第4話
マックス号応答せよ
セブンのメイン監督として、全49作中14作を演出した、満田かずほ監督のセブン第1作。
もちろん、伝説の最終話も満田監督の作品です。





STORY



マナベ参謀に呼ばれたソガとアマギ。
「極秘命令。両隊員はこの命令書に従って某地点まで行き、そこである男に会い、彼の指揮下に入れ」(マナベ参謀)
「はっ」(ソガ、アマギ)
「重大な任務だ。誰にも気づかれないように基地を出るんだ。いいな!」(マナベ参謀)
「はっ」(ソガ、アマギ)
ポインターで命令書に指示された場所に向かうソガとアマギ。
「…左」(ソガ)
指示を運転しているダンに伝える。
←って、誰にも気づかれないように、じゃなかったの?



ソガ・アマギ量隊員への命令書が入っている封筒に、地球防衛軍のマークが入っています。ステッカーのようですが…?ずいぶんと細かい小道具まで、用意していたんですね。
セブン制作にあたっては、作戦室やメディカルセンターなどの基地の主要な場所は、永久セットとして、番組最終収録まで組まれたままでした。そのために余裕があったのでしょう。基地内シーンの背景部分や地球防衛軍の小物などに、細かな作り込みがされています、最初のうちは…。まぁ、目を皿のようにして見るのも楽しいですよ。
さて、秘密の某地点に向かうシーンのBGMは、満田監督大好きの「ULTRA SEVEN」です。子供向け番組にしては異例の英語歌詞が、乾いた感じのメロディとマッチして、「ウルトラセブン」のハードな世界観を存分に表現し得ていると思います。



指示された海岸に到着した3人。
沖合には、巨大な船の姿が、
「マックス号だ。あれに乗るんですね」(ダン)
「うん!」(ソガ、アマギ)
「さすがは、地球防衛軍の誇る新造原子力船だぁ。かぁっこいいなあ〜、ボクも1度は乗ってみたかったんですよ!」(ダン)
子供のようにはしゃぐダン…
「ダン、遊覧船じゃないぞ!」(アマギ)
←ほら、叱られた。


ひとりで基地へ戻るダン、その帰り道。
白いノースリーブのボディコン・ワンピースに、赤いスパッツ。
白いショートブーツに赤い手袋。
開店祝いのようないでたちの女が手を振っている。
隣にはボンネットを開けた、トヨタスポーツ800。
←またもやエンコである。
停車するダン。
「故障ですか?見てあげましょう」(ダン)
エンジンルームの様子をみる。
「どこも悪くないですよぉ」(ダン)
殴りかかる紅白女。
その手には、スパナが握られている。
←コントのようにデカいスパナだ…。
あっけなく、殴り倒されるダン。
←よ、弱すぎる…。
意識が遠のくダン。
その胸ポケットを探り、ウルトラ・アイを盗みだす。
急いでその場を立ち去る、笑顔が妖しい紅白女。


マックス号に乗り込むソガとアマギ。
2人を待っていたある男とは、タケナカ参謀であった。
「…説明しよう。1ヶ月前にこの地点で、わが国の原子力タンカー2隻が、相次いで消息を絶ったんだ。ついで1週間前、原因調査のために出動した海上保安庁の調査船までが、やられてしまった。当時の海洋・気象の条件からみて、単なる遭難とは考えらねない。いろいろと検討した結果、何者かの陰謀ではないか、という説が出て、事件の調査は極秘に進められることになったんだ」(タケナカ参謀)
「それで、我々の任務は…?」(ソガ)
「消息を絶った船の捜索と、陰謀団を突き止め、それを撃滅することだ。だが、まだ何の手がかりもつかめていない。逆に、このマックス号がやられるかもしれん。乗組員たちは、もちろんそのことは覚悟している。…君たちもいいな!」(タケナカ参謀)「はっ」(ソガ、アマギ)



