ジェットコースター演出の飯島ワールドを堪能した次は、この方の演出でお休み下さい。
ミ・ツ・ダ・カ・ズ・ホ〜
STORY
うす暗いイシュウ湖。
釣り人が二人いる。
←ひとりは大村千吉さまである
ウキが、揺れた…。
その時、水面に異形の生物が浮かび上がる…。
水音の方向に視線を移す、釣り人。
「ウワアァァァァァァ!」(大村千吉)
逃げる二人の釣り人。
迫りくる異形の怪人。
「河童だぁぁぁ!」(大村千吉)
不気味なオープニング。
しかし、顔のアップで止まる、大村千吉さまは、もっと怖い…。
三井大橋(神奈川県津久井湖)
河童が出る!との噂を聞きつけてイシュウ湖にやって来た4人の男女。
日本カッパ倶楽部の面々である。
ベレー帽が漫画家のカワナカ。
紅一点は女カメラマンのフジシマ。
マヌケっぽい歯抜けが料理店「河童」主人のタケムラ。
そして伊達男のSF作家である。
見た目通りの職業とキャラである。
「さあ、いよいよカッパにご対面できるぞ」(漫画家)
「なんだか胸がわくわくするわ」(女カメラマン)
「そう、待ちに待ったカッパちゃんだ」(漫画家)
「だいたいねぇ、カッパなどという妖怪変化はねぇ…」(料理屋)
「意義あり!カッパは妖怪じゃない」(漫画家)
「そうよ、アイヌじゃミンチチ…、つまり水の神様。博多へ行けばカッパ仏というのもあるわ」(女カメラマン)
「そうだそうだ、和歌山のガタロ祭り、徳島のカワ祭り、岡山のカワコ祭り…。みんなカッパを祭っているんだよ」(漫画家)
「ハハハ…、こりゃまた失言を…」(料理屋)
新聞紙に包んだ包みに気づいた料理屋。。
「おい、これ何だ?」(料理屋)
「きゅうり。カッパのえさ」(漫画家)
「はあ、そうですか…」(料理屋)
「しかし…カッパはいいなあ…。好きだなあ…。秋の末、ひょうひょうと鳴きながら、川岸を山へ向かうカッパ…」(漫画家)
幸せな人たち…。
「この人、カッパ見たんだってっさ…」(伊達男)
「え〜、やっぱり」(漫画家)
伊達男は、大村千吉さまを連れてきた。
「紹介しよう。漫画家のカワムラさん。キャメラマンのフジシマさん。河童っていう料理屋やってるタケムラさん」(伊達男)
「えっ…。カッパ料理…」(大村千吉)
「まさか…」(料理屋)
「みんな、日本カッパ倶楽部の会員なんですよ」(伊達男)
「カッパ倶楽部?」(大村千吉)
「とにかく皆、カッパには目がない。カッパを恋人にしたいくらいなんだから…」(伊達男)
「バカバカしい!」(大村千吉)
ホント、幸せな人たち…。
夜、水に落ちる音がする。
「ムードとしては、そろそろ出そうだな」(伊達男)
「ボチボチ、出かけるか…」(漫画家)
カッパ捜索に出かけるカッパ倶楽部。
「お〜い、ホントに何かいるぞ!」(料理屋)
「今、湖に飛び込んだ」(伊達男)
カッパ倶楽部が見張っていると、水際に上がって来る影がある。
人型の影だが、二つ…。カッパなのか…?
「それ〜ぇ!」(全員)
意を決して、二匹のカッパを捕獲する。
「何をするんだ!」
「やめろ!」
カッパがしゃべった…!?
