第80号 親バカ日誌 2話



注:今回の会報は、チョー親バカ物語です。
「親バカ話でも大丈夫!」な方は、お読みください。





第1話 迷子

子どもとはぐれる夢を見ることがある。
夢の中で、私は恐ろしい気分で子どもを探している。
私の魂が夢の国から戻ってくる瞬間、
私は夢の中で「これは夢だ」と自覚し始める。
そして、「夢だから大丈夫!」と思いながら、
目を開くと、私の隣りには子どもがいる。
そして、「夢でよかった」とほっとする。




渋谷の雑踏の中で、
突然、次女が「Yちゃんがいない」と言った。
振り返ってみると、長女(小6)がいない。
渋谷駅JR改札口付近は人だらけで、1m離れたら連れの顔は見えなくなる。
最後に長女を確認した場所まで戻り、そのあたりを探し回った。
はぐれたのは、たった数メートルの間だった。

長女が私を探してめちゃくちゃに歩き回ってしまっている様が思い浮かんだ。
そしたら、ますます会えなくなる。
まさか、誰かに連れ去られた?
最悪の場面が頭を駆け巡る。

そのとき、私のケータイが鳴った。
娘からだった。
「どこにいるの?誰のケータイ?」
私は、立て続けに質問した。
「もしもし」
突然、男に代わった。男は
「渋谷駅前交番でお子さんを保護しております」
と言った。
すぐに交番に向かった。
10秒で着いた。
交番には、おまわりさんが5〜6人立っていた。
交番の中を覗くと、娘がいた。
「今、お電話をいただいた・・・」

と、おまわりさんに話し掛けると、おまわりさんは、
「親とはぐれたので電話を貸してください
と言って、自分でここへやってきました。
とてもしっかりした態度でしたよ。
お子さんを叱らないでくださいね」
と言った。
私は、お礼を言って娘を連れて帰ろうとすると、
「ちょっとの間だったんですが、
一時保護預りということになりますので、
引渡しに少し時間がかかりますよ」
と、奥の部屋へ案内されてしまった。
交番から出るとき、私は長女と次女の手をしっかり握った。
そういえば、最近、長女と手をつないで歩くことなどなくなっていた。

子育てしていると、びっくりするようなことが多々起こる。
細心の注意を払っているつもりでも、ふとしたことで何かが起こる。
それが命にかかわる大事故につながってしまうことだってある。
今、子どもたちが無事元気でいてくれるのは、
全く運がよかったと天に感謝しなければならない。

小6にもなって迷子っつうのもなんだが、
私は、娘が交番へ行くとは思わなかった。
娘は、花火大会の人ごみの中で
「もし迷子になったら、交番へ行くんだよ」
と、父親に言われたことを思い出したのそうだ。
娘も成長したものだ。










第2話 だんどり


家族でTVを見ていると、
「声に出して読みたい日本語」でおなじみの斎藤 孝さんが出てきた。
そして、「人間に大切なのは”だんどり力”である」と言った。
”だんどり力”が人生成功の鍵を握っているとか、いないとか・・・




娘の小学校で”子ども祭り”があった。
娘たちは、その日をとても楽しみにしていた。
子ども祭りの日、学校から帰ってくるなり、長女(小6)はその日の話をし始めた。

娘のクラスは「迷路」をした。
「迷路」は人気で、たくさんの児童がどっと教室の前に集まった。
娘は”並ばせる係”だった。
娘は、その人だかりを見て

「絶対きれいに並ばせてみせるぞ!」

と思ったそうだ。

まず、受け付けの机の周りに子どもたちが集まってしまうのを何とかしようと考えた。
そして、娘は、受け付けの机から少し離れた位置を先頭の立ち位置と決めた。
先頭は決まっても、列は乱れ、廊下いっぱいに広がってしまう。
そこで、「壁にへばりつけ」と並んでいる子たちに指示した。
そのうち、列が出口をふさいでいることに気づいた。
そこで、出口は空けて並ばせた。
すると、見事、きれいな列が出来上がった。
きちんと並んでくれない子には、
「ちゃんと並べっつってんだろっ!」
と、べらんめえ調で言うと、従ってくれるそうな。
娘は、話の終わりにこう言った。
だんどりだよ、だんどり!
私は、だんどりをとって行動したんだ!」

きのう、見たTVで覚えたのね、だんどりって言葉!
でも、私、嬉しいです。
低学年のころの娘からは想像もつきません。
小6になっても、「往復」を「大福」と書き、
「毒ガス兵器」を「毒ガス平気」と書いてしまう
オマヌケな娘ではありますが、
それでも、ちゃ〜〜んとだんどり力は育っていたのね!



今、小さいお子さんを育てていて、
「ああ、うちの子は、全くじれったい」
「なんてうちの子は、どんくさいんだろう」
と嘆いている方、安心してください!
子どもって、ずっと同じじゃないんです。
いつのまにか、ちゃんと成長するんです!



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