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第2章 小学生時代
1988年(昭和63年)
1月1日〈金〉
10時起床。四国と町田の実家に電話で挨拶。子供たちと新年の挨拶をしてお年玉をあげる。夜、子供たちとビデオ「火の鳥」観る。
1月2日(土)
隆正、剣道の寒稽古。帰宅して全員で倉賀野の「大迷路」へ行く。昔の戦国時代の野武士の砦かアメリカの西部劇映画に出てくる騎兵隊の砦のような「大迷路」を家族で脱出するのに2時間かかる。最後はあきらめて非常口から出ようと言うのに麻季と旅男は疲れているにもかかわらず、最後までやろうと言う。それでまた時間がかかる。一同、無事脱出してから、近くのラーメン屋でラーメンいただく。
1月3日〈日〉
お芳、麻季、旅男、隆正の剣道の大会の見学へ。午後子供たち、お芳とお年玉で買い物へ。夜、今度は子供たちとスピルバーグ「アメリカ物語」というビデオアニメを借りてきて観る。
1月8日〈金〉
夜、お芳がこんな手紙が届いていると見せてくれる。差出人は隆正で受取人も隆正。手紙の中身は白紙の便箋。孤独な若者が自分宛てに手紙を書き心を慰めるという漫画をどこかで昔読んだことを思い出した。しかし、白紙の便箋とは!隆正の場合は全然違った。手紙には記念切手が10枚近く貼られているのである。料金的に全然張る必要のない数の切手である。隆正を呼び「これはどういうことなの」と追求すると、隆正は「記念切手に消印がつけばもっと価値が上がるのじゃないの」と言う。恐るべき錯覚。この錯覚の仕方が凄い。「隆正、何を考えているの。完全に間違っているよ。使ってない切手のほうが高いに決まっているじゃないか。こんなばかなことをしてどうするの?」と叱ると泣き出す。
1月9日(土)
夜、毎日新聞より旅男に電話。先日の絵の入賞の褒美として毎日幼稚園新聞を3ヶ月送ってくれるとのこと。旅男、得意満面である。
1月22日(金)
帰宅途中の花屋でバラの花を買う。お芳と子供へのプレゼント。帰宅。子供たちバラには何も喜ばず。
1月24日〈日〉
お芳といせ屋へ。いせ屋の隣の古道具屋でマージャンのセット買う。帰宅。隆正に自分が一ヶ月イギリスに行っている間に家族でマージャンを覚えておくように命令する。
1月30日(土)
帰宅。隆正、剣道の練習。旅男、あまりに甘えるので叱ると泣き出したので、また、叱って殴る。困ったものだ。
1月31日〈日〉
起床8時。朝食。旅男、昨日叱られて殴られたのを忘れたかのように元気である。内心ホッとする。
2月4日(木)
子供たちに、研修でイギリスに一ヶ月近く行くと発表。子供たちは全く無関心。「父さんのいない間に母さんのお手伝いをして、勉強もするんだぞ」と言うと隆正「わかりました。父さんも気をつけて」。麻季「お母さんの手伝いは安心して」旅男「お土産を忘れないでね」。
2月6日(土)
午後、子供たちと一緒にお芳の車で本庄駅へ。家族全員でホームまで出て見送ってくれる。成田へ向う。
3月12日〈日〉
正午、成田到着。2時30分、京成スカイライナーで上野へ。本庄に到着すると、改札口で家族が迎えに来ている。さすがに子供たち嬉しそう。帰宅してこどもたちへのお土産イギリスのオックスフォードの郵便局で買った切手のアルバムをプレゼント。
3月20日(日)
子供たちとレンタルビデオ屋で借りてきた「荒野の七人」観る。スティーブ・マクィーン、ジェームス・コバーン、チャールズ・ブロンソンなど皆若いのである。自分が四国の田舎で高校1年生の時、親に内緒で夜、映画館に飛んで行って見た映画なのだから当然か。この映画での拳銃の発射音が今までの映画と違い「パーン」「パーン」と乾いた音だったのが印象的だった。黒澤明の「七人の侍」のリメイクであることを忘れさせる映画。
3月21日〈月〉
午後、お芳、隆正、麻季、旅男とマージャンする。自分もお芳もよく知らないので隆正に教わりながら打つ。旅男が結構覚えているので不思議である。麻季は女の子なのかあまり興味なし。子供と一緒にこういう風にしているとイギリスの思い出はドンドン遠くなる。午後、お芳とレンタルビデオ屋へ。「市民ケーン」ほかを借りる。帰宅、子供たち「ハックリベリーフィンの冒険」観る。
3月25日〈金〉
新聞の県内版で現役生の頃、予備校で一年教えた信州大学の生徒が交通事故で亡くなったことを知る。実に真面目で熱心ないい子だったのに。残念である。帰宅、子供たちに珍しく人の命の大切さを説教する。
3月26日(土)
亡くなった卒業生の葬儀に個人的に生花送る。夕方より霙から雪へ。卒業生来て、雪の中、飲み屋で酒を飲む。伊勢崎駅に車で家族迎えにきてくれる。ところが帰宅途中、信号でお芳の運転の車が追突される。破損はたいしたことがなく怪我もなかったのだが、家族は全員ショックを受ける。警察が来るまで全員雪の中で待ちぼうけ。
3月27日〈日〉
レンタルビデオ屋で「鉄腕アトム」のビデオ借りる。子供たち、春休みに町田に遊びに行くのを楽しみにしていたのだが、隆正の風邪のせいで行けなくなり残念がる。
4月2日(土)
帰宅すると、子供たち、お芳とマージャンをやっている。もう3時間ぐらい続けているとか。驚く。
4月8日〈金〉
昨夜の雪がまだ残っている。80年ぶりに4月に雪が降ったとのこと。旅男、坂東小学校入学式。旅男、朝から張り切っているのである。お芳と子供たちで写真撮る。入学式にはお芳が出席。夜、隆正の明日の誕生日と旅男の小学校入学祝を兼ねて家族で大パーティー。お芳のケーキをいただく。ケーキ屋のケーキよりおいしいと子供たち言う。みんな、口もうまくなってきたのである。旅男エンジン全快。小学校に入るのを一番楽しみにしていたのは旅男である。隆正も麻季もこれほど嬉しそうにはしていなかった。子供たち一人一人の性格の違いが大きいのか。マージャン大会に移行。
4月9日(土)
帰宅。食事。隆正剣道の練習から帰ってくる。今日は隆正の11歳の誕生日。旅男は小学校の1日目、早くも疲れているようである。
4月10日〈日〉
朝早く、子供たち、近所で教え始めた少林寺憲法を習いに行き始める。夜、今日のマージャン大会。麻季と旅男勝つ。自分は「やく」を覚えていないのでどうしても子供たちに騙されている気がする。
4月19日(火)
先日の葬儀に生花を送った卒業生のお父上より御礼のお手紙いただく。冒頭に「親思う心にまさる親心今日の訪れなんと聞くらん」という吉田松蔭の辞世の句が書かれている。それだけで胸が詰まってしまう。
5月3日(火)
朝、子供たち「砂漠は生きている」(ディズニィー映画)観て大喜び。自分が小学校のときに観て感動した映画なのである。
5月4日〈水〉
午前、子供たち、勉強した後、庭の草抜き。駄賃100円づつあげる。
5月8日〈日〉
「母の日」で子供たちの代わりにお芳にケーキ買う。家族でケーキいただく。昨日の小学校の小運動会、かけっこで隆正、旅男2位、麻季3位だったとのこと。
5月15日〈日〉
雨。午後、お芳と隆正と旅男、前橋の麻季のピアノの発表会へ行く。
5月16日〈月〉
夜、旅男がプレゼントされたディズニーランドのお土産の拳銃をなくしたと言う。公園で友だちと遊んでいてなくしたような気がすると言うので、隆正と旅男と3人で懐中電灯を持って出動。公園の中をくまなく捜すも発見できず。
5月20日〈金〉
勤務先の予備校にお芳より電話。何事かと思って電話に出ると、「ケーキ買って帰るの」と尋ねるので「買って帰るよ」と答える。珍しく今年の結婚記念日は二人とも覚えていたのである。帰宅途中、ケーキ買う。2千3百円もする。食事後、子供たち「お父さん、お母さん、結婚記念日おめでとう。いつまでも仲良く」と祝ってくれる。お芳とこの15年いろいろあったけれど貧乏人同士で結婚して気楽だったのかもしれない。
5月28日〈土〉
帰宅。お芳より隆正の剣道の同好会の参加止めてもよいかと尋ねられる。剣道も練習時間が長くなりすぎているとのこと。病めていいと返事するが、また、何かのことで挫折するのが恐ろしく思ってしまう。子どものことになると自分はどうしてこんなに考え過ぎるのだろうか。
6月5日〈日〉
帰宅すると、子供たち、マージャンに代わり、今度はトランプのポーカーに熱中している。
6月11日(土)
夜、久し振りに子供たちと布団の中で話す。旅男、小学校の成績がいいと思っているのか自信を持って喋る。後二年で隆正も中学生になる。不思議なのである。
6月19日〈日〉
お芳と子供たちに遅れて利根川へ。河原で昼食。子供たちと相撲とる。途中で気分悪くなり先に帰る。夜、今日は父の日で子供たちよりお祝いいただく。
6月23日(木)
帰宅。昨年、教えていた生徒の父上よりお中元いただく。珍しく枇杷なり。子供たちと大きい枇杷いただく。いつの間に枇杷が高級品になってしまったのだろう。隆正「枇杷ってこういう果物なんだ」麻季「桃の小さい奴みたいね」旅男「ぼく、これだといくつでも食べられるよ」子供たちも初めて食べるのではないか。
6月26日〈日〉
午後、子供たちと東映映画の傑作「新幹線大爆破」観る。子供たちも真剣切って観ているのが面白い。自分はもう三度目だが、サスペンスの盛り上げ方がうまいのは子供たちにもわかるのだろう。
7月17日〈日〉
雨。レンタルビデオ屋へ行き子供たちのために「インディージョーンズ」借りる。夜、子供たちと観る。
7月19日(火)
旅男、明日の終業式で通知表をもらってくることで興奮している。旅男の何の屈託もない楽しい人生が羨ましい。
7月20日〈水〉
坂東小学校の終業式。子供たち通知表もって帰る。「旅男、いい成績じゃないか」と言うと旅男照れたように笑う。
7月25日〈月〉
レンタルビデオ屋へ行き子供たちのために「夕日に立つ保安官」借りてやる。ジェームス・ガーナー主演。大昔、新宿の映画館で見たB級映画の傑作。子供たち観ながらよく笑う。
7月31日〈日〉
子供たち、町内の夏祭りでお神輿7時間近く担いでいたと言う。元気一杯で日焼けまでしている。
8月13日(土)
帰宅。旅男、最近おしゃべりになり、いろいろ喋る。負けん気が強いのか、兄や姉に馬鹿にされるのがいやなのか。「早く明日にならないかなあ」が近頃の旅男の口癖である。
8月15日〈月〉
朝、車で本庄駅へ。鈍行で東京へ。新幹線で岡山へ。岡山から瀬戸大橋線で坂出へ。5年ぶりの帰省。母が老いているのに驚く。夜、父と子供たちと港近くの鮨屋で食事。夜の港も久し振り。夏の海の匂いがたまらなく懐かしい。ほとんど昔と変わってしまっているが、散歩する。お芳、足が痛むと言って新しい靴を脱いで裸足で歩く。
8月16日(火)
朝、父が、子供たちを坂出の瀬戸大橋万博に連れて行く。午前中、お芳と祖母の墓参り。「上海軒」で懐かしいシナソバとチャーハンいただく。この店の味は絶品。
8月17日〈水〉
朝、子供たちと祖母の墓参り。少林寺拳法の本部を見学させてもらう。子供たち喜ぶ。午後は丸亀城へ。母校の丸亀高校が見える。
8月18日(木)
朝、7時20分の特急で岡山へ。新幹線の自由席に何とか家族全員席を見つけることが出来る。東京到着1時。鈍行で本庄へ。雨激しく降り始める。子供たちが面倒見ていた野良猫がいなくなっている。隆正も麻季も旅男も行き先を知らないと言う。
9月9日(金)
帰宅途中、境の書店で隆正のために「中国の知識百科」買う。子供たち、少林寺拳法へ。
9月12日(月)
研修日。午後、お芳とレンタルビデオ店で借りてきた「あるセールスマンの死」見る。ダスティン・ホフマン主演。二人の息子にかけた父親の夢と希望の崩壊の物語。自分もお芳も押し黙ったまま観続ける。辛い映画だ。自分も子供にあまり夢はかけないほうがいい。それがこの映画の教訓。幼稚園で旅男が一輪車の練習。
9月14日〈水〉
仕事が修了後、急いで帰宅。家族を乗せて高崎の文化センターへ。小澤征爾指揮の群馬交響楽団を聴くため。自分は人と合うために「ロイヤル・ホスト」へ。9時頃、家族、「ロイヤル・ホスト」へ来る。子供たちに感想聞くも何もなし。旅男にいたっては何も覚えていないとのこと。我が一族には芸術は無理。子供たち、心は「ロイヤル・ホスト」の食事に向っているだけである。文字通り花より団子。雨が降り出し帰宅。
9月23日〈金〉
秋分の日。家族で外へラーメンを食べに行く。2時から家族全員でイタリア映画、ピエトロ・ジュルミ監督「鉄道員」を観る。昔観た映画の記憶もドンドン薄れていくが、この映画にはホロリとさせられる。最終場面で父を亡くした少年がアパートの階段を降りながら同じアパートの住人に「ボンジョルノ・セニョーレ」と挨拶する場面が印象的。子供たちはどう思ったのだろうか。
9月24日(土)
帰宅。隆正、麻季、少林寺拳法の一泊合宿に出かけている。小学校1年生のために年齢制限にあい参加できなかった旅男は実に寂しそうにしている。
9月25日〈日〉
雨降り続く。旅男を連れて近くのビデオ店へ。旅男に本を買ってやる。隆正、麻季、帰宅。置物のお土産貰う。
9月26日〈月〉
研修日。家でゴロゴロしていると、旅男が小学校から帰ってきて昼寝を始める。続いて麻季が帰宅。麻季の作文、学年の代表に選ばれたとのこと。
10月1日(土)
出勤。久し振りに晴れ上がる。坂東小学校の運動会なるも旅男風邪のために欠席。帰宅。旅男も熱が下がって元気になっている。麻季がお芳のブローチを集めて遊んでいる。何の夢を見ているのだろうか。テレビを見ながらボーとしていると家族全員さっさと先に眠ってしまっている。
10月2日〈日〉
今日は坂東幼稚園の運動会。旅男、昨日の運動会に出られなかったので、小学生なのに、終日、幼稚園の運動会を見る。この情熱は一体何なのか。
10月8日(土)
天皇重態が続く。わが家では子供たちともあまり天皇の話はしない。
10月10日〈月〉
研修日。11時頃、お芳と子供たち、利根川にピクニックにでかける。こちらはその間に仕事。
