上腕骨小頭−橈骨頭ビュの有用性について 1994.4.20 真野 T. 肘関節側面像の問題点 1.橈骨頭後半分が尺骨の鈎状突起と重なって判読が困難である。 橈骨頭や鈎状突起は骨折の好発部位である。 2.上腕骨小頭が滑車と重なって判読が困難である。 U.上腕骨小頭−橈骨頭ビュ( ADAM GREENSPAN 法)とは? 1.橈骨頭後半部分と尺骨鈎状突起との重なりをなくし、上腕骨小頭と滑車との重な りをなくして投影する方法で、1982年、ADAM GREENSPANにより提唱された。 2.通常の肘側面撮影を基準として、上腕骨の延長線方向から45°の角度で斜入する。 V.上腕骨小頭−橈骨頭ビュ( ADAM GREENSPAN 法)の有用性 1.撮影法が簡単である。 2.骨折の好発部位である橈骨頭と尺骨鈎状突起が分離されて投影される。 3.離断性骨軟骨炎の好発部位である上腕骨小頭が滑車と分離して投影される。 4.外傷があり、圧痛があり、腫張のあるケ−スでは決定的な所見が描出される可能 性がある。 W.代表的な損傷 1.離断性骨軟骨炎 1) 病態 : なんらかの原因により、軟骨下骨組織の一部がそれを覆う関節 軟骨とともに変性し、経過がたつうちに周囲から分離、関節内に 遊離体となって脱落する疾患である。 2) 発生機序(推定) 外傷(直接または間接) ↓←・・・遺伝的体質因子 軟骨または軟骨下骨組織に及ぶ亀裂 ↓ 軟骨下骨組織の血行障害 ↓ 亀裂部への軟骨組織形成 ↓ 遊離体形成 3) 離断性骨軟骨炎の初期〜中期X線像 (1) 上腕骨小頭のわずかな平坦化 (2) 限局性の透亮像 (3) 透亮像の中に石灰化 2.橈骨頭の骨折 橈骨頭の骨折は頻度の高い骨折であり、転位のないものは前後,側面の2方向 では検出できない。骨折線の正確な広がり(関節内か関節外か)と転位の程度を 知ることは治療方針を決める上で決定的な役割を果たす。転位がないか又はわず かな転位骨折の場合はギブス包帯を用いて肘の動的な動きが可能になるまで保存 的に治療される。一方、 3〜4 mm以上の転位を伴った橈骨頭の亀裂骨折は通常、 観血的整復と内部固定の必要性を示唆する。 3.鈎状突起の骨折 鈎状突起の骨折は最もしばしば肘関節の後方脱臼に伴って生じる。 従って、肘損傷に於いて鈎状突起の骨折の可能性を除外することは重要である。 なぜなら、もし骨折が診断されないならば、癒合はうまくいかず、不安定性と関 節内で繰り返す亜脱臼に至るからである。 以上 撮影に関するQ&Aに戻る