― 森と動物と人が共に生きるために ―
日 時 平成11年10月13日(水) 13:30〜16:40
(受付は13:00から行います)
場 所 三会堂ビル 9F 「石垣記念ホール」 東京都港区赤坂1-9-13
Tel. 03-3582-7451
交 通 地下鉄 銀座線 虎ノ門駅下車徒歩5分
千代田線・丸の内線国会議事堂前駅下車徒歩7分
J R 新橋駅下車 タクシー7分
参加費 無 料 (申込は不要です) 受付時に講演要旨集・研究成果選集をお渡しします。
プログラム
司 会 企画調整部長
13:30 開会の挨拶 所 長
13:50 森林がささえる生き物の多様性
森林環境部 群落生態研究室長 新山 馨
14:20 ニホンジカの群れを管理するには
森林生物部 鳥獣管理研究室主任研究官 堀野 眞一
14:50 ― 休 憩 ―
15:00 絶滅の危機に瀕する稀少樹種
生物機能開発部 生態遺伝研究室長 金指あや子
15:30 救えるか? 小笠原の動物たち
森林生物部 昆虫管理研究室長 大河内 勇
16:00 熱帯林における野生生物の多様性と保全への道
東北支所 保護部長 三浦 愼悟
16:30 閉会の挨拶 次 長
16:40 閉 会
問合先 農林水産省 林野庁 森林総合研究所
企画調整部 研究情報科 広報係
〒305-8687 茨城県稲敷郡茎崎町松の里1
Tel. 0298-73-3211(内線227),Fax.
0298-74-8507
E-mail kouho@ffpri.affrc.go.jp
発表の概要
森林がささえる生き物の多様性
森林環境部 群落生態研究室長 新山 馨
森林は生物多様性の源といえます。種多様性の高い森林が,多くの生物の生存を支えています。また森林を構成する樹木も多くの昆虫や動物から恩恵を受けています。生物多様性の階層性,植物と動物の相互関係,森林を構成する多くの樹木がなぜ共存できるのかなど,生物多様性の保全をキーワードに森と動物と人との関係を考えてみましょう。
ニホンジカの群れを管理するには
森林生物部 鳥獣管理研究室主任研究官 堀野 眞一
近年ニホンジカ個体群の増加と分布の拡大が見られ,それに伴って農林業への被害が深刻化しています。また,天然針葉樹の剥皮や高山植物の摂食など自然植生への過度の影響も見過ごせません。このような問題を解決するため,私たちは岩手県や東京大学と協力して,個体群と環境の定期的な調査及び生態学的な方法による個体群の将来予測を要とするシカ個体群管理システムのモデルケースを立ち上げました。その成果と今後の課題について報告します。
絶滅の危機に瀕する稀少樹種
生物機能開発部 生態遺伝研究室長 金指あや子
世界中で今,多くの野生生物が絶滅の危機にさらされています。日本でも,維管束植物約7000種のうち29種はすでに絶滅し,また全体の2割に達する1400余種が絶滅危惧種とされています。これらの中には,人々に様々な恩恵を与えながらも,人間活動の故に滅びようとしている日本固有の樹木も多いのです。かつて船用材等として濫伐され個体数が急減したため,日本トキと同様,次世代となる種子が生産されない状況に陥っているヤクタネゴヨウも,その一例です。このような稀少樹種の現状を紹介し,その保全について考えてみましょう。
救えるか? 小笠原の動物たち
森林生物部 昆虫管理研究室長 大河内 勇
本州の遥か南1000kmの洋上に浮かぶ小笠原諸島は,大陸と一度も地続きになったことのない海洋島であり,漂着者の子孫が進化した生物で占められ,極めて独自の生態系を発達させていました。しかし,明治以来の入植により,島の自然,特に森林は完全に破壊されて,多くの固有種が絶滅してしまいました。現在では様々な規制により森林が徐々に回復してきています。
島に行けば小鳥たちが出迎えてくれます。しかし,島の生態系は今なお危機にあり,多くの動物種が回復することなく絶滅への道を歩んでいるのです。森林が戻りつつあるのに,なぜなのでしょうか?
熱帯林における野生生物の多様性と保全への道
東北支所 保護部長 三浦 愼悟
熱帯林は地球上で最も生物多様性に富んだ地域です。と同時に,現在,その多様性が最も急速に失われている地域でもあるのです。この地域のかけがいのない自然と多様性を将来にわたって保全するためには,より多くの保護地域をつくることが必要ですが,一方では,人間による攪乱が加わった地域も含め,多様性に及ぼす影響を調査し,影響を最小限に減らす努力もまた大切なのです。私たちは,6年間にわたって,熱帯林において野生生物の多様性と,彼らの森林との結びつきを調べてきました。その驚くべき多様性の世界から,保全への道を探ってみましょう。
(各発表時間:25分,質疑応答:5分)