いや、それはフルハシとダンだった。
「カッパじゃないのかぁ?」(料理屋)
「俺たちはウルトラ警備隊の隊員だ!」(フルハシ)
「あんたたち、あんまりウロウロしない方がいいですよぉ」(ダン)
言い方が変なダン…、妙に怪談っぽくなっている。
「この頃すでにウルトラ警備隊は、イシュウ湖の異変をキャッチしていた。そして密かに、湖の調査を始めていたのである」(浦野光)
「ウルトラ警備隊が出動しているところをみると、この湖になんかあるんだな…」(伊達男)
「カッパだよ」(漫画家)
「まだ言ってやがる。カッパなんて、この世にいるわけないだろう?昔からみんなが、カッパだ、カッパだって言ってんのは、ホントは宇宙人なのさ。甲羅がボンベで、口が尖っているのはマスク…」(伊達男)
「ヘッヘッヘッヘ、…SF作家らしい考えだけど、我らのカッパちゃんは本当にいるのさ」(漫画家)
森の中をカッパが駆け抜ける。
「ごくろうさん!」(料理屋)
その影に叫ぶ料理屋。
「誰?今の…」(女カメラマン)
「ウルトラ警備隊だよ…」(料理屋)
勘違いし、カッパにエールを贈るお気楽な方々…。
しかし、彼らの周りにやたらと影が見え隠れする。
「ねぇ…、今の、ウルトラ警備隊…?」(女カメラマン)
今度は、前。次は、横…。
「今のは…?」(女カメラマン)
「さぁ…」(漫画家)
「あっ、誰かいるわ!」(女カメラマン)
すぐ近くに気配がする。
そこから影が立ち上がる。
とっさにカメラを向けてシャッターを切る女カメラマン。
フラッシュの光に、浮き上がったのは、まさしくカッパだった…。
野営中の警備隊。
人の気配を感じて、テントの外の様子を見るダン
「どうしたの?ダン…」(アンヌ)
←どうかしたのはアンヌ、君だ。
なぜ、髪が伸びている?… 君が妖怪変化だったのか…?
「何か動いたよ…」(ダン)
「カッパ倶楽部の人たちじゃない?」(アンヌ)
「だけどなぁ、アンヌ。カッパを見たという人が十数人もいるんだ。連中、僕たちを見かけてカッパと思ったのか、それとも…」(ダン)
「本当にカッパがいるって言うの?…ウフフ…」(アンヌ)
もう一度、外の様子を確めるダン。
「確かに、何かいる…」(ダン)
終始、神妙な面持ちのフルハシ。
←顔が赤いが、どうかしたか?詳しくは、「セブンセブンセブン」を読もう!
野営地の周囲を捜索するダンは、死体を発見した。
カッパ料理屋…、いや、料理屋「河童」の主人タケムラが犠牲者となったのだ。
「見て下さい、頚動脈を切られてるんです」(ダン)
「タケムラさん!」(女カメラマン)
「チクショー、カッパの野郎…」(伊達男)
その時、森の奥に、怪しい人影が…。
「待てぇ〜」(警備隊)
全員で追いかけるウルトラ警備隊。
←市民の保護は、どうなった?
追いかける、しかし、水に落ちる音がした。
「逃げられたか…」(フルハシ)
カッパは実在した。そして、人を殺したのだ。
作戦室。
作戦ボードの前で暇そうなソガ。
キリヤマ隊長が戻って来る。
「ソガ、被害者が出たんだって?」(キリヤマ)
「はあ、殺されたのは、カッパ倶楽部の会員で…」(ソガ)
「カッパ倶楽部?」(キリヤマ)
「ええ…、カッパの愛好グループというか、イシュウ湖にカッパが出るという噂があったもんだから、それを見物に行ってたらしいんです」(ソガ)
「ふむ…、いつからそんな噂があるんだ?」(キリヤマ)
「それが妙なんですよ。レーダーセンターがポイント2008、つまりイシュウ湖に未確認飛行物体が落下したのを観測した頃から、急にそんな噂が広まっているんですよ」(ソガ)
「…カッパの伝説など、全国どこにでもあるだろう…。何もイシュウ湖だけとは限らん…」(キリヤマ)
タバコに火をつけながらのんびりとした口調で…。
「そりゃあそうですが、報告によると、犯人は追いつめられると、湖へ飛び込んだというんです…」(ソガ)
