トップに戻る

「子育て日記」・・家族の絆を求めて

第3章 中学生時代

1994年(平成6年)

11日(土)

午前10時起床。朝、目を覚ましたときに寝ぼけていたのかお芳の頬にキス。子供たちと新年の挨拶。これは子供たちにとってはお年玉をもらうための儀式にしか過ぎない。しかし、子供たち、3人が正座して「お父さん明けましておめでとうございます」「お母さん明けましておめでとうございます」と挨拶されるのも満更でもない。四国と町田のおばあちゃんに新年のご挨拶の電話。それから家族で進雄神社へ初参り。快晴の日ではあるが風は冷たい。御神籤、自分は大吉。帰宅してテレビ観ながら寝正月。もう子供たちも大きくなり凧揚げもしなくなった。

13日〈月〉

朝、麻季、旅男とパン屋へ行きパンを買う。おせち料理にも子供たちうんざりしている。しかし、昔に比べ今の子供は本当にお餅を食べなくなった。朝食後、旅男を連れて高崎競馬へ。超資本主義者である旅男はこういうことには突然真剣になる。素人二人で検討した馬券は1レース入るも結局は負け。

1月9日〈日〉

隆正、学研模試へ。麻季、旅男に録画してもらったビデオ「スラムダンク」を観ている。

115日(土)

成人の日。午後、旅男と一緒に高崎競馬へ。8レース、9レース賭けるも外れ。自分も旅男も競馬の勉強が全然足りないのである。

1月28日〈金〉

帰宅。雪がどんどん降ってくる。子供たち、窓から雪を見ている。「こういうしんしんと雪が降り積むときの酒は格別だぞ」と、いい加減なことを言って子供たちとライムで割ったジンを飲む。「ジンを飲むとどうなるか知っているか」と子供たちに聞いても誰も返事しないので「頭がジンジンして来るんだ」と言ったが誰も笑わず。

130日〈日〉

夕方、旅男と「つた屋」へ。ビデオ小林正樹監督「人間の条件第5部」「第6部」大島渚「儀式」借りる。池袋の文芸座(または人生座?)でオールナイトの「人間の条件」一挙上映を見たのは遠い昔である。旅男、ジョン・ヒューストン監督の「天地創造」を借りる。

2月1日(火)

隆正、円形舞台での演劇の練習再開。授業終了後、迎えに行く。そう言えば昔浪人の時は失語症的に寡黙な男だった奴が大学に入学して演劇部に入りたった三ヶ月しかたっていない夏休みに予備校に遊びに来て、躁状態のように喋りまくる人物になっていたことを思い出す。

2月12日(土)

起床すると、外は一面銀世界。隆正、渋谷に野田秀樹の演劇を観に行く。帰りは高崎駅までは大丈夫だったが、駅からアパートまで自転車は危険なので歩いたとのこと。

2月14日〈月〉

バレンタインデー。お芳と麻季よりチョコレートいただく。

2月16日〈水〉

夜、塾に麻季を迎えに行く。車で帰宅の途中、麻季が「兄さんはあまり女の子にもてないんだって?」と唐突に尋ねる。「お父さんほどには無理かもね」と適当に答えておく。何を考えているのか。

2月23日〈水〉

塾に麻季を迎えに行く。麻季、期末試験近く燃えている。

31日(火)

お芳の誕生日。バラの花をプレゼント。夜、誕生祝いにみんなで安ワインいただく。自分から、「妻の誕生日のプレゼントにバラの花を贈るなんてかっこいい親父がどこにいるか」と自己宣伝する。こんな時でも点数を稼いでおかないと思って言ったのだが、全面的裏目。全員、自分の話にシカト。

33日〈木〉

起床7時。旅男、風で学校休む。隆正、期末試験。麻季の部屋にお雛様が飾られている。

313日〈日〉

隆正たちも全員休みで今日はのんびりしている。朝食の後、今日の夜は食べ放題の店に行こうということになり、朝から、子供たち気合入りまくり状態になる。夜、家族全員で「グルメドール」へ出撃。料金、一人1600円。全員、必死で食べる。最後近くは42キロのフルマラソンを走りぬいたようにハーハー肩で息を弾ませながら食べる。自分も、焼肉を腹一杯食べた後。昔、自分が小学校の時には、高級嗜好品のごとく扱われていた、パイナップルやオレンジを皿一杯に盛り上げていただく。帰宅9時過ぎ。全員ぐったり。

3月20日〈日〉

夜、お芳と子供たち、自分が教えた予備校の卒業生が所属するアマチュア劇団が野田秀樹「半神」の公演をするので出かけていく。お祝いの花を渡すように頼んでおく。

3月26日(土)

今日は佐野小学校の卒業式。旅男も卒業。いよいよ中学生である。帰宅してケーキとワインで旅男の卒業お祝いパーティー。小学校に入る前はあれだけランドセルをしょって早く小学校に行きたいと跳び跳ね廻っていた子供が、もう卒業するとは。

3月27日〈日〉

午後、隆正と文化会館へ。お芳も後からくる。高崎映画祭、催陽一監督「月はどっちに」を観ようとして立ち席になってしまうというので自分はやめる。帰宅した隆正面白かったと言う。

4月8日〈金〉

旅男、いよいよ中学1年生。今日は佐野中学の入学式。あまりうれしくもなさそうである。小学校の入学式の時のはしゃぎ方と雲泥の差。入学式、お芳が出かける。

4月9日(土)

夜、隆正のバースデーパーティー。今日は旅男の中学入学祝いも兼ねている。隆正も17歳で高校2年生である。麻季中学3年生、旅男は中学1年生。

5月1日〈日〉

子供たちも連休に入る。午後、家族全員でターミナルホテルのレストランへ。ケーキ食べ放題のイベント。料金一人1200円。レストランの前には既に30人ほどの列が出来ている。列を見た途端に隆正も麻季も旅男も真剣な表情になってくる。5人とも必死で食べまくる。自分が和菓子を食べようとするとお芳が「和菓子はお腹が重くなるから駄目よ」と実に適切、専門的な忠告をしてくれる。30分近くで5人で普通のケーキのサイズより一回り小さいプチ・ケーキを100個食べたとのこと。自分は満腹というよりげっそりとした状態になる。レストランを出た後、ロビーで一休みしていると、麻季が「家族であんなに沢山食べたら今度は恥ずかしくてこれないわねえ」と言う。

5月3日(火)

憲法記念日。家族旅行に10時出発。関越の高崎インターに乗るも、前橋、渋川で渋滞。1時間もかかる。140号線で武尊牧場に行くも見事に何も無し。季節外れなのか牛一頭いない。川を見ながら河原で昼食のおにぎりいただく。210号線(?)で尾瀬戸倉温泉に到着。旅館の和室、二部屋借りる。大清水まで行き水芭蕉見る。夕食。それほどでもなし。旅男は食事の量と品数に満足している感じ。テレビをぼんやり見ていると、襖一つ隔てた隣の部屋で隆正が麻季と旅男を相手に演劇について大演説をぶっているのが聞こえてくる。可哀相な妹と弟よ。しかし、四国と町田に帰省する以外、家族全員で泊りがけの旅行をするのは今回が初めてである。