10月15日(土)
麻季、読書感想文の賞状いただく。
10月17日〈月〉
夜、知人夫婦が赤ん坊を連れて遊びに来る。隆正「いい子だね,いい子だね」、麻季「かわいい、かわいい」、旅男「アバアバアバ」と大人の真似をしながら、赤ん坊をあやそうとするも、まったくうまくいかず。赤ん坊,ただ、泣き叫ぶだけ。三人ともに嫌われる。
10月23日〈日〉
快晴。子供たち、朝から地区のマラソン大会。夕方4時ごろ、夕方、隆正と外を散歩。1時間ぐらい歩く。二人で知ってる限りの世界の国の名前を言いながら時間を潰す。散歩道の家の庭の飼い犬が吠えると隆正体を硬くし顔が蒼ざめる。隆正の犬嫌いのせいで街中の犬が吠えている気がしてくる。
10月25日〈火〉
帰宅。子供たち、先日のマラソン大会に負けたせいなのか、マラソンを3人でしたとのこと。旅男に「鼻の上に汗を一杯かいているぞ」と言うと、「耳の中も汗で一杯だよ」と旅男が言う。
10月30日〈日〉
朝、子供たち少林寺拳法へ。隆正が帰ってきてから、二人で昨日届いた通信販売で購入した固定式の健康自転車を組み立てる。2時間近くかかる。タイムスィッチをつける乾電池の設置が出来ない。子供たち、1日中、自転車を奪い合うようにして乗っている。
10月31日〈月〉
お芳、町田の父の手術の立会いで朝早く家を出る。帰宅すると、子供たちの視線が冷たい。子供たち、小学校から帰ると、誰も家にいず、鍵も持っていなかった。その上、家の窓が全部閉まっていたので、トイレの小さな窓から、体の一番小さい旅男が家の中に入ったとのこと。家の鍵をくれるようにぶちぶち言いながら、隆正、麻季、旅男と三人でマージャンをやっているのも奇妙な光景。お芳、8時前に帰宅。手術無事に終わったとのこと。
11月22日(火)
ピザを買って帰宅。午後11時近くであったが、隆正、麻季は起きていたので一緒にピザをいただく。お芳も含めて4人で話し合った結果、このピザのことは寝てしまった旅男には黙っておこうということになる。
11月23日〈水〉
帰宅。群馬大学の学生遊びに来る。静かな女性だが、英検1級を落ちたと言って急に泣き出す。子供たちあわてて居間から姿を隠す。お芳もあわてる。来年、アメリカに留学したいとのこと。
11月25日〈金〉
明日は旅男の誕生日。旅男はその日をひたすら待っていたのである。一年中、自分の誕生日を待っている奇妙な少年。
11月26日(土)
帰宅。旅男7歳の誕生日である。お芳と麻季が作ったケーキでパーティー。旅男が一番張り切っている。まるで王侯貴族の心境なのか。
12月11日(日)
8時50分の電車で本庄から東京へ。お芳の弟の結婚式。明治記念会館。町田の父も母も元気そうである。披露宴にはフランス料理が出る。自分も目黒のサレジオ教会での結婚式のことを思い出す。あの時の新婦は本当に美しかった。しかし、自分の隣に座っている15年後の新婦は旅男がやたらジュースをウェーターに頼みがガボガボ飲んでいることにハラハラしているのである。信濃町から新宿に出、埼京線で大宮へ。鈍行で本庄に戻る。本庄駅前のラーメン屋でラーメンいただく。皆美味しそうに食べる。フランス料理よりラーメンの方がわが家にはお似合いかもしれない。
12月20日(火)
帰宅7時30分。子供たち待っている。自分の41歳の誕生日。自分が41歳になるのが不思議なり。お芳の手作りのケーキいただく。41歳の感想なんて何もないが飢えのない時代が一番いい。
12月24日(土)
帰宅。クリスマス・イブ。玄関に入ると旅男がサンタクロースの格好をして立っているので驚く。ケーキいただく。お芳の自分へのプレゼントは万年筆。布団の中で子供たちの通知表に目を通す。全員、音楽、図工、体育が苦手。自分の小学校の時の通知表と瓜二つなので布団の中で思わず笑ってしまう。
12月30日(金)
朝、隆正とNHKテレビで映画「王将」を観る。自分はこれで二度目か。坂田三吉役の坂東妻三郎、見れば見るほど田村高廣にそっくりである。親子はこんなに似るものか。「王将」観ながら何度も泣く。
12月31日(土)
大晦日。7時半に起床してのんびりしようとしていると、旅男が突然耳が痛いと言い出す。あわててお芳と三人で前橋の救急当番医となっている耳鼻科医院へ。3時間待たされる。旅男、中耳炎とのこと。治療をしてもらおうと少し元気になる。この突然の騒動で今年も暮れる。
1989年(昭和64年・平成元年)
1月1日〈日〉
起床7時30分。子供たちと「あけましておめでとうございます」の挨拶をしてお年玉を2千円づつあげる。お酒、おせち料理いただく。子供たち凧揚げに行く。四国と町田に新年のご挨拶の電話。
1月2日〈月〉
子供たち、お年玉で買い物へ。隆正、将棋に関する古本と切手集めのピンセット。麻季、シルバニアファミィーの家具と星座の本。旅男、ウルトラセブンの本とビデオ。午後、子供たちと凧揚げ。続いて小倉百人一首のカルタ大会。
1月5日(木)
帰宅。子供たち、通っている書道塾主催の書初め大会で三人とも賞をいただいたとのこと。夜、百人一首のカルタ大会。
1月7日(土)
起床7時。隆正が天皇危篤と教えてくれる。テレビをつける。天皇崩御。昭和が終わった。夜、新年号は「平成」となったことをテレビで知る。
1月8日〈日〉
10時に伊勢崎文化会館へ。子供たちの習字塾の表彰式。麻季、農協賞、旅男、学年賞、隆正も賞をもらう。昼食、外で、家族でラーメンいただく。帰宅、子供たち興奮しているのかいつになく騒ぐ。子供たちを連れてレンタルビデオ屋へ行くもビデオコーナーは天皇追悼番組に飽きた若者たちでごった返している。借りるビデオがない。
1月9日〈月〉
子供たち、始業式。旅男も後二ヶ月で2年生になるのである。早く指しゃぶりが治ればいいのだが。
1月31日(火)
勤め先の予備校を今日で退職。子供たちに詳しい説明はせず。明日から仲間と新しい塾の仕事が待っている。
2月14日(火)
帰宅。お芳と麻季よりオルゴール付きの愛のチョコレートいただく。感激。バレンタインデーだったことを思い出す。
2月15日(水)
帰宅。子供たちと、ビデオ屋から借りてきたマービン・ルロイ監督、ビビアン・リー、ロバート・テイラー主演の「哀愁」を観る。メロドラマの最高傑作。
2月20日〈月〉
帰宅8時。子供たち、月食を見ると言って遅くまで起きている。
2月24日〈金〉
朝、子供たちと小津安二郎監督「生まれてはみたけれど」を観る。子役のうまい芝居に三人とも大いに笑う。天皇大葬の日。官庁、学校は完全休日。
3月1日〈水〉
お芳の誕生日。お祝いのバラを買うつもりであったが花屋が休み。遅く帰宅すると子供たちもうケーキを食べてしまった後であった。
3月8日〈水〉
夜、テレビでやっている宝塚歌劇団の特集、お芳は真剣、自分はぼんやりと見ていると、四国の父より突然の電話。「麻季ちゃんを宝塚に入れないか」という唐突な内容の電話。なんのこっちゃと思って訊くと、偶然、同じ番組を見ていたのである。思わずお芳と笑ってしまう。
3月14日(火)
帰宅。ホワイトデー。お芳と麻季のお返しに買ってきたドーナツ家族でいただく。
3月15日〈水〉
朝、旅男早く起きる。昨日、午後7時半に眠ったのである。12時間眠る。
3月21日(火)
春分の日。風も吹かず晴天の日。子供たちと坂東小学校の周りを散歩。
3月28日(火)
帰宅。子供たち、終業式で通知表持って帰る。お芳、先日の担任の麻季ちゃんは交友関係が薄いという言葉を非常に気にしている。麻季のことが心配。
3月31日〈金〉
朝早く子供たち朝日新聞主催のスキー合宿に参加するためにでかける
4月3日〈月〉
お芳から職場に電話。子供たち、帰りのスキーのバスに乗り遅れ、行方不明になっているとのこと。あわてて帰宅すると、タクシーに乗って最寄の国鉄の駅に着き事なきを得たとのこと。情けない三兄弟である。
4月7日〈金〉
帰宅。麻季、眼鏡をかけている。「麻季チャンは眼鏡をかけると以前より一段とかわいくなったね」と言って誉める。隆正小学6年生。麻季小学4年生、旅男小学2年生となる。
4月9日〈日〉
帰宅。隆正の誕生日。もう12歳になる。来年は中学生なのである。家族でケーキいただく。
4月16日〈日〉
朝、隆正、アレルギー症状起こしお芳と救急病院へ連れて行く。旅男は終日元気で暴れて4時ごろから自分と一緒に昼寝。
4月30日〈日〉
隆正、目もアレルギー治らず。麻季、自転車の練習。旅男、一回の練習で乗れるようになる。夕方、隆正と散歩。ほとんど会話をしない散歩なのである。
5月4日(木)
町田のおばあちゃんより子供たちにプレゼント届く。午後1時、子供たちお芳とサーカスを観に行く。
5月9日(火)
帰宅。隆正と麻季まだ起きている。隆正とビール飲む。
5月11日(木)
雨降り続く。11時過ぎ、お芳に学校より電話あり。担任の先生から隆正が学校からいなくなったとのこと。お芳と二人で必死で隆正を探す。利根川まで行く。帰宅すると電話があり先生が隆正を見つけてくれたとのこと。隆正を叱る。雨の中、公園のベンチでボーとしていたとのこと。
5月15日〈月〉
昨夜、旅男と一緒に寝る。今日も帰宅すると自分の部屋で既に寝ている。お芳の話によると父親の部屋が気に入ったとか。
5月20日(土)
花屋で結婚記念日のためにバラの花を5千円で買う。帰宅、家族で結婚記念日祝う。
5月24日〈水〉
帰宅。子供たちと酒を飲む。隆正も麻季も旅男もほんの少し飲むだけだが嫌とは言わないのが不思議。みんな、酒飲みになってしまうのか。
5月28日〈日〉
子供たち、少林寺拳法へ。お芳と庭の草抜き。
6月1日(木)
昨日、隆正、江ノ島へ小学校の修学旅行に出発。帰宅すると、隆正、もう修学旅行から帰ってきて眠っている。
6月18日〈日〉
起床10時。隆正と麻季少林寺拳法へ。旅男、指の怪我で休む。お芳と雨の中5分ほど散歩。父の日。子供たち、ケーキ買ってきてくれる。一緒にいただく。麻季算数が出来ないので特訓。
6月25日〈日〉
夜。旅男、映画の登場人物の真似をして、額に紙を貼り願をかけている。
7月8日(土)
帰宅。食事。子供たち、元気である。隆正、麻季と安ワイン飲む。
7月9日〈日〉
仕事でディズニーランドへ。帰宅。子供たちにお土産のキャンディー渡す。麻季、視力矯正の努力のお陰で両眼とも0・9まで視力回復したとのこと。
7月20日(木)
11時過ぎ、子供たち終業式が終り帰ってくる。麻季、音楽が「よい」、旅男、体育が「よい」。奇跡的成績である。
7月23日〈日〉
夜、テレビでニュース見ていると、疑獄事件で追求を受けている人物が東京の地下鉄の通路で手持ちのテレビカメラを持ったカメラマンの執拗な追跡を受けている。「いくらなんでもこれはひどすぎるよ」。隆正が珍しく怒ったように言う。
8月2日〈水〉
旅男のために「大怪獣ガッパ」のビデオ録画。子供たち、プールから帰ってきて「ガッパ」観る。
8月4日〈金〉
隆正、麻季、旅男の三人だけで四国の実家に遊びに行くことになる。朝早く、お芳、子供たちを東京駅まで送っていく。
8月9日〈水〉
子供たち元気に四国から帰ってくる。旅男、港の灯台の下の堤防から海に落ち九死に一生を得たとのこと。恐ろしい。みんなで四国土産の桃をいただく。水分と甘味が見事にマッチして実においしい。
8月12日(土)
お芳と子供たち、町田に帰省することになり、朝、本庄駅まで送っていく。
8月16日(水)
帰宅。子供たち町田から帰宅している。以前よりもいっそう日焼けして黒くなっている。旅男、以前にディズニーランドから自分がお土産にかってきたキャンディを自分が食べたことに気付き怒っている
8月17日(木)
子供たち、昨日町田から帰ってきたといのに今日はもう学校のプールに出かけている。三人とも、四国と町田に行ってよその飯を食べてきたせいかたくましくなった気がする。
8月26日(土)
麻季の誕生日。皆でお祝いする。手作りのケーキでささやかなパーティー。
8月27日(日)
お芳と買い物に外出。留守番の子供たちにショート・ケーキを買う。帰宅。子供たち二晩続きのケーキにニコニコ顔。
9月1日(金)
子供たち、始業式。
9月10日(日)
朝11時に起床。子供たち少林寺拳法から帰っている。午後、旅男は坂東幼稚園で一輪車の練習。麻季はマンガ、隆正は小説を読んでいる。
9月16日(土)
隆正、麻季、旅男、少林寺拳法の合宿。
10月8日(日)
夜、。麻季がピアノで弾いている「ドナウ川のさざなみ」を自分も口ずさむ。黒澤明の「野良犬」の中で三船敏郎の刑事と女スリがどぶ川を見つめていると、労働者風の若者がハーモニカを吹いている。そのメロディーが「ドナウ川のさざなみ」だった。画面に夜空の星が輝く。子供たちと一緒にレンタルビデオ「ミッドナイトラン」観る。ロバート・デ・ニーロとジェームス・ブローリンのコンビの呼吸も秀逸。子供たちも十分ギャグがわかるのかよく笑う。
10月10日〈火〉
体育の日。晴天。子供たち、朝の8時から利根川へ散歩に行く。
12時にお芳と迎えに行く。隆正と旅男を連れて古本屋へ。二人と麻季に古本を買ってあげる。今日は久し振りに子供たちとつきあった。夜、すき焼き。隆正、旅男よく食べる。
10月15日〈日〉
麻季、旅男、少林寺拳法へ。隆正、風のために休む。二人が帰宅すると、旅男、兄と姉と喧嘩ばかりしている。
10月16日(月)
麻季、グリーン牧場に遠足へ。
10月22日(日)
4時ごろ、麻季の友だちが家に来て麻季が行方不明になったとのこと。順子あわてて探しに行く。その後、麻季が泣きべそをかきながらスーパーの「とりせん」から電話してくる。迎えに行く。お芳も帰ってきてみんな一安心。子供たちに説教する。
11月11日(土)
帰宅。旅男、本を読みながらそのまま眠ってしまう。布団まで旅男を運ぶも体重だけは着実に増えているのである。
