2005年8月5日、山西省の省都太原の林業庁ビルの5階会議室は、庁長を先頭に幹部職員等の聴衆で一杯になっていました。
講演は3時前から6時過ぎまで、休憩抜きで、3時間以上に及びました。
講演内容は、2002年の日本の「森林・林業基本法」の公布に伴う新たな林政の展開に始まり、続いて温暖化防止対策として求められるカーボンシンク機能の向上策や、森林の諸機能向上策としての単層林から複層林への誘導政策の紹介が行われました。
複層林政策については中国側の関心の高さが感じられました。
さらに森林の危機管理政策のあり方への参考事例として、ドイツにおける大規模風倒木災害の対策紹介、日本における地域材利用との関連で、木造小学校の建築事例、地域ぐるみの森活かし運動の展開事例として、モデルフォレスト設立準備中の京都府の政策展開の説明がなされました。
また小グループによる地域森林活動の事例として、竹炭づくりなどに取り組む「上越森林環境実践塾」についての紹介も行われました。
また、日中協働の森林造成事例として、寧夏自治区における砂漠化地域植林、山西省における黄土高原植林、内蒙古自治区(ハイラル)における、劣化進行中の草原造林の紹介を行いました。
また、以上の総まとめとして、今後の森林・林業の進むべき方向として、向社会性を基盤とする、森林経営の必要性について述べました。
最後に、中国語で森林に関連する中国の諺を紹介しました。
「前人栽樹、后人乗涼」、つまり先人が木を植えたお陰で後世の人が涼を得る、つまり恩恵を受けるということで、このこの諺の意味するところは、皆さん既にご存知のことであるが、私としては、皆さんと一緒になって、子孫の為に森林持続の努力を続けていきたいと思うと締めくくりました。
終了後、懇親会が開かれましたが、大変勉強になったという声がありました。