おちんちんの悩み

男の子を持つ母親の皆さん、
「おちんちんをむいて洗いましょう」
という言葉を聞いたとき、すぐに言葉の意味がわかりましたか。
「おちんちんを洗いましょう」ならわかります。
女性の多くは、「むいて」の意味がわからないのではないでしょうか。
おちんちんをむくって何?
おちんちんってむけるの?


私がはじめて聞いたのは、小学校5年のときです。
私の隣に元気な男の子が座っていました。
ある日、彼は算数のノートにいたずら描きをしていました。
そして、私たちの前の席の男子にその絵を見せながら、
「おまえのちんちんむけた?」と尋ねたのです。
彼は「これ、ムクレチン」と言って、私にその絵を見せてくれました。
”むけたペニス”と”むけてないペニス”が両方描かれていました。
じろじろ見て何か言われるとイヤなので、チラッとしか見ませんでしたが、
今でも私の脳裏にはしっかりその絵が焼きついています。
とてもリアルで上手な絵でした。
「ちんちんって、むけるのか」
そのとき、私はひそかに知ったのでありました。
でも、隣の席にそんな男子ばかりがいるわけではありません。
「ちんちんがむける」だの「ちんちんをむいた」だの、
そんな男子の会話を聞いたことのない女子がそのまま大人になれば、
「おちんちんをむいて洗いましょう」という言葉を聞いて「何それ?」と思うのは当然です。


育児雑誌に”おちんちん特集”などが掲載されると、
真面目な母親たちは、あわてて我が子のおちんちんを調べます。
「むく」「癒着」「手術」などという言葉をどう解釈したらよいのか、わからなくなり悩みはじめます。
「今まで私、おちんちんのことなんて何も気にしたことがなかったわ。
でも、それじゃあダメだったの?
むいて洗うってどういうこと?
癒着って何?
もしかして、うちの子、癒着してるかも・・・
それって、手術しないといけないの?」

母親たちは困って、父親に相談します。
すると、たいてい父親たちは「そんなもんほっとけ」なんて気楽なことを言うのです。
そういう話を聞くたび、私は「子育てに無関心な父親が多いんだな」と思っていました。

ところが、夫にその話をしてみると、意外にも夫はこう言うのです。
「母親が勝手に騒いでるだけでしょ」
勝手に騒いでるだけ!?
父親たちは言います。
「そんなもん、大きくなってから自分でむくんだ」
「自然にむけるんだから、そんなにいじるなよ」
「こんな赤ん坊がむけてたら、おかしいだろ」
でも、ある本には、
立派にむけた赤ちゃんのおちんちん写真が載っているし、
「むきむき体操」や「おちんちん体操」をしましょうと書いてあるし、
「そんなもんほっとけ」なんてどこにも書いてありません。
それでは、いったいどうしたらいいのでしょう。

保健婦さんやお医者さんによって言うことが違うので、母親たちはさらに悩みます。
ある保健婦さんは「むいて洗いなさい」と指導し、別の保健婦さんは「むくことはない」と指導します。
「包茎手術は早いほうがいい」と言う先生がいれば、「手術なんかすることないよ」と言う先生もいます。
さらに、近所のママが
「うちの子、包茎手術をしたの。大きくなってから悩むんじゃかわいそうだからね」
と言うのを聞けば、「そうかな」と思い、
「手術したチンチンは”ムケチン”って、からかわれるんだぞ」
と聞けば、「そうなんだ」と悩みます。

母親自身が”理想のおちんちん像”に縛られていると、悩みはさらに深くなります。
息子のおちんちんが包茎ではないかと心配する母親たちは、
「将来、コンプレックスをもったらかわいそうだ」
「大きくなってから泌尿器科へ通って恥ずかしい思いをさせるより、
今のうちに手術をさせてしまったほうがいい」
などと当たり前のように言います。
「包茎=コンプレックス」「泌尿器科=恥」といった意識は、どこから来るのでしょうか。
知らず知らずのうちに、男性雑誌の美容外科の宣伝レベルの情報
鵜呑みにしてしまったせいではないでしょうか。
子どものペニスをよその子と比べて大きいの小さいのと笑っているお母さんを見たことがありますが、
そういうことで子どもをからかうのは絶対やめてほしいものです。


