森林経営管理の国際動向 3




1. 1992年ブラジルで開催された地球サミットより12年前、つまり1980年にさかのぼることになるが、米国国務省によって発表された「西暦2000年の地球」が衝撃的ともいえる社会的反響を巻き起こした。
この報告書は、もし当時の趨勢が続くならば発展途上国(ラテンアメリカ、アフリカ、アジア及びオセアニア)の森林は2000年には森林面積及び立木量ともに40パーセント減少することなどを予測したものである。(テキスト108〜109ページ参照)
一方、FAOは、1991年に熱帯林の減少面積を年間1690万ヘクタールと発表した。なおこの数値は1993年に1540万ヘクタールに修正された。(テキスト109〜110ページ参照)

2.世界の森林減少が熱帯林に集中しているため世界の森林問題についての意見も熱帯林の減少を抑止する方向に動いていた。
一方、熱帯林諸国はUNSED(地球サミット)に向けた論議が熱帯林に集中することを警戒し、減少停止のための法的拘束力のある国際的取り決めや合意について交渉を行うことに反発する状況となっていた。
このような状況を打開するため、UNSEDの準備会合段階において日本から、世界森林憲章の制定を提案を行った。途上国は憲章についてもその表記に法的性格色があるということで難色を示した。
このため憲章案の内容は生かしながら「森林原則声明」という名称に落ち着く方向で UNSED を迎えた。(テキスト4〜5ページ)

3.183か国が参加したUNSEDにおいて真剣な論議が行われた結果、15項目からなる「森林原則声明」が森林問題について初めての世界的合意となった。
このことは、原則声明第一項目の一節「森林資源および林地は、現在および将来の世代の社会的、経済的、生態学的、文化的、精神的な人類の必要を満たすため持続的に経営されるべきである。」に良く現れているということができる。(森林原則全体の内容および評価についてはテキスト6〜15ページ参照)