総合・歴史編 9.京成電鉄 行商専用車の変遷

京成電鉄 行商専用車の変遷   2013年3月29日で運用廃止になりました                   1003・1108・1211・1304

京成電鉄の行商専用車の紹介は当ホームページの鉄道写真館・大手私鉄・京成電鉄の中で紹介していますが新たに頁を設けて掲載します

 関東大震災以降 農産物の不足から千葉(印旛成田周辺)と東京を結ぶ行商が盛んになり旧国鉄成田線(上野−成田間)では専用車両の増結で対応した 戦後さらに行商人は増え昭和30年代40年代に最盛期をむかえる 京成電鉄(佐倉・成田−上野・押上間)では戦後から専用電車の運転が行われたが流通網の発達と行商人の減少にあせて専用車・専用電車は段階的に縮小され国鉄は民営化前に廃止 京成電鉄は1982年(昭和57年)3月12用電車による運行を廃止した

                   京成電鉄での正式な名称:嵩高行商電車(専用車)

 京成電鉄では嵩高行商電車(専用車)と呼び最盛期には朝上りに成田−上野・押上間に3本運転された 3両編成で上野方2両が上野行で後ろ1両が押上行となり高砂で分割された 下りにも設定されたようだが利用者が少ないため下りは回送運転された また 年末には午後からの設定も不定期であった  2002年10月現在 平日朝1本各駅停車で芝山千代田→上野間で定期列車最後尾1両を専用車両に指定し運転している この車両には両側面窓内側から専用車両の表示と貫通路は厚いシートで区切られ一般客は乗れない 各停車駅には行商専用車であることの表示と放送が毎日繰り返されている 正月・盆・暮れ時は不定期で運休する時があるがそのときは各駅で告知され一般客に開放される  専用車利用には京成行商組合に加入して定期手回り切符(毎月2,000円)を登録発行している 乗車券は行商人の利用区間の定期券・回数乗車券・普通乗車券を購入している

専用電車から専用車へ

         ・1948年(昭和23年) 京成沿線に二つの行商組合が発足 千葉・津田沼・船橋間の人達が多く魚・海苔を扱った千葉行商組合と

                      成田・富里・印旛村・志津・実籾間の人達で主に野菜類を扱った京成行商組合で組合員は総勢2,500名

         ・1949年(昭和24年) 嵩高行商専用車が専用電車で運転される

         ・1950年(昭和25年) 専用電車は120形124・210形210など3両編成で組成 京成佐倉始発の3両編成が3本で高砂で上野行2 両・

                      押上行1両に分割運転された

                      旧63形切妻形状の車体でモハ511+クハ507+モハ512の3連は有名

         ・1956年(昭和31年) 千葉行商組合と京成行商組合が合併し新 京成行商組合が発足 このころには始発駅が成田発に変更に

                      なり3本の運転になる

         ・1960年(昭和35年) 成田方モハ519+モハ517+クハ2007(クハ2255(s39))+モハ516といった4両編成も登場

         ・1972年昭和47年) 成田方モハ511+クハ507+モハ512が廃車

         ・1974年(昭和49年) 1600形「開運号」廃車に伴い700形と組んで運用されていたアルミ中間車2両クハ1601+モハ1602のモハ

   1602を使用して成田方クハ2203+モハ1602+モハ704が専用電車として運転を開始する   モハ1602+

   モハ704の貫通路幅の違い(700mm-1100mm)があったため この間はテーパー幌を使用するとともに

   モハ1602の貫通路に改造を行なって使用した また 700形704はカルダン駆動で1600形1602は吊り掛

   け駆動方式の違いがあった  

ダイヤ:平日8S1出庫宗吾参道8:02-8:07成田8S0 8:12-8:24佐倉8:26-8:43八千代台8:47-8:56津田沼8:57-9:20市川真間9:35-高砂9:44-青砥9:46-千住大橋9:54-日暮里10:01-10:05 C上野10S1 10:09-青砥10:29-高砂10:31入庫 13S0出庫高砂13:17-青砥13:20-13:28 千住大橋13:36-日暮里13:42-13:46 A上野13 S1 13:50-青砥14:10-14:13高砂14:15-津田沼14:43-八千代台14:52-佐倉15:08-宗吾参道15:15入庫

 

         ・1979年(昭和54年)〜1980年(昭和55年) 京成電鉄より京成行商組合に専用電車の廃止通知 この時期すでに1日1往復になる

         ・1981年(昭和56年) 成田方クハ2203+モハ1602+モハ704編成のモハ1602が廃車 2両編成での運転になる

                                

         ・1982年(昭和57年) 2月17日午後 行商組合員120名により国会陳情を行う

                      成田方クハ2203+モハ704 2両編成の専用電車が3月12日で廃止

                      定期列車の806急行 成田発8:32上野行と872K急行 成田発8:22西馬込行の6両編成の最後尾が専用指定

                      車両になる また成田発4:32と佐倉発の早朝電車は一般客との同乗ができることになった

                      111日ダイヤ改正140

         ・1983年(昭和58年)101日ダイヤ改正141

         ・1985年(昭和60年)1019日ダイヤ改正142

                      840急行 成田発8:14 上野行と820T急行成田発8:30西馬込行

         ・1991年(平成3年)319日ダイヤ改正143

                      8A28急行 成田発8:07 上野行と820T急行成田発8:30西馬込行

         ・1992年(平成4年)41日ダイヤ改正144

         ・1994年(平成6年)41日ダイヤ改正145

         ・1995年(平成7年)41日ダイヤ改正146

         ・1996年(平成8年)720日ダイヤ改正147

                      8A18急行 成田発812 上野行と820T急行成田発829西馬込行

         1998年(平成10年)101 押上方面  820T急行成田発829西馬込行の行商専用車設定が廃止になる

         ・1998年(平成10年)1118日ダイヤ改正148

                      8A18急行 成田発812 上野行  上野着9:41

         ・2000年(平成12年)722日ダイヤ改正149

                      8A18急行 成田発816 上野行 上野着9:41

         ・2001年(平成13年)915日ダイヤ改正150

                      8A26急行 成田発815 上野行  上野着9:41

         ・2002年(平成14年)1012日ダイヤ改正151

                      706普通芝山千代田発746 上野行940

         ・2004年(平成16年)1030日ダイヤ改正152

                      738普通芝山千代田発746 上野行944

         ・2006年(平成18年)1210日ダイヤ改正153

                      736普通芝山千代田発746 上野行945

         ・2010年(平成22年) 7月17日ダイヤ改正155   スカイアクセス線開業

                      732普通芝山千代田発746 上野行946 新3000形6連成田方1両

         ・2012年(平成24年)10月21日ダイヤ改正156

                      732普通芝山千代田発746 上野行952 新3000形6連成田方1両

         ・2013年(平成25年)3月29日 利用者減少のため廃止

行商専用車の案内および設備

大佐倉駅上りホーム     京成成田駅東成田寄りホームの荷物置場

※事実関係表記については実際に調査・聞き取り等を実施して掲載しておりますが間違え・改善等ありましたらご指摘・ご助言いただければ幸いです

※参考文献 京成電車VOL1観察記録(行商電車編・長尾久幸氏著)・京成行商組合と私の思い出(山崎ケサ氏著):千葉県立図書館蔵書 成田市史(郷土3):成田市図書館蔵書・京成電鉄時刻表1−26・鉄道ピクトリアル・鉄道ファン・インタネット検索「行商」・「京成行商組合」・「行商電車」を参考にしました

※ダイヤ改正140〜154の数字は京成電鉄運行図表b表す

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