セブン「怪獣の出ない3部作」の1本目。
ついに、金が尽きたのか…。それとも、怪獣なしで勝負できる脚本を得たのか…。
好みで評価も分かれるところですが、一言で言うと、子供的にはつまらない回でした…。
ちなみに、アンヌはこう申しております。

「宇宙人は最後まで姿を見せないし、シャドウマンは霊魂のような存在。売り物の派手な戦闘場面がなく、非常に地味なイメージがあります。しかし、本編がしっかり作られているので、見ごたえのある作品に仕上がっています」(ひし美ゆり子、※2)





STORY



海底を行く大型潜水艦と2隻のハイドランジャー。
「地球防衛軍パリ本部から秘密書類が極秘のうちに運ばれてきた」(浦野光)


大型潜水艦の艦内。
「キリヤマさん、パリ本部からテレタイプが入りました」(乗員)
「いや、どうも」(キリヤマ)
「どうかしたか?」(マナベ参謀)
「セイロン島の北方30カイリで、謎の爆発が4件あったそうです」(キリヤマ)
「我々も十分注意しよう」(マナベ参謀)
交信マイクをとるキリヤマ隊長。
「こちらS号。ハイドランジャー、警備状況を報告せよ」
「こちらハイドランジャー1号、異常なし」(ソガ)
「こちらハイドランジャー2号、異常なし」(ダン)
「了解」(キリヤマ)
マイクを離し、マナベ参謀に向かって、
「間もなく基地ですね」(キリヤマ)
「伊豆半島沖に浮上して、そこからヘリコプターを使おう」(マナベ参謀)
基地に近づく海底航行部隊。


「防衛基地周辺では、奇怪な事故が頻々と起こっていた」(浦野光)
走行中のポインターは、突然倒れこんできた黒ずくめの男をはねる…。
←これって、業務上過失事故だと思います。
あわてて降りるフルハシとアマギ。
「おい…、ん…濡れてる」(アマギ)
「ヘンな臭いがする」(フルハシ)
←はねた男の心配をしなさい。


メディカルセンター。
息を引き取る男。脈を取り、首を横に振るドクターアンヌ。
そこにフルハシとアマギが、はねた男を担ぎこむ。
「アンヌ、頼む」(フルハシ)
「え…、また?」(アンヌ)
「こっちもか…」(フルハシ)
「死んだわ…」(アンヌ)
「いきなり車の前に飛び込んできたんです」(防衛隊員)
不思議そうな表情のフルハシ。
そこに突然、担ぎ込んだ男がフルハシに襲いかかる!
DAM!
ショック・ガンで男を撃つアマギ。
「死んでるわ…」(アンヌ)
「えっ…、ショック銃で撃ったんだぜ…、死ぬなんておかしいよ」(アマギ)
「9人目よ、もう…」(アンヌ)
死体に近寄る3人。
「どの死体も身元を確認するものが何もないのよ…」(アンヌ)
「ホルマリンの臭いがする…。これが決めてだ!」(アマギ)
「よし、病院の方をあたってみよう」(フルハシ)
調査に出動するポインター。


ペリコプターが基地に到着した。
潜水艦S号からマナベ参謀たちが乗ってきたのだった。
基地内の超厳重機密書類庫へやってきたマナベ参謀以下の一行。
書類庫の入り口は鉄格子である。
うっかり鉄格子に触ろうとしたアマギを制する。
「寄るな、3万ボルトの電流が流れている」(マナベ参謀)
施錠を解除し、厳重な書類庫に重要書類を保管するマナベ参謀。



超厳重機密書類庫の仕組み。
@赤外線銃で、出入り口キーロックを解除。
A3万ボルト高圧電流鉄格子を赤外線銃で開扉。
Bセンサー制御器隠し扉を赤外線銃で開扉。
Cセンサー制御器を手動でオフ。
D最期に、手動で書類庫を開扉。
いやはや、厳重極まりない書類倉庫ですね。



深夜、基地内をうろつく男がいる。
警報センサーの前を通ったため、非常警報が鳴り渡る。
走り寄る防衛隊員。
「待て、止まらんと撃つぞ!」(防衛隊員)
走りだす男…。
DAM!DAM!
防衛隊員の銃撃を受け、倒れる黒ずくめの男…。