メディカルセンター。
ダンの怪我を治療をする白衣のアンヌ。
「ねぇ、何があったの?」(アンヌ)
「そいつは、ぼくも知りたいんだ」(ダン)
「だって、自分でやったことでしょ?」(アンヌ)
「…うん…」(ダン)
女に殴られたこと、アンヌにはナイショ…、歯切れの悪いダン。
「これでよしと。もう、絶対乱暴しちゃ、いやよ」(アンヌ)
「…う、うん…」(ダン)
「そうだわ、ダンにいいものあげる」(アンヌ)
いいものを取りにいく、
「お守りよ!」(アンヌ)
←お守り?…っていうか、ペンダント!?
「これでどんな時でも大丈夫。アンヌがついているわ」(アンヌ)
お守り?をダンにつけてあげるアンヌ。
(女は初めからウルトラ・アイを狙っていたのだ…)(ダン)
アンヌの気持ちよりもウルトラ・アイのことが気になり、上の空のダン。
(…くそぉ、なんて、うかつなことを)(ダン)
お守りをつけられても気が付かないダン。
「ダン!」(アンヌ)
ダンの心配を知る由もないアンヌは、ダンのあまりの素っ気無さに、つい語気を強くした。
「…?…」(ダン)
ちょっぴり悲しいアンヌ…。



海上を進むマックス号。
「あと1分で、タンカーが消息を絶った問題の地点です」(艦長)
「エンジンストップ」(タケナカ参謀)
停止するディーゼルエンジン。
←最新鋭原子力船だったよね…?
突然、空に浮き上がるマックス号。
「うわぁぁぁ〜」(乗員)
激しいゆれが船を襲う…。
いったい何が起こったのか?
見ると周囲は赤い霧のようなものに包まれている。
グングンと上昇を続けるマックス号。
やがて、マックス号の姿は空に溶け込んでいった。



マックス号艦橋にずらりと並ぶ、タケナカ参謀、ソガ、アマギ、艦長、航海長…。
艦長役には、幸田宗丸さん。今回はチョイ出演ですが、#25「零下140度の対決」では迫真の演技を披露しています。そして、その後ろに直立する航海長…。なんと、セブンではあ〜りませんか!?
そう、アマギがウルトラマンだったように、セブンを演じていたのはこの人、上西弘次さんだったのです。主役だけあって、いつも撮影所に詰めていて、特撮セットの出来上がり待ちが多かったせいか、何度かチョイ役でカメオ出演しています。
また今回は、マックス号に乗り込んだソガとアマギをタケナカ参謀のところまで案内するシーンにも出て、セリフもしゃべっています。



マックス号も消息を絶った…!
「こちら本部、マックス号応答せよ。マックス号、応答せよ!」(通信隊員)
「よし、ウルトラホーク1号出動スタンバイ!ダン、一緒に来い!」(キリヤマ)
「はいっ」(ダン)
「フルハシ、君は念のため、大気圏外を調べてくれ」(キリヤマ)
「了解。ウルトラホーク2号出動スタンバイ!」(フルハシ)



ホーク1号の発進シーン。
今回の「フォース・ゲート・オープン」ナレーションから満田バージョンですネ。#1は声が違います。もっとも#1は制作5話で、#4の本話が制作4話ですから、制作順ではこちらのほうが先なのですが…。どういう理由かはわかりませんが、制作4話ではボツになった声優バージョンが制作5話では使われたようです。満田バージョンは、声優への演技指導のために録られたそうですが、声優バージョンが今ひとつということで、こちらがOKテイクとして使用されたそうです。


「なんでかしらないけど、満っちゃんがやってたっていうの知らない人いないよね」(森次晃嗣:談、※1)
←そりゃまあ、あれだけいろんなとこで言ってりゃあねぇ…。


宇宙空間を行くホーク2号。マックス号を発見する。
「フルハシより本部へ…」(フルハシ)
「…×<×…」
「チクショー、故障でやがらぁ…」(フルハシ)


