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メッセージ(趣意書) ふるさとへ青森ひばを植えるために

埼玉県蓮田市在住(青森県蟹田町出身)の佐藤正子(筆名 対馬正子)さんから寄せられました。(2001年9月記、平成14年2月18日受)


 20世紀、という激動の世紀の中でも
最も深い谷間、第二次世界大戦最中に
私たちの世代は生まれました。
そして、敗戦後の混沌とした時代にあって、「貧しさ」ということの意味さえも
いまだ他との比較のしようも知らないまま、しかし「生きる」ということの充分な重さと厳しさだけは培われて育った幼少期。
物心ついたその記憶の細い線路を遡れば、
そこには、噴煙を吐き、伐採した木材を積んだ機関車が、家の裏を走っていきます。
 それが、最初に認識した<きしゃ>の姿であった、というところに、私達のふるさとの特性が語られ、
21世紀のいま、私達が為すべき事の
大切な方向性がそこに集約されているように思えてくるのです。
 さて、その<きしゃ>が、
ひとを乗せて走る国鉄津軽線の開通よりも
四十二年前(明治四十二年)に開発され、
半島の天然林「青森ひば」を伐採し輸送するための、日本では最初の森林鉄道
であったとすれば、
それだけの意気込みに対して見返る、どんな必然的要素が言光を放ってその向こうに位置づけられていたのか、私なりに時代を遡り、時代へ立ち返って模索してみたいと思いました。
 まず、文字通り地理的な意味合いでの位置づけから考察してゆくならば、
ふるさと青森は、仮に「中央」と名づけられる基点から大きく離れて「道の奥」。
本州最北の地であり、
雪に閉ざされる約四ヶ月の間は、経済的流通もさぞかし緩慢を極めたものであろうと、
いま想像されます。
しかし、そのような「雪国」であったからこその、物理的側面における負(−)の要素に掛け橋の線路を敷き、これを克服しようとする果敢な意思が、「明治」という新しい時代の風に磨かれ唸る新鋭の技術と結び合い、
誕生に至ったと私は考えるのです。
未知の奥地へ引かれる感慨深さも一入に、
奥ゆかしい外の浜風に開花した文明の華一輪程の西洋風を薫らせる開化の風潮の始まり。
 それは、雪降る前の作業を効率的に円滑に軌道に乗せて、日露戦争や、東北奥羽両本線開通がもたらした経済市場活性の機運にも
乗じながら、増大しつつあった県内外の木材需要に対する安定した供給と、そして、
窮迫する国家財政を立て直すべく、計画的な森林経営が求められた結果、
大量輸送の必要性にせまられ誕生した、官営の「津軽森林鉄道」でもありました。一方、その片翼とも言える、これもまた官営の
「青森製材所」が、東洋一を誇る規模で
すでに運営されていたことを考え合わせるならば、そこに垣間見られる魅力的な対象を
取得するために注ぐ情熱のエネルギーは、
雪をも解かす烈しさで伝わってくるようです。
言い換えれば、それまでの雪ぞりや川流しに細々と頼っていた運搬手段を、一気に、
近代文明の象徴とも言える動力(ボールドウィン等の機関車)に、華々しく転換せしめた最大のエネルギー源泉は何か。
何よりもかによりも、「雪国」の厳しい気候風土にじっくりと根を据えた天然の碧樹
「青森ひば」が、わがふるさとの山脈に、
みどりの珠の宝庫の如くゆるぎなく存在したその絶対的な事実に他なりません。
 貧しくともなお、日々の明け暮れに見る夢の青さを愚直に抱きながら成長してゆく私たちの背を、そっと見つめてくれたであろう背陵の青山、それは、「青森ひば」の年輪の生長に深く影響してきたふるさとの森厳な空の気象、偏東風(やませ)や雪のエネルギーでもあるのです。