「泳ぎのできる奴なら、追いつめられれば、誰だって水に飛び込むぞ」(キリヤマ)
相変わらず、警察の仕事には興味を示さないキリヤマ隊長。
「ええ、ところが最近、湖には、魚が一匹もいなくなったというんです」(ソガ)
「う〜ん、とにかく湖を徹底的に調査させよう」(キリヤマ)
しようがないなぁ…、という感じ。
ボート2班に分かれて、潜って水中の調査。
もちろんアンヌはダンと一緒。
←BGMは、満っちゃん大好きのあの曲です。
ダンは潜って、水中を調査する。
突然、ダンが水面へ浮上した。
「アンヌ、ボートを岸に返すんだ!早く!」(ダン)
「ダン!」(アンヌ)
「うわあぁぁぁ!」(ダン)
水中に引きこまれるダン。
「ダン!…ダン!」(アンヌ)
湖面から霧のような気体が立ち込める。
あっという間に、気体に囲まれるアンヌ…。
「こちら、アンヌ…」(アンヌ)
「どうしたんだ?」(フルハシ)
「助けてぇぇぇぇ!」(アンヌ)
アンヌ、放映始まって以来の大ピンチ。
風雲急を告げるイシュウ湖。
「こちらフルハシ、本部応答願います」(フルハシ)
「キリヤマだ」(キリヤマ)
「ダンとアンヌが行方不明です。すぐこっちに来てください。お願いします」(フルハシ)
「了解。ソガ、行くぞ!」(キリヤマ)
「はい」(ソガ)
ボート上のフルハシとアマギ。
「ダァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!」(フルハシ)
「アンヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」(アマギ)
叫びまくる二人のウルトラ警備隊員…。
←って、もっとましな探し方あんでしょ…。
イシュウ湖上空に飛来したホーク3号。
いきなり水中からのミサイル攻撃を受ける。攻撃をかわしながら、ボートのフルハシに連絡するキリヤマ隊長。
「湖の中に基地があるぞ。ボートでは危険だ、岸へ上がれ!」(キリヤマ)
「しかし、まだ、ダンとアンヌが…」(フルハシ)
「仕方がない、引き上げろ!」(キリヤマ)
突如、湖面が盛り上がる。
「見ろ!宇宙船が浮かび上がってくるのかも…」(キリヤマ)
しかし、浮かび上がってきたのは、巨大なタマゴだった。
ミサイル攻撃をするホーク3号。
タマゴが割れて、中からカッパ怪獣テペトが現われた。
水中で捕われていたダンは、水面の衝撃で意識を取り戻した。
すかさずセブンに変身して、窮地を脱出。
カッパ怪獣テペトへと立ち向かう。
カッパちゃんは、皿ビームやなんちゃって降参で、セブンを翻弄する。
しかし、所詮はカッパはカッパ、屁のカッパ…。
セブンの敵ではなかった。
決まり手:アイ・スラッガー、水中へ手投げ。カッパ2枚おろし。
テペトの敗北を知って逃げ出すテペト星人。
宇宙船が水中から発進する。
←これって、ドンブリのフタを貼り合せたの…?
ホーク3号のキリアyマ隊長、追跡しながら怒涛の攻撃。
ついに、ドンブリ…いや、宇宙船撃破!
勝利の余韻に浸る間もなく、交信するキリヤマ隊長。
「キリヤマだ。みんな無事か?」(キリヤマ)
「フルハシ、アマギ、それにカッパ倶楽部の人たちは無事です。ただ、ダンとアンヌが…」(フルハシ)
ボート上で気絶したままのアンヌ。
水中から手が伸びる…。
敵の生き残りか…、アンヌが危ない…!?
次の瞬間、水面を疾走するボート。
BGMに、「ULTRA SEVEN」。
ダンとアンヌがツーショットでボートに乗っている。
よかった!あの手はダンだったんだ!
←って、思わせたかったんだよね、満っちゃん!
心配するフルハシたちをよそに、二人は仲良くボートの上。
口笛を吹いて楽しげなダン。
緊張気味に微笑むアンヌ…。
←ダンが船舶免許を持っていなかったから…?
