国有林の昨日・今日・明日5




平成9年12月18日、国有林の今後の方向付けなどを審議してきた、林政審議会が「林政の基本方向と国有林野事業の抜本的改革」と題する答申書を提出した。
この中でこれからの国有林を方向付けることに大きな意味を持つ、抜本的改革のための基本的考え方を要約すれば次のようになる。

国有林の現在の財務状況及び今後の収支の見通しを踏まえれば、将来にわたって国有林の使命を果たしていくことが困難となっている。このため、国有林野事業の抜本的な改革を行うことが必要である。
今回の抜本的改革に当たっての基本的考え方は、国有林を「国民の」共通財産として、「国民の参加により」かつ「国民のために」管理経営し、国有林を名実ともに「国民の森林」とすることである。
このような考え方に立って、
1.森林整備の目標を木材生産機能重視から、国土・環境保全等の公益的機能重視に転換する必要がある。これに対応して、独立採算性を前提とした企業特別会計は廃止し、一般会計繰入を前提とした特別会計とする必要がある。
2.民有林、国有林一体となって森林の機能が最大限に発揮されるようにするため流域管理の森林管理を基本とし、流域の自主性を尊重し、流域ごとに特色ある森林管理を進める。
このため、流域ごとに森林施業、森林の保全、森林の利用と負担について、民有林と国有林関係者、治山と治水関係者、上流住民と中・下流の受益者との連携を強めるシステムを構築する。
3.官民の役割分担等国が担うべき役割を踏まえ、国有林の使命を果たしうる管理経営の方式を確立し、最小限の簡素かつ効率的な組織・要員の下で管理経営を行う。
4.国有林を国民に身近なものとし、国民からの信頼性を確保するため、情報開示、流域関係者の意見反映等管理経営について透明性と説明責任を確保し、また国有林関係者は森林について地域住民とともに勉強するという意識に立って、国有林を広く国民の利用に供するとともに、ボランティア活動を支援するなど、森林整備に国民の積極参加を求める。

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