「青森ひば」、生長が極めて遅い樹、
樹齢百年たってようやく青年期を迎える樹、陰樹、などと呼ばれても、この地球に張って生きている限りは「太陽(日)の樹」であるのです。
和名は、北方型ヒノキアスナロ。
(南方型のアスナロに対する変種)
植物学者、牧野富太郎博士が名付け親であると言います。
 「津軽森林鉄道」はその後、昭和42年(1967年)に廃線、稼動して以来58年間の任務を終えました。
しかし、日本の森林事情は、戦後の復興や、高度経済成長による需要の増大で増伐が続き、国の木材増産計画のの見込み違いなどもあって、伐採超過と造林不足を繰り返した末、
ついには供給に限界を来すことになり、
外材輸入へと政策転換を余儀なくされたのでした。結果、木材の資源不足は解消され、
国産材に対する過伐の必要もなくなったものの、反面、それはまた、日本林業の苦難の
始まりでもあったと、文献は語ります。
「青森ひば」もまた、辿る運命は同じでした。
生長量を無視した増伐や皆伐によって、
生長の速いスギに樹種種転換されたために、
天然更新が難しく、生長量が望めない状況にさらされたと申します。
 勿論、それぞれの樹種の個性を充分認めた上で、私は、ここまで書き進めるうちに、
人間がもつ本性の一端に触れたような気がいたします。
「ひとという生きものは、ほんとうの自然へ辿りつこうとする真摯なこころを持ちながら、だからこそ自然を取得しようとして(資源という名のもとに)、
そのために、文明という車輪をしゃにむに
走らせ過ぎてきたのではあるまいか」と。
そこには大きな矛盾をはらんでいたとしても、その矛盾の意味するところにこそ、
ぎりぎりの救いへのターニングポイントが隠されているように思えてくるのです。
自然、それは資源としての物理的エネルギー。
同時に、その深奥に呼吸する「精霊(たましい)」
のエネルギーとしても汲み取れるか否か。
人間に与えられた本性の矛先が、たとえ、
自然へ向けられる両刃の矛であったとしても、永ごうの宇宙の輪廻に濾過され結ばれた
であろう水玉のような清らかな「精霊」、
その滴りを自然中から掬い上げる、受け皿に転じ得る盾の内面、「たましい」を、精神を、醸された感性を、私たちは、同じ地球の生きものとして持ち合わせていたことに気づくならぱ、「自然と人間の共生」という救いの道もまた、必ずや開けてくると私は信じます。
そこにも、大いなるものの愛と配慮が、隠されているように思えてくるのです。
 重ねた幾十(いくそ)の年輪に刻む風雪を、馥馥(ふくふく)とした香りに昇華させて芯に抱き、じっくりと生長する樹「青森ひば」。その耐久性、耐湿性に優れる生命力を、緻密な木肌の美しさに表して、「生きる」ということ真髄を吐露する木霊(こだま)の言葉を拾いながら、私はつくづく納得させられました。
「ひとは、こうして自然と隣り合わせていたい存在の生きものなのだ」と。
だからひとも「たましい」の涙をこぼします。
自然に醸された感性がこぼす涙のひと滴(しずく)−
そこから、新たな未来のみどりと水を蘇らせる発露の矛を、この手に持ち変えるならば、私たちは限られた受皿に汲み上げられる自然の恵みを再び、感謝の心で享受することもできるでしょう。
 高高 人生いたるところに青山あり
 然(さ)れど、生まれ故郷の青い山脈 です。
それが、地球、という青山へと連なる源点(みなもと)のひと滴のみどりの涙をこぼしたいと思います。
 あすはひのきになろう、ではなく、
 いま「青森ひば」の美しさを香る ために。 

