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「浪人生の皆さんへ」春の章

・・・一予備校講師の激励・・・

2006年4月15日

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まえがき 

全国の浪人生の皆さん、いよいよこれから浪人生活という長い一年が始まります。

まず次のことを確認してもらいたいと思います。

これからの一年は皆さんが20代や30代になって過ごす一年とはまったく違うということです。

皆さんはまだ若い。

若さとは「精神と肉体の柔軟さ」を意味します。

今から一年がんばることによって自分の「性格的弱さ」も「人生観の甘さ」も克服することが出来ます。

それゆえ「人間として強く生きていくことができるようになるための一年」と浪人生活を定義できるとも私は考えています。

まずこれから一年の浪人生活を受験だけの視野で捉えずに

「長い人生の中での重要な一年」

と捉えることが実に大切です。次に是非

「物を学ぶことの大切さ」「物を知ることの喜び」「自分という弱い人間に打ち勝っていくことの苦しみと楽しみ」

というものを経験して欲しいと思います。

次に「大学受験」というものは現在の日本社会の中で最も民主主義的な方法でなされているというを忘れないでください。

皆さんの両親の社会的地位、資産、学歴、思想信条、前科(笑)などいっさい関係ありません。

皆さんの容貌(二枚目か美人かなど)、出身高校、思想信条なども一切関係ありません。

皆さんが願書に提出した顔写真を見て、皆さんの出身高校を見て、大学は合格者を選考しているのではありません。

ただ皆さんの成績を見て合格者を決めているだけです。

就職試験になるとこうはなかなかいかないことが皆さんにも分かると思います。

この点において私が最も憂慮しているのは日本社会の階層化、二極分解による中流階級の崩壊

下流階級の出現という結果がもたらす悪しき事態です。

すなわち金持ち階級・高額所得者の子弟が一流大学の合格者に多くなっているという事実です。

しかしこれは皆さん浪人を励ますためのテーマではありませんのでここでは詳しく触れません。

最後に皆さんは「ノーベル賞」をとろうとしているのではありません。

たかが「志望大学」に合格しようとしているだけです。

大学受験は「才能」などというものと全然関係ないことを是非この一年で体験してください。

それこそが皆さんにとっての「おおいなる人生の財産」になると思います。

私のここで言いたいことは現在の世の中において

「自分の努力が最も純粋に報われるのは大学受験である」

ということにつきます。

浪人生活の送り方

次に浪人生活の送り方を箇条書きしておきます。

1 朝早く起きる・・・生活のリズムを作ること

まず朝早く起きることが大切です。

これだけは高校生活の延長で考えてください。

朝早く起きて朝食をチャンといただき一日の生活のリズムを作ることが大切です。

これがどんどん遅く起きるようになっていくと生活環境が乱れていきます。

生活環境が乱れると当然頭も活発に活動しなくなります。

そしてていつのまにか「ひきこもり」状態になる恐れさえ出てきますので注意してください。

私はこのような状態になった浪人を「寝たきり浪人」と呼んでいます。

2 授業にはキチンと出席すること

全国のどこの予備校もタイムレコーダーなどで浪人生の出欠はとるようにしています。

しかし予備校には高校と違い「内申書」などというものはありません。

ですから浪人生本人の「自己責任」という意識が大切です。

特に次のような浪人生は要注意。

自分ができると思っている浪人生

「こんな授業やさしいなあ」なんて思っている浪人生は来年も危ないよ(笑)。

あなたに必要なのは人間としての謙虚さです。

やさしいこともきっちり抑えてこそ難問にも挑戦できます。

違う例で言えば小学生の頃、ちょっと英語の塾に通って英語の勉強をしていたので

そのストックのお陰で中学一年生の時には英語の試験でいい成績を取りながら

「こんな授業やさしいなあ」と思いつついつのまにかストックがなくなると

英語が出来なくなっていく生徒とそっくりであります。

人間、いかなる時も「謙虚」に勝るものはありません。

自分ができないと思っている浪人生

