子育ての方針 付録

生後6ヶ月まで、わがままな赤ちゃんはいない
私は、泣く子を放っておくことができませんでした。
泣いたらすぐに抱いてあげたいと思いました。
でも、そんな私の態度を実母はとても嫌がりました。
そして「泣くのも運動」とか「泣かせた方が夜よく眠る」とか言いました。

先輩はいろいろなことを知っているかもしれませんが、
自分と価値観が違っていたり、間違ったことを言っていたりする場合もあります。
そういう言葉に振り回されないことも子育てでは大事です。

「わがままな赤ちゃんはいない」というのは、ホワイト博士の言葉です。
ホワイト博士のその言葉を知らなかったら、母のいう言葉に惑わされ、抱き上げたい気持ちをじっと抑え、運動のために我が子を泣かせていたかもしれません。

赤ちゃんは言葉が話せません。
泣くことでしか自分を表現することができない赤ちゃんが泣いているのです。
だったら、周りの大人は反応してあげなくてはかわいそうです。
自分だって、せっかく家族に話しかけているのに、
誰からも反応されなかったらどうでしょう?
無視された寂しさで、むなしい気分になりませんか。
人生はじめの6ヶ月で人生のむなしさを感じさせてはいけません。
泣いても誰も反応しないでいると、
そのうち泣かない赤ちゃんになってしまうそうです。
赤ちゃんは人を呼ぶのを諦めるのです。

でも、お皿を洗っている最中に赤ちゃんが泣き出したときなどは、
「すぐ行くから、ちょっと待っててね」
と声をかけて、待ってもらうことはあってよいと思います。

この言葉は生後6ヶ月までの赤ちゃんのことを言っています。
3歳の子どもに通用する言葉ではありません。
よく遊び、よく食べ、よく寝る
子育てで一番大事なことは規則正しい生活です。
毎日、毎日、同じことの繰り返し。
それが子どもにはとてもいいのです。
どんなに脳にいい刺激をするよりもずっと大事なことなのです。

午後11時過ぎにお風呂に入るとか、
午前10時まで平気で寝かせているという話をたまに聞きますが、
そういう生活は子どもの生命力が育たないので改めたほうがいいと思います。
「よく遊び、よく食べ、よく寝る」育児に勝る育児はありません。
外でたっぷり遊ばせ、よく歩かせ、バランスのとれた食事を規則正しくしていたら、
子どもは、夜、アッという間に眠ります。

保健所などは食事について「3歳なら何グラム」といった指導をしますが、
そういうことにこだわると心配ごとが増えるので気にしないほうがいいと思います。
無駄なおやつを与えなければ、
子どもが食べられる分が子どもに必要な分なのだと思います。

小学生以上の子どもの場合、項目がひとつ増えます。
よく遊び、よく学び、よく食べ、よく寝る
家での勉強の習慣は、小学校に入学したその日から
毎日10分でも机に向かうというところからはじめるといいと思います。
勉強は楽しいに越したことはありませんが、
勉強というのは、いつも楽しいときばかりではありません。
遊びたい気持ちを抑えて、ちょっと机に向かう。
その習慣が大事だと思います。
「きょう、まとめて勉強するから明日はしない」と子どもが言ったとき、私は、
「きょう、まとめていっぱいオシッコしておくから明日はしないってことができる?」
と聞き、勉強はまとめ喰いできないと教えます。
もちろん、勉強しなくてもいい特別な日はあっていいと思います。

うちの場合、受験用の難しい勉強をさせているわけではありません。
教科書程度の練習問題や教科書の音読をしているだけです。
禁止は少なめに
  子どもにしつけは大事です。
でも、「ダメ」「ダメ」の連発では、子どもも親も楽しくありません。
どうでもいいことで、いちいち禁止したり、命令したりする人がいますが、
あれでは子どもも親も疲れることだろうと思います。

