13%になります。
(2.94^2+4.2^2)^1/2=5.13%