「この授業難しすぎて」なんて思っていると来年も危ないよ(笑)。

あなたに必要なのは人間としての粘りです。

難しいと思っても我慢して聞き続けることです。

人間不思議なもので次のようなことが私の経験から言えます。

「自分がわかる問題は常にやさしく 分からない問題は常に難しい」

我慢して真剣に授業を聞き真剣に自分で考えているうちにわかってきます。

ただその間に粘りというものを身に付けなくてはなりません。

難しい問題だと思うのは基礎が出来ていないからです。

基礎的事項×基礎的事項×基礎的事項=難問

これは例えて言えば中学や高校での部活の

テニスの練習の「壁打ち」や野球のバットの「素振り」

柔道の「受身」の練習と似ています。

なんでこんなつまらないことを繰り返すのだと疑問に思った時には

その人はもう選手としては駄目なのでしょう。

大学受験という「ゲーム」を楽しくするためには

やっぱり最初を我慢しなくてはなりません。

やさしいこともきっちりできるようになってこそ「ゲーム」は面白くなります。

そのことを忘れないで欲しいと思います。

3 問題意識をもって授業に出ること

自分の苦手科目ほど自分がどこがわかっていないのかを理解して常に問題意識をもって授業に出席することが大切です。

「千里の道も一歩から」です。

「ローマは一日にしてならず」です。

自分が出来る問題と出来ない問題、この区別がついただけでも前進しています。

困るのは自分が何一つ問題意識をもたずただ「自分はこの科目は苦手だ」と思い込むことです。

そしてそれを口実にして怠惰な自分を赦してしまうことです。

このような苦手意識を繰り返していると本当に苦手になってしまうのが人間の心の恐ろしいところです。

常に何が自分にわからないのか問題意識をもって授業に臨むようにしましょう。

4 予習・復習を効率的にすること


全国、いかなる予備校においてどの科目の講師も

「授業の前の日には予習を必ずするように」

と言うと思います。

まったく正しいことです。

私自身も教壇ではそのように言っています。

しかし、「人を見て法を説け」という言葉もあります。

総論は正しくとも各論は間違っているということもあります。

原理的に正しいことが個別の人々にすべて当てはまるわけではありません。

「一日に5時間も6時間も授業があるのにすべての予習などできるかよ」

なんて出来ない浪人生が言う時それは一面の正しさを持っています。

土台、誰もが一日に24時間という限られた絶対時間しか持っていません。

かくして最初の1週間か2週間ほどテキストの予習をしながら

すぐ時間にアップアップとなりすべての予習を放擲するという事態が多くの浪人生に起こります。

このような事態を防止するためにはどうすればいいのか。

最低次のことは考えておいてください。

1 予習中心の科目・・・英文解釈・現代国語・数学

これは最低どういうことをやろうとしているのかわからないと授業に出ても

全然ついていけない可能性があります。

解答が最後まで出来なくともまず自分で考えることが大切です。

2 復習中心の科目・・・英文法・古文文法・漢文・地歴・理科

これは何を学ぶかを前日にわかっておいて授業をしっかり聞けば

なんとかなると思います。

ですからこれらの科目は復習に全力投球することが必要です。

実力がついてきてから予習するようにしてもかまわないでしょう。

5 講師・担任に質問に行くこと

予備校の講師、クラス担任に質問に行く姿勢が大切です。

高校によっても違いますが、先生と生徒の関係性も昔とは違っています。

生徒の「先生」というものに対する「偏見」「誤解」などによって

先生に全然質問に行かない浪人生がいますがこれは絶対に損です。

ドンドン質問に行く習慣が大切です。

自分が勉強が出来ないからといって質問に行かない、行けない生徒がいますが間違っています。

出来ないからこそ質問に行くのです。

ただし、全国どの予備校にも、浪人生がちゃらちゃらええ加減な気持ちで質問に行くと

その姿勢に対しガンガン批判する先生もいますから注意してください(笑)。

6 成績が伸びるのは早くて夏休み明けの9月です。

浪人したら成績が伸びるのは事実ですが簡単にはなかなか伸びません。

一般的に力がついたと自分が認識してもなかなか成績の数字には反映されません。

成績の数字に表れるのは早くて夏休み明けの9月です。