11月12日〈日〉
夜、子供たちと朝鮮飯店へ。子供たち本当によく食べる。肉を6人前頼むも子供たちがほとんど食べきってしまう。
11月17日(金)
帰宅。子供たち少林寺拳法から帰りまだ起きている。隆正とNHKテレビ「相楽総三と赤報隊」というドキュメント見る。隆正、こういう番組に興味を持ち過ぎか。
11月18日(土)
昼間、お芳が子供たちを回転寿司に連れて行く。隆正10皿。麻季6皿。旅男10皿。各々いただいたとのこと。恐ろしい連中である
11月19日(日)
朝、自分で布団をたたもうとして腰に「ピリッ」と来て例によって軽い腰痛になってしまう。夜まで死んだようにじっとしていると、痛みは徐々に取れてくる。部屋の中を腰の痛みに気を取られながら歩いていると、隆正や麻季が「父さん,歩き方がおじいさんみたいね」と嫌味を言う。
11月26日〈日〉
起床9時。子供たち少林寺拳法へ。旅男の誕生日。
12月20日〈水〉
自分の誕生日だというのに帰宅遅くなりケーキを楽しみにしていた子供たち眠っている。パーティーは行われず。
12月24日〈日〉
起床9時。久し振りの休日だというのに雨模様。お芳と二人で「紳士服のコナカ」ヘ。背広を買おうとしながら、偶然革のコートを見つける。お芳が買ってもいいわよと言うので、度胸を決めて買う。自分の人生で最大の贅沢。12万円もする。帰宅して、家の中で買ったばかりのコートを着てうろうろしていると、隆正「そのコート着ると暴力団みたいだよ」麻季「父さん、うきうきしているね。」旅男「父さん、かっこいいね」と冷やかす。クリスマス・イブ。子供たちとケーキいただく。安ワインで乾杯しようとすると旅男サンタクロースの姿で現れる。写真を全員でとる。仕事で苦しんでいる時に楽しいクリスマスである。
12月29日〈金〉
隆正、スキーの合宿から帰っている。少しスキーが好きになったそうである。
12月31日〈日〉
朝、年賀状をやっと書き切る。子供たちも出したいというので四国と町田のおじいちゃん、おばあちゃんと、友だちに出すように年賀状渡す。
1990年(平成2年)
1月1日〈月〉
子供たちとテレビで除夜の鐘を聞く。隆正と旅男、今朝は6時半に起き、近くの公園から初日の出を拝んだそうである。朝、四国と町田の実家に電話してからみんなで食事。おせち料理いただく。子供たちにお年玉。一人二千円。公園で子供たちと恒例の凧揚げ。快晴、微風の為、凧よく揚がる。
1月2日(火)
11頃、家族で前橋の西武へ。大古本市。めいめい好きな古本買う。コントラクトブリッジしながら、旅男、勝てないと泣くので叱る。叱ると泣くのでまた叱る。
1月7日〈日〉
子供たちと東京へ遊びに行く。湯島天神へお参り。子供たち、お祈りしているところを写真に撮る。珍しくおみくじを引くと、末吉。利もなく損もなしとのこと。歩行者天国を上野に戻り食事。旅男、食事終わると俄然元気になる。上野の近代美術館を見学。風冷たき日。昭和天皇の一周忌。本庄に戻る。駅前のビルの二階でラーメンいただく。ここのラーメンはなぜか家族に好評。
1月15日〈月〉
子供たち、習字大会の表彰へ。仕事。帰宅途中に肉まんをまた買ってやる。子供たちの大好物になりそうである。
2月9日〈金〉
隆正、風邪を引き学校を一週間休む。深夜に帰宅。子供たち三人が川の字を描きながらぐっすり眠っている。
2月14日〈水〉
深夜に帰宅。今のテーブルの上にお芳と麻季のチョコレート置かれている。
バレンタインデー。
2月18日(日)
起床10時。旅男が隆正と麻季に「遊ぼう、遊ぼう」と誘うも相手にされずぶんむくれている。
3月1日(木)
お芳の誕生日。バラの花をプレゼントする。ささやかなパーティー。
3月21日〈水〉
帰宅。子供たち、元気に遊んでいる。父親が事業に失敗し、5千万近い借金を抱えてしまったのも気付いていない。
3月26日〈月〉
帰宅。隆正、小学校の卒業式。この1年、自分の仕事のことで子供たちにかまってやれずにいたのに、元気に卒業するのが不思議。今になって家族のことを考えるのも自分の身勝手なのか。
3月29日(木)
麻季、旅男の終業式。旅男、オール良いでなかったので泣いたとのこと。
4月4日〈水〉
負債のことを考えると絶望的。お芳のこと、子供のこと、元社員のことを考える。内省をしても負債は減らず。四国の母より隆正の誕生祝いと中学入学のお祝いに金3万円送ってくる。
4月7日(土)
隆正、友だちと高崎へ遊びに行く。負債返済のため家を売却することになる。
4月10日(火)
昨日は隆正の中学校の入学式と誕生日なのであるが、父親として何もしてやっていないのである。帰宅して、1ヶ月ぶりに隆正、麻季、旅男とゆっくり話をする。三人とも自分が事業に失敗したのを知らない様子なので不憫になる。隆正だけを呼び、もう中学生になったのだし、長男なのでと言い事情を話す。隆正、どの程度事情を理解したのかわからないが表面的には何も変わらず。
4月11日(水)
新しい職場の辞令いただく。当面、謹慎と負債返済の生活。それがいつまで続くのか誰にもわからぬ。子供たちは元気なのだがお芳のことが心配。
4月14日(土)
帰宅。レンタルビデオ屋から黒澤明監督の「七人の侍」借りてきて隆正、旅男と観る。ビデオを見るのも久し振り。少し精神的に立ち直りつつあるのか。「七人の侍」はこれで何度観たことになるのか。お芳も珍しく最後まで付き合ってみたので一安心。旅男、三船敏郎が演じる「菊千代」がひどく気に入った様子である。
4月15日〈日〉
新しい職場の予備校へ。2時過ぎに帰宅すると麻季も加わり、子供たち、再び、最初から「七人の侍」ビデオで観ているので驚く。
4月22日(日)
起床10時。子供たちとおしゃべり。隆正に英語と数学、少し教える。隆正もあまり勉強しないで読書ばかりしている。午後、雨の中、ビデオ屋へ行き、麻季と旅男が喜びそうなビデオ借りて帰るも、二人ともビデオを観ながら眠ってしまう。自分も疲れがひどくコタツの中で眠ってしまう。
4月29日〈日〉
起床8時。雨がそぼ降る中、群馬の森に家族で出かける。群馬交響楽団のコンサートを聴くため。コンサートが始まったところで、雨が降ったりやんだりしていたのに突然滝のような豪雨となる。コンサートは中止。美術館へ行き、オランダの彫刻家、ザッキンの個展を見る。家族に対する罪滅ぼしの意識が先に立って平常心でいられない。
4月30日(月)
売却する家の買い手がお見えになる。しばらくは転居する必要がないとのことで、家賃を払って借りることになる。子供たちは何も知らない。
5月3日(木)
朝方、目を覚ますと、いつの間にやら旅男が横で眠っている。もう一度眠りにつき8時起床。午後、自分の部屋の片付け。まず本を整理し、不用な本を、お芳と子供たちが古本屋へ売りに行く。文庫本中心で3千円になったとか。隆正のため庭に出してあった古机をきれいにし、部屋に入れる。一日、部屋の片付けをし、少し、気持ちの整理も出来たような気がする。夜、子供たちと古本を売って入った3千円の分配の仕方について話し合う。
5月4日(金)
朝から雨。子供たちが楽しみにしていた上野の「国宝展」を観に行くのは中止。子供たち家でごろごろしている。自分も気持ちが落ち着かないのである。
5月5日(土)
子供の日。昨日、中止した上野の「国宝展」、お芳と子供たち、観に行くと言うので本庄駅まで車で送って行く。午後、やっと晴れ上がってくる。家に篭ったまま。5時過ぎに本庄駅に子供たち迎えに行く。上野は人の山でゆっくり国宝を観るような雰囲気ではなかったとのこと。夜、子供たちとおしゃべり。この1ヶ月、出来る限り子供たちと話す努力をする。
5月13日(日)
高崎へ隆正と一緒に行く。二人でステーションビルでうどんの昼食。隆正が「母の日なので母さんにお祝いのプレゼントするよ」というので自分も3百円をカンパする。隆正、お芳に50万円の入るアルミの貯金箱を買う。この男も母親の精神状態を気にしているのだろうか。自分が隆正に無言で非難されている気持ちがする。
5月20日〈日〉
朝、旅男を少林寺拳法に車で送っていく。昼食はみんなでうどんいただく。そのとき、麻季に「今日は結婚記念日でしょう」と教えられる。忘れてしまっていたのである。夕方、旅男といせ屋へ。グラブを買ってやる。3千円なり。何を買っても、事業の失敗と負債のことが頭の中を駆け巡る。夜、子供たちとお祝いの手づくりのケーキいただく。
6月3日〈日〉
起床9時半。隆正、前橋の「西武」へ黒澤明の映画見るために朝早く出かけるも、実は、夜の時間と間違え、夜上映されるとのことでしょんぼりと帰ってくる。
6月9日(土)
布団の中で隆正が図書館から借りてきた赤塚不二夫の映画についてのマンガ,隆正と旅男が奪い合って喧嘩。
6月18日〈月〉
帰宅。隆正の通知表、中間テストの結果見て驚く。入学時に学年で3番が22番になってしまっている。一応、示しのために隆正を呼んで叱る。隆正はひどい怠け者である。麻季、旅男にも、キチンとやることはやるように言う。二人とも兄さんのとばっちりを受けて迷惑だという顔をしているので自分も笑ってしまう。
6月24日(日)
三週間ぶりの休み。お芳の洗車手伝う。昼食、インスタントラーメン。昼寝、2時間近くする。旅男に首を振ってもらって起こされる。麻季は友だちとプールに泳ぎに行って帰ってくる。隆正は期末試験の勉強。
6月30日(土)
隆正、期末試験の1日目。帰宅午後8時。食事をした後、麻季と旅男に挟まれて布団の中で本を読む。麻季も旅男も自分がいようといまいと関係なく眠ってしまう。
7月15日〈日〉
起床9時。午後、隆正、図書館へ。麻季はお芳と眼科へ行く。旅男、眼科の医者に禁止され、使っていなかったファミコンが何時の間にか故障。放置されていたファミコンをいじっていて奇跡的に修理する。本人大喜び。家族全員帰ってきてゼビウスを自分も久し振りにするも全然うで上がらず、すぐに終りにしてしまう。
7月26日(木)
麻季、臨海学習で新潟に出発。泊り込みの予定。旅男、何故か元気がない。これが兄弟というものか。
7月31日(火)
帰宅。新潟から帰ってきた麻季とおしゃべり。将来ピアニストになれたらと言う。女の子の夢というのはどうもよくわからぬ。
8月11日(土)
昼にお芳と子供たち、町田の実家に帰省。お芳も今回の里帰りは気が重いのでは考えてしまう。子供たちは楽しそうである。債務の最終的処理は弁護士のお陰で一件落着し、後はひたすら返済していくだけなのであるが、心の底に澱のように吹っ切れないものが残っている。
8月15日(水)
終戦記念日。午後1時過ぎ、お芳から本庄駅に着いたとの電話。車で迎えに行く。車の中で旅男はぐったりしている。町田に滞在中、家族で箱根まで足を伸ばしたとのこと。帰宅して、旅男、ファミコンソフト「ドラゴンボール」の中古を買いたいというので3百円をカンパ。夜、家族で食事。子供たちが帰ってくると家の中の精霊が動き出す感じがする。
8月17日〈金〉
午後、帰宅。テレビで高校野球、母校である丸亀高校と、京都の平安高校の対戦観る。前の試合が延長で長引き3時30分より開始。サウスポー同士の投げ合い。丸亀高校何度も得点機逸す。結局、雨の中、14回まで進み、やっと得点1対0で丸亀高校辛勝。実に長い試合なり。一度も中座せず野球の試合をこんなに長く観たのは初めてなり。最後は家族全員で拍手してしまう。
8月20日〈月〉
子供たち、お芳と前橋の映画館へ。ディズニー映画「白雪姫」を観に行く。
8月24日(金)
朝5時起床。車で高崎へ。家族で四国へ帰省。新幹線を乗り継いで岡山に着く。時間があるので、倉敷に出て大原美術館に寄る。倉敷でうどんいただくもこれがまったくおいしくなく、今度はホテルによってサンドイッチいただくもこれが実に高いサンドイッチなので家族全員でホテルから出てきてブーブー言う。午後7時実家に到着。父と母には勤務先の予備校が変わったといい事業の失敗のことは言わず。
8月25日(土)
子供たちと、朝,祖母の墓参り。自分自身祖母のことは全く知らず。自分が生まれたときには亡くなっていた。午後、弟の車で家族全員で海水浴場へ。2時ごろより6時ごろまで泳ぐ。海で泳ぐのは何年ぶりのことか。子供たちはしゃぎまわる。
8月26日〈日〉
家族で丸亀に出て、フェリーボートで本島へ。港近くのホテルから正覚院に電話すると,奥さんが電話に出て自分の名前を覚えてくれている。25年前、高校3年生の時、この正覚院に夏休みの一ヶ月泊り込んで勉強した思い出の場所である。息子さんが車で迎えにきてくれて山を登る。子供たち古いお寺を見て喜ぶ。座敷で奥さんに茶菓をいただき四方山話。1月にフジテレビが横溝正史の「獄門島」の舞台にこの寺を選んでロケに来たとのこと。港からお寺まで狭いとはいえ舗装されているのが昔との決定的な違いである。30分ほどで辞去する。フェリーボートで丸亀に戻り,駅前のうどん屋で久し振りに讃岐うどんいただく。美味しい。夜、麻季の11歳の誕生祝。家族で祝う。
8月27日〈月〉
起床5時10分。6時30分の電車で岡山へ。瀬戸大橋がかかって本当に岡山までが近くなった。午後帰宅。わが家の風呂は気持ちいい。
8月30日(木)
今で仕事をしていると子供たち隣で「UNO」をやっている。夜,隆正と一緒に「ナバロンの要塞」を観る。
8月31日(金)
夏休みの終りで子供たち宿題に追われる。しかし、隆正の机の上を見ると,駿台の添削の問題が封も切られずにほったらかしにされている。麻季、旅男も兄の真似をして通信添削を始めたが半年もたたないうちに飽きてしまったようである。メチャクチャに早い終焉。
9月1日(土)
新学期の始まった子供たちとおしゃべり。勉強を少しはするように言う。
9月3日〈月〉
帰宅途中、子供たちにミスタードーナツでドーナツ買って帰る。この時だけは自分は子供たちから尊敬されるのである。罪滅ぼし!
