参考 認証及びFSC認証について
認証・ラベリング
認証・ラベリングは,持続可能な森林経営が行われている森林を認証し,その森林から生産された木材・木材製品にラベルを貼り付けることで,消費者の選択的な購買を可能とし,これを通じて持続可能な森林経営を支援しようとするものである。
これは、欧州等での1980年代後半の熱帯木材の不買運動等を背景として環境NGO等により提起されたもので,国際的な取組としては,森林管理協議会(FSC)の認証・ラベリングや国際標準化機構(ISO)のISO14001(環境マネジメントシステム規格)が知られている。
FSCの認証・ラベリング
FSCは各国で森林経営の認証業務を行う機関を評価,認定,監視するため1993年に設立された協議会であり,環境NGO,木材流通業関係者等世界36カ国の約200の会員で構成されている。
FSCの認証機関は米国に2機関,イギリスに2機関,オランダに1機関がある。1997年9月現在で17カ国において67箇所,約310万haの森林が認証され,FSCのラベルが貼付された木材が年間300万m3流通している。特に英国やオランダではDIY店等が中心に購買者グループを形成し,ラベリングされた木材等の購入に組織的に取り組んでいる。
WWFジャパン プレスリース 2000年2月22日
(転載可。重複して届いた場合はお許しください)
(下記について、WWFジャパンは昨日2月22日、農政クラブ、農林記者会、林政記者クラブ、環境庁記者クラブにおいて記者会見を行った。発表者はWWFジャパン森林担当前澤英士、速水林業代表速水亨氏、スミエイト(株)伊藤健一氏。速水氏からは認証証及びFSCロゴマーク付きのまな板が紹介された。FSCではそのロゴマークの使用については厳しい規則を設けており、認証を取得してもロゴマークの使用が適切なものかどうか許可をとらなければならない。その許可を得て、今回国産材初のFSC認証の製品が紹介されたことになる。なお、認証審査概要レポート・認証審査に使われた基準はスミエイト(株)伊藤健一氏より入手できる。速水氏、伊藤氏の連絡先は最下欄。)
FSCの森林認証取得、国内第一号誕生!
−三重県の速水林業、環境に配慮した森林経営として国際的に認められる−
WWFジャパン(世界自然保護基金日本委員会、会長大内照之)は、「FSCによる森林認証制度*1」を広く普及させることで、経済性そして環境保全の観点から、適切で持続的な森林管理を推進している。そしてこの2月、速水林業(三重県北牟婁郡海山町、代表速水亨氏*2)所有・管理の森林1,070haが、このFSC認証を国内で初めて取得した。
世界の森林保全に向け、適切な森林管理のあり方が議論されているが、これは持続的に木材資源が収穫できることだけでなく、生物の多様性の保全、災害防止への貢献、地域社会への長期的・多面的な貢献等への配慮も求めている。独立した第三者機関が、FSCというNGOが設定した基準に基づいて、個々の森を審査・認証し、そこから産出された木材・木材製品にラベル付けを行うのが、FSC森林認証制度であり、すでに世界30カ国、約1,800万ヘクタールの森が認証を受けている。
WWFジャパンは、このFSCの認証制度を紹介するワークショップを、これまで岩手県、長野県、高知県、三重県、大分県で開催してきた(*3)。そうしたなか、速水林業は認証取得を目指し、昨年9月にFSC認定の認証機関サイエンティフィック・サーティフィケーション・システムズ(SCS、米カリフォルニア)による認証審査を受けた。スミエイト株式会社(東京*4)を事務局とし、SCSの森林専門官と3名の日本人専門家がチームを作り、「木材資源の持続性」5項目、「森林生態系の維持」5項目、「財政的・社会経済的観点」4項目について審査が行われた。その後、さらに別の日本人専門家による審査を経て、今回の認証証の発行に至ったものである。