5月4日〈水〉

起床7時。8時、朝食。家族全員でここの朝食はひどいと言う。10時、チェックアオウト。車で大清水に向い、ハイキングをしている様々なグループに混じって歩き出す。3時間歩いて雪道に到達する。お芳、麻季、旅男の順に脱落。自分と隆正は後1キロのところで疲れて断念。隆正とおしゃべりしながら帰り道を下る。帰り道で待っていた旅男が自分と隆正の姿を見てホッとした表情をするので、どうしたのかと尋ねると、「もし、雪道で父さんと兄さんが遭難して死んだらどうなるのか、心配していたんだ」と言う。大清水より帰路につき無事に高崎に到着。夕食の時に子供たち「あの旅館の食事より母さんの料理の方がおいしいよ」と言う。お芳、まんざらでもない様子。

5月5日(木)

連休最後の日。起床10時。全員グロッキー気味。昨日のハイキングがきつ過ぎたのか。夜、またまた連休無事終了の家族パーティー。ポテチと安ワインをテーブルに並べればいつでもできるパーティーなのである。

5月20日〈金〉

職場で、不意に今日が結婚記念日だったことを思い出し、バラの花を手配する。結婚して22年になる。夜、またまたパーティー。わが家は自民党の政治家よりもパーティーを開いているのではないか。献金はどこからもない

5月25日〈水〉

麻季、中学の修学旅行で京都、奈良へ行く。麻季が京都から電話してくればいいのにと思う。

5月30日〈月〉

起床10時。隆正中間テストの成績悪し。麻季、旅男、中間試験の勉強。

6月4日(土)

麻季、旅男、ともに中間試験の結果よかったとのこと。一安心。

6月18日(土)

麻季、学校で書いた作文を先生にクラスで読み上げられたとのこと。人間関係について書いた作文だというが、結局、自分は内容を見せてもらえず。

6月19日〈月〉

夜、子供たちとBS芸術劇場でマルセ太郎「映画のない映画館(?)」を観る。マルセ太郎が小栗康平監督の「泥の川」を一人語りで演じる。途中で涙が滲んで子供たちに隠すのに苦労する。

7月2日(土)

起床11時。子供たち,試験で早く帰ってくる。隆正,数学,物理出来た.麻季は英語が出来なかった。旅男は理科が出来た.とのそれぞれの報告を聞く。

7月10日〈日〉

午後,隆正,旅男を連れて玉村の社会体育館へ。3人で運動。汗をかくのが体に一番いいのである。旅男はアスレチックの器具に興味津々のようである。帰りに群馬の森に寄り美術館で「アンデス展」観る。夜は風もそよと吹かないひどい熱帯夜。家族全員、もがき苦しんで寝る。

7月12日(火)

起床8時。清水内科へ。検尿,血圧の測定結果に異常なく、糖尿病の心配はないとのこと。一安心。夜,麻季に「今日は父さんは明るいね」と言われる。地獄の熱帯夜が続く。

7月16日(土)

隆正の全国統一模試の成績、学年で55番。なにやら成績が下がっていく一方である.何も文句は言わず。麻季は期末試験学年で18番。素晴らしい成績である。これで自信を持ってくれればいいのだが。

7月20日〈水〉

子供たち、終業式。通知表もって帰る。10時過ぎ、旅男の発案で旅男の風邪が治ったことと1学期が無事終了したことを祝ってパーティーを開こうということになる。安ワインで乾杯。

7月24日〈日〉

起床10時。隆正、旅男を連れて玉村の社会体育館へ。トレーニングルームは35度近くあり、立っているだけで汗が吹き出てきそうになる。帰宅。麻季も部活、塾の夏期講習といそがしそうだる。それでも午後は恒例の全員昼寝時間。

8月5日〈金〉

9時間授業3日続きぐったり。眠い、眠いと思いながら、BSドラマ「エトロフ遥かなり」を3日連続で最終回まで観てしまう。主人公役の俳優を家族全員気に入ったせい。

8月6日(土)

出勤。8日間連続の授業も今日でいったん落着。帰宅。隆正、何が気に入ったのかドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」読み続けている。

8月7日〈日〉

午後、旅男を連れて玉村の社会体育館へ。トレーニングルームの室温は40度近いと受付の職員の方が教えてくれる。運動をし始めた途端に汗噴出す。終了後、グランドのベンチの木陰に腰掛けていただくポカリスエットの味はまた格別。一切の悩みは消えて極楽である。

8月13日(土)

夜、家族5人で食べ放題の「グルメドール」へ。最近、焼肉以外に寿司も加わったのでいっそう食欲が加速される。やはり、隆正、旅男、自分がもっとも沢山食べる。食べながら、旅男が最近覚えた四字熟語「酒池肉林」「酒池肉林」と満足そうに呟く。

8月14日〈日〉

起床9時。午後、お盆で町田に帰省するお芳を高崎駅まで麻季と見送る。

8月15日〈月〉

終戦記念日。夕方、嫌がる隆正を連れ出し南陽台までドライブ。隆正と麻季はだんだん自分とともに行動することや散歩することを嫌がっているような雰囲気。夕食はとんかつ。自分は、ビール、冷酒を飲み、とんかつを食べご飯を一膳、味噌汁、それから、ビスケット、飴玉、最後にアイスクリームを二個食べフルコースが終わる。先日の糖尿病の悪夢なんか吹っ飛んでしまっている。子供たち、ポテチをいただく。どうしてこんなにうちの子供はポテチが好きなのか。

8月16日(火)

起床9時。お芳より電話。高崎駅に迎えに行く。町田より元気に帰ってくる。

8月17日〈水〉

起床7時30分。隆正一人で東京へ演劇を観に行く。旅男とビデオ「クリフハンガー」観る。山岳アクション映画。

8月18日(木)

朝、6時起床。7時20分出発。麻季、部活のために旅行に参加できず、一人でお留守番。関越高速の長岡インターで北陸高速に出て糸魚川インターへ。ここまででもう3時間かかってしまう。北陸高速、トンネルの多さに驚く。山道を延々と登りつづける。蛇行した細い道が続き運転にうんざり。正午過ぎやっと旅館に到着。隆正、旅男と露天風呂に入る。4人でビールで乾杯。テレビ観ながら4人で雑談。山の天候は変わりやすく、夜中、激しい雨と雷が続く。

8月19日〈金〉

起床6時。快晴。旅男と露天風呂へ。朝食後、松本へ出発。途中、青木湖でボートに乗って写真撮る。松本で隆正が生きたいと行った浮世絵美術館と旅男が行きたいと行った司法博物館に寄る。司法博物館の中に旧松本少年刑務所の拘置部屋が公開されている。その狭さに驚く。閉所恐怖症の人間は慣れるのに大変だったのでは。予定のホテルに到着。9時過ぎ、4人で外へ出て温泉街の店でかき氷いただく。