9月5日〈水〉
旅男,ファミコンのソフト、買ってきている。260円の中古品とか。
9月9日〈日〉
起床10時。子供たち,少林寺拳法のバーベキュウー大会に行く。午後4時過ぎ,子供たちを連れて利根川の河原へ。相撲をしたりかけっこをしたりする。旅男,隆正よりかけっこが速いので驚く。結局7時ごろまで一緒に遊ぶ。子供たち楽しそうに過ごしたのでホッとする。
9月16日〈日〉
夜,食事後,家族でテレビ見る。3月のあの倒産の事態より急速に視力が低下している。どこかで精神もぶっ壊れたような気がする。
9月19日〈水〉
夜,風も雨も強くなり,小学校の連絡網で明日の授業は10時30分からになるとのこと。麻季と旅男はこの事態を喜んでいるようである。
9月23日〈日〉
夕方,家族で利根川へ行き、野球,相撲,テニスを楽しむ。夜,子供たちとおしゃべり。旅男,突然、イギリスからお土産に持ち帰った切手のことを思い出し、布団の中で切手の整理を始める。隆正,小学生の頃に「花かげ」という歌を自分が好きだったことを忘れている。
9月24日(月)
給与を借金の返済に返すと、残り少なくなる。金がないので家族で利根川の河原に行き「三角ベース」をする。お芳,麻季,旅男,野球のルールを知らずゲームがあまり面白くない。それでも2時間近く大いに遊んで皆元気になる。夜,ホルモン焼き。子供たち,親と一緒にたっぷり遊んだせいか満足している。
9月30日〈日〉
朝から激しく雨が降る。台風和歌山へ接近。麻季、旅男の小学校の運動会中止。夜、テレビを見ながら子供とおしゃべり。隆正の英語の力ひどし。もう少し勉強しないと。
10月3日〈水〉
卒業生二人遊びに来る。お土産に「ミスタードーナツ」のドーナツ持ってくる。子供たちと一緒にドーナツを食べようとすると、縁側に置いていたせいか、庭のアリンコがドーナツに群がっている。家族と一緒にドーナツのアリンコをフーフーと息で吹き飛ばしながらいただく。
10月7日〈日〉
子供たち少林寺拳法。市民プラザへ旅男と行き本を借りる。夜、隆正、旅男と「ダイハード」観る。面白さは中程度。ビデオデッキの調子おかしい。旅男の脚はますます太くなっていく。
10月10日〈水〉
午後、麻季と旅男連れ高崎へ車を取りに行く。書店でセルゲイ・エイゼンシュタイン監督「戦艦ポチョムキン」のビデオ28百円で買う。子供たちにお茶をおごろうと思って何もせず。結局、麻季と旅男に150円ずつ上げる。帰宅して子供たちと「戦艦ポチョムキン」観る。いつ観ても映像の訴求力は圧倒的。4時過ぎ、家族で利根川へ行き「三角べース」をしてから相撲をとる。
10月11日(木)
出勤。眼科へ。左眼隅に出来た脂肪の塊の摘出手術。麻酔を打たれ20分掛かって終了。眼帯をする。帰宅して子供たちに見つめられる。
10月13日(土)
帰宅。子供たちとケビンコスナー主演の「アンタッチャブル」観る。駅の待合室で階段から乳母車が落ちていくのを観て、子供たち全員、エイゼンシュタインの「戦艦ポチョムキン」のオデッサの場面だと気がつく。
10月14日〈日〉
起床8時。子供たち少林寺拳法へ。風邪気味。旅男、みんなでまた利根川の河原へ遊びに行こうと主張する。体調悪く、レンタルビデオ屋で「ゴジラとビオランテ」借りてきて見せる。その間、自分は昼寝する。
10月18日(木)
帰宅。子供たち眠っている。旅男風邪気味。旅男、花が低い割に鼻の穴がでかい。
10月19日(金)
午前中、授業していったん帰宅。旅男、小学校から帰ってきてファミコンやりだす。旅男、頭のてっぺんに小さなハゲがあり髪が渦巻いていることを気にしている。ファミコンをやりながら無意識に髪の渦巻きを手で押さえる。
10月24日〈水〉
風邪気味で午後半休にして帰宅。日本シリーズ西武VS巨人戦。テレビで観戦。子供たちも学校から帰ってきて一緒に観る。西武7対3で快勝。日本シリーズ4連勝は30年ぶりとのこと。これでアンチ巨人としては風邪も吹っ飛ぶ。
10月27日(土)
帰宅。子供たちと食事。お芳は簿記の学校へ。食後、旅男、図書館から借りてきた「西遊記」の文章を突然筆写し始める。どういう意図があるのかさっぱりわからないが、突然、熱中し始める素っ頓狂さは母親譲りなのか。
10月28日(日)
快晴。秋晴れの素晴らしい日である。隆正、麻季風邪気味で少林寺拳法休む。旅男だけ練習に行く。午後、隆正、市立図書館へ。それから本屋に寄る。隆正、麻季それぞれ古本買う。夕食後、隆正とNHK大河ドラマ「翔ぶが如く」と「20世紀の社会主義―ドプチェクの改革」を観る。チェコ共産党の改革派指導者であったドブチェクの老いた白髪姿に感無量。
11月3日(土)
文化の日。起床9時。麻季と旅男をを連れていせ屋へ。隆正、中学校の文化祭のために伊勢崎市内の街の写真を撮りに出かける。お芳は簿記の勉強。いせ屋の帰りに隣の古道具屋でゴルフのクラブと花札買う。
11月4日(日)
朝から大雨。お芳、簿記の勉強のために専門学校へ。少林寺拳法の送り迎え自分がする。昼、子供たちの要望で昼食は回転寿司へ。隆正11皿。自分10皿。麻季5皿。旅男8皿いただく。お勘定4100円。終日雨やまず。
11月8日(木)
帰宅。週刊文春と肉まん買って帰る。旅男を全員で起こそうとする。隆正と麻季が「旅男、肉マンだよ。肉マンだよ」ともっとも有効な呼びかけをしても遂に起きず。お芳、隆正、麻季で肉まんいただく。
11月12日(月)
肉まんを買って帰りみんなでいただく。今日は旅男も起きている。即位の礼。花柳幻舟、パレードの列に爆竹鳴らして抗議、逮捕される。隆正、麻季、旅男と花札の練習。
11月14日〈水〉
朝方、夢を見る。お芳、隆正、麻季、旅男と一緒に見知らぬ古本屋にいる。自分は一冊の本を買うか買わないか迷っている。結局お芳が「わたし、最近、肩の荷が下りた気がしているの。」と言ったので、自分も涙ぐみながら本を買おうとして裏の売価を見ると10万円と書かれているのである。そこで目が醒めてしまう。
11月15日(木)
帰宅すると、隆正、既に布団の中にいる。机の上に隆正の通知表あり。成績ひどし。中間テスト77位。狸寝入りをしていた隆正を起こしお芳と3人で話をする。子供に対する大いなる錯誤なのか。自分は親ばかにはなるまいとおもっていたが、親ばかそのものかもしれない。
11月21日〈水〉
帰宅。隆正とレンタルビデオ屋へ行き「トラ・トラ・トラ」を借りる。麻季と旅男眠るが、隆正と12時近くまで観る。自分はこれで5回目か。何度観てもたしかにうまく作っている。
12月1日(土)
帰宅。隆正、期末試験の準備。もっと勉強しないと高校入試も危ないのではないかという思いとまだまあ1年生という気持ちが自分の気持ちの中で混在している。自分に教育パパ的資質があるのに驚き。啓蒙家や教育パパは嫌いだ。
12月20日(木)
帰宅。誕生日。家族でささやかなパーティー。安ワインいただく。隆正、麻季から水差し、旅男からSF小説、お芳から手作りのセーターのプレゼント。ケーキいただく。こういう時、旅男が一番張り切っている。
12月23日〈日〉
夕食の後、コタツの中で眠ってしまう。目を覚ますと、家の中が実に静かで家族全員眠っている。最近、こういう風にほっておかれること多し。
12月24日〈月〉
天皇誕生日で代替休日。それでも出勤して仕事。帰宅。クリスマス・イブ。子供たちへのプレゼントお芳が買ってきてくれている。12時過ぎ、子供たちの枕もとにお芳がプレゼントを配っていく気配を感じながら眠りにつく。
12月25日(火)
帰宅。子供たち、冬休みに入っても全然勉強せず。隆正に上げたクリスマスプレゼントの「沈黙の艦隊」を3人で熱心に読んでいる状態なのである。吉本家は突然降って湧いた「沈黙の艦隊」ブーム。
12月29日(土)
帰宅。風呂の水が出しっぱなし。お芳のどじ。わが家では日常茶飯のこと。
12月30日〈日〉
久し振りの休日。お芳、パートに出かける。子供たちを連れて焼肉屋へ。子供たち、黙々と食べる。お勘定58百円。帰宅、お芳帰ってきている。今度はおやつ。しかし、それにしても子供たちはよく食べる。わが家は相撲部屋なのか。
1991年(平成3年)
1月1日(火)
午前10時起床。新年のご挨拶。子供たちお年玉を渡す。隆正に5千円。麻季、旅男に4千円渡す。旅男はすぐにファミコンのソフトを買ってしまいそうである。お屠蘇、お酒いただく。
1月2日〈水〉
起床10時。午後、お芳と買い物。ワイシャツを3枚とズボンを2枚買う久し振りの二人だけの外出。帰宅、隆正と旅男、ファミコンを楽しんでいる。それから突然、「たま」のテープ聞きだす。・・・・今日初めて人類が木星についた日(?)・・・。吉本家を昨年の暮れより襲っている「たま」のブームは一体何なのか。隆正と旅男は「たま」、麻季は「松任谷由美」に凝っている。夜、子供たちと百人一首をしてわいわいがやがや楽しみながら眠ってしまう。
1月6日〈月〉
帰宅。子供たち相変わらず、「たま」の音楽と「松任谷由美」とファミコン、コミックの世界に没入している。不思議になるほど、自分の子供時代と豊かさが違う。
1月12日(土)
帰宅。子供たち連れて初めてカラオケボックスへ。自分はビール、チュウハイを飲む。子供たち「リゲインの歌」とか松任谷由美の歌を乗りに乗って歌う。しかし、自分とお芳は子供たちの歌のあまりの下手さにうつむいてしまう。
1月27日〈日〉
朝、子供たち、少林寺拳法を休んで習字の表彰式のため伊勢崎文化会館へ行く。
2月1日(金)
帰宅。酒を飲んでいるとお芳に「あなたは仕事人間なのだから、家族のことを何も考えていない」と文句を言われる。
2月2日(土)
帰宅途中、レンタルビデオ屋で「十戒」借りてくる。午後8時前から子供たちと一緒に観始め、12時前にやっと終わる。旧約聖書の実に長い話なり。昔見たときは名作だと思ったのに「アレ?」「アレ?」という感じ。所詮、ハリウッド製の大スペクタクル映画なのか。しかし、子供たちには宗教心のごときものは持って欲しいと思う。
2月9日(土)
夜、図書館で借りてきたマービン・ルロイ監督「心の旅路」家族で見る。第一次世界大戦で記憶を喪失した兵士がやさしい踊り子の助けで記憶を取り戻すが同時にその間の記憶を再び失う。最後はすべての記憶が蘇り自分の秘書となっている踊り子と結ばれると言う実にご都合主義的映画。
しかし、傑作である。子供たちも感動している。映画のラストで主人公の踊り子が「スミッシー、スミッシー」と恋人の名を呼び抱き合うシーンは思わず涙が滲んでしまう。
2月10日〈日〉
夜、卒業生の女性からの突然の電話。正月に何度か4人で自宅に遊びに来た女性の一人。その4人組の一人が医師と結婚し北海道で幸せな人生を送っていたけれども、昨日、癌のため亡くなったとのこと。わが家に何回か遊びに来たときには元気だったのに。生花を手配してくれるようにお願いしておく。お芳も驚く。享年三十二。人の命のはかなさに声もなし。合掌。
2月11日(月)
建国記念日。近所で日の丸の旗を掲揚している家はまったくなし。お芳、パートの仕事へ。昼食、インスタント・ラーメン。子供たちがインスタント・ラーメンにしようといったのでお芳が昼食代に置いていったお金から、子供たちに2百円ずつカンパ。子供たち喜ぶ。腰痛治らず。コルセットつけっぱなし。情けない。
2月14日(木)
帰宅8時。お芳、麻季よりチョコレートいただく。バレンタインデー。家族で意味もなく安ワインをいただく。
2月16日(土)
起床10時。お芳とロイヤルホテルへ。喫茶室で卒業生の女性2名と会う。先日電話をしてくれた方。生花の代金を支払い、亡くなった女性の思い出話などをする。癌と本人はわかりつつ最後まで泣くこともなかったとのこと。亡くなった女性の夫、父、母、親族の方々のことをえ考えると言葉もなし。自然に隆正、麻季、旅男の顔が浮ぶ。
2月22日〈金〉
帰宅途中、古道具屋へ行き、麻季のために机、椅子、スタンドランプ、本箱を買う。2万5千円なり。そのまま自宅まで運んでもらって旅男に手伝わせ大きな本箱を異動させる。隆正、この3日、遅くまで勉強する。
2月23日(土)
麻季の本箱を組み立て片付けをする。麻季、勉強机が入り本当に嬉しそうである。
2月25日〈月〉
夜間部から帰宅。イラクと多国籍軍地上戦。子供たちとテレビ観る。
2月26日(火)
帰宅。隆正、この1週間、ひどく熱心に勉強しているので不思議になる。何が彼をそうさせたのか。急に向学心でも湧いてきたのか。よくわからぬのである。
2月28日(木)
帰宅。ブッシュ大統領の停戦演説を子供たちとテレビで見る。旅男、風邪で小学校2日休む。
3月1日(金)
帰宅途中、花屋でお芳の誕生日のお祝いのバラの花を買う。帰宅。お芳、今年は忙しくてケーキを作らなかったとのこと。バラをお芳に渡す。自分で躁鬱病であるという。去年の事業の失敗がやはり影を落としているのか。子供たちはそんなことは関係なく楽しそうに食事をしながらお芳の誕生日を祝う。
3月3日〈日〉
出勤。テキスト作り。帰宅。今日は雛祭り。麻季の小さなお雛様の飾りから流れてくる雛祭りの歌を聴いていると物悲しくなる。家族でお芳の作ったお寿司いただく。
3月8日(金)
帰宅。お芳、パート先の給料日だったとのこと。家族に供与からピザパイをプレゼントしてくれる。隆正、今日も夜遅くまで勉強している。
3月14日(木)
ホワイトデー。昼休みに高島屋へ行き、麻季にキャンディのお返し。お芳にイヤリング〈2500円〉のお返し。
3月17日(日)
夜、隆正とNHKテレビで立花隆「臨死体験」を観る。不思議な経験を人間はするのもなり。大昔、屈強な機動隊にサンドイッチにされ窒息しそうな恐怖と闘ったことを思い出す
3月18日(月)
夜間部終了後、帰宅。11時ごろから家族で買ってきたドーナツいただく。自分が「父さんは本当に人生に疲れたよ」」と愚痴を言うと麻季が「お父さん、昔からそう言っているね」と答える。隆正も旅男も「そうだ」「そうだ」という風に頷く。
4月4日(木)
帰宅。子供たち、「日本のリッチマン」というテレビ番組見ている。麻季の話によると、アメリカの男性はどんなに金持ちでも3回離婚すれば、貧乏になり、アメリカの女性はどんなに貧乏でも3回離婚すれば金持ちになるという。お芳、夜間の専門学校より帰宅。
4月7日〈日〉
昨日、高崎をたち、京都へお芳と思い出の旅行。京都のホテルで目覚める。近鉄線で吉野山へ。結婚前に訪ねてから20年の歳月が過ぎ去っている。桜満開。吉野駅から歩き出すも記憶はっきりとはよみがえらず。お芳も同じなり。急坂を越えると宿坊が2軒あるが、どちらに宿泊したのかも曖昧。ケーブルを使わず歩いており京都に戻る。
4月9日(火)
夜、仕事の呼び出しがあり職場へ。帰宅深夜。今日は隆正の誕生日。子供たちを連れてお芳が回転寿司に行ったとのこと。隆正、寿司を13皿平らげたとのこと。
4月14日〈日〉
起床12時近くになる。麻季と二人で市民プラザまで散歩。風は強いけれどもポカポカ陽気の暖かい日である。プラザで所持金が200円に足りず、ジュースが飲めず麻季と二人で残念がる。帰宅。昼食、家族でインスタントラーメン。
