“ガス検出器,固体検出器どちらが良いのか?”に関する参考文献

「北陸地域で稼働している高速CT装置6機種の性能比較」
                         福井医科大学付属病院
                         東村 亮治
【目的】
  北陸地域で稼働している新しい高速螺旋CT6機種について、同一撮影条件での線量(mGy),雑音及び低コントラスト分解能を測定して性能比較を行った。

【使用機器及び器具】
CT装置:5メ−カ−,6機種(☆印はガス検出器)
     Hispeed Adv.RP(GE横河)
     W−3000(日立)
     X−vigor(東芝)
   ☆ Sfida(島津)
     Lemage Supreme(GE横河)
   ☆ Somatom plus4(SIEMENS)

【測定評価項目】
1.同一撮影条件( 250mAs ) における吸収線量の測定
2.各撮影条件における画質比較(低コントラスト分解能の比較)
    1) 同一mAs条件での評価
    2) 同一吸収線量条件での評価
    3) 各施設の腹部ル−チン条件での評価

【結果・考察】
1.各CT装置の吸収線量は、8.5mGyから15.5mGy のバラツキがあり最大で倍近い差がある。この結果よりmAs 値が必ずしも吸収線量の目安にならないことがわかる。

     Hispeed Adv.RP    8.3 mGy
     W−3000            13.0 mGy
     X−vigor           9.6 mGy
   ☆ Sfida             14.8 mGy
     Lemage Supreme    10.0 mGy
   ☆ Somatom plus4     14.8 mGy
2.低コントラスト分解能の評価では、同一mAs条件(250mAs) において6機種とも0.5 %,8mφ識別可能で機種間であまり差はないが、同一吸収線量条件では機種間での差は大きく、かなり悪くなる機種もあった。

   同一撮影条件(mAs),同一吸収線量(8 mGy )の比較(0.3 %まで評価できた人数(8人の技師による視覚評価))

                    同一撮影条件   同一吸収線量
   Hispeed Adv.RP     8        8
   W−3000             7        3
   X−vigor            8        0
 ☆ Sfida              6        0
   Lemage Supreme     8        5
 ☆ Somatom plus4      7        3



検出器
被検体を透過したX線量を電気信号に変換するもので、検出器の性能がCT画像の良否を左右する。シンチレーターと光電子増倍管、または半導体光素子とを組合せた方式、Xeガス検出器、半導体検出器などがある。
(1)シンチレーション検出器
放射線がシンチレータ<NaI(Tl)CsI(Tl)BGO>に入射すると瞬間的な発光が行われる。この時発せられた光を光電子増倍管によって増倍させ、大きな電子流を作成すると一つの電気パルスが生まれる。このパルス高を用いて放射線の量を検出する。
(2)半導体検出器 solid state detector (SSD)
シリコンやゲルマニュウムを用いたN型半導体とP型半導体を接合し、逆電圧を印加すると中央に空芝層が形成される。この空芝層に放射線が入射するとキャリア(電子と正孔の対)が生成され、このキャリアが外部回路に放射線エネルギーに比例したパルス電流を流す。このパルス電流を用いて放射線の量を検出する。
(3)Xeガス検出器
X線吸収の大きいXeガスを10〜20気圧の高圧で封入した平行平板電離箱である。入射X線によってガス分子が電離され、電子と+イオンができ、電離箱に印加された電圧によって電極へ移動して出力電流となる。電極電圧を上げれば電子がさらに加速されてガス分子に衝突し、また電離を起こし、ガス微量の不純物を混入すると特性は著しく変化する。ガス増幅率はガスの種類がきまれば電界とガス圧に左右される。印加電圧が高いときには混合ガスを用いた方が有利である。CT用検出器は多チャンネルが要求され、Xeガス電離箱では300500チャンネルで、単位チャンネル当り0.52mmという高密度の検出器が用いられている。 参考文献(立入 弘,山下一也 et alTEXT BOOK OF CLINICO-RADIOLOGICAL TECHNOLOGY103-104

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