第12話
遊星より愛をこめて
※本作品は欠番です
昭和47(1972)年以降、欠番とされ、一度も放送されていない作品。
一説には、フィルムは焼却処分されていて、もう実在しないとも…。
人呼んで、「幻の12話」。


「この問題に関しては、抗弁する気はありません。虐待された人々がとる抗議行動は、たとえそれがどんなものであれ、すべて正当だと思います。なぜなら差別された人の気持ちは、そうでない人には絶対にわからないですから」(佐々木守:談、別冊宝島:怪獣学入門より)


「幻の12話」となった経緯。
「昭和45(1970)年、小学館の学習雑誌「小学二年生」11月号に掲載された「怪獣決戦カード」の怪獣のなかの×××星人の写真に「ひばくせい人」との説明書きがあった。それを発見した中学1年の少女が、原爆被害者団体協議会の委員をつとめる父親N氏に相談、父親は小学館に抗議の手紙を書いたが、その回答を待たずに朝日新聞が記事として取り上げたため、問題は拡大していった。ちなみにN氏一家は被爆者ではない。その後、他社の出版物からも×××星人の記述が集められ、すべてが激しい糾弾にさらされた。「被爆星人」というネーミングをしたのは、脚本の佐々木守、監督の実相寺昭雄はじめ、作品の作り手たちではなかったのだが、結局、制作プロはこの×××星人の登場する「遊星より愛をこめて」を欠番とし、以後、あらゆるメディアへの露出を「封印」した。
そして、糾弾側の主張はこの一点につきる。被爆者を怪獣あつかいするのは差別の助長につながる」(原文ママ)
(幻の12話を20年追いつづけた男、別冊宝島:怪獣学入門より)



要は、放映後の出版物の表記が事の発端で、
作品自体の内容が問題とされているわけではないらしい…。
だったら、みんなで見てから再考すればいい、
ただし、制作者と運動家はぬきにして…。



おかげで、鬼才、実相寺昭雄監督の数少ない「ウルトラセブン」の1本と、ウルトラヒロイン共演とが見れなくなってしまったわけです。
そう、この回のゲストは「ウルトラマン」のフジアキコ隊員、ロコこと桜井浩子さんだったのです。
桜井浩子さんは、東宝ニューフェイス第1期生として入社しました。同期生が、黒部進さんでした。そう、ハヤタとアキコは同期の桜だったのです。イデ隊員の二瓶正也さんやアンヌは、2人の後輩にあたるのです。
空想特撮シリーズ第1作「ウルトラQ」で、主人公トリオのひとり、江戸川由利子を演じ、続いて、「ウルトラマン」科学特捜隊フジアキコ隊員役にスピンオフした桜井浩子さん。時を経て、ウルトラ本のはしり「ウルトラマン青春記〜フジ隊員の929日」を1994年に上梓しました。そして、平成セブンにもOGの一人として、かつての科特隊の仲間とともに出演されています。










                        





            「ウルトラセブン」ストーリー再録  第12話「遊星より愛をこめて」
              04/JUL/2001 初版発行  16/DEC/2001 第二版発行
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制作9話  脚本:佐々木守  監督:実相寺昭雄  特殊技術:大木 淳