8月20日(土)

起床7時。8時朝食。車で美ヶ原に向う。美ヶ原、風は涼しく気持ちよし。ハイカー多し。昼食、予算の関係でジンギスカン鍋が山菜うどんとなり旅男むくれてしまう。佐久に出て帰路につく

8月23日(火)

お芳、体調が悪いので医者に行く。帰宅すると、お芳にお酒を飲みに行きましょうと誘われる。結婚して以来、何百回も自分が酒に誘ったことはあるがお芳からは初めて。雨の中駅前の「ケンタ」へ行く。お芳、医者より子宮筋腫と告げられ、極度の不安に陥っている。あまり酒も進まず、帰宅して、布団の中に入って考えごとをしていると、お芳、自分の手を握ってくる。眼が涙ぐんでいる。「大丈夫だよ」と慰めていると、自分では癌ではないかと思っているとのこと。父の肺癌の時の激痛を思い出すと自分には耐え切れないと涙声で言う。午前3時ごろ、ウトウトしていたところを蚊に喰われて目が覚める。お芳、眠っていなかったのか香取線香を点けてくれる。旅男、蚊に喰われて眠れないと言って布団の中に入ってくる。旅男を挟んで眠る。

8月24日〈水〉

お芳、朝食の時、家族の前で無理に明るそうな表情をしている。お芳、清水内科に行きかかりつけの先生に相談。先生が直接お芳の病名を告げた医師に電話してくれる。その話によると良性の子宮筋腫とのこと。お芳、少し、安心した模様。

8月26日〈金〉

麻季の誕生日。15歳となる。お芳、つとめて明るく振舞う。ケーキとポテチでパーティー。子供たち、お芳の病気について何も知らず。何も知らせず。

8月29日(月)

麻季、塾へ。旅男、柔道の部活へ。旅男、部活から早く帰ってくる。練習をせずおしゃべりをしていたとのこと。どういう柔道部なのか。

9月31日〈水〉

夏休み最後の日。隆正、麻季と古本屋へ。古本2400円で10冊近く買う。3人でかき氷屋さん探すもなく帰宅。旅男、ウンウン唸りながら夏休みの宿題に追われている。夕食後、旅男に「宿題が終わらなければ今日のパーティーは中止だぞ!」と通告すると、チャップリンの「モダンタイムス」に登場する労働者のようにハチャメチャに急いでやりだす。10時にやっと終わる。家族全員で安ワインいただく。今年は麻季が本当によくがんばったのである。

9月1日(木)

始業式。帰宅すると、隆正の全国統一模試の結果返ってきている。なかなかいい成績なのである。

9月2日〈金〉

帰宅11時。旅男、昼寝をしたため眠れないと言う。家族で、居間でいると、先に眠った隆正が寝言を言っているのが聞こえてきたので全員耳を澄ませて聴くも内容わからず。隆正、すぐ静かになる。

9月3日(土)

自分が勤める職場で長い間アルバイトをしていた大学生が交通事故で亡くなる。葬儀の香典を同僚に頼む。帰宅、子供たちには交通事故には気をつけるようにと珍しく説教。つい2日前、文庫本で読んだ在原業平の「ついにゆく道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思わざりしを」を子供たちに覚えろと教えたところだった。

9月6日(火)

出勤。授業2時間。すぐに高崎国立病院へ。お芳と産婦人科の待合室で合う。自分も立ち会って担当の先生と手術の日取りを10月12日に決定。手術は全身麻酔。時間は2時間程度。盲腸を切る程度の手術ですよ担当医は言う。

9月15日(木)

敬老の日、朝より雨。お芳と高島屋へ。「京都物産展」観る。お茶の葉を買う。ターミナルホテルのロビーでコーヒー。話はどうしても病気のことになる。帰宅すると、家の中は静まり返っている。子供たち、見事に昼寝をしているのである。まるで家族5人で老人生活を送っている雰囲気。

9月16日〈金〉

帰宅、酒。布団に入るも、お芳、不安で眠れそうもない。自分もつきあって朝方までボソボソと、東京の神田で「リクルートセンター」に勤めていた時のこととか、家族のこととか、病気のこととかを話す。

10月6日(木)

旅男、中学の運動会でリレーのアンカーを務めクラスが1位になったとのこと。隆正、河合塾全国統一模試、高崎高校で英数で38位。英国で28位。一応、筑波大学医学部。判定Bになっている。旅男、隆正、元気で家中盛り上がっているところに中日が阪神に勝ち、巨人がヤクルトに負けたので、旅男と一緒に万歳三唱。これで中日VS巨人の優勝決定最終戦となる。自分が子供たちに教育したのはアンチ巨人になることぐらいか。

10月9日〈日〉

起床8時。お芳、入院のため、国立病院へ連れて行く。帰宅後、子供たちに今までの経過を報告。2000円づつこれからの苦労料(?)をカンパ。麻季と今日の食事の買い物。

10月10日〈月〉

朝、お芳がいないので礼服を探すのに四苦八苦。11時伊勢崎の式場へ。卒業生の結婚式。懐かしい卒業生たちに合う。もう全員30歳になっている。珍しく酒一滴も飲まず。

10月12日(水)

午後、隆正と国立病院へ。2時、町田より義妹が駆けつけてきてくれる。3時、お芳、手術室に消える。3人で待合室で落ち着かない気持ちでいる。4時20分。執刀の先生、手術室から現れて無事手術終了したことを告げる。病室に運ばれたお芳、顔が蒼ざめている。麻酔が切れたのか苦痛の表情を浮かべる。痛み止めの注射をしてもらう。

10月13日(木)

起床8時。国立病院へ。お芳、昨日より元気になっているので安心する。

10月14日〈金〉

起床7時半。車でごみ捨てに行く。出勤。午後、バラの花を買って国立病院へ。病室がバラの花で少し明るくなる。順子、点滴をしながら自分でトイレに行けるようになったと言う。大昔、お芳と結婚した頃、腰痛で千歳船橋の病院に入院していたある深夜、隣の空きベッドに救急患者が担ぎこまれた。苦痛で呻き声を上げるので自分も可哀相になって眠れずにいた。次の日に起きてみるとその人は髭面の凄く体格のいい人で国士舘大学で柔道をやっている学生だと聞いて昨日の子供のような呻き声を奇妙に感じたと言うと、お芳、力ない笑いを浮かべる。

10月23日〈日〉

起床9時。麻季、旅男を連れて国立病院へ。お芳、表情が明るくなっている。夜、子供たちを慰労する為に「グルメドール」へ行く。今日は一人2000円のしゃぶしゃぶをいただく。しゃぶしゃぶを文字通り命がけでいただき、帰宅して体重計に乗る。「グルメドール」出発前より隆正、1.5キロ。旅男2キロ。自分も2キロ体重が増加している。麻季は後からこっそり体重計に乗りながら公表はせず。乙女の恥じらい。