科学の粋を集めたウルトラ警備隊の兵器や機械類ですが、なにかと故障しがちです。それというのもセブンの時代では、電化製品や機械製品は故障するのが当たり前だったのです。「MADE IN JAPAN」のタグ表示が本格的に付けられたのは、昭和20年代後半、対米国向け輸出品が始まりで、「MADE IN USA」よりも品質が劣ることの証明として、そう「値段の安い二流品」の証としての表示が義務付けられたのでした。テレビジョン受像機の大普及は、セブン放映の9年前、昭和33年4月、当時の皇太子殿下のご成婚がきっかけでした。そしてこの年は、テレビ型天才スター長嶋茂雄がデビューした年でもありました。
白黒受像機の量産体制に入り、ラインの歩留まりが落ち着く間もなく、時代はカラーテレビに移行します。昭和39年の東京オリンピックが初めてのカラー放送でした。そして、最初のカラーテレビ映画が「ウルトラマン」だったのです。セブンの放映された67年、テレビの普及は2000万台を超えましたが、世帯普及率では70%に満たない程度です。そう、我が国の家電産業は、まだまだ発展途上期だったのです。松下、東芝、日立の御三家が躍起になって「新3C」(カー、クーラー、カラーテレビ)生活の快適性をプレゼンテーションしている真っ最中だったのです。
今も街の商店街でがんばる個人営業の電気屋さん。たいていは、メーカーの系列店になっているはずです。これこそ、家電がよく故障していたころの名残なのです。そのころの消費者は、出張修理の円滑性をアフターサービスの柱として重要視していたのです。そうなると、自社製品の構造や修理方法を熟知したメンテナンス要員を確保することが、消費者からの信頼を得る近道となります。こうして、特定メーカー毎の系列店化が進んだのです。メーカー系列に属さない独立派は「○×テレビ商会」とか「△△無線」などといった屋号で、系列以外の商品を扱ったのです。私事で恐縮ですが、家電は街の電気屋さんか秋葉原で買うものだとされていた「元祖ウォークマン」が発売されたころ、ソニー本社と同じ区に住んでいながら、秋葉原まで行かないとSONYブランドは手に入らなかったのです。70年代以降、「MADE IN JAPAN」の製品はあらゆる分野で、廉価で優良な商品であると世界中で認知されました。これは今でも継続しています。そして携帯通信機器は、地球上の個人コミュニケーションを支配する、わが国経済復興への新たな戦略兵器となるのです。



ホーク2号からマックス号に潜入するフルハシ。
タケナカ、ソガ、アマギの3人を発見する。
「アマギ!…ソガ!しっかりしろ!」(フルハシ)
「フ、フルハシ隊員…」(ソガ)
「…どうしたんだよ、我々は…」(アマギ)
目覚めた3人は外を見て宇宙空間に驚く。
「船ごと、太平洋から宇宙へ運ばれてきたんだ」(フルハシ)
驚愕の空気が室内を包みこむ。
「現在…そんなことができるのは…」(タケナカ参謀)
「フフッハッハッハッハッハ……」(ゴドラ星人)
突如、笑い声とともにゴドラ星人が現われた。
最も笑う宇宙人の登場である。


交信不能なフルハシを案じる作戦室。
帰還するホーク2号。
「無事でよかった…」(キリヤマ)
「心配したわよ」(アンヌ)
「いやぁ、通信機のヒューズがトンじゃってねえ…ゴメンゴメン」(フルハシ)
←このころは、ヒューズってヤツがあったんです…!?
「で、宇宙のほうはどうだった?」(キリヤマ)
「マックス号はどこにも見当たりませんねえ。こうなったら地球防衛軍の総力を挙げて太平洋の海底捜査を行うべきですね」(フルハシ)
「海底捜査をねぇ…」(キリヤマ)
「こうなったら以上はですよぉ、各方面の協力を得て、徹底的に海の底を……」(フルハシ)
熱弁を振るうフルハシ。
(おかしい…何故だろう。フルハシ隊員とは思えない…。僕の六感がそう教えるのだ。何か違う…)(ダン) ←得意の透視ではなく、六感です。


