第66号 子育ての方針

価値観の多様性の時代。
あれもあり、これもありと言われると、
どうしていいのか分からなくなってしまいます。
そんな時代だからこそ、これから子育てする人は、
子育ての方針をしっかりもっていたほうが良いと思います。


私はこんな方針(詳しく知りたい人はここをクリック)で子育てしてきました。

生後6ヶ月まで、わがままな赤ちゃんはいない
よく遊び、よく食べ、よく寝る
禁止は少なめに
重要な決定は親がする
親に教育できるのは15歳まで



この方針は子どもが生まれたときから今まで変わりません。
私はこの方針を心して守ろうとしていますが、
これさえ守っていれば、多少のことなら大目に見ようという心構えでやってきました。
こういう自分なりの子育ての方針を立てておくと、
子どもの反応にいちいち目くじら立てて怒ったり、
新しい情報を耳にするたび、それに振り回されてオロオロしたりすることが
少なくなるのではないかと思うのです。
子育ての方針をコロコロ変えるのは良くないので、
無理な理想論をかかげるのはやめ、自分にできるものにした方が良いと思います。


話は変わりますが、
子育て中に相談できる人が身近にいると、とてもいいと思います。
信頼できる先輩ママと仲良しだったらラッキーです。
「生後3ヶ月では夜泣きが激しかったけれど、それが一生続くわけじゃない」
ということを先輩ママは知っています。
見通しをもったアドバイスをしてくれる人が身近にいると
子育てはとても楽になります。
悩みを聞いてくれる人がいることも大事です。
パートナーがその役目を果たしてくれたら最高です。
お互い相棒の悩みには耳を傾けましょう。

早期教育に熱中するにしろ、シュタイナー教育に夢中になるにしろ、お受験教育に走るにしろ、
親として真面目に子育てしたいという熱心な気持ちは同じです。
どの方向へ行くかは、ちょっとした出会いの違いだったりするのです。
どの方向で育てても、子どもはちゃんと育つと思います。
しかし、どの方向へ行っても、あまりにも偏ったことを親がしてしまうとき、
問題が起きてくるのではないのでしょうか。

フラッシュカードなどを使って赤ちゃんの脳に刺激を与えるといった種類の早期教育があります。
私は、長女が2歳くらいまでそれを実践していました。
シュタイナー教育に出会うまで、それを子育ての心のよりどころにしていました。
早期教育を実践することに熱中していたからこそ、
育児が楽しかったし、迷わなかったのだとも言えます。

その後、シュタイナー教育と出会い、
子どもは毎日の生活の中で自然と成長していくことを実感しました。
不自然な刺激を与える必要はないのです。
だから、早期教育が意味があるとは今では思えなくなりました。

でも、今、私の目の前に「早期教育を実践してみたい」と
強く願っている人がいたら、私は「やってみなさい」と言います。
私は、子どもが生まれる前、あるTV番組で、
「私も自分の子どもに早期教育を実践してみたが、結局、無駄だった」
と言っている人がいました。
そして、「早期教育なんかやることない」とさかんに主張していました。
早期教育を実践したいと思っていた私は、
「でも、あなたはやったんでしょ!」と腹が立ちました。
だから、「やりたい」と言っている人に「やめとけ」なんて言えないのです。

シュタイナー教育は「自由への教育」といって、
「自由な大人になる」ことを目指しています。
自由な大人とは、自分の頭で考え行動できる人間のことだと思います。
また、シュタイナーは大人が子どもの手本であることを求めています。
シュタイナー教育を正しく理解して実行することはとても意味のあることです。

でも、間違った方向でシュタイナー教育にハマってしまうと、
シュタイナーの願いとは正反対の教育をしてしまう恐れがあります。
「シュタイナーがこう言っているから、こうしなければ・・・」と思い込み、
自分の意志や今まで培った自分の価値観を捨て去り、何から何まで
「シュタイナーさまのおっしゃるとおり」となってしまう場合です。

自分の頭で考えず、シュタイナーが言ってることを鵜呑みにしてマネするだけでは、
それこそシュタイナーの言ってる「自由な大人」からはほど遠いのです。

シュタイナー教育でも、早期教育でも、お受験教育でも、それにハマッテ突き進み過ぎ、
子どもが本当に望んでいることはなんだったのかを見失ってしまっては、
いくら熱意あふれる子育てをしていても、子どもにとっては迷惑な話になってしまいます。

子育てしていると、誰でも必ず失敗して悔やんだり、
「もしかして、私は間違ったことをしているんじゃないのかしら」と不安になったりするものです。
むしろ、いつも自信に満ちあふれ、子育てに失敗したことなんてない、
と思っているような人の方が私には怖いです。
私もたくさん失敗して、反省ばかりしています。
でも、そういう繰り返しの中で、
少しずつでも、子どもと共に人間として成長していけたらいいと思うのです。


「育児は大変なのよ。こんなにやってたら、自分が疲れちゃうわ」
と自分にばかり優しくし、
なんらの方針ももたず、めちゃくちゃな子育てをするのは無責任です。

逆に、責任感が強すぎるあまり、完璧な育児を目指し、
理想どおり行かないと、無闇に落ち込んでしまったりするのも問題です。
子育ては育児書どおりにはいかないし、
育児書に書いてあることが完璧というわけでもないのですから、
「まあ、このくらいは許せる」という許容範囲を作っておくと楽だと思います。


失敗はしてもいいのです。
泣いたり笑ったりしながら、少しずつでも歩んでいけたら、
楽しい親子になれるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

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