4月21日〈日〉
起床8時30分。朝食後、昼寝。午後、麻季と旅男に庭の草抜きさせる。お駄賃一人300円。隆正久し振りに勉強。旅男と近くのスーパーへ行きビールと焼酎買う。お芳、簿記の試験の準備。
5月3日〈金〉
憲法記念日。自衛隊の掃海艇がアラビア湾に向っている。帰宅12時。お芳珍しく起きている。
5月4日(土)
起床10時。隆正の自転車、旅男も乗れるように自転車屋でサドルを低くして修理してもらう。隆正、明日から林間学習とのこと。
5月5日〈日〉
子供の日。11時起床。麻季と旅男を華蔵寺公園へ連れて行き「ジェットコースター」に乗せてやる。近くのレストランで食事。麻季、旅男、ビーフカレーとピザパイ食べる。今日は二人には王侯貴族のような一日。
5月6日〈月〉
連休最後の日。朝10時起床。お芳、既にパートの仕事に出かけている。旅男、幼稚園の運動場で自転車の練習。自分も小学校4年生になって自転車に乗れたことを思い出す。
5月11日(土)
起床10時。坂東小学校の授業参観。子供たち1時間授業で戻ってくる。旅男この1ヶ月ほとんど勉強せず。
5月12日〈日〉
起床10時。母の日。麻季、旅男といせ屋の前の花屋さんで3千円出してカーネーションを買う。雨が降ったり止んだりの天気。夜、焼肉。子供たちと安ワインいただく。
5月18日(土)
出勤、帰宅11時近くなる。途中でアイスクリーム買って帰るも家族全員眠っている。こういう時の父親は虚しい。
5月19日〈日〉
麻季と車で市民プラザへ。図書館で本を借りる。今度はお金を持っていき二人で自販機のジュースいただく。
5月20日〈月〉
業務終了後、同僚と酒を飲みに行く。様々な愚痴を聴かされる。帰宅11時過ぎ。帰宅。家族既に眠っている。吐きそうになりながら布団の中で今日が結婚記念日だということを思い出す。
6月8日(土)
起床8時。麻季、旅男、学校がお休みなので市民プラザに連れて行く。図書室で本を借りる。二人にジュースおごる。午後出勤。
6月12日〈水〉
フェーン現象のせいか猛烈な暑さ。帰宅して子供たちとビール飲む。麻季「どうしてこんなに苦いのがおいしいの?」と言う。隆正、旅男、大人ぶった風をして飲む。それでも一杯だけでやめる。結局美味しくないということか。熱帯夜だというのにエアコンもない家の中で家族全員のたうちながら眠る。
6月13日(木)
スカイラークでピザパイをテイクアウト。子供たちへのお土産。子供たちが好きな食べ物。焼肉。ドーナツ。ピザパイ。カレーライス。寿司。ポテトチップ。それと何故かインスタント・ラーメン。
6月16日〈日〉
久し振りに1日家にいる。旅男、少林寺拳法へ行き昇級試験で8級に合格したとのこと。午後、家族全員で昼寝。家の中が静まり返る。吉本家の人々が一番好きな時間。
6月18日(火)
麻季、鎌倉へ遠足に行っている。夕方、旅男、幼稚園の運動場へ行き鉄棒の練習。逆上がり出来るようになる。自分も高校生の時一度だけ蹴上がりが出来たときの感動を思い出す。
6月19日〈水〉
帰宅。食事。旅男、どこか少年ぽくなっている。隆正、中間テストの結果、英、数、国はよくなっている。これで一安心か。
6月22日(土)
帰宅。隆正、麻季、風邪を引いて寝込んでいる。旅男だけが元気。自分も子供の頃は栄養失調気味の少年だったが、今はタフですねと他人に言われるのだから子供たちも大丈夫だろうと変な慰め方をする。
7月3日〈水〉
帰宅。お芳が突然山形に旅行に行くと言い出す。東京で自分たちと同じ職場にいたアルバイトの女子職員を訪ねるとのこと。最近、子供たちに無性に愛情のごときものが湧いてくる。不思議なり。旅男は幼いせいか特にかわいいところがある。
7月6日(土)
起床8時。お芳、山形へ出発。夜、知り合いの講師と逢い痛飲。横浜のお菓子お土産にいただく。帰宅11時。子供たち、自分たちで夕食をいただき起きている。お土産のお菓子を子供たちと一緒にいただきおしゃべり。
7月7日(日)
起床7時10分。隆正、学校の廃品回収へ。麻季、旅男少林寺拳法へ。子供たちの朝食のパンを買いに行く。夕方お芳山形より帰ってくる。家族で回転寿司へ。隆正13皿。麻季8皿。旅男10皿。梁山泊か相撲部屋状態。お勘定6500円。
7月14日〈日〉
父母会のため出勤。お昼にいただいた達磨弁当、食欲なく、食べずに持ち帰り旅男に上げる。喜ぶ。隆正とレンタルビデオ屋から借りてきた黒澤明「トラの尾を踏む男たち」を観る。エノケンが素晴らしい。疲れて寝転がっていると子供たち頭の上で騒ぐ。旅男が自分の上に飛び降りてきたりするので非常に危険。おちおちしていられない。布団の中に入っても子供たちが今度は布団の回りでうろうろする。今日は巴里祭だということに気付く。
7月15日(月)
研修日。夕食中。NHKテレビで「いじめ」のため自殺した少年の報道をしていると麻季が突然泣き出す。クラスでいじめられていると言う。首謀者の名前聞き出す。それにしても「おまえがものを触ると臭いからさわるな」などという子供といえども絶対に赦せぬ。
7月16日(火)
起床9時50分。雨。10時過ぎ、小学校へ行く。担任の先生に面会を求める。うちの娘はいじめられていないかとやんわりと問うとそんなことはないと言う。腹が立って腹が立ってガンガン怒鳴る。他の先生も現れる。首謀者はわかっているのだから自分が教室に行って説教してやると言うと、教頭先生が出てきてそれだけはと言われる。夕方、麻季ちゃんをいじめて申し訳なかったといじめた生徒の親、1名来宅して謝罪。2名電話を寄越して謝罪。
7月18日(木)
帰宅。隆正、一学期の通知表を持ってくる。勉強状態最低。中間テストが少しいいと期末テストが悪い。それでもがんばれば成績なんて伸びるさと言って励ましておく。
7月22日〈月〉
帰宅。子供たち、楽しい夏休みの二日目であるはずなのに、隆正が腹痛を起こし寝ぱなし状態なのである。暑い日が続いたせいなのか。
7月30日(火)
帰宅すると、子供たち、プールに通っている為か日焼けした顔をして動物園の熊のように暑い家の中をうろうろしているだけ。
8月2日(金)
子供たち、朝早く四国へ立つ。お芳、東京駅まで送っていく。午後4時、四国の父より子供たち無事着いたとの連絡。暑い夏が続く。
8月3日(土)
帰宅午後3時。夏休みになって初めて昼寝。お芳とスイカいただく。暑い夏。エアコン、かき氷器が売れているとのこと。昼寝をしながら夏の終りに家族旅行に行かないと家族が崩壊しそうな妄想にかられる。
8月6日(火)
16日ぶりの休日。四国の父より電話。子供たち、朝10時の電車で四国をたったとのこと。6時過ぎ、子供たち、無事本庄駅に到着。隆正も麻季も旅男も真っ黒に日焼けしている。夜、ささやかな無事帰還パーティー。実家のある町の沖にある佐柳島の民宿に泊まったとのこと。おじいちゃん張り切って泳いでいた。刺し身がとってもおいしかったとのこと。小学生の頃友だちと港でウロウロ遊んでいると、漁師の人が「どうだ、佐柳島まで連れて行ってやろうか」と声を掛けられ嬉々としてポンポン舟に乗り込み、まるで、十五少年漂流記の主人公のような気持ちで1時間ほど航海し佐柳島に渡ったことを思い出した。往時茫々。
8月8日(木)
夏期講習。午後帰宅。昼寝。夜、布団の中で子供たちに勉強しろと演説をぶとうと思ったが子供たち近寄ってこない。隆正と旅男は将棋の対戦。最近、時間つぶしに二人で将棋ばかりしている。まるで家の中が江戸時代の貧乏人長屋のような雰囲気である。
8月11日〈日〉
夜、隆正に誘われ、旅男がヨガの練習を一緒にして腹痛を起こしてしまう。苦しんで吐いて布団の中で眠ってしまう。
8月17日(土)
本庄駅から電話。お芳、子供たち、町田から帰ってくる。車で迎えに行く。帰宅すると、隆正も麻季も旅男も荷物を投げ捨てて、マンガの本を読み始める。町田の家にはマンガの本があまりなかったのだろう。それにしても三人ともこの夏休みは本当に勉強をしていないのである。
8月19日〈月〉
午後帰宅。夜、隆正にソ連のゴルバチョフが解任されたとの速報、テレビでやっていると教えられる。軍、KGB,内務省保守派のクーデター。エリツインロシア共和国大統領が抵抗とゼネストを国民に呼びかけたとのこと。子供たちとテレビ観る。子供たちと花札。
8月20日(火)
帰宅。終日大雨。台風が接近しているとのこと。子供たち、出かけることもできず狭い家をウロウロしている。自分もお芳も含めて長屋に浪人が集まっているようである。ロシア共和国議会前は軍の戦車が包囲し、モスクワ情勢混沌。子供たちと花札。
8月21日〈水〉
隆正と夜のテレビニュース見る。ゴルバチョフ避暑地の別荘から救出されたとのこと。エリツインに対する絶賛が始まっている?子供たちと花札。
8月22日(木)
家族で夜テレビニュースを見る。ゴルバチョフモスクワに到着。エリツインはロシア国会議事堂前で10万人の民衆を前に勝利宣言。いまや救世主の感あり。眠いのを我慢して午前0時30分からテレビで放映されたゴルバチョフの外務省プレスセンターでの記者会見見る。ゴルバチョフは事態を把握していないのではと思ってしまう。
8月23日〈金〉
帰宅。子供たちとテレビニュース見る。クーデターの逮捕者相次いでいる。KGB本部前の巨大なジェルジンスキーの銅像,民衆によって倒されたとのこと。世界史の転換点なのか。
8月24日(土)
起床7時。布団の中で朝刊読む。誰かが突然家から飛び出していく。旅男がジョギングに出たのである。隆正と麻季の話によると、旅男、昨日、突然、「自分は相撲取りになる」と言い出したとのこと。何があったのかさっぱり理解できず。自分の脚の太さに賭けたのか。
8月25日〈日〉
旅男の朝のジョギング一日で中止。「自分は相撲取りになる」という夢は一日で挫折したのか。朝のニュース。昨夜、ゴルバチョフソ連共産党書記長辞任。ソビエト共産党中央委員会の解散決定。衝撃的ニュース。エリツインはバルト三国の独立を承認する大統領令に署名したとのこと。ソビエト共産党が崩壊するのである。しかし、それよりも、旅男が相撲取りになろうと決意しながら一日で挫折したことがわが家にとっては重要な問題である。
8月26日〈月〉
午後4時。子供たちを連れていいだ屋へ。隆正、麻季、旅男、一人に千円ずつカンパの大盤振る舞い。好きな古本を買わせる。夜。ケーキを家族でいただく。今日は麻季の12歳の誕生日。家族全員で12チャンネルの「大食い大会」を笑いながら観る。
8月27日(火)
研修日。隆正、中学校の学級委員の集まりに出かける。昼、麻季と旅男を連れて「ココス」へ行き、昼食。麻季、チキンライス。旅男、カツカレーいただく。お勘定3500円。金ばかりが出て行く。夜、子供たちゴロゴロしている。ものぐさ兄弟。
9月1日〈日〉
起床9時30分。隆正、麻季、少林寺拳法へ。子供たち、帰宅すると、宿題でバタバタ。この3日、夏休みが終わる直前に、突然、勤勉な中学生、小学生に大変身を遂げているのである。バスター・キートンの映画より面白い光景。
9月12日(木)
研修日。10時30分頃目覚める。旅男、朝方、食べたものを吐いたと言って学校休む。自分が小学校6ヵ年皆勤だったのが嘘のような軟弱な子供たちである。しかし、自分も体調悪く、夕方、旅男と一緒に医者に行き、並んで栄養剤の入った注射をしてもらう。情けない親子である。
9月13日〈金〉
帰宅12時近く。隆正起きている。この男にも中学生としてまたわが家の長男としての悩みがあるのかもしれない。ビールを一杯おごってやる。
9月15日〈日〉
台風接近中のため、朝から、終日雨が降る。子供たち、少林寺拳法の合宿から3時ごろ帰ってくる。夜、お好み焼きの夕食。「お好み焼きを好きなのはあなたひとりで子供たちはあまり好きではないのよ」とお芳が言う。関西育ちと関東育ちの違いでもあるのか。
9月17日(火)
帰宅。家族全員で、お芳が図書館から借りてきたアルフレッド・ヒチコック監督「ダイヤルMを廻せ」を観る。自分は途中で10分ほど居眠りし最後の方になってこの映画は観たことがあるということを思い出す。それにしてもこの記憶力の絶望的悪さは情けない限りである。子供たち、最後まで真剣に見る。
9月22日〈日〉
起床10時。隆正、中学の「囲碁将棋大会」に参加のため出かける。自分は碁盤と碁石は昔買ってやったが、自分が囲碁が出来ないので、どうして、隆正が出来るようになったのか不思議。中学の部活も囲碁部に入るとは。お芳、風邪、旅男、風邪。隆正、夕方帰ってくる。囲碁で1回戦は勝ったとのこと。明日は彼岸の代休。一日早く、家族でおはぎいただく。
9月23日(月)
秋分の日。秋晴れの日。お芳、パートの仕事に出かける。午前中、子供たちと本の整理。不必要な30冊ほどの本を一まとめにして古本屋へ持っていく。古本屋の主人がまとめて値をつけるのを子供たち真剣な眼差しで見つめている。3000円になる。安い。隆正、麻季、旅男に1000円づつカンパ。子供たちに好きな本を買わせる。
9月24日(火)
帰宅7時。食事、晩酌後、子供たちと以前に録画したNHK「日本の歌」のビデオ観る。終わったのが10時。子供たちの寝るのが遅いとお芳怒っている。中学での新教研模試、隆正、校内で5番だったとのこと。
9月25日〈水〉
借金返済のために12万円を投じて買った宝籤、1万円が一本と3千円が12本近く当たっていただけ。お芳と二人でガッカリする。子供たちもガックリ。さっさと眠ってしまう。
9月30日〈月〉
帰宅。隆正、麻季、旅男、小学校の給食の食中毒の話で持ちきり。子供にとって非日常的事件は楽しいものなのか。
10月5日(土)
起床8時半。隆正、昨日、中指の傷が化膿して痛みのため一睡も出来なかった。病院へ連れて行く。医者が針で膿を出し切る。夜、旅男、明日は運動会なので、空模様をひどく気にしている。麻季と旅男に100円ずつカンパする約束で足の裏を揉んでもらう。
10月6日(日)
曇天。小学校で運動会。お芳が見に行く。3時過ぎ、麻季と旅男、運動会が早く終わったと言って帰ってくる。天候の悪い時の運動会はキツイ。全員で昼寝に入る。夜、インスタントのお好み焼き。広島風のお好み焼きだが味はまあまあである。
10月10日(木)
体育の日。午後、家族で本庄駅前のラーメン屋へ。ラーメンいただく。そのまま車で伊勢崎のカラオケへ。隆正が一番行きたいと言う。自分は小林旭の「さすらい」を歌う。小学生の頃、よく、「顔が小林旭に似ているね」と言われたことが今でも誇りなのである。旅男、家族の誰も知らない「うぬぼれクルッ」(?)という曲をうまく歌ったので珍しく拍手が起こる。帰宅して、子供たち、押入れにしまっておいた家族のアルバムを引っ張り出して見始める。自分もお芳も子供たちも若く楽しそうに見える。
10月12日(土)