10月24日〈月〉

国立病院へ行き、2時間近く待たされ、会計を済ませ、やっとお芳退院。家に連れて帰る。夜、子供たちと五人で夕食。家の中が再び明るくなる。

10月30日〈日〉

起床10時。旅男、市の柔道大会に出場し、一回戦は勝つも二回戦に負けたとのこと。隆正、高校で模試を受験。終わって一人で「パルプフィクション」を映画館へ観に行く

11月3日(木)

文化の日。隆正、高校の図書係の用事で前橋へ行くと言い残して出かける。帰宅すると、お芳、麻季、旅男が居間で盛り上がっている。隆正は帰って

きて再び散歩に行ったとのこと。何かあったのかと思おうと、「あなた、隆正はねえ、、前橋でデートしていたのよ」とお芳が言う。「エッ!、隆正が」と驚く。寝耳に水。あの男にガールフレンドがいたのか!「父さん、相手はどこの女性だと思う?」と麻季がわざとらしく聞くので、「高崎女子高校の生徒かい?」と答えると、「違うよ、県立女子大の学生だよ。」と麻季が言う。「それも4年生だぜ」と旅男も姉の尻馬に乗って言う。驚天動地と言えばいいのか。相手が円形舞台の人だと聞いて何故か一安心。しかし、隆正もそんな歳か。

11月13日〈日〉

隆正、若干の情緒不安定のような感じがする。ガールフレンドとの問題か。

11月19日(土)

帰宅すると、お芳が近づいてきて、隆正にガールフレンドより手紙が来ていたとのこと。手紙の内容、隆正、公表せず。こちらも聞かず。「ガールフレンドなんて思ったのは隆正の勝手で、先方の学生はそんなことは思ってもいないのでは。手紙もきっとお別れの手紙だよ」とお芳に言う。かくて若きウエルテルの恋は終わるのかいな。

11月26日(土)

帰宅。夜、お芳と旅男、隆正の演劇最後の公演を観に行く。自分でそろそろ受験だから止めるとのこと。ガールフレンドがらみなのか。

11月27日〈日〉

夜、昨日、延期された旅男の13歳の誕生日お祝いのパーティーをしようとするも主賓である肝心の旅男が風邪を引いてしまって延期となる。

12月3日(土)

一週間遅れでの旅男の誕生祝のパーティー開かれる。。みんな忘れていたのに旅男の要請で思い出す。旅男もいよいよ13歳になる。最近井上靖の「天平の甍」を読んで感動したとのこと。わけのわからぬ男である。

12月4日〈日〉

隆正を連れて文化センターへ。隆正と文化会館大ホールで、原一男監督「全身小説家」というドキュメンタリー映画見る。小説家井上光晴の死にいたるまでの晩年のドキュメント。画面の中に、井上光晴の育った佐世保で、学生の頃、1泊させていただいた松崎威麿さんの姿とスーパーインポーズが出る。自分が井上光晴の小説のファンだったことが夢のようである。映画は隆正も自分も「ゆきゆきて神軍」の監督、原一男に期待してきたのだが後一歩何かが足りない。奥崎謙三の方が個性的にあまりに強烈過ぎたのか。それよりも映画が終了後、原一男本人が登場し、ティーチインに入り、「会場の方からの意見も聞きたいので是非、質問のある方は壇上におあがり下さい」と、司会者が呼びかけると、最前列にいた70歳ぐらいの老人が間髪を入れず立ち上がり壇上に上った。そしてマイクを取るとのっけに「先日も好評でしたので・・・・」と言いつつ民謡を歌い出したのだ。これにはがらがらの会場も唖然。その上、最前列でいた奥さんらしき女性がオロオロしながら「お父さん、お父さん、止めなさいよ」と小声で叫んでいるのである。司会者も原一男も観客も黙ったまま。これこそこの上映会で一番原一男的状況ではないかという感じがした。帰って家族に話してみんなで大笑いしたのである。

12月10日(土)

昼食、うどん焼き。子供たちと食べながら珍しく今問題になっている「いじめ」が話題となる。自分も真面目に意見を述べる。自分が安心しているのは、まず、隆正や麻季や旅男が他の生徒をいじめたりはしないことを信じていること。学校のいじめは、生徒の側ではなく、きっと先生の側に、先生同士のキチンとした連帯感がないから生じてくるのだ思うと言う。子供たち、あまり納得していない様子。

12月20日(火)

帰宅。自分の誕生日。ケーキいただく。職場の人事問題で疲れきっている。子供たちはスーパーマンだ。

12月24日(土)

起床10時30分。終業式。子供たち、通知表を持って帰る。旅男の成績だけが伸びている。午後、子供たちと散歩。クリスマス・イブのケーキいただく。隆正、家族に、明日、県立女子大のガールフレンドとデートすると報告。麻季、旅男「オー」と言う表情をする。相手の女性が茶髪だということでまた盛り上がる。先日お芳に偉そうに言った自分の推理は間違っていたのか。隆正「お母さんの手作りのケーキ、ケーキ屋さんのケーキよりよほど美味しいよ」と言う。いつもは仏頂面しているのに、こんなうまいことを言うのもまさか明日の予行演習ではあるまいなと疑う父親としての自分がおかしい。

 

1995年(平成7年)

1月1日〈日〉

午前11時起床。子供たちと新年のご挨拶。お年玉渡す。おせち料理いただく。午後、子供たちを連れて進雄神社に参拝。御神籤を引く。自分もお芳も大吉。珍しいことである。今年は麻季の高校入試の年である。

1月3日(火)

起床10時。子供たちを連れて新星堂へ。麻季の日記帳を買う。たこ焼きを5人分買う。午後、旅男、小学生の時に読んだ手塚治虫のマンガ「罪と罰」によほど感動したのか、今度はれっきとした小説のドストエフスキー「罪と罰」に熱中している。

1月7日(土)

帰宅。旅男、「罪と罰」昨日読み終わったとのこと。なぜか興奮しっぱなしである。

1月17日(火)

考え事をしてほとんど一睡もせず布団から出てテレビを点けると驚いたのは神戸が廃墟のようになっている。まだ火も燃え上がっている。大変な地震である。何度、四国に電話してもかからず。起きてきた子供たちもテレビを見て驚く。午後、やっと、四国と連絡取れる。母は無事。

1月25日〈水〉

麻季、前橋育英高校の入試、特待生合格。隆正の経験から慣れてはいるがこれで一安心。

2月5日〈日〉

朝から雨ぱらぱら降る。隆正のガールフレンド、無事就職決まったとのこと。麻季、高崎女子高校の入試に燃えている。子供たちと四字熟語で語り合う。自分「相思相愛?」隆正「純粋恋愛」。自分「自信満々?」麻季「猪突猛進」。自分「満腹快適?」旅男「食欲無限」

2月6日〈月〉

午後4時、自宅に電話すると麻季が出て明るい声で「農大二高合格したよ」と教えられる。夜、麻季の合格を祝ってささやかなパーティー。

2月11日(土)