第三病院(DAISAN HOSPITAL)。
死体盗難が起きていた。
「教材用の死体ですって?」(フルハシ)
「いわば解剖用です。10体あったんですが、夕べ何者かに盗まれて、調査中です」(医師)
「10体も…」(フルハシ)
「うちの死体漕から盗まれたものです。もともと身元の不明な人たちですから、探しようがなくて…」(医師)


作戦室。
「なに?病院から盗まれた死体?」(キリヤマ)
フルハシからの無線連絡。
「隊長、これはウラに何かありそうですね」(フルハシ)
「おい、死体をもう一度、調べ直すんだ!」(キリヤマ)
モルグに向かう隊員たち。


モルグ。
死体を再調査するキタムラ博士とウルトラ警備隊。
「別に改造された痕もありませんね…」(キタムラ博士)
「じゃあ、サイボーグでもないわけですね…」(キリヤマ)
「今のところ、普通の死体です」(キタムラ博士)
←普通の死体とは…、何のこっちゃ?
「しかし、いったい誰が、彼らを蘇生させて送り込んだんでしょうね?」(ダン)
「それだ。ただのイタズラとも思えん…」(キリヤマ)
←イタズラでこんなことをする奴はいない。
「こんなに厳重な警備網の中で何をしようというんだ。大体、地球防衛軍を甘く見てますよ!」(ソガ)
「とにかく彼らが、何か目的をもって送り込まれたとすれば、今にきっと動き出す…。ダン、この死体を見張るんだ。絶対目を離すな!」(キリヤマ)
「はい」(ダン)



これだけ侵入されれば、甘く見られても仕方がないぞ、ソガ君。
厳重な警備網をかいくぐって、基地に侵入された例。
@ワイアール星人(隊員に化けて侵入)
Aピット星人(連れ込んだのはフルハシ)
Bゴドラ星人(紅白女に化けて侵入)
Cペガッサ星人(影人間が知らないうちに侵入)
Dキュラソ星人(アンヌを操って侵入)
Eブラコ星人(何だか知らんが侵入)
Fガンダー(力技で侵入)
Gボーグ星人(銀色女に化けて侵入)
Hダリー(松坂慶子に寄生して侵入)
そして今回で10回目…。
10/33、3割3厘。野球の打率だったら、たいした数字である。
ホントに厳重なのか…?



死体を見張るダン。
13日の金曜日、午前1時である。
死体に変化はないが、影が…、大きな影が動きだす。
ひとつ、ふたつ…。徐々に増える影…。
不気味な気配を感じるダン。
(何か変だ…)(ダン)


作戦室のオート・ドアが開く。
しかし、そこには誰もいない…。
あれ?っといった表情で顔を見合わせる隊長とアマギ。


メディカルセンターのドアも開く。
やはり、そこにも誰もいない…。
そして、アンヌに向かって影が動いた。
「キャアアアアッ…」(アンヌ)
駆けつけるキリヤマ隊長とアマギ。
「どうした!」(キリヤマ)
「…か、影が…」(アンヌ)
しかし、異常はみられない。
「自分の影でも見たんだろう?」(アマギ)
「…ドアが開いて、影が入ってきたのよ…」(アンヌ)
「…作戦室のドアも開きましたね…」(アマギ)
←恐い…、これじゃ怪奇シリーズだ…。
「ダン、応答せよ。死体は異常ないか?」(キリヤマ)
「死体は異常ありませんが…、何かおかしいです。隊長のほうはどうですか?」(ダン)
「どうも様子がおかしいんだ…。引き続き、警戒を頼む」(キリヤマ)
キリヤマ隊長は、不思議な気配を感じる。
「ん…?誰かいる…。気のせいかな…」(キリヤマ)
「ホルマリンの臭いだ」(アマギ)
「何だか、気味が悪いわ…」(アンヌ)
←アンヌは女の子だから、この手のことにはヨワいのです。


超厳重機密書類庫を警戒中のフルハシとソガ。
フルハシに通信が入る。
「はっ、こちらフルハシ」(フルハシ)
「気をつけろ。何者かが、暗躍を始めたらしい」(キリヤマ)
「えっ、どんな奴です?」(フルハシ)
「それがはっきりせん…。ただ、気配がするだけだ」(キリヤマ)
「心配ご無用。ドアには指一本触れさせやしません」(フルハシ)
自信たっぷりの怪力男。
しかし影は、容易に書類庫への侵入を果たす。
超厳重セキュリティーは何の役にもたたなかった…。