帰宅7時。食事をしていると、隆正が、映画の本を読んでいると、「心の旅路」の中で「スープのような霧」というセリフがあると和田誠が書いていると言う。録画した「心の旅路」のビデオを早回してその場面を発見、全員で確認する。しかし、馬鹿なことをしている家族であるという感じがする。
10月14日〈月〉
5時過ぎ、珍しく早めに帰宅。麻季が元気がないので、どうしたのかと聞くと、陸上の50メートルハードルで負けてくやしいと言う。子供の心理はよくわからぬ。泣き出すほどのことでもないと思うのだが。
10月20日〈日〉
午後、お芳、子供たちを連れて華蔵寺公園へ遊びに行く。夕食お好み焼き。
11月2日(土)
午後出勤。帰宅。食事後、またNHKの「昭和の唄U」ビデオを家族で見る。麻季が最も熱心である。自分も最後まで付き合う。
11月4日〈月〉
文化の日。お芳、子供たちを連れてお弁当を持って桐生にハイキングに行く。
11月5日(火)
帰宅。子供たちとまたNHK「昭和の歌」のビデオ観る。家にあるビデオではこのビデオを家族で一番見ている気がする。麻季、ガロの「学生街の喫茶店」が一番気にいっている。自分も「神田川」を聞いていると、結婚した当初、住んでいた千歳船橋のアパートからお芳と二人で銭湯に行くのに歩いた遠い道のりを思い出す。
11月26日(火)
帰宅9時過ぎ。旅男の誕生日。誕生パーティーは家族全員が安ワイン飲み盛り上がる。旅男も10歳になる。けれどもどこか幼いところがある。末っ子のせいなのか。
11月30日(土)
起床9時。小学校は休み。麻季、旅男と市民プラザへ。図書室で本を借りる。午後出勤。自分の家でぶっ続けで仕事。子供たち、お芳に「父さん本当によくがんばれるね。」と言ったとのこと。
12月14日(土)
起床10時。昨夜はぐっすり眠る。旅男早く帰ってくる。マラソン大会で70人中、35位だったとのこと。
12月16日〈月〉
帰宅。隆正風邪気味で布団の中に亀のようになっている。自分をは夕食にお餅をいただいて虫歯のキャップが外れてしまう。情けない限り。体が老化しているのだ。
12月18日〈水〉
帰宅10時。夕食をいただこうとすると、子供たちぞろぞろと起きてきて、自分の酒の肴の刺し身を食べる。1日に4食食べているのか。
12月19日(木)
午後、隆正、中学校の三者面談。お芳が行く。期末試験、英語、学年で2位になっている。革命的進歩。しかし、理社が悪すぎる。
12月21日(土)
午後出勤。授業。帰宅。一日遅れの自分の誕生祝い。自家製のケーキ。旅男食べ過ぎて顔が蒼ざめる。恐るべき食欲。人間を超えている。その後、隆正、麻季、旅男、リキュールで酔っ払う。自分ももう44歳。
12月22日(日)
起床10時。年賀状200通近く書く。子供たち、打ち揃ってレンタルビデオ屋へ行き、「ラドン」借りてくる。これで2回目。1回目観た時は麻季、旅男は小さすぎたのか。「ゴジラ」の持つ原水爆への恐怖への思想性、哲学性を排除し、特撮が高度化するとこういう映画になるのか。子供たち、満足する。
12月23日〈月〉
夕方、隆正、レンタルビデオ屋で「2001年宇宙の旅」借りてくる。一緒に観ながら途中で眠ってしまう。不思議なことにこの映画を最後までキチンと見たことがないのである。
12月24日(火)
帰宅。中学校、小学校の終業式。麻季、旅男、通知表もってかえる。まあまあの成績。クリスマス・イブ。ケーキいただく。
1992年(平成4年)
1月1日〈水〉
起床して、お芳、子供たちと「あけましておめでとうございます」の新年のご挨拶。子供たちにお年玉。四国と町田の父母に挨拶の電話。お屠蘇をこれから一年、子供たちが一体、何をするか、どう生きるのかを書かせる。隆正「勉強がんばります。兄弟仲良くします」麻季「勉強します。お母さんのお手伝いをします」旅男「勉強がんばります。ファミコンもします」
1月2日(木)
子供たち、お芳の車で買い物へ。午後、お芳と二人で玉村の神社へ行きお参り。御神籤を引く。妥協せずに議論しろとのご託宣。困った御神籤である。午後、子供たちと久し振りの百人一首。全員、腕が鈍っている。
1月3日〈金〉
午前、お芳、パートに出かける。レンタルビデオ屋へ行き「トータル・リコール」借りる。旅男と二人で見る。アーノルド・シュワルツネッガー主演。原作は自分の大好きなP・K・ディックなのである。映画もなかなか面白い。
1月4日(土)
お芳は子供たちを連れて高崎に「ゴジラ対キングギドラ」を観に行く。帰宅。映画から帰ってきた子供たち興奮している。旅男は特にそうである。
1月14日(火)
成人の日。隆正、麻季、勉強。旅男、ファミリィーブックで買ってきた本を1日中休むことなく、6時間連続で読んでいる。
1月26日(日)
起床9時。麻季、バンドフェスティバル。お芳、パートの仕事。隆正、、男、少林寺拳法へ。11時過ぎ、隆正、旅男と市民プラザへ。本を借りる。小学校のバザーへ連れて行くもすべて売れてしまい片付けをしている状態で旅男ガックリ。昼寝。黒澤明の戦前の作品「一番美しく」のビデオ観る。家族全員で観る予定だったが誰も一緒に観ないのでガッカリする。
2月8日(土)
旅男、ファミリーブックで3時間立ち読みし、マンガ6冊を読み抜いたとの報告。隆正、麻季、自分を入れても立ち読み最長時間の新記録樹立。
2月14日〈金〉
バレンタインデー。お芳と麻季からも義理チョコいただく。職場の女性社員からいただいたチョコレート、子供たち一つ残らず食べてしまう。
2月22日(土)
帰宅。疲れひどし。子供たちと歌の本を出してきて置きコタツのを取り囲んで唱歌を歌う。酒のせいもあるのか、センチメンタルになりすぎてロシア民謡の「カチュウシャ」を歌いながら涙ぐんでしまう。麻季が「父さん泣いているの?」と不思議そうに尋ねる。隆正「父さん、泣いたらあかんで」と関西弁で言う。ふと、幼い頃に父親に「天然の美」という唄を教わったことを思い出す。
2月29日(土)
起床9時半。旅男、風邪で2日学校休む。閏の年。お芳の誕生日。夜、手作りのケーキ家族でいただく。ケーキをいただき終わり、自分がさっさとテレビで「仁義なき戦い」を観始めると、隆正が「母さんの誕生日だというのに、そんな映画観てたんじゃあ、母さんが可哀相だろう。」と怒鳴られる。あわててビデオを切る。
3月4日〈水〉
お芳、午後、初めての海外旅行で台湾のパック旅行に行くために家を出る。今夜は羽田のホテルに宿泊するとのこと。仕事に追われ帰宅したのは10時。子供たち、お芳の用意していった夕食、既にいただいている。
3月6日〈金〉
久し振りの休み。子供たち、少林寺拳法の練習に車で連れて行く。午前中、テレビを見ながら眠る。午後も昼寝。家の中お芳がいないのでメチャクチャ。夕食、スーパーで焼肉を買ってくる。400グラムをぺろりと3人で平らげる。お芳の台湾旅行の件については誰も何も触れず。
3月7日(土)
夜、子供たちと高崎へ。中華料理店へ行こうとするも休業の札。仕方なく駅前のスカイラークへ。旅男、一人で1950円の焼肉ランチいただく。食事後、全員でアイスクリームいただく。財布の中身が心配になる。こんな時、家族で話題になるのは四国に帰省する途中寄った倉敷のホテルのサンドイッチの値段の高さと不味さである。隆正「あれは高かったよ。」麻季「それに美味しくなかったし。」旅男「あの前の、別のところで食べたうどんもひどかったね」。
3月8日〈日〉
起床11時。子供たち、既に少林寺から帰っている。急いで朝食。お芳がいないときの食事の世話は麻季がやってくれるので本当に助かる。しかし、隆正、旅男には麻季に対する感謝の念が足りない。午後7時ごろ、お芳、本庄から電話。家族全員で車で迎えに行く。お芳元気に戻ってくる。子供たちも嬉しそうである。子供たちに、お土産貰う。自分は靴べらとお酒のおつまみ。家の中が明るくなる。
3月12日(木)
帰宅して、子供たちに、合格した生徒二人からお礼にいただいた品物の中身は何だと思うと尋ねると、包装紙を透視するように真剣に見つめる。両方ともウイスキーだよと3人が答える。自分もウイスキーだと思って包装紙を解くと、何と両方とも偶然ブランデーだったのである。世の中は高級嗜好に向っているのか。子供たちと一口づついただく。「なかなかいい味がするじゃない」と隆正が偉そうに言う。「苦いわねえ」と麻季。「この一杯おろそかには飲まぬぞ」と旅男が志村喬が演じた「七人の侍」の勘兵衛の真似をする。おろそかに飲まなかったせいか、旅男、腹痛起こす。
3月13日〈金〉
帰宅8時。旅男、腹痛治らず、学校休む。情けない勘兵衛。
3月15日〈日〉
「いいだ屋」へ行き、子供たちに図書券1千円分ずつ渡し好きな本を買わせる。麻季「オルフェウスの窓」「ベルサイユのバラ」などを買う。隆正にレンタルビデオ屋で黒澤明「悪い奴ほどよく眠る」を借りてこさせる。子供たちと観ていると話が暗いのか全員昼寝状態に入ってしまう。「遊ぶ奴ほどよく眠る」
3月20日(金)
春分の日。NHKテレビで大映映画「白い巨塔」を隆正と見る。
3月26日(木)
お芳、今日から経理事務所へパートに出かけることになる。家ではパーティーの準備をしている。コタツの上にはポテチの袋の山。先日、講師の先生からいただいたドイツのワイン。子供たち、いつもの安ワインと味が違わないと言う。そう言われると自分もそう思えてくる。所詮、貧乏人は貧乏人なのか。
3月28日(土)
帰宅。子供たち、通知表持ってくる。隆正、あまり、勉強せず、さすがに心配になってくる。無類の読書家なのだが日頃の動作、行動に老人風なところあり。先日も自分の真似をして「俺も人生に疲れたよ」と麻季と旅男に愚痴っているので叱る。
3月29日〈日〉
朝から雨。寒い中、坂東小学校体育館で少林寺拳法の大会が開かれる。お芳に「あんたも少しは子供のことを真剣に考えたら」と言われ、仕方なく出かける。どうしたことか旅男試合に勝つ。選手の中で隆正、麻季の背の高さがやたら目立つ。身長が、隆正はもう180センチ、麻季は160センチ近くあるのか。旅男、最優秀選手としてトロフィーいただく。夜、旅男、朝の興奮から醒めないのか、パーティーを開こうと要求する。先日のドイツワインはあの一日でなくなり、仕方なく家にあった安ワインとポテチで旅男の祝勝会。
4月2日(木)
10時ごろ帰宅すると、旅男、蒼ざめた表情で布団の中でいる。お芳の説明によると夜、食べ過ぎて消化不良を起こし、救急病院で薬を貰い点滴を受けたとのこと。人騒がせな男である。
4月4日(土)
夕方、お芳と旅行に出発。車で碓氷峠を越えて小諸へ。旅館から子供たちに電話。夕飯は食べたとのこと。
4月5日(日)
朝、目を覚ますと雨。雨の中を安曇野へ。アルプスの山々は雨のため見えず。萩原守衛館へ。それから松本城へ。天守閣まで上る。松本で一泊。
4月6日〈月〉
快晴の日。諏訪湖、白樺湖とドライブ。帰宅8時。これで少しはお芳の沈んだ気持ちも回復したのだろうか。
4月7日(火)
午後、電気屋さん来る。故障続きのテレビを買い替えBSアンテナをつけることにする。旅男、ファミコンの接続ひどく気にする。家族全員、新しいテレビの画面の美しさに感動。今までのテレビがひどすぎたのか。
4月8日(水)
麻季、中学の入学式。お芳出席。出勤。帰宅して麻季の入学祝にドーナツ買って帰る。麻季、セーラー服の着こなしがぎこちない。
4月9日(木)
午後8時前に帰宅。隆正の誕生日。お芳の作ったケーキいただく。ワインを皆で飲んで室内で記念写真撮る。隆正もいよいよ高校受験の年齢である。
4月13日〈月〉
麻季、緊張気味に中学校へ向う。隆正と同じ中学校なのに絶対に一緒には出かけず。旅男は、出かける前に必ず真っ暗な寝室のドアを開け、眠っている自分に「おはようございます。行ってきます」と挨拶して出かける。
4月19日〈日〉
子供たちに庭の草抜きさせる。カンパ100円ずつ。庭の花みずきが美しく咲いているというのに散るまでゆっくり鑑賞する間もない。
4月23日(木)
かなり酔って帰宅。子供たちのアルバム出してきて一緒に眺める。隆正が小さい時に買ってやった黄色いおもちゃのランボルギーニ・カウンタックのことなどすっかり忘れている。一人で唄を歌い始め家族の顰蹙買う。
4月26日〈日〉
夜、旅男、自分がテレビの前にドンと座っているので、ファミコンをするわけにも行かずイライラしているのが手にとるようにわかる。
4月29日〈水〉
みどりの日。午前9時に起床。隆正、3年生の月例テストの第1回。昨日までよく勉強していたように思う。少しは受験を自覚してきたのか。
5月2日(土)
帰宅。お芳、隆正、旅男、町田に帰省。麻季は吹奏楽部の部活のため帰省せず。帰宅。麻季が夕食のカレーライス作ってくれる。二人で向き合って食事。娘と二人だけになって寂しいような照れるような不思議な空間。まるでお見合いしている感じ。お芳のカレーとはあきらかに味が違うが「麻季チャンのカレーおいしいよ」と言いながらいただく。
5月3日〈日〉
憲法記念日。起床10時。麻季と二人で朝食は、パンいただく。麻季、午後、部活の吹奏楽部の音楽界で出かける。麻季のパートはクラリネット。一人で留守番。夜、麻季と夕食。静かな食事。
5月4日〈月〉
起床8時。朝食。麻季、今日は一日中学の部活の練習で留守。夜、帰宅した麻季と近くのレストランで食事。チョコレート・パフェー、デザートにいただく。「父さんが高校生の頃、初めて喫茶店というところに入って、最初に食べたのがチョコレート・パフェーだったのだよ。父さんはねえ、喫茶店が人とゆっくり話をしながらお茶を飲んだりするところだということも知らなかったので、出てきたチョコレート・パフェーを1分足らずで食べたのだよ。」と話すと麻季が笑う。
5月5日(火)
子供の日。起床11時。麻季、自転車で一人で本屋へ行く。麻季、「地球へ」を買ってくる。6時過ぎお芳より電話。麻季と一緒に本庄駅にお芳、隆正、旅男を迎えに行く。隆正と旅男、横浜球場で「大洋vs中日戦」を外野席で観戦したとのこと。
5月9日(土)
起床9時。体調おかしく。近所の新しく開業した内科へ。初めての病院なり。医者に勧められ内視鏡検査。下剤を飲まされお尻から内視鏡を入れ大腸の中を覗く。寝転んだ自分の眼前にパソコンのスクリーンがあり、自分の蠕動している大腸の内部を総天然色で見ることの不思議。医者も「どうだこの機械は凄いだろう」と新しく購入した機械を見せびらかしたいような雰囲気。結局、ポリープあるも良性のものであり病名は「過敏性大腸炎」という怪しい病名となる。夕食のとき、子供たちにその話をすると、「父さん、食事中だよ」と文句をつけられまた顰蹙を買う。
5月11日(月)
「母の日」。四国の母よりお金送ったお礼の電話。隆正、麻季、旅男、お芳にカーネーション上げる。
5月12日(火)
帰宅。隆正、第一回月例テスト帰ってくる。ひどく悪し。本人の自覚を待つしかない。
5月15日〈金〉
腰に痛みを感じる。慢性の腰痛。帰宅して昔、病院で作ってもらったコルセット装着する。しかし、コルセットを作ったときよりよほど腹が出てきて、コルセットをキッチリと締めると腰は楽なのだがお腹が苦しいという異常事態。隆正、麻季、旅男、自分のコルセットから溢れたお腹の贅肉を眺めながら異口同音に「グロテスクやね」とのたまう。