基地内でフルハシを尾行するダン。
ダンに気付かずに、地下に向かうフルハシ。
そして、動力室で、不審な物体を取り付ける。
「キサマは誰だ!正体を現わせ!」(ダン)
「フッハッハッハ……」(フルハシ)
高笑いするフルハシ、ゴドラ星人の姿に変わる。
ダンの読み通り、ゴドラ星人が化けていたのだった。
「…ハッハッハ、さすがはモロボシダン、いやウルトラセブンだ。いいところに来た、飛んで火に入る夏の虫とはこのことだ」(ゴドラ星人) ←侵略者たちはことわざに詳しい…。 
「この原子炉が爆発と同時に、君は永久に、この地球から消えるのだ!」(ゴドラ星人) ←それはボイラーだ!
「そうはさせんぞ!」(ダン)
しかし、カプセルに閉じ込められるダン。
高笑いしながらダンに化けるゴドラ星人。
「フッハッハッハ……原子炉が爆発するまで。おとなしく寝ているんだウルトラセブン…ハッハッハ、あと15分で君の体は木っ端微塵さ、ハッハッハ……!」(ゴドラダン)


マックス号で、タケナカ参謀以下の4人に自慢げに語るゴドラ星人。
「…あと15分もすれば、地球防衛軍は原子の粒となって吹っ飛んでしまうだろう。地下18階の第2動力室に時限爆弾をセットしたところだ。フッフッフフッハッハッハッハ……」(ゴドラ星人)
←聞かれてもないのに、爆弾の場所まで、ペラペラしゃべる…。
言いたいことだけ言って、幻のように消える、ゴドラ星人。



ここから疑問が生じます。
ゴドラ星人は、爆弾をセットしてダンを閉じ込めた直前のシーンで、あと15分と言っており、このシーンでも、爆発まであと15分と言っています。この2つのシーンが、時系列的につながっていることは明白です。ゴドラ星人には瞬間移動能力があるのでしょうか?本シーンのラストで消えていることからそのように考えられます。
しかし、問題はこの後なのです。



宇宙空間のマックス号。
基地に爆弾のことを連絡したいが、無線は使用不能。
時間は15分しかない。焦る隊員たち。
フルハシが思いつく。
「参謀!マックス号には確か、観測用ロケットがつんでありましたね?」(フルハシ)
「おう、そうだ」(タケナカ参謀)
「ロケットは一人乗りだ、誰が行く」(フルハシ)
「私が行きます」(アマギ)
「その前に戸口の見張りを倒すんだ」(タケナカ参謀)
戸口へ向かい、
「おい、開けろ!開けてくれ!」(ソガ、アマギ)
戸を開けて部屋に入るゴドラ星人。 ←簡単に開けるなって!
フルハシのウルトラ・ガンで撃たれる。 ←取り上げとけって!
倒れるゴドラ星人。


観測ロケット発射準備は完了した。
フルハシが発射ボタンを押そうとしたその時、発射管制室にゴドラ星人が姿を現わして、フルハシとアマギを撃った。
「フ、フッフッハッハッハ……」(ゴドラ星人)
「チ、チクショー」(フルハシ)
根性で発射ボタンを押すフルハシ。地球に向かうロケット。



先ほどの疑問の続きです。
参謀以下、隊員たちが捕われている部屋では、確かにゴドラ星人を倒しました。そして、観測ロケットの発射管制室にはフルハシしかいません。ということは、ソガとタケナカ参謀が倒したゴドラ星人を見張っていると考えるのが普通です。もちろんアマギはロケットの中にいます。
にもかかわらず、ゴドラ星人は襲撃に現われるのです。ソガとタケナカ参謀はやられてしまったのでしょうか。それとも、瞬間移動能力を使ったのでしょうか…?



