心臓カテーテル室の散乱線量測定
Scatterd X-ray Of Angiocardiogramroom

報告者 放射線科 桑原
共同実験者 放射線科 巨勢 秋男
【目的】
心臓カテーテル室の散乱線量及び線量分布を求めることにより、検査スタッフの 被爆線量を減少させる。
【方法】
@心臓カテーテル室のベッドの高さを検査通り88cmとし、その上に厚さ1cmのアクリル板を10枚重ねた。
Aアクリル板の中心から測定可能な6方向を選択し、各方向ベッドより50cm間隔を測定点(AAF)とした。この測定点の平面図をFig1とする。
Bアクリル板とI.Iとを密着させ、管球はAPの状態とし、各測定点で高さを50100150cmと変化させて、65kV320mA3secの条件で測定した。この結果をTable.1とする。測定は3回行い平均値を測定値とした。
C管球をRAO30LAO40の状態でEY(Z)点で測定した。この結果をTable.2とする。
※条件は 65kV320mA3sec3回測定し平均値を測定値とした。
D管球をアクリル板より510cmあけて測定した。この結果をTable.3とする。
※条件は 65kV320mA3sec3回測定し平均値を測定値とした。
【使用機器】
電離箱式サーベイメーター、アクリル板(厚さ10cm)
Cアーム 発生器:D150GH-11 HIGH VOLTAGE GENERA
管球:G-1582-B1 SERIES 1500K
Foucus0.6/1.2
制御卓:HD150G-60 CONTROL
制御キャビネット:HD150G-60 CONTROL CABINET
天井走行器:CH-50
IIA-9VM
コリメーター:F-20
スタータ:SA-50
検診台:KS-50
【結果】
別紙に示す。
【検討】
結果に示す通り手台設置の為プロテクターを外している領域に関しては、他の領域に比べて10倍近くの散乱線が放出されている。
水晶体及び皮膚の組織線量当量(水晶体:150mSV/1year 皮膚:500mSV/1year)を超えない為にも水晶体、皮膚用の個人モニタで組織線量当量を測定する必要がある。
被検者とI.Iとの間隔における散乱線量の増加・Cアームの角度変化による線量変化・線量分布におけるセーフティゾーンの設置等スタッフの被爆軽減の要点が今回の実験によって見出された。
<結果>
Table.1 AP-50cmにおける散乱線量
  測定値
μSV
1回照射時(10sec)
μSV
1回照射時の線量で膀胱癌になる確率(%)1回照射時の線量で遺伝的影響の発生確率(%)
B0.050.174.08E-101.02E-10
C0000
D0000
E0.190.631.51E-103.8E-10
F0.070.235.52E-101.4E-10
G0.010.030.72E-102E-10
H0000
L0000
M0.050.174.08E-101.02E-10
N0.080.276.48E-101.62E-10
O0.030.12.4E-106E-10
P0000
T0000
V0.190.6315.1E-1037.8E-10
W0.10.337.92E-1019.8E-10
X0000
Y OVEROVEROVEROVER
Z2.578.57206E-10514E-10
AA0.571.945.6E-10114E-10
AB0.20.49.6E-1024.0E-10
ACOVEROVEROVEROVER
AD2.277.57181E-10454E-10
AE0.692.355.2E-10138E-10
AF0.210.716.8E-1042E-10

E:×10^
※膀胱癌になる発生確率はICRP Publ.600.24×10^-2SV^-1を係数とした。
※遺伝的影響の発生確率はICRP Publ.600.6×10^-2SV^-1を係数とした。
Table.2 AP-100cmにおける散乱線量
  測定値
μSV
1回照射時(10sec)
μSV
1回照射時の線量で肺癌になる確率(%)
0.651.38.84E-10
C0.350.747.6E-10
D0.220.4429.9E-10
E1.22.4163E-10
F0.480.9665.3E-10
G0.210.4228.6E-10
H0.120.2416.3E-10
L000
M1.22.4163E-10
N0.5168E-10
O0.260.5235.4E-10
P0.160.3221.8E-10
T000
V0.420.8457.1E-10
W0.20.427.2E-10
X0.140.2819E-10
Y 7.0714.14962E-10
Z2.34.6313E-10
AA1.182.36161E-10
AB0.61.281.6E-10
AC2.635.26358E-10
AD1.22.4163E-10
AE0.681.3692.5E-10
AF0.410.8255.8E-10

E:×10^
※肺癌の発生確率はICRP Publ.600.85×10^-2SV^-1を係数とした。
Table.3 AP-150cmにおける散乱線量
  測定値
μSV
1回照射時(10sec)
μSV
1回照射時の線量で甲状腺癌になる確率 (%)
0.411.3711E-10
C0.120.43.2E-10
D0.050.171.36E-10
E0.551.8314.6E-10
F0.230.776.16E-10
G0.10.332.64E-10
H0.050.171.36E-10
L00 0
M0.511.713.6E-10
N0.180.64.8E-10
O0.090.32.4E-10
P0.060.21.6E-10
T000
V0.190.635.04E-10
W0.070.231.84E-10
X0.050.171.36E-10
Y 0.511.713.6E-10
Z0.6216E-10
AA0.381.2710.2E-10
AB0.220.735.84E-10
AC0.672.2317.8E-10
AD0.321.078.56E-10
AE0.210.75.6E-10
AF0.150.54E-10

E:×10^
※甲状腺癌の発生確率はICRP Publ.600.08×10^-2SV^-1を係数とした。
Table.4 APLAOにおける線量変化
 AP(μSVLAO(μSVLAO/AP (倍)
E1.26.05
Z 2.36.42.78

Table.5 APRAOにおける線量変化
 APμSVRAOμSVRAO/AP (倍)
E1.22.271.89
Y7.077.270.97

Table.6 I.IUPした時の線量変化
010UPμSV15UPμSV
0.511.611.21
0cmとの差3.152.37


Fig.1 各測定点の平面図
 

Fig.2 AP 50cmにおける線量分布(平面図) 1μSV
 

Fig.3 AP 100cmにおける線量分布(平面図)
 

Fig.4 150cmにおける線量分布(平面図)
−参考文献−
医療のための放射線防護 真興交易医書出版部
医用放射線技術実験 -基礎編- 共立出版
1997年11月8日



診療放射線技師の為のリターンネットのHOMEに戻る
このサイトへのご意見、ご質問は、メール下さいませメールにて。
All Rights Reserved Copyright Akio Kose 1997.5.5〜