5月17日〈日〉
隆正、第2回月例テストででかける。帰宅すると隆正、浮かぬ顔をしているのであえて月例テストのことは聞かず。
6月4日(木)
研修日。レンタルビデオ屋で小林旭主演「南国土佐を後にして」を一人で観る。小学6年生の時、修学旅行に1泊で土佐の高知に行ったことを思い出し、自分でもわからず涙が出てくる。夕方、隆正、旅男と久し振りに20分ほど散歩をする。散歩中、父さんは小学生の頃小林旭によく似ているといろんな人に言われたのだと自慢するも「父さん、その話はもう千回聞いたよ」と二人に一蹴される。腹が立つ。
6月8日〈月〉
帰宅。麻季の中間テストの各教科の成績、すべて戻ってくる。初めての中学でのテストだが成績がよいので一安心。麻季を誉めておく。
6月14日〈日〉
起床9時。麻季、吹奏楽部でディズニーランドへ行く。お芳、簿記1級の検定試験。隆正、旅男、少林寺憲法の練習へ。午後、お芳、帰ってくる。子供たちを連れて回転寿司へ。隆正13皿。旅男11皿。旅男、隆正に肉迫してくる。
6月20日(土)
隆正、定期月例テスト、学年20位で「ちきしょう」と言いながら帰ってくる。
6月21日〈日〉
レンタル・ビデオ屋へ行き、「ターミネーターU」を借りてくる。夜、家族で「ターミネーターU」を観る。特殊撮影が素晴らしい。ただ、シュワルツネッガーの相手の悪人が同一画面に二人登場する場面をどう撮影したのか誰にもわからず。自分が「あの悪人をやっている俳優は双子だよ。」と言っても誰も信じず。
6月28日〈日〉
夜、お芳に話があると言われ、何事かと思っていると「旅男が今日ねえ、庭を見ながら『自分は植物になりたい』と言ったのよ。旅男、大丈夫かしら。」という報告を受ける。衝撃を受ける。夕食の後、旅男と二人だけになった時、庭を見ながら「旅男、父さんも疲れたよ。昔、父さんが見た映画に『私は貝になりたい』という映画があったけれど、父さんも植物になってじっとしていたいよ」と話す。旅男がニヤッと笑う。「母さんに話聞いたの」「聞いたよ。それで旅男も父さんと同じだなあと思ったんだよ。父さんは小学生の頃、何度も自殺しようと思ったりしたものなあ」「本当?」「本当だよ。父さんのおうちは貧しかったし、父さんも何の生き甲斐もなかったし、でも、やっぱりがんばってみようかと思ってがんばったよ。そうすると人生もなかなかおもしろいもんだということがわかってきてなあ」「そうなの」「そうだよ」
7月5日〈日〉
起床10時30分。旅男、気分悪いため臨海学校休む。これは「植物になりたい」という発言と何か関係があるのか。あえて旅男を追求せず。
7月16日(木)
隆正、第3回月例テスト、学年で3番となる。
7月19日(日)
夜、子供たちを集め、今住んでいる家はもう人のものなので今度8月に高崎のアパートに引っ越す話をする。子供たち、特には何も言わず。
7月25日(土)
前橋に行った麻季の帰りが遅く一騒動。お芳も青くなって警察に電話。15分ほどして麻季帰ってくる。今度は警察にお詫びの電話。
7月26日〈日〉
出勤。真夏日。隆正、麻季、旅男、前橋の映画館へ「紅の豚」観に行く。帰宅して3回連続して観たと聞いて呆れる。
8月4日(火)
夜、子供たちとレンタルビデオ屋で借りてきた周防正行監督「しこふんじゃった」観る。面白くて子供たちと笑う。
8月5日〈水〉
午前9時30分、古本屋の人二人、トラックで来て家に溢れていた本、10万円で引き取っていく。二人が整理中に、家族は邪魔になっては駄目だと外で待っていたのだが、その間に机の上に新聞紙を被せて置いていた「北一輝著作集」と「寺山修司青春歌集」を持っていかれてしまう。隆正、旅男とそのプロの技に茫然。テレビで松本清張の死を知る。享年82。
8月8日(土)
帰宅。夕方、麻季帰ってきて、中学の吹奏楽で伊勢崎四中は金賞を取ったとのこと。友だちと肩を抱き合って泣いたと興奮して語る。
8月11日(火)
帰宅。子供たちとレンタルビデオ屋で借りてきた黒澤明監督「蜘蛛之巣城」見る。シェークスピアの「マクベス」の翻案。四国の中学生の頃、英語の先生がこの映画について熱心に喋っていたことを思い出す。観終わって子供たちの印象に残ったのは三船敏郎に権力をにぎらせようとする強欲な妻の役を演ずる山田五十鈴の演技である。発狂した山田五十鈴が「血が、血が」とうめきながら手桶に血を流す為に手を洗う場面をみんなで真似をする。
8月15日(土)
終戦記念日。麻季、吹奏楽の練習へ行く。隆正、明日の模試の準備。午前中、お芳、珍しく旅男と黒澤明監督「八月の狂想曲」を観ている。夜、NHKテレビ「極東裁判」子供たちと観る。
8月18日(火)
帰宅。今日は麻季の四中の吹奏楽部が関東大会に出場できるかどうかをかけた大会。麻季、午後8時ごろ帰宅して関東大会出場できない3位だったと非常に落胆している。
8月19日〈水〉
自分が購入したアパートの住人の奥さんに子供が生まれるので出て行けないと言う事実がわかる。実質的に引越し不可能になる。不動産屋に別なアパートを紹介される。お芳と下見。
8月20日(木)
夜、麻季の吹奏楽部の活動が終わったお祝いに安ワインでお祝い。みんなで飲む。
8月22日(土)
これから連休だというのに引越しをしなくてはならない。隆正、麻季、旅男を連れて新しいアパートを見学。三人とも場所が高崎で本屋やレンタルビデオ屋が近いので喜ぶ。意外な反応。
8月26日〈水〉
引越しの日。12年住んだ伊勢崎の持ち家を失い、高崎のアパートに転居。引越し荷物を2回に分けて運ぶ。トラック1台、バン2台で4時過ぎにやっと作業終了。9時過ぎまで片付けし、外で食事。「ロイヤル・ホスト」で「ジャンバラヤ」いただく。旅男のみ「ロイヤル・ビーフカレー」。
8月27日(木)
午前中部屋の片付けに追われる。夜、隆正、旅男と3人で日本映画の独立プロの代表的存在である小川伸介の映画展観に行く。「通信生の記録」「山の学校の子ら」「圧殺の森」上映。観客まばら。3本とも暗い映画だが、自分も隆明も旅男も眠い眼をこすりつつ最後まで観る。旅男は「山の分教場の子供たちが一時間も歩いて学校に通うなんてみんな凄いねえ」と感動する。隆正は高崎経済大学のバリケードストライキに参加した学生達の一人が「俺は今から骨休めに軽井沢へ行くんだ」と言い出して学生同士で揉める場面が印象に残ったとのこと。
8月28日〈金〉
真夏日。隆正の机、旅男の机を家具屋で買う。エアコンを電気屋で買う。
エアコン,すぐに取り付けてくれる。わが家で初めてのエアコンに子供たちと居間に集まり、「涼しいね」「涼しいねえ」を連発。
8月29日(土)
家具屋から旅男の組み立て机届く。安い机なのに組み立てるのに家族総出で2時間近くかかる。
8月30日〈日〉
隆正、第1回模試のため、転校先の佐野中学に一人で行く。
8月31日〈月〉
隆正を連れて自転車を買いに行く。エアコン、箪笥、本棚、机、カーテン、金が羽が生えたように飛んでいく。
9月1日(火)
新学期。子供たち、新しい学校へ。隆正と麻季は佐野中学校へ。旅男は佐野小学校へ。旅男にはお芳がついていく。自分が事業に失敗さえしなければ子供たちに転校という精神的負担をかけることはなかったのにと思う。
9月4日(金)
隆正が突然塾に通いたいと言い出す。理由はわからないけれど、受験も近づいてきて焦りだしたのか。それとも転校が何か関係があるのか。特に反対する理由もない。今日は隆正のその塾通いの1日目。順子、隆正を高崎駅まで送っていく。前橋駅前にある自分が勤める予備校と関連する塾まで電車で行く。予定の時間になって、お芳が高崎駅まで迎えに行くも帰らず。心配していると反対方向の伊勢崎方面行きの電車に乗ってしまい、1時間近く遅れて高崎駅に到着。自分が迎えに行く。どこか間が抜けている。
9月12日(土)
起床9時。子供たち、学校の週休2日制の最初の日で休み。朝、旅男と街中へ出かけ本屋による。また、新しい本屋と古本屋を開拓しなくてはならない。
9月13日〈日〉
午後家族揃って高崎での初ドライブ。観音山へ行く。自分もここへ来るのは数年ぶりである。子供たちにジュースおごる。
9月23日〈水〉
秋分の日。麻季、転校先の佐野中学校でも吹奏楽部の部活続ける。朝から練習に出かける。夜、家族全員で近所のラーメン屋でラーメンいただく。ラーメン好きの子供たちの採点はシビヤーで星一つ。
9月25日〈金〉
旅男,風邪で学校を休んだにもかかわらず、夜にお芳、隆正、麻季と一緒に、前橋に歌舞伎公演「仮名手本忠臣蔵」を観に行く。
9月26日(土)
夜。子供たちが眠った後、レンタルビデオ屋に1本だけあった「行き行きて神軍」観る。衝撃的内容。奥崎謙三の生き方は凄いの一言。子供たちがもう少し大きくなってから見せた方が良い映画。
9月30日〈水〉
帰宅。隆正の第1回模擬試験の成績悪し。叱らずまだ時間はたっぷりあるからと励ましておく。勉強は勤勉が一番。
10月3日(土)
帰宅。子供たちと「ダイハードU」を観る。マクレーン刑事役のブルース・ウィルスのユーモアがいいのか。
10月5日〈月〉
帰宅。非常に寒い日。麻季に何年ぶりかに勉強教える。英語がもう少しなのである。それでも以前よりよほど勉強している
10月11日〈日〉
夜、旅男が歯が取れそうになっていると言うので、旅男の口の中に手を突っ込みぐらぐらしていた乳歯を引っこ抜く。旅男、恐怖の目で自分を見る。昔、四国の父親に虫歯をペンチで挟んで抜かれた時の恐怖を思い出す。
10月18日〈日〉
朝早く起き、麻季を起こしてやる。麻季、吹奏楽のパレードへでかける。
10月21日〈水〉
隆正、塾休む。理由は学校で理科の宿題を忘れたペナルティーとして、プリント20枚近くを2枚ずつ筆写するように命ぜられたとのこと。こんなことが許されていいのだろうか。教師自身がやってみろといいたくなる。いったい何時間かかると思っているのか。こんな恣意的なペナルティーが許されるなんて義務教育なんていったい何なんだ。常識と言うものがない教師が、ただ、自分の権力を誇示する為に、子供に課すノルマ。それも20枚もあるプリントを2枚づつ筆写させるという無意味さ。いったい自分を何様だと思っているのだ。権力を持った教師というものの持つ恐ろしさを内省してみろよ。あんたの人間的力量に子供が従っているんじゃないぜ。あんたの教師という権力に子供が従っているだけじゃないか。よほど、中学に殴り込みに行こうかと思ったが、隆正が律儀に筆写しているのを見て自分も付き合う決意をする。
10月22日(木)
昨夜から、隆正、徹夜して10時間かけて筆写終了。自分も隆正が終了するまで徹夜。自分は1時間仮眠しただけ。午後、隆正、帰宅して延々と眠る。
11月6日〈金〉
夜、BSで中国映画「周恩来」を観ていると隆正,塾から帰ってくる。一緒に観る。
11月9日(月)
夜遅く,塾から隆正帰ってきて、二人で進路の話をする。隆正は高崎高校を受けるつもりである。
11月13日〈金〉
帰宅,昨日録画したビデオ「神坂四郎の犯罪」を観る。森繁久弥、左幸子など出演者が皆若い。お話は「羅生門」にそっくり。旅男、音もなく居間に現れ自分の肩越しにテレビの画面を覗いていたが、この映画は自分にはお呼びでないと思ったのか静かに消えていく。
11月18日〈水〉
旅男、体育の時間にハードルを越えた時に転び鼻の下に名誉の負傷。
11月19日(木)
帰宅。アパートの家族4人の雰囲気がいつもと違う。なにか重苦しい空気が狭いアパートに漂っている。お芳も子供たちも妙に緊張している。隆正の眼つきも鋭い。なんだ、なんだ、これは。債権者でも現れたのか、不吉な予感に怯えつつ、ふと、テーブルの上を見ると外国郵便の封筒が一通置かれている。「あなた、オーストリアからよ。」というお芳の言葉に、「はて、オーストリアに親類、友人などいないが。」と手にとると何と宝籤ではないか。それも封筒の表面に「当たり籤」と書かれているのだ。「お前ら、中を開けずに父さんを待っていたのか。」8つの眼をコヨーテのようにギラギラ輝かせながら4人が黙ってうなずく。自分の喉も急激に渇いてくる。俺にも人生のつきというのがあったのだ。神様は公平なのだ。これで借金地獄から脱出できる。しかし、こんな場面ではどうしてみんな言葉を失うのだ。みんな不気味なほど押し黙っている。四人とも顔が硬直している。二ヶ月前か、海外宝籤という案内で応募したのだ。たしか、5万円を現金で送って、当たり券の四分の一の金額を得る権利があるはずだ。こうとわかっておけば20万円注ぎ込んでおけばよかった。しかし、本当に当たるとは。最高金額はたしか、10億円だったか。すると2億5千万。「父さん、早く開ければ。」欲望に負けたお芳が自分を促す。「当たっていたら今日はみんなで大パーティーだよ。」自分が震える手で封筒を開封した。それから当たり券を震えながら見つめた。1万2千円の当たり券だった。その四分の一だから3千円。全員が一瞬にして脱力感に襲われたのである。今度はいっそう重い沈黙がその場を支配した。二億五千万円から三千円への落差の激しいジェットコースター。エベレストからスキーで滑り落ちていくようなものだ。その一瞬ほど、家族全員が同時に人生を虚しく思ったことはそれまでなかったはずだ。その夜、自分が約束したパーティーがささやかにとりおこなわれた。
隆正「あれが本当に10億円だったら2億5千万円になったのだな。」
麻季「ぜいたく言わない。1億円でもいいわよ。」
旅男「俺は1千万円でも満足だよ。」
母さん「1百万でもよかったのにねえ。」
自分「いや、もう、せめて10万円でもよかったよ。」
情けない会話が夜遅くまで続いた。
11月20日〈金〉
夜遅く、隆正、塾から帰ってくる。隆正、最近、勉強の方法がやっと見えてきたと自分で言う。自信をもてたことは大きい。
11月21日(土)
帰宅。旅男、部屋中に漫画のキャラクターのカードを広げてうっとりと眺めている。子供はこういう時、何の夢を見ているのだろうか。
11月25日〈水〉
前橋で酒を飲み、電車で帰ろうと前橋駅に行くと塾帰りの隆正とバッタリ出逢う。隆正も自分も驚き、それから何故か照れ笑い。電車の中で「父さんも人生に疲れるよ。」と愚痴を言うと、「俺も疲れているよ」と隆正が答える。駅から自転車二人乗りで帰る。隆正、フーフー喘ぎながらペダルを踏む。
11月26日(木)
夜、旅男の誕生日。ケーキいただく。隆正の受験が近いというのに家の中はのんびりした雰囲気。旅男はもっかカード集めに熱中。
12月4日〈金〉
夜、ビデオ「アラビアのロレンス」を観ていると、隆正、塾から帰ってくる。食事をしながらいっしょに観る。ピーター・オトールはこれ一作で映画史上に残るのか。
12月5日(土)
夜、隆正と古本屋へ行く。二人で選んだ文庫本10冊近くを1500円で買う。帰宅すると、今度は麻季と旅男が「アラビアのロレンス」のビデオ観ている。昔、四国の田舎の高校生の頃、生徒に人気のあった中年の英語の先生が「俺はあの映画を観て教師をやっていていいのかと思ったよ」と授業中に語り、自分も含めた生徒たちが共感の笑いを上げたのを思い出す。
