信号編 7.非常通報 1212 1307
最近 駅ホーム上や車内に非常通報ボタンの設置が多くなっていますが このボタンを押したらどうなるの?
ここでは駅ホーム上「非常通報ボタン」と車両内「車内非常通報装置」にわけています
・駅ホーム上の「非常通報ボタン」
このボタンを押すとブザーが大きく鳴動し駅構内の駅進入側・構内・出発側などに設置されたすべての
非常報知灯・ 特殊信号発光機および装置に付属する作動ランプがそれぞれ点滅しすべての列車は
停止します 大きな駅ではすべての列車が停止するため関係のない線区まで影響が及ぶことがあります
2001年 発生した山手線新大久保駅ホームでの乗客転落事故以降 国土交通省鉄道局通達で「プラット
ホームからの転落事故に対する安全対策」を通達した 鉄道各社では安全対策の整備計画等に基づき
設置・増設・改良に努めています
最近鉄道会社側では異常・非常事態にはボタンを押すよう推奨していますが安易に使用するのは止め
使用した場合は必ず駅員に申し出でましょう いたずらで押した場合は刑法で罰せられます
復旧までの問題点も多く一度止めると復旧までの手順が複雑で時間がかかり影響が大きくなります
駅務員・運転指令・運転士・車掌の連携を密にして早急に復旧してもらいたいものです
・車両内の「車内非常通報装置」
通話機能対応タイプ:列車内で非常事態が発生したことを乗務員に知らせる装置
列車内で非常事態が発生したら通報ボタンを押すと乗務員と通話ができる
鉄道会社により対応が違うが該当車両の車外車側表示灯(非常)が点灯し
たり運転台のブザーが鳴動する 編成中何号車で発生したかモニタできる
車両もある 写真は京成電鉄3000形先頭車の非常通報装置
警報式:警報式車両でボタンが押された場合 運転士は次の停車駅に入線
する際に短点連打の 警笛を鳴らし 駅員に知らせ対応する方法もあります
その他
・JR「列車防護無線装置」
1962年5月3日常磐線三河島駅で発生した多重衝突事故を教訓に自動列車停止装置と平行して列車防護無線装置の開発が
進められた
列車運転士が線路上の異常や周辺を走行する列車に緊急を知らせて停止させたい時に使用する
@列車防護無線装置のボタンを押すと非常信号を乗せた電波が発信され 近隣で電波を受信した他の列車の列車防護無
線装置の警報が鳴動する
A受信した列車の運転士は必ず列車を停止させる 停止させるための制動操作を行うのは運転士で自動的に列車にブレー
キはかからない(非常ブレーキで停車する必要はない)
B発報した運転士は運転指令に連絡をとり指示を受けた上で防護無線装置の発報を止める 他の列車は運転指令からの
指示を待って運転再開する
C防護無線装置固有の識別番号から車両を特定する事は可能ですが運行中のどの便がどこで発報したのかは直ちに分か
らないため運転指令の情報を得る 防護無線の電波は発報地点から半径約1 - 2km圏内で大都市路線では他路線に
影響が発生する場合もある
・緊急列車防護装置(TE装置:One Touch Emergency Device)
運転士が行う必要がある一連の列車防護操作を1つのボタンで迅速かつ自動的に行う装置
非常ブレーキ動作・パンタグラフ降下・警笛吹鳴・非常発報信号等を自動的に行う 以前は機関車にメインに装備されたが
最近では電車・気動車等にも装備される 私鉄でも装備された車両が登場している
・緊急列車停止装置(EB装置:Emergency Brake Device)
EB装置は保安装置のひとつで 走行中に運転士が運転機器の操作を60秒間行わなかった場合にブザーが鳴動し さらに5秒間
何もしなければ自動的に非常ブレーキが動作する装置 車軸の回転から車両の走行速度を判定する「速度検出器」と連動している
運転台にある速度計とは別の回路 「速度検出器」のスイッチがONになっていないと EB装置は動作しない (JR西日本資料)