警報が鳴る。
「どうしたんだ?」(キリヤマ)
「影です。影だけなんです」(フルハシ)
やって来たマナベ参謀。
「怪しい奴がうろついています」(キリヤマ)
「あらためてくる…」(マナベ参謀)
赤外線銃で開錠し、中に入るマナベ参謀。
「ない!」(マナベ参謀)
「はっ…。おい、その辺を徹底的に探すんだ!」(キリヤマ)
「盗まれたマイクロフィルムには、世界の地球防衛軍秘密基地の所在地が明記されているんだ。侵略者の手に落ちれば、彼らは直ちに攻撃を仕掛けてくる。キリヤマ隊長、何としてもフィルムを取り返さねば!」(マナベ参謀)
「はい、只今、防衛基地一帯に非常警戒網を張らせています」(キリヤマ)
「敵は影です。影の正体を突き止めない限り、追っても無駄でしょう」(ダン)
「じゃ、手も足も出せんという訳か…。しかし何とかしなければ…」(マナベ参謀)
「影か…」(キリヤマ)
(そうだ、死体収容室で、確かに影が動いた…)(ダン)
何かヒントをつかんだダン…。


モルグ。
死体から霊魂のように影が動き出す。
次から次へと…。
戻ってきたダン…、やはり不思議な気配を感じ取る。
(そうだ念力だ…。誰かが念力で死体を操っているんだ)(ダン)
どんどん増える気配…。
思わずセブンに変身するダン。
セブンに襲いかかる、無数の影と白い煙幕…。
煙が晴れると、なぜかセブンはミクロ化されている…。
コップに閉じ込められる、情けないセブン。
去り行く影たち…。
セブンはエメリューム光線で火災を発生させる。


作戦室。
基地内に鳴り響く警報サイレン。
「監視室です」(アンヌ)
「ダンはどうした?」(キリヤマ)
交信するアンヌ、応答はない。
「行ってみよう、皆も来い!」(キリヤマ)
監視室に向かう警備隊員たち。
その隙に作戦室に潜入する影たち。


モルグ。
火災の消火におおわらわの警備隊員。
「ダンは?ダンは?」(アンヌ)
ダンの身を気遣うアンヌ。
誰かが、セブンが閉じ込められたコップを蹴り飛ばす…。
開放されたセブンは、ドサクサに紛れてダンに戻る。
「隊長、奴らに襲われました…」(ダン)
「奴ら?」(キリヤマ)
「ええ、死体の男たちです」(ダン)
「えっ?」(一同)
死体の様子を見るが変わりはない。
「奴ら、死んだままだぞ!」(フルハシ)
「念力で死者を操っている者がいます」(ダン)
「念力?」(キリヤマ)
「ええ、一種のテレキネシスで…」(ダン)
「テレキネシス…?」(フルハシ)
「死者の霊を遠隔操作しているんです」(ダン)
←シュールすぎる…、子供じゃ絶対わからない…。
「そうだ。テープが伝送されてしまう!」(ダン)



テレキネシスとは、念動力のことです。自分以外の生物や物体を自らの身体のごとく操作できる超能力のひとつです。例えば、スプーンをこすっているだけで曲げてしまうアレです。念動力や念力を使うときには、精神の集中が必要となるので、スプーンをこすることによって集中を高め、一定の方向に曲がるよう念を送るのです。けっして金属を摩擦することで暖め、曲がりやすくし、隙を見計らってテコの原理で押し曲げているわけではないのです。それにしても、こんなチャチなトリックに日本中がだまされていたとは…。まったくトホホですネ。



作戦室。
戻ってきた隊員たち。
しかしそこには、影に倒された防衛隊員たちの姿が…。
「遅かった…」(ダン)
「伝送されてしまったのか…」(キリヤマ)
「ええ…、テープを回せば、伝送された周波数がわかるはずです。アマギ隊員、頼みます」(ダン)
「よし!」(アマギ)
解析にかかるアマギ。
「3518メガサイクルで送信されています」(アマギ)
「ダン、発信した位置を確認してくれ」(キリヤマ)
地図連動レーダーを操作するダン。
「受信場所は、東京K地区です」(ダン)
「よし、奴らが動き出す前に叩くんだ。ダンとアンヌは残って警備を固めてくれ。俺たちはK地区を調べる。直ちに出動!」(キリヤマ)