12月11日〈金〉
高崎で同僚と酒を飲む。帰宅途中、検問に出会い、酒気帯び運転で反則切符切られる。警察が代行車を呼んで帰宅。お芳にさんざん説教される。隆正、高校入試の模試の結果良し。
12月12日(土)
夜、隆正が「酒気帯び運転なんて犯罪そのものだろう」と自分を非難。お芳を筆頭に家族全員が同調。針のムシロ。
12月20日〈日〉
隆正が行きたい、行きたいと言っていた東京の神田の古本屋街に出かける。御茶ノ水駅で降り、駿河台を下っていくと、何と日曜日のため、古本屋はほとんどが定休日。二人の足取り一瞬にして重くなる。それでも二、三軒開いている古本屋を覗いていく。ある古本屋の前の路上に何十巻という英語版の「レーニン全集」が一万円の殴り書きされた値札をつけているのに驚く。年の瀬にレーニン寒し神田下。隆正、リュックまで担いできたというのにどうしようもなく帰路につく。帰宅。今日は自分の45歳の誕生日。ささやかなパーティー。お芳の手作りのケーキいただく。隆正は安ワインを焼け飲み。
12月22日(火)
レンタルビデオ屋で借りてきた「JFK」学校から帰ってきた子供たちと一緒に観る。
12月23日〈水〉
午後、お芳と麻季、旅男は映画館に「ゴジラVSモスラ」観に行く。麻季と旅男、「ゴジラVSモスラ」2回続けてみたとのこと。
12月24日(木)
研修日。午後。クリスマス・プレゼントに隆正と麻季に目覚まし時計を買いに行く。旅男を連れてファミコンショップに行きファミコンの攻略本を買う。帰宅。クリスマスパーディー。シュークリームつきのケーキいただく。子供たち食べるのに忙しい。麻季も旅男も、幼稚園の頃は、サンタクロースは本当にいると信じていたとのこと。サンタクロースが実在しないのがわかった時に子供は子供でなくなっていくのか。
12月31日(木)
2時ごろ、テレビをつけると、少女5人が集団飛び降り自殺をしたという臨時ニュースが各局で流れている。空恐ろしい事件。麻季のことを反射的に考える。
1993年(平成5年)
1月1日〈金〉
起床11時。シャワーを浴びて、ビール。子供たちと新年のご挨拶をしてお年玉渡す。四国と町田に電話で新年のご挨拶。
1月2日(土)
起床8時。ぐっすり眠る。家族全員で買い物に出かける。まずホームセンターへ行き旅男のバーコードゲームを買う。それからディスカウント店でCDプレーヤーを買う。最後に古本屋へ行き古本を2500円近く買う。
1月15日(金)
成人の日。久し振りの雨。午前中、旅男と一緒にロレンス・オリビエ主演のイギリス映画「ハムレット」途中まで見る。
1月21日(木)
朝、テレビでアメリカのクリントン大統領の就任式の一部を見る。病院へ行き、日帰りの人間ドック。帰宅し、子供たちにバリウムを飲んで胃の検査をした話をする。旅男の質問「バリウムというのを胃に飲み込んで胃の中のバリウムを映してどうするの?」「医者になればわかるよ。」と答える。
1月24日〈日〉
起床8時30分。雪。朝寝坊の家族全員を起こす。全員にブーブー文句言われる。
1月25日〈月〉
隆正、群馬育英高校の入学試験に特待生合格。
1月31日〈日〉
隆正、お芳を連れて明日の東京農大二高の試験のため農大二高まで下見のドライブ。その後、山田かまち美術館に寄る。人間は夭折することによって美化されるものなのであろう。夜、兄さんは試験だから皆早く寝るようにというお芳の鶴の一声で全員布団に潜り込む。
2月7日〈日〉
夜、麻季、旅男と一緒に、BSでアメリカ映画、ジョン・フォード監督「荒野の決闘」見る。ワイアート・アープ役のヘンリー・フォンダは最高。ワイアート・アープとクレメンタインが野外でダンスを踊る場面を子供たちニコニコしながら観る。
2月8日(月)
帰宅。子供たちとBSでルネ・クレマン監督「太陽がいっぱい」観る。子供たちの印象に残ったとのは、アランドロンが映写機に自分が殺した友人であるモーリス・ロネの小切手のサインをスクリーンに映しながらトレーシングペーパーの上にそのサインの練習をする場面。
2月13日〈土〉
帰宅。夕食。子供たちBSで「アラビアのロレンス」観始める。以前に一度観たはずなのだが。よほど気に入ったのか。
2月17日(水)
隆正が通う塾の国語の先生より隆正の書いた作文見せられる。文章がしっかりしていると誉めていただいたのだが、文章よりも文中の「自分は暗い性格である」という表現がひどく気になる。
2月20日(土)
市立図書館へ行き、NHKライブラリーのビデオ「交信を傍受せよ・2・26事件」と「ときわ荘の人々」借りる。夜,子供たちと「ときわ荘の人々」観る。手塚治虫、赤塚不二夫などの漫画家が登場してくるので子供たち真剣に観る。守安さんという一人漫画家として売れずに取り残された人の運命が過酷である。
2月21日(日)
麻季とレコード店へ行き、麻季が大好きだと言う「自由の大地」(テレビ新世界紀行のテーマ曲)のCD買ってやる。3千円もする。夜,隆正,いよいよ公立高校の入試も近づき、緊張気味である。しかし,他の家族はそうでもなく何かが違う。
3月1日(月)
帰宅。お芳の誕生日。ケーキいただく。隆正高校入試まで後2週間である。お芳の誕生日と隆正の合格を祈ってみんなで安ワインで乾杯。こんなことをしている方が危ない感じがするのだが、子供たちは楽しんでいるだけ。
3月3日〈水〉
自分が勤める予備校の関連塾でのへ激励会。自分も呼ばれて飛び入りで話すも100人近い生徒の中で最前列中央に隆正の姿を発見。隆正、困ったような表情でこちらを見つめる。
3月7日〈日〉
明日は隆正の入試なので同じ部屋で寝る旅男に昼寝をしないようお芳が口をすっぱくして言う。心なしかアパートの中に緊張感のごときものがある。深夜、雨降り出す。
3月8日(月)
朝7時起床。隆正、よく眠れたとのこと。いよいよ試験会場の高崎高校に向うというので家族で激励。これで千人針でも身につけていれば出征兵士である。夜、帰宅すると、隆正すでに草臥れた表情で帰っている。試験は実力を発揮できたとのこと。その言葉で隆正の合格を確信する。
3月15日〈月〉
発表を観に行ったお芳と隆正、帰ってくる。合格したとのこと。お芳、隆正、ともに声が一オクターブ高い。やはり9月からこの3月まで高崎から前橋まで塾に真面目に通った努力が大きいのか。しかし、一方で受験まで隆正自身あまり苦労しなかったような気もする。夜。家族で隆正合格のパーティー。パーティーの場で酔った隆正から驚くべき話を聞かされる。わが家が伊勢崎から高崎に引っ越したのは高崎高校を受験するためであるとの噂が隆正の通っていた伊勢崎の中学で囁かれているとのこと。そういう考え方もあるのかと思う。そういう噂をしている人々のところに出かけて行って借金でマイホームを失った話をしみじみとしたくなる。
3月20日(土)
久し振りの連休。昼食。お芳の手作りのおはぎいただく。おはぎをいただきながら今日が春分の日だったことを思い出す。
3月21日〈日〉
起床8時。家族で市立図書館へ。開館9時だと思っていたら10時なのでガッカリ。図書館の向いのデニーズで朝食摂る。トースト、コーヒーなどでお勘定2600円。涙の出費。午後2時過ぎ、旅男、一人、行き先も告げず家を飛び出して行く。5時すぎ、旅男、ぐったりした表情で帰ってくる。どこへ行っていたのかと聞くと近くの書店で立ち読みしていたとのこと。
3月31日〈水〉
起床8時。子供たちにしっかり留守番するように頼み、お芳と新幹線で京都へ向う。借金をした時のお芳の苦労に報いる為のセンチメンタルジャーニー。いまだにあの時の傷はお互いに癒えていない。
4月1日(木)
京都から山陰線で城之崎へ。城之崎温泉で一泊。夕食に旅館で出たカニ料理をいただいていると、職場の同僚から電話。新年度のカリキュラムについての相談。これには閉口。お芳とこの温泉街の自慢だと言う外湯巡りをする。昔、東京の千歳船橋で生きていた頃、お芳と長い道のりを銭湯まで歩いたことを思い出す。
4月2日〈金〉
城之崎から日和海岸、玄武洞を廻る。春の日本海は美しい。京都へ戻る。二泊三日の予定だったが、京都でもう一泊することになる。東本願寺、御所、四条河原町を散歩。こんな贅沢もこれが最後のような予感がする。
4月3日(土)
朝、バスで延暦寺へ。山の空気は清々しい。新幹線で東京へ。帰宅、3日ぶりの子供たちは元気である。麻季が食事の世話をすべてしてくれたとのこと。麻季は偉い。しかし、3日ぶりに子供たちに合うと一段とたくましくなったように見えるから不思議。この旅行でお芳が好きな和歌を教えられる。「願わくば花の下にてわれ死なんこの如月の望月のころ」〈西行法師〉
4月11日(日)
晴天。子供たちと久し振りに群馬の森へ。桜見物に他の場所に行っている人が多いのか意外と人出少なし。子供たちと二時間ほど散歩。隆正が高校1年生。麻季が中学2年生。旅男が小学6年生となる。歳月人を待たず。
4月29日(木)
みどりの日。朝、パソコンを買うことを思いついて、パソコンランド、ビックカメラを廻る。旅男は買おう、買おうと言う。パソコンでゲームをして遊ぼうという魂胆は見え見え。パソコン本体、プリンター、ハードデスクなどを加えると30万近くなってしまうのでさっさとあきらめる。
5月2日〈日〉
連休1日目。終日雨。午後、順子、隆正、麻季、旅男、音楽センターへ。高崎女子高校演劇部公演「真夏の世の夢」を観に行く。
5月4日(火)
夜、隆正と麻季、野田秀樹主宰の夢の遊民社「半神」のビデオがよほど気に入ったのかその話ばかりしている。自分と旅男は完全に置いてけぼり。
5月6日(木)
お芳の報告によると、麻季の担当の先生の家庭訪問があり、麻季このままでは公立高校の受験さえも難しい成績だと言われたとのこと。麻季を説教しながら、隆正も呼び勉強の方法について話し合う。
5月9日〈日〉
起床10時。隆正、朝6時30分に起きて近くをジョッキングしたとのこと。昔、旅男が相撲取りになるのだと言って1日だけ朝早くジョッキングしたことを思い出す。
5月15日(土)
午後、中古パソコン、プリンターつきで10万円で買う。帰宅して子供たちと一緒にパソコンの動かし方研究。自分より熱心なのは旅男である。今年よりJリーグサッカー開幕。
5月16日〈日〉
午後1時前、隆正、旅男と近くのキリンビール工場が年一回開く「キリンビール祭り」へ行く。快晴で気温高いため人手多し。ビール二杯飲む。旅男、ゲームに挑戦。暑すぎて気分悪くなる。昼寝。四国の田舎で小林旭の「惜別の歌」を歌いながら自転車で道路を走っている夢を見る。
5月18日(火)
前橋で授業終了後、隆正が通い始めた演劇サークル「円形舞台」の練習場まで迎えに行く。主宰者は大学の教授とか。隆正がどうして演劇を始めたのか自分にもわからぬ。もしかしたら野田秀樹の影響ではないかと思ってしまう。9時30分、隆正、練習終り、一緒に車で帰宅。隆正、演劇の訓練のため体の端々が痛いと言う。
5月20日(木)
帰宅。夕食。ビールを飲んでいて今日が結婚記念日だということを思い出し、隆正にケーキを買いに行かせる。家族で祝杯。
5月29日(土)
帰宅。麻季と散歩。麻季中間試験の結果がよかったので、自分に自信を持ってきたようである。
6月8日(火)
夜、前橋で授業。終了後、隆正の「円形舞台」に迎えに行く。隣のレンタルビデオ屋で、新東宝映画、佐分利信監督の「叛乱」借りる。
6月9日(水)
昨夜遅くから朝方まで「叛乱」一人で観る。素晴らしい映画である。2・26事件を描いた映画ではこれが最高。細川俊夫の安藤輝三大尉もいい。皇太子の結婚式の朝に「叛乱」を観るのも不思議な感じがする。テレビ、一日中、皇太子の結婚について、うんざりするほど大量の報道を繰り返している。まるで、皇室がテレビジャックをしたような雰囲気。子供たち、まったく関心が無い。
6月20日(日)
職場の経営者が病気。昔からお世話になっている人なので、進雄神社に行き神主にお払いと快癒の祈祷を頼む。こういうことをするなんて自分も歳をとったものである。帰宅。父の日。家族よりクッキーいただく。家族でレンタルビデオ屋へ行き、ソビエト映画、アンドレ・タルコフスキー監督の「惑星ソラリス」借り、家族で観る。内容が哲学過ぎるのか、途中で家族の誰も居間からいなくなる。
7月11日〈日〉
午前中、お芳、隆正、旅男と群馬の森の群馬近代美術館へ行き、「アフリカ彫刻展」を観る。
7月20日(火)
起床9時。小学校、中学校高校の終業式。麻季、旅男帰ってくる。通知表、旅男まあまあ。麻季悪し。隆正悪し。
7月1日〈日〉
隆正が質問したので珍しく隆正に英語教える。
8月2日〈月〉
夜、子供たちと一緒にBSで「ジョーズ」観る。アイデアと企画の勝利か。「007危機一発」のロバート・ショウが懐かしい。
8月14日(土)
夜、清水の舞台から飛び降りたつもりになって家族全員でワシントンホテルで食事。隆正、麻季、旅男、ともにこういう場所に慣れないせいか神妙な表情をしている。3人ともメニューを見ながら自分の顔色を窺がう。自分もハラハラドキドキしながら子供たちのオーダーを聞く。お勘定2万円。ホテルを出てから「明日からは、麦飯だぞ」と子供たちに叫ぶ。
8月16日〈月〉
旅男、風邪のため林間学習欠席。この男は何か学校の行事がある前日に必ず腹痛を起こしたり風邪を引いたりする。心因性の病気なのか。「植物になりたい」という言葉が頭を横切る。
8月28日〈土〉
麻季、一人で町田の実家に帰省。隆正、旅男と一緒に高崎駅まで見送る。
8月29日(日)
麻季、午後8時過ぎ、町田から帰ってくる。たった1日の帰省。中学1年生の冒険旅行か。
9月1日〈水〉
新学期。隆正、麻季、旅男、学校に出かける。
9月11日(土)
朝、旅男とサンピア高崎という場所で開かれた「全国蚤の市」という催しに車で行くも会場にその雰囲気なし。フロントの人に聞くとその催しは1週間後とのこと。新聞の折り込みチラシの日付けを見間違ったのである。旅男に中古のファミコンソフトがあったら買ってやると約束していたので旅男恨めしそうに自分を見る。
9月14日(火)
前橋で授業終了後、円形舞台へ隆正を迎えに行く。帰路、隆正、校内模試60番前後とのこと。
9月19日(日)
9時40分緒の新幹線に乗り上京。お芳と町田私立病院の義父を見舞う。久し振りにお会いしたが思ったより元気そうである。義父は単なる肝臓病と考えているとの話。病院を出てお芳、義母、義妹と食事。
9月25日〈日〉
朝方、町田に帰っているお芳より電話。義父、病状重いとのこと。旅男と市立図書館へ。昼食、隆正、麻季、旅男を連れて朝鮮飯店へ。8000円近く食べてしまう。子供たち焼肉を喰って喰って喰いまくる。子供は父親の財布とは一切相談しないものである。
10月6日(水)
帰宅。隆正、1年生の全国統一模試で高崎高校で学年10番の成績だったと嬉しそうに言う。