今回認証を取得した速水亨代表は、「FSCの認証を取ることは、林業の生産目標である木材以外の森林の生き物、微生物から人間まで、優しく配慮した森林管理を実行していくと共に、地域で認められる林業経営であることが求められる。このためには従業員の意識改革、自主性を促し、社会での存在意義を意識させること、そして経営者は従業員のそのような変化を誘導するためにも、彼らと可能な限りの経営情報を共有することが必要だ。もちろんこのような情報は、従業員に留まらず地域の人々に対しても公開する事が重要となっている。これらの努力がグローバルスタンダードであるFSCの認証につながる。そして認証は従業員のより一層の自信や活力につながる。もちろんCOC(*5)による生産品の差別化は期待するが、それ以上に林業の慣習的な経営の打破にもつながり、補助に頼りがちな林業の自立への一つの方向を示すことになる。環境を背景とした新時代林業戦略をもとに、林業不況に真っ向勝負を挑んでいる」と述べている。
日本におけるFSC認証制度の今後の広がりに世界中が注目している。日本はその木材需要量の約8割を外材に頼っており、世界でも最大規模の木材輸入国である。日本で認証を受けた木材・木材製品の需要が伸びると、海外の木材供給国での認証への関心が一層高まると思われる。一方で、経済的に厳しい日本の林業界から認証取得者が出たことは、認証制度の今後の展開にはずみをつけ、ひいては森林保全に対する日本の姿勢が高く評価されるだろう。「持続可能な森林の管理・経営」については様々な議論が交わされてきてはいるが、その一つの方向性を日本の林業関係者、研究者、森林政策決定者に具体的に示した意義は非常に大きい。消費者にとっては、マークの付いた製品を選ぶことで、適切な森林管理を目指す林業者をサポートし、森林保全に貢献できる一つの選択肢が増えたことになる。
今回初の国産認証材が出ることをきっかけに、WWFジャパンは、以下の活動を展開していく予定である。
@FSC森林認証制度のさらなる紹介
認証取得のためにはどういう手続きを経てどのような基準をクリアしなければならないか等、ワークショップ等を開 催しながらより具体的に紹介していく。
A認証製品を積極的に開発し扱っていく企業グループの設立
認証を受けようとする林業者と、認証された木材・木材製品を生産・流通・販売させていこうとする企業のネットワ ークを作ることで、認証製品の流通拡大を目指す。
B日本の認証基準の作成
国際的に整合がとれていると同時に、国内の状況にも配慮した日本の認証基準を幅広い利害関係者の参画のもとで作 成し、円滑な認証審査を目指す。
C国内での認証審査事業の支援
現在日本にFSCで認定された認証機関がないため、認証手続きが複雑になるとともに、コストも割高になってしま う。今後は、既存の海外の認証機関の日本での審査認証を支援、もしくは日本独自の新たな認証機関設立のための支援を行う。
DFSC国内メンバーの増大
FSCのメンバーに日本の組織が増えることで、日本の実状を反映した意見・提案が可能となる。積極的にFSC内 での議論に参加しながら、より円滑な審査と信頼性の高い基準作りを目指す。
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│この件に関するお問い合わせは下記までお願いいたします
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│WWFジャパン 前澤/水野 │
│電話:03−3769−1713〜4 │
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*1 添付「森林認証制度、特にFSCについて」を参照
*2 速水林業 代表: 速水亨氏
〒519-3413 三重県北牟婁郡海山町大字引本浦345番地
пF05973-2-0001 Fax : 05973-2-1012 E-mail:hayami@u-net.or.jp
*3 添付ワークショップリストを参照
*4 スミエイト(株)東京営業所営業課 伊藤健一氏
〒103-0007 東京都中央区日本橋浜町2-25-1 ナイトービル
: 03-3662-9399 FAX : 03-3662-9398
E-mail :kito@sumieito.co.jp
*5 FSCの認証制度は森林管理の認証だけでなく、認証された森林からの木材を使って製品を作り、流通させているかどうかを確認する認証がある。これを加工・流通過程の認証(Chain
of Custody)というが、これにより初めて製品にFSCのロゴマークをつけることが可能となる。