ISO14001と林業
ISO(国際標準化機構)は各国の規格の調整,統一化を図ることを目的として1947年に設立されたもので,各国を代表する規格制定機関により構成されている。
1996年には環境に配慮した経営を枢続的に実施する組織体制を構築するための国際規格であるISO14001を発行させた。
これは,企業や事業所の環境管理体制を第三者機関を通じて審査・認証するものであり,FSCのようなラベリングは行っていない。
日本では,電気機械工業等の輸出産業が中心となって1997年12月末現在で618社がISO14001を取得しており,林業関連分野では,紙・パルプ会社,大手住宅メーカーが認証を受けている。
また,ISOでは,ISO14001の林業分野への適用を促進するため,森林を管理する組織が環境マネジメントシステムを適用する場合に参考とすることができるよう,持続可能な森林経営の基準・指標等の関連情報を記載した報告書を作成している。
認証・ラベリング
認証・ラベリングは,持続可能な森林経営が行われている森林を認証し,その森林から生産された木材・木材製品にラベルを貼り付けることで,消費者の選択的な購買を可能とし,これを通じて持続可能な森林経営を支援しようとするものである。
これは、欧州等での1980年代後半の熱帯木材の不買運動等を背景として環境NGO等により提起されたもので,国際的な取組としては,森林管理協議会(FSC)の認証・ラベリングや国際標準化機構(ISO)のISO14001(環境マネジメントシステム規格)が知られている。
FSCの認証・ラベリング
FSCは各国で森林経営の認証業務を行う機関を評価,認定,監視するため1993年に設立された協議会であり,環境NGO,木材流通業関係者等世界36カ国の約200の会員で構成されている。
FSCの認証機関は米国に2機関,イギリスに2機関,オランダに1機関がある。1997年9月現在で17カ国において67箇所,約310万haの森林が認証され,FSCのラベルが貼付された木材が年間300万m3流通している。特に英国やオランダではDIY店等が中心に購買者グループを形成し,ラベリングされた木材等の購入に組織的に取り組んでいる。
WTO(世界貿易機関)
WTOは、関税及び貿易に関する一般協定(GATTガット)を拡大発展させ、多角的自由貿易体制を推進するため、平成7年(1995年)1月に設立された。
わが国の林産物関税は、WTO協定に基づき、平成6年(1994年)当時の実行税率を平成7年(1995年)1月から5年間で平均約30%引下げることとなっている(ウルグアイ・ラウンド合意)。平成10年(1998年)1月には4回目の引下げが行われ、主な品目では.SPF(トウヒ属、マツ属、モミ属)のかんながけ製材については8%(平成6年(1994年)当時)から5.4%に、合板については同じく10〜15%から6.7〜12%に、集成材は15%から7.8%に引下げられた。
APEC(エイペック)(アジア太平洋経済協力)
アジア太平洋経済協力は、アジア太平洋地域の貿易や経済協力について議論するために平成元年(1989年)に発足し、現在18の国や地域が参加している(なお、平成10年(1998年)11月の閣僚会議から、ペルー、ベトナム、ロシアが参加する)。APECでは、先進メンバーにあっては遅くとも平成22年(2010年)、開発途上メンバーにあっては遅くとも平成32年(2020年)までに自由で開かれた貿易及び投資という目標を達成することを目指した「ポゴール宣言」(平成6年)の実現に向け、各メンバーが共同行動計画及び個別行動計画こ基づさ、自由化及び円滑化に取り組むこととなっている。その一環として、平成9年(1997年)11月にカナダ、パンクーバーでの閣僚会議において、林産物、環境関連機器・サービス、化学品等15の分野が、早期に、かつ自主的に自由化に取り組む分野として定められた。特に、林産物を含む9分野については、優先的に取り組む分野とされ 現在対象産品、スケジュールのほか、貿易の円滑化、経済・技術協力のための措置等につい議論がが行われている。わが国は農林水産分野については、ウルグアイ・ラウンド合意を堅持しながら、可能な対応を検討することとしてい
る。
続 く