建国記念日。11時起床。午後、お芳と群馬の森へ。生徒から貰った無料招待券を使い美術館で「群馬の作家展T」を見る。その後、公園の中を散歩していると、偶然、旅男が友だち数人と遊んでいるのを見つける。旅男に声をかけると「ワー、やばい」と言いながら逃げ出す。友だちも一緒に走って逃げる。恥ずかしかったのか。

31日〈水〉

帰宅。お芳の誕生日。手作りケーキいただく。子供たち安ワインでガヤガヤ騒ぐ。

3月9日(木)

帰宅。隆正、模試の成績、学年で67番。旅男期末テスト学年で35番。隆正の高崎高校での成績がジリジリ後退しているのが不気味。

3月13日〈月〉

起床9時。麻季、佐野中学の卒業式。お芳を佐野中まで車で送っていく。

314日(火)

午前5時に目が覚める。公立高校合格発表日。7時前、お芳と麻季、高崎女子高校に発表を観に行く。7時20分、2人が帰宅。最初、「ただいま」と言って麻季が部屋に入って来た時、麻季の挨拶の声に心なしかいつもより元気が無い。「お帰り」と言いながら、最悪を予想してテレビの方に向いたまま、麻季に背を向けて動かず。いそいで慰めの言葉を探す。それから1拍おいて麻季が「父さん、合格したよ」とあっけなくいったので肩の荷がドッと降りる。思わず麻季と握手。夜、家族で麻季の合格祝賀会の大パーティー。

3月23日〈木〉

帰宅。子供たち、BSアカデミー賞受賞シリーズと銘打ったロバート・ワイズ監督「ウエスト・サイドストーリー」を観ている。

3月24日(土)

帰宅。隆正,終業式。通知表の成績,遂に学年で100番台に後退。もっと勉強したらと言っておく。

4月1日(土)

朝,町田に帰省するお芳、麻季,旅男を高崎駅まで送る。麻季の高校合格報告も兼ねている。夜,隆正とビールを飲みながら食事。

4月9日〈日〉

起床11時。子供たち、雨の中それぞれ出かける。今日は隆正の18歳の誕生日。夜。パーティー。隆正,蝋燭の火を消す前にどうしたことか「これから受験にがんばります」という大演説をぶつ。ケーキ,お寿司いただく。

4月30日〈日〉

起床6時。7時の新幹線で新潟へ。お芳,ホームまで送ってくれる。雨模様の天気であったが、新潟は晴れていた。高麗航空のチャーター便でピョンヤンへ出発。北朝鮮へのパック旅行に参加。

5月4日(木)

ピョンヤンの順徳飛行場を午前10時出発。12時30分新潟着。新幹線事故のため、新潟からべた後れ。高崎駅にお芳迎えにきてくれる。わが家に帰り、お芳にお土産の陶磁器渡す。夕食,いただきながら、つくづく、北朝鮮の貧しさを考えてしまう。子供たちに「ピョンヤンどうだったの?」と聞かれ「本当に幻想的な国であり,幻想的な首都だったよ」と答える。

5月5日〈金〉

子供の日。夜,子供たちと一緒にお酒飲む。旅男,連休の間に東京に行って野田秀樹の演劇見てきたとのこと。その演劇の話よりも渋谷のレストランで食べた800円のカレーライスがまったく美味しくなかったと愚痴ばかり一生懸命喋る。麻季は明日から高崎女子高演劇部の合宿。

5月13日(土)

中学2年生になった旅男、連休中に突然塾に通うと言い出す。この突然変異は何か。よくわからず。今日から塾に通い始める。

5月16日(火)

午後、オウム真理教浅原教祖逮捕の号外出る。夜、子供たちとテレビニュース見る。

5月20日(土)

結婚記念日、お芳にバラの花プレゼント。子供たち、中間試験の勉強にいそがしい。

5月28日〈日〉

高崎女子高の文化祭である「椎樹祭」お芳、隆正、旅男、見学に行く。夕方、麻季、帰ってくる。文化祭終り興奮している。

6月3日(土)

帰宅途中、花屋に寄り3千円で紫陽花の花買う。帰宅して玄関に飾る。子供たち、帰宅して誰一人気付かない。感受性が不足しているのか、それともそれぞれ精神的余裕がないのか。

6月10日(土)

図書館へ行く。図書館で高女マンドリン部の演奏を聴きにきた麻季と出くわす。「やあー」と言って別れる。

6月18日〈日〉

起床11時。子供たちと散歩。夕方、また、家族全員で散歩。わが家は確かに散歩好きである。「父の日」で子供たち、先日のことを気にしたのか紫陽花の花プレゼントしてくれる。夜、父の日にかこつけて子供たちは勝手に自分たちでパーティー開く。

6月20日(火)

帰宅。隆正の学研模試、まあまあの成績。もしかすると現役で医学部を合格するかもしれないのである。

6月24日(土)

帰宅途中、本屋へより旅男のために「マンガ四字熟語」を買う。帰宅して、子供たちとお酒飲む。隆正、飲み過ぎて吐く。洗面器を持っていき背中をさすってやる。隆正、汚したシーツを自分で片付ける。

7月6日(木)

旅男、期末試験、学年で12番だったとのこと。

7月14日〈金〉

帰宅途中。1本800円のワインを2本。ポテチを4袋買う。今日は巴里祭。家族全員でパーティー。世界で一番長い映画の題名を教えてやる。「シャラントン精神病院において演じられたマルキ・ド・サド演出によるジョン・ポール・マラーの迫害と暗殺」。隆正、麻季、旅男、3人とも今夜はよく喋る。それも一人ずつばらばらの話をしている。

7月20日(木)

帰宅、深夜12時近くになる。家族全員眠っている。机の上に隆正、麻季、旅男の通知表が置かれている。

7月29日(土)

夕食。子供たちにも特に今日はビールを下賜する。コップに一杯飲んだだけで全員饒舌になるから面白い。まるで自白を促す薬物を飲ませている感じである。

7月30日〈日〉

角川春樹監督「天と地と」を観る。これで3回目か。隆正に「また父さん観ているの」と言われる。黒澤明の影武者より絶対こっちの方が面白いんだから」と反論する。

8月4日〈金〉

午前0時近くに、隆正、旅男、眠れず。自分も加わりポテチをいただきながらおしゃべり。吉本家はお芳と麻季の女性が早寝、遅起き型。男性が遅寝、遅起き型。

8月12日(土)

朝、旅男が図書館に連れて行ってくれと言いながら起きてこない。叩き起こすと、「昨日は考え事があって朝まで眠れなかった」と一人前のことを言う。図書館をやめて旅男と東映映画工藤栄一監督「十三人の刺客」以前に録画したビデオで見る。昔、この映画をビデオで観ていると隆正と麻季から「父さん、殿!殿!って叫ぶばかりでこの映画うるさいなあ」とよく文句を言われたのものである。しかし、この映画は低予算ながら黒澤明の「七人の侍」に匹敵するほどの力は持っている大チャンバラ映画なのである。旅男も見終わった後に何かを何かを感じ取った様子。どうだ素晴らしい映画だろう、と自分が旅男に偉そうに言ってどうする。