瀕死の状態で帰還したアマギを見た防衛隊員たちの会話。
「しかし、アマギ隊員は、あの身体でよくコースを間違えなかったな」(防衛隊員A)
感心する一般防衛隊員のひとり。
「そこがウルトラ警備隊だよ。われわれとはできが違うよ」(防衛隊員B)
←まだ、アマギの臆病はバレていない…。


第2動力室のダン。
「一方、ゴドラ星人の不思議なカプセルに閉じ込められたモロボシダンは、必死に脱出を試みていた」(浦野光)
←必死というか、むやみにウルトラ・ガンを乱射する、としか見えないダン。
 原子炉があるんだよ!あぶねぇじゃねぇか!
「…だが努力も空しく、原子炉爆破の時刻は刻一刻と迫っていた」(浦野光)


そこに放射能防御服姿の誰かがやって来た。どうやら女のようである。一瞬にして防御服を脱ぎさると、現われたのは、あの紅白女ではないか…。
「……!」(ダン)
先ほどのダンとゴドラ星人との小競り合いで、アンヌのお守りが床に落ちている。
なぜかそれを拾う紅白女。
なぜかそれを撃つダン。
なぜか解除される不思議なカプセル。
←な・ぜ・だ?
「フッハッハッハ……、もうすべては終わりよ。あと3分でこの基地は爆破されるわ」(紅白女)
「何故だ?何故、逃げようとしないのだ?」(ダン)
「それはもとより覚悟のうえ。地球防衛軍とともに滅びること、それがアタシに与えられた使命なのさ!フッハッハッハッハ……」(紅白女)
高笑いしながらゴドラ星人の姿に変わる紅白女。
ダンを追いつめるゴドラ星人。
ダンの正拳突き。よろけるゴドラ、何かを落とす。
床に転がるウルトラ・アイ…。 ←ちゃんとしまっとけ!
とっさに拾い、装着するダン。 
ボッとして、立っているゴドラ星人。 ←邪魔ぐらいしろって!
セブンに変身。


目を開けるアマギ。見守っていた隊長。
「アマギ…気がついたか」(キリヤマ)
「…大変だぁ!時限爆弾が爆発するぅぅ!」(アマギ)
「時限爆弾?どこだ?…どこにあるんだ」(キリヤマ)
「…第2動力室の原子炉のそばぁぁぁ!」(アマギ)
←アマギは爆弾が怖いんです。


第2動力室にやってきた隊長。
そこでは、セブンとゴドラ星人が格闘中。
「隊長ぉ、時限爆弾を早く…」(セブン)
「うむ…」(キリヤマ)
セブンがしゃべった!
しかし隊長、少しも慌てず、爆弾処理。



第2動力室のセブンVSゴドラ星人@。
決まり手:エメリューム光線。 ←背景に「火気厳禁」の文字が…。
宇宙人退治!…と思ったら、
「ダン、やめてぇ〜。ダン、はなして!」
アンヌの声が聞こえます。 ←いい声っス。
ダンに化けたゴドラ星人が、アンヌを人質に駐車場にやって来たのです。
ここで、またまた疑問の続きです。
今やっつけたゴドラ君は、紅白女に化けていて、基地もろとも吹っ飛ぶ使命と言っておりました。そう、ゴドラ星人は1人ではなかったのです。複数のゴドラ星人たちがやって来ていたことが、やっとハッキリしました。
これは、トリッキーな設定というよりも説明不足というべきでしょう。神出鬼没性や不気味性を打ち出したいときには、キチンと視聴者理解をさせたうえで、設定上の伏線を張るというのが、シナリオというものではないのでしょうか。今回のような扱いはいたずらに混乱させるだけです。
それはそうと、新たな疑問…。いったい何人いるの…?



「ダン、はなして!」(アンヌ)
立ちはだかるセブン。 ←早い!セブンもたくさんいるのか?
「待て!」(セブン) ←あっそれ、隊長のセリフだって…。
「ウルトラセブン!」(アンヌ)
「アンヌ!それはダンじゃない。ゴドラ星人だ!」(セブン)
「えっ…」(アンヌ)
逃げるアンヌ。ウルトラ・ガンを抜くゴドラダン。
セブン、アイ・スラッガーを投げる。
ダンの額に当たって跳ね返る…痛そうな表情。
ポインターを盗んで逃げるゴドラダン。飛行して追うセブン。
しかし、基地から草原まで追いつかない。
速いぜ、速すぎるぜ!ポインター!



