環境保全と森林 5




北海道えりも町えりも岬には、幅400メートル長さ10キロメートル、 417ヘクタールの森林があった。
明治時代に入植者が燃料などに伐採し、さらに明治13年以降殿様バッタの襲来や牛馬の過放牧が加わり、半数の192ヘクタールの森林が破壊されて砂漠状態になったとき環境が極度に悪化した。
地域自治体と住民の要望を受け昭和28年浦河営林署がえりも治山事業所を設置し、緑化事業が開始されたが、風速10メートル以上の日が年間300日以上という全国屈指の強風地帯のため根付かなかった。
降水量は年平均1050ミリ。そこで漁民の知恵でホンダワラなどの海藻(肥料として使われていた)の粘着性に着目し、草本種子の定着に成功した。
草本緑化を先行し、木本についてはクロマツが潮風に強いということが分かり植林が進められた。
昭和45年に192ヘクタールの草本緑化がほぼ終了し、赤土が飛ばなくなった。
160ヘクタールの樹木の植林が進んだ現在では海産物の収穫に著効が現れ、昆布の着生は昭和27年の300トンから600トンになり、漁獲高は昭和40年の227トンから平成8年の1852トンに激増したのである。
保安林としては昭和36年7月に飛砂防備保安林に指定、その後平成6年4月に保健保安林に、さらに同年8月に魚つき保安林に指定された。