8月15日(火)

終戦記念日。午後、旅男を連れて吉井町のプールへ。料金一人100円という格安さ。それにロッカーは100円入れて、後から、その100円は戻って来るという今時考えられない良心的料金の町営プールである。それに泳いでいる人も少なくのんびりした田舎風なところがいい。しかし、自分が脂肪がついていることを忘れ、持ってきた昔の海水パンツが小さく腹が締められて苦しみながら泳ぐ。夜、突然、隆正に電話。ガールフレンドからの連絡。隆正飛び出して行く。旅男は眠いのを我慢して隆正に頼まれていたBSの「ショアー」というドキュメンタリー映画を録画。隆正、午前1時ごろ、無事戻ってくる。油断も隙もない男である。

8月16日〈水〉

午後、旅男と再び吉井町のプールへ行く。今日は隆正の海パンを借りてきたので安心して苦しむこともなく泳げる。旅男、クロールの練習。ところが、文字通り、一転にわかに掻き曇り、雷鳴がとどろき、大雨となる。急いでプールから出る。すぐに晴れ上がる。秋の空の如き雰囲気となる。

8月17日(木)

起床7時。食事。それからまた眠る。昨夜、自分が10時ごろ眠った後、お芳と子供たちで缶ビール7本も空けたとのお芳の報告。舐めているのか。筆頭戸主の許可もなく、ガキが勝手にビールを飲んで。麻季が街で中年の男性に声をかけられたとのこと。麻季もそんな歳か。

8月19日(土)

お芳、麻季、旅男、町田へ帰省。隆正と朝食。スーパーへ出かけ隆正と自分の食事の買い物。昼食、太巻き。夜、隆正と近くのラーメン屋へ食事に行く。ビール、餃子、広東ラーメン。隆正と2人で向き合っても照れ臭いだけで改まって話すこともない。

8月20日〈日〉

起床9時。午後、お芳、麻季、旅男、町田から帰ってくる。夕食の時、麻季が今までショートカットだったのに髪を伸ばしていることに気付く。「麻季ちゃん、いつから髪を伸ばしているの」と聞くと「何言っているのよ。7月頃からじゃない」という返事。「父さんは子供に何の関心もないんだから」「父さんも少しおしゃれしたら」「そのやくざっぽい服装も何とかしたら」と、家族揃っての嫌味の十字砲火を浴びる。耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び・・・・・

8月26日(土)

帰宅。今日は麻季の誕生日。早くも16歳となる。手作りのケーキと安ワインで祝う。

8月31日(木)

帰宅すると、家族で勝手にビールを飲んでいる。夏休み無事終了の打ち上げパーティーとのこと。旅男、一人で盛り上がっていて父さんと母さんが離婚したら自分は父さんと一緒に生活すると言う。この超資本主義者が。

9月1日〈金〉

帰宅。夕食。昨日の旅男の発言がまた話題となる。子供と言えども侮れず。それぞれが冷静に父と母を観察しているのである。

9月4日〈月〉

帰宅。子供たち、新学期が始まり、それぞれの世界に戻っていく。隆正もいよいよ受験。

9月8日〈金〉

帰宅。夜9時半より旅男とBSで稲垣浩監督「柳生武芸帳」を観る。映画全盛時代の映画。記憶した場面が全く違うので驚く。

9月10日〈日〉

卒業生の結婚式で東京へ。家を出る時、靴を履き、高崎駅を歩きながら少し変だなあと思う。東京駅から赤坂に地下鉄で向かいながら、暑さの上に足が痛くて閉口する。汗はボトボト、足はヒリヒリ。会場の全日空ホテルに到着する頃にやっと、履いている靴が自分の黒靴ではなく麻季の黒靴であったことに気付く。自分の足が小さすぎるのか、麻季の足がでかすぎるのか。

9月17日〈日〉

戦後最大規模の台風が近づいているとのこと。夜、子供たちとおしゃべり。麻季、演劇部、地区演劇大会で3位だっとのこと。

9月26日(火)

帰宅。旅男、元気なく、心配になったので話を聞くと、「中学校で柔道部の部長になり手がなくて、仕方なく自分がなったのはいいけれど、部員が練習を熱心にしないので困っている」と愚痴を言う。「部活の顧問の先生に相談すれば」と助言したが、「顧問の先生は忙しくてそれほど柔道場には来れないんだよ」と言う。仕方なく、「あまり力んでも仕様がないよ。肩の力をぬいて気楽にやることが一番だよ」と助言しておく。

10月19日(木)

旅男の中間テスト、素晴らしい成績である。

10月22日〈日〉

旅男、最長不倒記録更新を狙って本屋へ立ち読みへ。麻季、進学を理系にするべきか文系にするべきか悩んでいる。

113日〈金〉

文化の日。快晴。10時起床。子供たちと散歩。5時過ぎ、夕方、旅男と玉村の社会体育館へ。運動を一時間して駐車場に来ると、何と、車の後部の小さな三角窓がブッ壊され、ドアを開けられてバックが盗まれているのである。110番して警察に来てもらって被害届出すも伊勢崎警察の私服警官、まったく、熱心ではなく、指紋採取もしないのである。あまつさえ、どうせ安いバックだろうほどのことを言う。舐めているのか。帰宅、家族にバックを盗まれた話をしていると、旅男が「父さん、あの警官の態度もひどかったよね。」と言う。

11月5日〈日〉

旅男に命令され、高島屋へ運転手として送り迎え。高島屋のチケット売り場で野田秀樹の演劇の前売り券買いに行く。ところが電話予約だけ受け付けだとわかり、旅男ガックリする。イスラエル労働党のラビン首相、極右に暗殺される。

11月26日〈日〉

起床9時。旅男と散歩。今日は旅男の誕生日。旅男、学校がいやだ、いやだ、柔道部の部長でいることがいやだ、いやだ、と愚痴りながら日々が充実しているようで不思議になる。

12月20日〈水〉

帰宅。自分の誕生日。48歳になる。隆正、麻季、旅男と安ワインとビールいただく。お芳よりネクタイのプレゼント。子供たちよりウイスキィーグラスのプレゼント。

12月22日〈金〉

深夜12時ごろ帰宅。自分の机の上に3人の通知表が置かれている。子供たち、狸寝入りしている模様だがとくには起こさず。

12月24日〈月〉

帰宅。クリスマス・イブ。家族で手作りケーキいただく。

 

1996年〈平成8年〉

1月1日〈月〉

起床9時。子供たちと新年のご挨拶。お年玉を上げる。隆正はセンター試験の準備。家族全員で進雄神社へ。お祈り。風強く駐車場の砂が舞う。全員、中吉。大吉は誰一人いない。

1月2日(火)

起床9時。お雑煮いただく。午後、家具屋へ行き本箱を買う。帰宅して旅男に組み立てさせる。お礼に1000円カンパ。

114日〈日〉

隆正、センター試験2日目。隆正、帰宅してまあまあだったと言う。医学部を狙ってまあまあの成績では危ないのでは。

1月19日〈金〉

隆正のセンターの業者判定出る。新潟大学医学部、各業者の判定、C、D、Eと悪し。テレビ、6チャンネルで子供たちと新井英一の唄を聞く。隆正が好きな歌手。

2月20日(火)