それまでひたすら黙々と勉強することです。

6 適当な運動をすること

真面目に浪人していると神経がピリピリして

風邪をひきやすくなり、自律神経失調症、腰痛などを併発します。

それに一般的に予備校には「体育」の時間がありません。

毎日、または週に1回でも2回でもいいですから適当な運動をすることが大切です。

運動不足・病気は受験勉強の天敵です。

健康でいて初めて浪人生活も健全に過ごせます。

番外編その1:多浪生の皆さんへ

ここでの多浪生とは2年以上浪人した生徒をさします。

多浪生が持つ危険性は浪人生活に対する「マンネリ化した意識」です。

どの予備校においても前期には基礎的な授業をします。

そういう時、多浪生のほとんどが

「なんだ、やさしいことをやっているな」

「これは去年聞いた話だ」

「また同じことをやるのかよ」

などという実に後退的・マイナス的感情を持ってしまいます。

ここには一浪の時の「初心」の持つ初々しさが既にありません。

まして同じ予備校で同じ授業を聞くことになるとなおさら大変です。

講師の顔ぶれも同じ、テキストもほとんど同じ、

授業中のギャグの内容やタイミングまで同じ(笑)なんてこともあります。

それでもがんばって聞かないと結局一浪の失敗がまた待っているということになりかねません。

私事ながら私の長男は信州大学医学部に進学しましたが3年浪人しました。

合格してから私が3浪中何が大変だったか率直に訊くと

「二浪、三浪の時は受験勉強に対して気持ちが切れないようにすることが最も疲れた」

ということでした。

第一志望に合格した浪人生は何でも偉そうに言う傾向がありますが

この言葉には一片の真実が隠されているように思えます。

受験勉強に対して「気持ちが切れないこと」「初心を忘れないこと」

このことが一番大切だと思います。

番外編その2:宅浪生の皆さんへ

ここで言う「宅浪生」とは「予備校に所属せずに自宅で学習している浪人生」をさします。

「宅浪」という選択には大きく二つの理由があると思われます。

1 予備校に通う経済的余裕が家庭にない。

2 集団的生活にどうしてもなじめない。

この二つの理由はそれぞれもっともなところがあります。

日本の経済が回復してきたとはいえ全国の予備校で起こっている現象は

この数年確実に授業料の分割申請が多くなっていることです。

また自分ひとりで勉強したいという気持ちもそれ自体悪いものではありません。

ただ次のことには注意をしてください。

1 正しい生活のリズムを作ること

宅浪していると勉強する時間は自由自在に作れるように思えます。

ここに大きな落とし穴というか錯覚があります。

予備校に通っていると朝の授業があると仕方なく起きなくてはなりません。

宅浪の場合何時に起きてもかまいません。

するとどうなるのか、午前9時に勉強しようと思いながらこれが午前11時、

午後1時、午後2時・・・夜にやるか・・・もう遅い、よし明日だ(笑)

と言う風に先延ばしされかねません。

宅浪の失敗はほとんどここにあります。

自分を律してキチンと生活を送るという姿勢がもっとも大切です。

2 誰か話し相手を必ず持つこと

宅浪は実に孤独です。

以前に2年宅浪した浪人生と会ったことがありますが

その子の話し方があまりにゆっくりしているので

「どうして、そんなにゆっくり話すの」

と尋ねたところ

「この一年あまり他人と話したことがないのでほとんど失語症状態なんです」

なんて答えられてビックリしたことがありました。

これは極端な例かもしれませんが、必ず日常的に話し相手を持つことが大切です。

父親、母親、兄弟、友人、誰でもかまいません。

一日に3分でも5分でも話すことを心がけましょう。

自分が孤独だと思った時に危険が忍び寄ってきます。

精神のバランスを失うことが勉強にとって最大の阻害要因となります。

そのことだけは忘れずにおきましょう。

また週に一回程度、予備校の単科授業や現役コースの授業に

参加することも効果があるかもわかりません。

以上、長々と述べて参りましたが、皆さんの青春時代の最も貴重な一年をこれから送るわけです。

悔いのない生活を送られんことを心より祈っております。

今後の予定:6月か7月に「浪人生の皆さんへ」夏の章を掲載します。よろしく。

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