(注、原文は、1行20字の縦書きです。原文の持つ芸術性を損なわないように、改行等につきましては、原文に極力従って、編集してみましたが、インターネットの折り返し方式等とは必ずしもマッチしない部分もあろうかと思います。この点につきましては、原作者および閲覧下さる皆様の双方にご了解いただきたいと思います。)


森林塾 Webマスター様

はじめまして。(有)フルシェットの柳沢と申します。
いつも楽しく読ませていただいています。

今度、木場の「木のアトリウム」で下記のような「音のワークショップ」を開催することになりました。資料をお送りしますので、ぜひ皆様にもご案内ください。よろしくお願いします。

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  食楽倶楽部オーガニック・コンサート・シリーズ
  高野昌昭 音のワークショップ“木の響き”7/20開催!
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当社では、来る7月20日(祝)木場・木のアトリウムにおいて、下記の通り食楽倶楽部オーガニック・コンサート・シリーズ<高野昌昭 音のワークショップ 木の響き>を開催いたします。今回は、7種類の国産材を使用した木のホールで、さまざまな「木の響き」を体験していただく音のワークショップです。

スリットドラム、バラフォン、トーキングドラムなどの民族楽器や、三宅島のしいの実、木魚、備長炭、何でもない棒の音・・・など高野昌昭オリジナルの木の音具(おんぐ)がいろいろ登場します。身近な木が奏でる多彩な響きを感じ、自然音を再発見していただければと思います。貴社媒体の情報欄その他でご紹介いただけましたら幸いでございます。よろしくお願い申し上げます。
                               
<内 容>
●日時:7月20日(木・祝)13:30開場 14:00開演
●会場:木のアトリウム(関東森林管理局東京分局)
●出演:高野 昌昭(自然音研究家・音響効果家)
●料金:前売¥2,500 当日¥3,000
        *未就学のお子様は前売・当日共に¥1,000です。
●主催:食楽倶楽部    

<会場案内>
関東森林管理局東京分局 木のアトリウム
東京都江東区東陽6-2-11 TEL03-3699-2530
*地下鉄東西線木場駅より徒歩約10分
*駐車場はありません

<予約・問い合わせ>
(有)フルシェエット内 食楽倶楽部
TEL03-5995-8836 FAX03-5964-1322 
E-mail:shokrak@tokyo.interq.or.jp

<高野昌昭プロフィール>
フリーの音響プランナーとして、演劇や舞踊の音響を担当。舞台芸術での擬音効果の専門家として海外でも活躍している。音楽以前の“音の原点”に興味をもち、土・石・水・風など自然素材で奏でる「音あそび」と名づけた自然音のコンサートを1984年から続ける。音を出す自作の造形物「音具」や、世界各国の民族楽器などを用いて不思議な音の世界を創造し、雑音とイラダチの音にまみれた日常の中で、「音のクリーニング」のため各地を行脚。生演奏で効果音を担当した、青森放送制作のラジオドラマ『シュウさんと修ちゃんと風の列車』で、1999年度芸術祭大賞受賞。


*木の里親の件につきましては、その後内田さんからメールをいただきました。
 数名の方から情報提供もありましたが、松の木の移植については困難性があると理解をされ、木に対する供養をするという処置をとられたとのことです。
 したがって本件につきましては終了させていただきます。
 ご協力いただいた方に感謝いたします。(平成12年2月26日)


木の里親になってくださる方はいませんか(平成12年1月6日)

次のようなメールが届いています。
協力してくださる方がおられましたら連絡をお願いします。


Subject: Fw: 赤松を貰ってくださる方をご存知ですか?

送信者 : 内田
宛先 :03-3370-9872
送信日時 : 2000年1月5日 12:26

件名 : 赤松を貰ってくださる方をご存知ですか?

この度、急な事で自宅の庭の一部が買収され、庭木の処分をしなくてはならなくなりました。
その中に、樹齢50年以上(戦前からありました)の赤松があります。
背丈は5.6メートルはあるので、運搬には大変だとは思いますが、枝振りが良く、大変力のある印象を与える木です。
無料にてお譲りしたいのですが、どなたに連絡して良いかわからず、貴方様のホームページにご連絡させていただきました。
どなたか、いらっしゃいましたら下記までご連絡くださいませ。

内田
sister3@d2.dion.ne.jp
場所は東京都世田谷区の羽根木です。


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