包茎は、がんの原因になる、不潔で女性に菌をうつす、早漏になるなどと言われていますが、
「まちがいだらけの包茎知識」の著者・岩室紳也先生は、
「日ごろから包皮をむいてきれいに洗い、自然に刺激を与えていれば問題ない」
と言っています。さらに
「私も仮性包茎ですが、何も困ったことはありません。
無意味なことで悩むより、自分の体や性のことを正しく知っている人の方が魅力的でしょう」
とも言っています。
小貫大輔さんの話によれば、アメリカでは、
”包茎のペニス”のことを「ナチュラルなペニス」
”むけたペニス”のことは「手術したペニス」と言うそうです。
包茎は恥ではないし、困ったことではないのです。


たとえば、病院の医師に子どもの包茎手術を勧められたとき、
納得いかないまま、医師の言うなりになってしまうようなことは避けたいものです。
いろいろな意見に惑わされ、右往左往しないためには、
まず、医者たちの様々な意見を知り、共感できる情報を選択し、
パートナーと話し合いながら、自分なりの意見をもつようにすることが大事なのではないでしょうか。

以下、おちんちん情報の書かれたHPを紹介します。

紳也’HP おちんちんQ&A
「おちんちんのことなら、岩室先生におまかせしましょう」
と、私は言いたい。無理せず、むく指導をしています。
紳也特急 メルマガ紳也特急Vol.138『ご報告「むけました!』より
ぜひ、ご一読を!
ようこそ包茎のページヘ 「無理してむいた方がいい」
しかし、無理してにもコツがあるとか・・・
平野クリニック 包茎手術を考えるにあたっての正しい知識が真摯に書かれています。
子どもの健康 子どもの包茎のことやおちんちんの洗い方が書かれています。一般的な育児書という感じでお読みください。
子どもクリニック 「自然にむけてくるのを待ってもよい」という考え
小児の包茎について 「むいて洗うこと」と「ステロイド軟膏」をすすめています。
包茎克服法の伝授 手術せず自力で包茎を克服しようという実践的なHPです。

付録:「おちんちんをむく」コツ

以下は、私が調べた様々な情報から、
「むいて洗いましょう」とは具体的にどんなことを言うのか、まとめたものです。
一つの参考例です。
関心のある方は、お読みください。

おちんちんを清潔に保つために、
赤ちゃんのうちからむいて洗うようにするのがいいと思います。
おちんちんの先端の皮をひっぱると痛がりますので、
真ん中辺をもって根元に向かってめくります。
「むく」というより、はじめは「シワを伸ばす」程度でいいのです。
おちんちんの先っぽからオシッコの出口がちょっと見えたら、
シャワーをあててお湯を入れるようにささっと洗います。
それを毎日繰り返します。
毎日続けていると慣れてきて、少しずつめくれるようになってきます。
岩室先生は、一週間に1ミリと言っています。
無理にめくりあげて、一度に亀頭を全部出そうなどとあせってはいけません。

ある男性の話ですが、
彼は、思春期になって自力でむいたそうです。
はじめて包皮をめくって亀頭を出したときは、快感どころか激痛が走ったと言います。
つまり、亀頭はデリケートで敏感なところなのです。
だから、あんまり「むくぞ」とやっきになって無理なことはしないでください。

どのくらいむけていればいいのか、その程度がわかならくて悩む母親も結構います。
亀頭がすべて出ている状態をイメージしていると、
「むけない」「癒着している」と不安が増大します。
少しでもめくれれば心配することはありません。
毎日、”めくれるところまでめくって洗う”ということを繰り返していれば、そのうちむけてきます。
一度か二度やってみただけで「むけないから包茎手術か」などと心配することはありません。
一目見ただけで「これは手術だね」と医者から言われた子でも、
「手術なんてイヤだな」とぐずぐずしているうちに自然とむけた、なんて話もあります。
とにかく、一週間やそこらで「むけない、むけない」とあわてないことです。
思春期になってから自力でむくことだってできるわけですし・・・
それから、「むいて洗えば包茎にならない」というわけではありません。
あくまでむいて洗うのは、清潔を保つためです。
それから、むいて洗った後は戻すのを忘れないようにしましょう。