三井大橋(神奈川県津久井湖)
引き上げる日本カッパ倶楽部の3人。
「やっぱりカッパなんかいないんだよ。昔からカッパだ、カッパだって呼んでいたのは、あのとおり宇宙人だったんだな…」(伊達男)
「ええ、そうかもしれないわね…」(女カメラマン)
「俺たちが見たのは正真正銘の宇宙人だ。カッパじゃない。カッパは他にいるんだ、他に!」(漫画家)
「ええ、そうかもしれないわね…」(女カメラマン)
←人ひとりが死んだんだよね…。君たちの仲間が…。
日本カッパ倶楽部は、永遠に不滅です。
どうにもこうにも、お粗末なお話です。
#6「ダークゾーン」や#26「超兵器R1号」と同じ脚本家(若槻文三氏)とは思えない稚拙さです。実は今回から、脚本家の力量やお話のテーマ性などとは次元の違う、大人の都合が大きく関わっていたからなのです。
高視聴率を期待されて放映の始まった「ウルトラセブン」でしたが、ハードなSF設定が難しかったのか、宇宙人が地味だったのか、ダンが暗かったせいかは、ハッキリしませんが、とにかく「ウルトラマン」ほどのハイパー視聴率(最高41.8%!)には、到達できませんでした。しかし、それでも20%台の後半から30%近い視聴率は保っていたのです。
当初3クール(39本)の予定でスタートした「ウルトラセブン」でしたが、上記の視聴率に支えられて、68年春に放映延長分10本が決定しました。しかし、延長が決定したころには、プロデューサーの意向からテーマ性重視にシフトし始めた第3クールの作品群に、主視聴層の子供たちはついていけなくなってきていたのです。第3クールはドラマ的には秀作揃いにもかかわらず、視聴率的には20%を維持することがやっと、という状態に陥りました。こうして延長10本分の番組強化策として考え出されたのが、怪獣デザインの公募や時節にあったタイムリーな内容の娯楽作品の採用ということだったのです。
今回のテペトと次回のガイロスは、ともに公募したデザインから作られました。また、放映季節を考慮した、怪談っぽいエッセンスを加えた、主視聴者層に合わせた娯楽性の高い作品にしようとしたのです。この傾向は、#44「恐怖の超猿人」や#46「ダン対セブンの決闘」にも見られます。
そう、すべては、大人の都合だったのです…。
ALIENS&MONSTERS
カッパ怪獣:テペト
身長:38m
体重:8万t
出身:テペト星
特徴:カッパだけに、アタマに皿
特技:カッパだけに、アタマからの皿ビーム
弱点:カッパだけに、アタマの皿
※怪獣デザインコンクール金賞受賞
水棲怪人:テペト星人
身長:1m70p
体重:70s
出身:テペト星
特徴:カッパだけに、アタマに皿
特技:カッパだけに、素早い動き
好物:鶏肉
ACTOR&ACTRESS
カッパの動きをユーモラスにマネる漫画家のカワナカには、上田忠好さん。
俳優座養成所第7期生で、「ウルトラQ」「マイティジャック」などにも顔を出し、ドロシー・アンダーソン役のリンダ・ハーディスティ嬢が好きだといった映画「日本のいちばん長い日」にも出演されています。
途中でカッパちゃんに惨殺される料理屋「河童」の主人タケムラには、梅津栄さん。
当時は東宝の俳優さんで、「ウルトラマン」「ミラーマン」などの円谷作品をはじめ、「太陽にほえろ!」「俺たちは天使だ!」などの多数の作品で名脇役として画面を飾りました。中でも特に、「必殺」シリーズのオカマの玉助はハマリ役で、主水の上役、田中様を追っかけ回して笑いを誘いました。
SF作家の伊達男は、の田浦正己さん(俳優座養成所第4期生)が、日本カッパ倶楽部の紅一点、女カメラマンのフジシマ女史は、宮川和子さんが、それぞれ演じました。
やたらと存在感のあるイシュウ湖の釣人には、#2「緑の恐怖」で恐怖のヨッパライを演じた、東宝の誇る「泥酔俳優」大村千吉さまが、2回目の登板です。今回はシラフのようですが、正体不明のカッパよりも数段恐ろしい、ご尊顔アップがありました。
ところで、ニワトリ小屋を襲ったのって、カッパちゃん…?
違うんじゃない…?
LOCATION
津久井湖(三井大橋、釣り、キャンプ)
一碧湖(ボート、捜索)
砧緑地(夜間シーン、警備隊野営地)
→イシュウ湖は3箇所からできていたのです。
「ウルトラセブン」ストーリー再録 第41話「水中からの挑戦」
30/SEP/2001 初版発行 27/JAN/2002 第二版発行
Copyright (C) 2001 Okuya Hiroshima All Rights
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脚本:若槻文三 監督:満田かずほ
特殊技術:高野宏一 制作42話