東京K地区。
廃墟のような建物。
「ひどい建物だなぁ…」(キリヤマ)
「隊長、地下室らしいものもありません…」(アマギ)
「電波は確かにここでキャッチされているのか?」(キリヤマ)
「はい、間違いありません」(アマギ)
「計器ひとつない、というのはおかしい…」(キリヤマ)
建物の上方を捜索するアマギ。
「おお!」(アマギ)
「何だ?」(キリヤマ)
「受信アンテナですよ…。奴ら、ここで一旦中継した電波をさらに上空に送ってキャッチしているんです」(アマギ)
「敵は空か…?」(キリヤマ)
「恐らく、宇宙…」(アマギ)
「今頃、攻撃準備を…」(フルハシ)
「うむ、世界中の防衛基地が奴らの目標だ…」(キリヤマ)
敵の居場所と目的はわかった。
意を決したキリヤマ隊長は、ビデオシーバーでダンを呼び出す。
「ダン、宇宙に飛んでくれ!奴らの侵略基地は宇宙なんだ、受信場所を突き止めろ!」(キリヤマ)
「了解。アンヌ、後を頼む」(ダン)
ホーク2号で宇宙に向かうダン。


宇宙に出たダン。
「あれだ!…ホーク2号、宇宙ステーション発見!」(ダン)
本部に報告後、謎の宇宙ステーションに接近するダン。
しかし、突然の制止光線攻撃を受け、あらぬ方角に飛ばされてしまう…。
←なぜか、飛行機の墜落音とともに…。
そして、爆発するホーク2号。


後続するホーク1号。
「隊長、すごい爆発音をキャッチしました」(アマギ)
「そうか…」(キリヤマ)
不安そうな表情のキリヤマ隊長…。


大型ミサイルを発射する宇宙ステーション。
その時、ミサイルに光線が襲いかかった…。
セブンのワイド・ショットである。粉砕、爆裂するミサイル。
宇宙ステーションに向かうセブン。
しかし、またもや制止光線を浴びたうえに、今度は拘束円盤に拉致されてしまう。
再びミサイルが発射される。
なす術もなく見送るセブン。
「前方に飛行物体。すごいスピードです」(ソガ)
「ミサイルだ!」(フルハシ)
「迎撃しろ!」(キリヤマ)
間髪いれずの攻撃、粉砕されるミサイル。
「あっ…、セブンが…」(ソガ)
またもやコップ状のカプセルに監禁されているセブン。
「よし、援護しろ」(キリヤマ)
光と弾幕が交錯する、凄まじいホーク1号と円盤群との空中戦…。
ホーク1号のミサイルが宇宙ステーションのセブン拘束カプセルを破壊する。
自由を取り戻したセブンは、宇宙ステーションの追跡・攻撃に入る。
決まり手:2度もコップに閉じ込められてコケにされたセブン、怒りのワイドショット炸裂。


基地に還ってきた隊員たち。
「隊長、危ないところでしたねぇ…」(ソガ)
「機密室からフィルムを盗み出すなんて、まったく恐ろしい奴らだよ」(キリヤマ)
「いくらガードが完璧な基地だからといって、シャドウマンまでは防げませんからね」(フルハシ)
「ハッハッハッハ…」(一同)
笑いながら作戦室に入る。
「おっ!」(ソガ)
壁に映った影に向かって銃を抜くソガ…。
「ソガ!自分の影だよ…」(キリヤマ)
「いやぁ、まいったなぁ…」(ソガ)
頭を掻くソガ…。
「ハッハッハッハ…」(一同)
そこにひょっこり登場するダン…。
「隊長!」(ダン)
「ダン…。いつのまに…?」(キリヤマ)
びっくり顔のキリヤマ隊長。
「こいつぅ!」(キリヤマ)
「心配かけやがってぇ!」(ソガ)
と、隊員皆でこづく…。
←そんなに心配していたか?
こづかれながら電話をとるヘンな顔のダン…。





                    





ALIENS&MONSTERS



蘇生怪人:シャドウマン
身長:人間と同じ
体重:人間と同じ
特徴:元死体なので殺しても死なない…?いや、もう死んでるって!



謎の侵略宇宙人
データなし



LOCATION

第三病院(?)
瀬田ずい道(深夜の基地内をシャドウマンがうろつくシーン)










                        





            「ウルトラセブン」ストーリー再録  第33話「侵略する死者たち」
              06/SEP/2001 初版発行  21/JAN/2002 第二版発行
              Copyright (C) 2001 Okuya Hiroshima All Rights Reserved





侵略する
死
者
た
ち
第参拾三話
脚本:上原正三   監督:円谷 一   特殊技術:高野宏一   制作34話