生活の中には、
親が絶対禁止すべきことと子どもの自由にまかせていいことがあります。
絶対禁止すべきことは、まず、そこへ近寄らせない工夫をすべきです。
大事な書類は子どもの手に届かないところに置けばいいのだし、
危険な川へは近寄らせなければいい。

我が家の場合、家の中で絶対禁止していたのは
「便所のタワシは絶対触るな」でした。
約束を破ったら叱ります。
禁止していなかったビデオやカセットテープはいくつか壊されましたが、
いくつか壊した後はそれ以上壊さなくなりました。

水遊び用の川のある公園で子どもを川に入れました。
自分が川へ入らず岸から大声で
「危ない」だの「やめろ」だの子どもに怒鳴っている母親がいました。
そんなに心配なら、自分も一緒に川に入るか、
子どもを川へ入れない方がよいと思います。
同じ川で遊ばせるなら、楽しく自由に遊ばせたいものです。

小さいころから、うちでは禁止は少なかったと思います。
でも、子どもが小学生になってから、命令と指示が少々増えてしまいました。
実は、たまに夫から「命令と指示が多い」と指摘されます。
自分では案外気がつかないもので、そんなつもりはないから、指摘されると頭にきます。が、冷静に自分を振り返ってみると、そうだったことがわかります。
「自分から進んでテキパキ行動してくれたら、
 私は命令と指示なんか出さないわよ〜〜」
と叫ぶと、夫は
「あなたが言い過ぎするから、子どもが指示を待つようになるんだよ」
と言うんです。
テキパキ行動できるお子さんをおもちの方、子育て方法を教えてください。
重要な決定は親がする
小さいうちから何でも子どもに決めさせて
自主性や判断力を養っているつもりになっている人がいますが、
判断する基準のない子は正しい判断などできません。

親は外で遊ばせたいと思っていても、子どもは家の中で遊びはじめると、
なかなか外へ出てくれない。
結局、昼近くまで家の中でぐずぐず過ごしてしまう。
ようやく外へ出たら出たで、子どもの言うなりになっていると、
いつまでもたっても家に帰れない。

大人が判断すべきことは大人が決定しなければいけません。
子どもにまかせてもいいことは子どもの好きにさせていいと思いますが、
毎日の規則正しい生活や栄養のバランスのことを子どもは知りません。
ですから、大事なことは大人が導いてあげなければいけないのです。

大人に判断してもらったことがなく、いつも自分の好きにさせてもらっていた子は、
判断の基準が育っていないので、大人になって自分で判断すべきときに、
どうしていいかわからず、人の真似しかできずオロオロすることになるのです。
親に教育できるのは15歳まで
  親に教育できるのは15歳までだと思います。
伝えておきたい人生の価値観などは15歳までに伝えておくべきだと思います。
高校生になってから「ああだ」「こうだ」と言っても遅いのです。
子どもは「うるさいな」と思うだけです。
15歳過ぎたら、子どもの相談にのってあげられる親になれたらとてもいいと思います。
子どもの言うことに反対意見ばかり並べ立て、
自分の価値観を押し付けてばかりいると、子どもは親に何も相談しなくなります。

子どもは親の言うようにはしませんが、親のするようになります。
「ドアは静かに閉めなさい」といくら子どもに注意しても
親がバタンと強く閉めていたら、子どももバタンと閉めるようになります。
「こういう子になってほしい」と思ったら、そういう人間に親自身がなればいいのです。
「自分はそんな人間にはとてもなれない」と思うなら、その理想に問題があります。
自分に実行できないことを子どもにだけ実行させようというのは虫のいい話です。

親は子どもにウソをついてはいけません。
約束を守れなかったとき、ごまかさないで
守れなかったことを認め謝る姿勢が大事です。
子どもは、親のそういう姿勢をみています。
「○○しないと、〜〜になるよ」と、
子どもを脅すようなウソをつくのはやめましょう。

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