ダンに化けたゴドラ星人が逃走する辺りから流れる、アップテンポのBGMが「ウルトラセブンの歌 パート2」と名づけられた、主題歌のNG曲です。スピーディなリズムと軽快なギターがハードなSF設定に合わなかったのでしょうか。聞き比べると確かに、採用曲の方が主題歌としてはセブンワールドの深遠さを表現し得ていると感じられます。主題歌は両方とも、円谷一(東京一)氏が書いた歌詞に冬木透氏が曲をつけたので、同じ歌詞で歌えます。パート2のメロディラインで歌ってみるのも一興です。なお、バップから出ている「ウルトラソングブック」には、この唄付が収められています。


草原のセブンVSゴドラ星人A。
決まり手:エメリューム光線。


セブンのところに隊長とアンヌが乗ったポインターがやって来る。
「ウルトラセブン、基地は救われた。ありがとう」(キリヤマ)
なぜか、爆弾を持ってきたキリヤマ隊長。
「隊長ぉ、これを私に…」(セブン)
その爆弾を持っていくセブン。



「TDF PO−U」。
隊長とアンヌが乗ったポインター前面には、そうペイントされています。
レギュラーのポインターは、「TDF PO−T」です。
そう、ポインターはこの1台きりです。たくさんあるように見せた工夫なのです。
そりゃあ、天下の地球防衛軍に、パトロール用特殊車輌が1台しかないのでは、格好がつきません。こんな理由から、ゴドラダンがアンヌを拉致しようとする駐車場にも、ポインターが何台も止まっているのです。光学技師の中野稔氏が、合成を重ねたそうです。中野さん、お疲れさまっス!



マックス号に乗り込むセブン。
チョップで1人、チョップ&キックで1人、エメリューム光線で1人、
3人のゴドラ星人を倒したセブンは、タケナカ参謀たちがいる部屋に現われる。
「マックス号はゴドラ星人に占領された。脱出しよう」(セブン)
「よし、酸素ボンベを!」(タケナカ参謀)
そこに入ってくるゴドラ星人。 ←これで4人目。
すかさずハンドショットで倒すセブン。
セブンは爆弾をセットすると、タケナカ、フルハシ、ソガの3人を連れてマックス号から脱出する。

近づくホーク2号。
「隊長、あれを…」(アンヌ)
アンヌの指さした方向には、セブンにロープで引かれて宇宙遊泳をしている3人の姿があった。
「みんな無事だったのね」(アンヌ)
←こんなんで、ホントに無事なのか…!?。



ウルトラ警備隊の隊員服は、ヘルメットの赤外線バイザーを降ろして、胸部のバルブと吸入ホースをつなぐと簡易宇宙服にもなるというスグレモノです。しかも、バイザーの下部はエアカーテン機能があり、口が露出していても、しっかり呼吸が出来る……らしいっス。
ふ〜ん…?そぉ〜…。
こーゆー、その場しのぎって、子供は敏感なんだよね…。





ACTOR&ACTRESS



タケナカ参謀は、「ウルトラQ」主役トリオの一人「万城目淳(まんじょうめ・じゅん)」役の佐原健二さん。ウルトラ警備隊の実質的な作戦指導者としてマナベ参謀(宮川洋一さん)とともに準レギュラーで出演しました。
佐原さんは、東宝第6期ニューフェイスで、「空の大怪獣ラドン」以来、平田昭彦さんとならぶ東宝特撮の看板俳優です。「地球防衛軍」「海底軍艦」「ゴジラシリーズ」など、特撮ものの常連でした。後の「帰ってきたウルトラマン」にも参謀役で出演しますが、役名が「サタケ」だったり「サガワ」だったりしました。そして、平成セブンシリーズでは、永年にわたる功績が認められ、地球防衛軍極東基地長官に昇進したのです。しかし、日本テレビ版では「サハラケンジ」長官名。OVシリーズで、もとの「タケナカ」長官名に復帰しました。
佐原健二asタケナカ参謀(#1、#2、#4、#19、#21、#22、#24、#26、#35、#39、#40、#49)
ちなみに、ウルトラQ主役トリオ、あとの2人も#7と#12にゲスト出演しています。



