[.手洗いについて

手洗いの目的は、医療従事者の手指を介した交差感染の予防と、病原微生物より医療従事者を守ることです。
手洗いは一般的には以下のように分類できます。

日常手洗い(Social handwashing)
 石けんと流水による手洗いである。
 日常手洗いは最も基本的で、すべての手洗いはこれが原点となる。
 これにより通過菌を除去する。
 一般病棟の日常業務全般時に実施する。


 日常手洗いでは石けんを用いるが、選択にあたっては固形石けんより液体石けんを選ぶ。
 固形石けんは、使用後の乾燥が不十分だと汚染されやすい為である。
 液体石けんの継ぎ足しは行わずに空になった容器は洗浄し、乾燥後使用する。


<日常手洗いでよい場合>
衛生的手洗い(Hygienic handwashing)  消毒剤と流水による手洗いである。  医療現場では本手洗いをよく理解しないと日常手洗い程度に終わってしまうこともあり、注意が必要である。


 消毒剤による手洗いの方法としては、洗浄消毒法と擦式消毒法に分けられる。
 消毒剤を用いる手洗いでは皮膚の毛根内に分布する常在菌ををある程度抑えることができ、消毒成分の残存効果が期待できる。
 (エタノール類やオゾン水等は残存効果はない)

<洗浄消毒法>
  消毒剤で洗浄する方法。

<擦式消毒法>
 消毒剤に消毒用エタノールを配合した薬剤を用い、すり込み式の手指消毒をする方法である。
 適量をとり、手にとった消毒剤が乾くまで十分にすり込む(2〜3分)。
 ペーパータオルで拭く必要は無い。
 また、洗い流す必要も無い。

<衛生的手洗いで良い場合>



手術時手洗い(Surgical handwashing)
 消毒剤、ブラッシング等を行い、時間をかけて行う手洗いである。
 (特殊な手洗いの為、詳細は割愛する)




<手洗い時の注意>
 ○流水で洗う。溜めた水では洗わない。
 ○手洗いミス(図参照)の多い指先、指の間、手首、親指の付け根を,注意してよく洗う。
 ○手の高さは、腕より低くして指先から水が落ちるようにすすぐ。
  (手術手洗いは肘から水が落 ちるようにすすぐ)
 ○指輪、腕時計は、はずして洗う。
 ○衣類や床に水がはねないように注意する。
 ○手洗い後はペーパータオルで十分に手を乾かす。



<手荒れとその対策>
 手洗いの回数が多くなると、それにつれて手指の皮膚損傷、いわゆる手荒れが起こりやすくなる。
 手荒れは、本人の苦痛だけでなく、皮膚の損傷部位に細菌汚染(黄色ブドウ球菌等)が生じやすくなるので、感染予防上、対策が必要となる。
 手洗い後手を十分に乾燥させハンドクリーム等の保湿剤を塗る。
 なお、ハンドクリームはそれ自体の汚染を防止する為、チューブ式の物を個人使用するのが最善である。


All Rights Reserved Copyright 宮崎県放射線技師会 日向地区学術班 2001.3.22〜
診療放射線技師の為のリターンネットのHOMEに戻る