帰宅10時。隆正、東京理科大学の発表が今日なのに電子メールを頼むのさえ忘れていたとのこと。仕方なく家族全員で群馬テレビの入試速報観る。東京理科大理学部数学科に隆正の名前出る。お芳、例によって最初から合格するのはわかっていたと言って子供たちに母さんはええ加減だと笑われる。どちらにしても理科大に入学金は払いこまず、進学しないことになっているので感動も薄いのか。それでも一応、家族で合格の祝杯。

2月24日(土)

起床10時。朝、隆正、福井医科大学に受験のため出発。麻季、東京の新宿に演劇を観に行くと言って出かける。

2月29日〈木〉

今年は閏年。お芳の誕生日。夜、仕事で遅くなり、家族のパーティーに間に合わず。

3月8日〈金〉

起床9時。隆正、麻季と福井医科大の発表待つも電子メール来ず。出勤。午後11時過ぎ帰宅。隆正、福井医科大不合格。意外にさばさばしている。

314日〈木〉

隆正とこの3日、話し合った結果、浪人した場合、河合塾の駒場校を選択し、寮に入ることになる。自分が勤める予備校は親父がいると勉強がしにくいと言われ言葉を失う。自分も他の生徒のことを考えるとその方がいいかと思ってしまう。しかし職場で何か言われるぞと直感的に思う。自分が予備校講師でなかればどうでもいい問題なのだが。またお芳は寮に入るなんて贅沢すぎると言う。これも当然の意見である。しかし、結局、自分も親馬鹿なのか。隆正の言うことを全部呑んでやれば勉強するのではと思ってしまう。

3月17日〈日〉

日曜出勤。帰宅4時。夕方、子供たちを連れ、ターミナルホテルのラウンジでコーヒーいただく。最初は親父に誘われいやいやだったのだろうが、おしゃべりし始めると、お互いの小学生時代の話になり俄然盛り上がってくる。3人ともなかなか面白い話をしだし1時間半ぐらい立ってしまう。

319日(火)

帰宅。あれだけ余裕のあった隆正が後期試験の結果を待ってイライラしているのが手にとるようにわかる。

3月20日〈水〉

帰宅。夕食。酒を飲みながら、隆正に冗談で「もし、浪人したら一緒に外に出るのも恥ずかしくなるなあ」と言うと、正面に座って食事していた隆正が、突然、横にあった「週刊文春」を自分に向ってぶん投げる。家族全体が凍りつく。トホホ状態。何事もなかったような表情を全員が装い、食事を終える。旅男と散歩に外へ出ると、旅男が「兄さんは真面目なんだから父さんギャグの言い過ぎだよ」と分別臭いことを言う。隆正、明日後期試験の発表。

3月21日(木)

出勤。隆正、朝から緊張している。帰宅10時。隆正、富山医科薬科大学不合格。結局、河合塾駒場校で浪人することになる。予期していたこととはいえ、浪人することは本人の人生に役に立つとは信じているが経済的にきつい。

3月26日(火)

夜、駅前の「ケンタ」で隆正と飲む。浪人生活は大変だぞと脅しておく。

330日(土)

起床10時。お芳と隆正、東京に出発。隆正、今日から河合塾啓発寮の住人として浪人生活送ることになる。お芳の「贅沢をさせすぎではないの」という言葉が頭にこびりついて離れない。帰宅、麻季と旅男とお酒飲み、兄貴の性格についてあれこれ話す。

4月2日(火)

起床10時。朝、旅男と一緒に隆正の机の上にパソコンを移動させる。旅男、兄貴が出て行き、自分だけの部屋になったので喜んでいる(?)

4月6日(土)

午後、家族で観音山へ花見に行く。桜はまだ咲いていない。帰宅。180センチも身長があった隆正がいなくなったので狭いアパートが広くなった感じがする。

4月14日〈日〉

午後、麻季、旅男を連れ、回転寿司へ。麻季7皿。旅男12皿。自分は8皿いただく。その後3人で群馬の森へ。散歩をして美術館で絵を見て、それから道路向かいの焼き饅頭屋さんでソフト・クリームとラムネいただく。店を出てきて、自分が「どうだ、今日のようなのを大ブルジョワ生活と言うんだ」と言うと、麻季が「私たちはプロレタリアだからね」と答える。

4月21日(日)

起床10時。旅男、月例テストのため学校へ行く。午後、家族4人で観音山へ花見に行く。今度は桜の花がほとんど散っている。観音様まで散歩。旅男がふと思い出し、あわてて車でターミナルホテルへ突撃するも「ケーキ食べ放題」の時間終わっている、4人で切歯扼腕す。しかし、金を使わなくて済んでよかった。

4月27日(土)

子供たち2連休。麻季、旅男を連れて図書館へ。自分は隆正の図書貸し出しカードも使い10冊本を借りる。隆正が貢献しているのはこれぐらいのことか。

5月2日(木)

帰宅。旅男、勉強せず。「やる気がしない」「やる気がしない」と一人吠えている。

5月5日〈日〉

子供の日。起床10時。麻季、旅男と散歩。麻季、美容室へ行く。戻って来ると髪がきちんとなり美人になっている。

5月11日(土)

朝5時に目が覚めてしまう。6時過ぎに「マザーグース」に行き、パンを買う。午後、麻季、旅男を連れ「ビューホテル」へ。評論家吉本隆明の講演会。宮沢賢治の話。2時間10分の時間の内、最初、聴衆の誰も笑わず。講演後の質疑応答でいろいろな話が出て会場に笑いが溢れる。麻季、旅男を連れてきてよかった。

5月26日〈日〉

旅男、京都、奈良への修学旅行に出発。

6月1日(土)

帰宅。麻季の中間試験の成績ひどし。本人はどうするつもりなのか。

6月9日〈月〉

久し振りの完全休暇。夕方、旅男と玉村の社会体育館へ行く。運動する。帰宅して夕食、お好み焼き。麻季、元気がない。旅男は父の日を1週間早めてパーティーをしようと叫ぶ。何を考えているのかこの男は。

6月16日〈日〉

旅男、月例テスト。隆正に久し振りに電話。元気そうである。夜、麻季と旅男から「父の日」の記念にお花いただく。このお花は旅男が「父の日」にかこつけてパーティーをするための布石(?)結局、パーティー開かれる。

6月19日〈水〉

帰宅。食事。お芳、明日、東京の宝塚へ何年ぶりかに観劇に行くので子供のように嬉しそうにしている。

6月23日〈日〉

夜、子供たちとBSで「マルセ太郎の個人芸」観る。面白し。麻季も旅男も大いに笑う。

7月6日(土)

旅男、先輩の家で4時間近くファミコンしてきたとのことで早く眠る。

7月8日〈月〉

旅男,期末テストの結果,学年で2番だったとのこと。本人,口では勉強嫌いといいながらそうでもないのか。この兄弟は本当によくわからぬ連中だ。

7月16日(火)