ゴドラ星人の化けた紅白女には、水上竜子さん。
こんな人がエンコしてたら…ダンじゃなくても止まるよね…。
このときの車は、"ヨタハチ"こと「トヨタスポーツ800」。
国民車構想から生まれて大ヒットした「トヨタパプリカ」の基本コンポーネンツを流用したライト・スポーツカーです。
スポーティなボディ・デザインと経済的な800CCエンジンの組み合わせを当時の若者が放っておくはずもありません。同時期に発売された、「ホンダS800」、通称"エスハチ"と人気を分け合った、若人憧れの1台でした。因みに、エスハチは、#46「ダン対セブンの決闘」に登場します。
ヨタハチの流線型ボディは、ソフィスケートされた上で、トヨタ2000GT(「007は二度死ぬ」のボンドカー)に受け継がれました。今や伝説の名車たちです。





ALIENS&MONSTERS



ナマコ壁(伊豆半島でよく見られる漆喰模様)をくっつけたフォークロアデザインの割に、長身でスタイリッシュなゴドラ星人は、海棲生物をモチーフにした成田亨デザインの基本的宇宙人とのことです。海と水のイメージから『ゴンドラ→ゴドラ」と命名されました。同時進行の#6「ダーク・ゾーン」のペガッサ星人と一緒に作られました。そのせいかシルエットがよく似ています。ゴドラ星人は右手にゴドラ・ガンをつけ、見た目は強そうですが、画面に姿を現わすと、高笑いばかりの上に、口が軽く、聞かれてもない作戦上の秘密をペラペラと自慢げにしゃべり、挙句の果てに、作戦や行動とかの詰めが甘くて、すくいようがない…とんだマヌケ君です。

例えば…、
・女に化けてダンからウルトラ・アイを盗み出すが、
 怪我を負わせたダンはそのまま。
・時限爆弾の仕掛けた場所をベラベラしゃべって自慢する。
・フルハシからウルトラ・ガンを取り上げないで、後で撃たれる。
・フルハシにトドメをささずに、観測ロケッを発射させる。ト
・爆発3分前、再びダンの前に現われる。
・しかも余計なことをしてダンを解放する。
・そのうえ、格闘し、ウルトラ・アイを落っことす。
・しかも、足元に落ちたのにたいした邪魔もせずにダンに拾われる…。
・ダンに化けてアンヌを連れ出そうとするが、目的は?
・地球防衛軍の目を海底に向けさせるため作戦なのに、地上では2人しか行動していない。
・残りのご一行様はマックス号で遊んでいた…。
本気で地球征服しに来たのかどうか…?
また、ゴドラ星人は何人でやってきたのでしょうか…?
・紅白女に化けた、ゴドラ@ →エメリューム光線×
・フルハシとダンに化けた、ゴドラA →巨大化、エメリューム光線×
・マックス号にいたゴドラたち
 ゴドラB →フルハシのウルトラ・ガン×
 ゴドラC →セブンのチョップ×
 ゴドラD →セブンのチョップ&キック×
 ゴドラE →エメリューム光線×
 ゴドラF →ハンドショット×
この他にも多数のゴドラたちが乗り込んでいた模様です。


反重力宇宙人:ゴドラ星人
身長:1m60p〜45m
体重:いや、こりゃ失礼〜2万3千t
出身:ゴドラ星
武器:変身能力、反重力、ゴドラ・ガン(右手)
特技:高笑い
弱点:マヌケ

ゴドラ君たちは、公式には反重力宇宙人とされていますが、変身宇宙人とか、策謀宇宙人とかのほうが、ストーリーとの整合性があったのではないでしょうか。
えっ…いちばん似合っているのがあるって…?
マヌケ宇宙人:ゴドラ星人…。





LOCATION



朝霧高原(ダン殴られる、ポインター2台の草原)
横浜港停泊中の船(マックス号船内、ブリッジ、廊下、機関室など)







                      





              「ウルトラセブン」ストーリー再録  第4話「マックス号応答せよ」
                04/JUL/2001 初版発行  10/NOV/2001 第二版発行
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制作4話  脚本:金城哲夫・山田正弘  監督:満田かずほ  特殊技術:有川貞昌