帰宅。隆正,帰省している。少し痩せたような感じである。河合塾の模試の成績見る。あまり代わり映えしないような気がする。担任の先生もがんばらなくては言ったとか。今後の勉強の仕方のよってはもしかすると2浪するのではという不安がよぎるが口には出さず。「父さんはおまえを信じているから」という殺し文句で勝負する。真夏日である。

7月18日(木)

帰宅。久し振りに東京から帰ってきたた隆正と麻季,旅男、朝方までぺちゃくちゃ喋っている。

7月19日〈金〉

隆正帰京する。麻季,旅男は終業式。。

7月21日(日)

起床11時。台風接近していて少し涼しい。午後、麻季と久し振りに吉井町のプールへ。1年ぶりに泳ぐ。麻季身長が164センチもあるので水着姿のプロポーションがいい。クロールも思ったよりもうまいので驚く。帰りに、戸田書店に寄って本を買う。夜、旅男と朝の4時ごろまでオリンピック見る。

7月27日(土)

帰宅。暑くて眠れず。起きてきて旅男とビール飲む。麻季も起きてくる。麻季も旅男も少しずつ酒量が増えてきている。

7月28日〈日〉

夜、「母さんが賞味期限の切れたお菓子の袋をおうちのごみ箱から拾った」と旅男が言う。「母さんは骨の髄からのプロレタリアだから」と言う。夜、トイレに入ろうとしてトイレットペーパーがないのに気がつく。近くのコンビにまで泡を食って飛んでいく。プロレタリア一族も大変だ。

8月1日(木)

午後、麻季と2人で吉井のプールへ。晴れた夏の日だというのに50メートルプールには自分と麻季以外、何と一人しか泳いでいない。プールの監視員の方が多いのである。まるでプライベート・ビーチの如き状態。

8月3日(土)

午前出勤。午後、帰宅。午後1時のNHKテレビのニュースで先日講演を聴いた評論家の吉本隆明氏、伊豆の海で溺れたとのニュース流れる。旅男,夜,高崎祭りに出かける。家にいると遠くから花火の音が聞こえてくる。

8月8日〈木〉

午後、帰宅して,麻季,旅男と吉井町のプールへ。人少なく、少し涼しいので3人ともどこか元気なく泳ぐ。

8月24日(土)

昼間、麻季と旅男と「朝鮮飯店」へ。サマーサービスの籤で旅男「キムチ」当たる。午後、麻季と吉井のプールへ。1時間ほど泳ぐ。疲れているので寝苦しいと言うとお芳が水枕を買ってきてくれるが、今度は頭が冷たくなり痺れて眠れないのである。

8月25日〈日〉

起床6時。旅男、月例テスト、出かける時、旅男が「今回は500点を目指すのだ」と言っていたが、よく考えると満点のことなのか。

8月26日〈月〉

帰宅。麻季、17歳の誕生日。東京の隆正からおめでとうの電話あり。4人でパーティー。

9月1日〈日〉

出勤。授業。旅男、朝から芝居を観るんだと言って勝手に東京に行ってしまう。

9月4日〈水〉

旅男、月例テスト、10位の中に入っていなかったと残念そうに言う。

9月15日〈日〉

起床7時。旅男と「マザーグース」にパンを買いに行くも店がなくなっている。客は多かったはずなのにと思う。家に帰って家族に報告。みんな不思議に思う。自分が事業に失敗したことを思い出し、「マザーグース」の経営者のことを考える。

9月23日〈月〉

麻季、東京の池袋へお芝居を観に行くと言って出かける。10時過ぎ、お芳、旅男と熊谷の古本屋まで車で行く。100円になっている本を20冊近く買う。帰宅。麻季も夜遅く帰宅。秋分の日でおはぎいただく。

10月5日(土)

昨日、隆正より元気にがんばっているという手紙来るも、同封されている全国統一模試の結果は最悪。もしかしたら二浪するのではという不安が現実感を持ち始める。

10月20日〈日〉

起床7時50分。お芳、パートの結婚式の司会で東松山に向う。麻季、英検準2級の試験を受けに出かける。旅男と散歩。快晴のよき日である。衆議院選挙、社民党惨敗。

10月26日(土)

麻季、京都、奈良の修学旅行から帰る。駅前まで車で迎えに行く。お土産貰う。

10月27日〈日〉

起床8時。お芳、結婚式の打ち合わせでパート先の会社に出かける。旅男と朝食。麻季、修学旅行で疲れたのか眠っている。夜、お芳、自分の今のパートの仕事に自信がないと言う。

10月28日〈月〉

県民の日で麻季、旅男、学校休み。外は秋雨。雨が上がったので旅男と散歩。柔道部の愚痴を聞かされる。この男も管理職みたいなものである。

11月9日(土)

起床9時。子供たち、休みの日。旅男と散歩。晴れた日なり。旅男が学校の実力テスト学年で3番だったと報告する。子供というのは実に面白い。報告したいことは進んで報告し、報告したくないことは絶対に報告しない。

1110日〈日〉

夜、東京の隆正から電話。模擬試験、新潟大学医学部の判定Bだったとのこと。報告したいことは報告する。それでも何か糠喜びのような気もしながら一安心は一安心。

1114日(木)

夜、隆正より電話。今度は駿台模試を受けたところ新潟大学医学部判定Bが出たとのこと。本当に二浪しなくてすむのだろうか。

11月26日(火)

旅男の誕生日。旅男が「兄貴は麻季ちゃんの誕生日の時には電話してきて自分の時には電話してこない。そんな関係だったのかよ」とぶんむくれている。傷心の旅男のために盛大なポテチによる誕生日パーティー開かれる。

12月8日〈日〉

起床8時。麻季、東京へ映画と演劇を観に一人で出かける。旅男と一緒に玉村の社会体育館へ。旅男、マットで柔道の受身をする。自分も真似をして背中をマットに強打。情けない限りである。

12月20日〈金〉

帰宅。自分の49歳の誕生日。家族で祝ってくれる。酒を飲みながら「父さんも後何年生きられるれるかわからないなあ」と言うと、家族全員が「何言っているの、父さん。150歳まで生きて私たちの墓守をしてくれると言っていたじゃないの」とわけのわからない励まされ方をする。

12月21日(土)

麻季、旅男と一緒に昔のアルバム見る。麻季も旅男も幼稚園の頃が一番可愛かったのか。隆正が4歳ぐらいのころ、外に出かけて大きな猫に出会い、虎と間違えて、恐怖で蒼ざめながら家に逃げ帰ってきたというわが家では伝説的な話をして皆で笑う。

12月24日(火)

クリスマス・イブ。お芳の手作りのケーキいただく。子供たちも大きくなりもうクリスマス・ツリーの飾りつけもしなくなってしまった。

12月28日(土)

丸2日がかりで年賀状300通近く書く。旅男風邪ひどく一人でうめいている。

続く   

トップに戻る