森林塾 小澤普照
東邦大学薬学部、佐橋紀男教授からの資料提供により、千葉県船橋市における花粉飛散状況がわかりました。
表にまとめますと次のようになります。
ス ギ | ヒノキ 科 | 合 計 | |
平成13年1月 | 5.4 | 0 | 5.4 |
2月 | 103.0 | 0 | 103.0 |
3月 | 1196.2 | 60.1 | 1256.3 |
4月 | 135.4 | 263.7 | 399.1 |
5月 | 3.4 | 8.1 | 11.5 |
計 | 1443.4 | 331.9 | 1775.3 |
これで見ますと、船橋では、スギ花粉の飛散トータル数で1443.4個、ヒノキ花粉では331.9個、合計で1775.3個で東京区部千代田区3561個の半分程度、もっとも少ない葛飾区の2266個をさらに約500個下回る数値でした。
少なくとも本年は、西高東低の傾向がはっきりしました。
平成13年の花粉飛散についての東京地域のまとめ
2月から5月まで東京地域のスギ(ヒノキを含む)花粉の飛散状況について、森林塾のホームページ
(http://www7.gateway.ne.jp/~fuozawa/)
を通じて発信して参りました。
5月に入り、各飛散情報も終了段階となりましたので、花粉飛散に関し、若干の分析を加えてみることにします。
主たる情報源は以下の通りです。
情報源は主として、東京都衛生局(http://www.metro.tokyo.jp/INET/ETC/KAFUN/KAFUN.HTM)
慈恵医大品川病院耳鼻科花粉症チーム(http://www.tky.3web.ne.jp/~imaitoru/)
静岡県の情報(http://www.siz.saiseikai.or.jp/~jibika/kafun.html#現在までの総数)
新潟県の情報(http://www.pref.niigata.jp/hokanken/kafun_t.html)
東京都は以下に示すように5区、6市について花粉観測を行っています。
(問い合わせ先 衛 生 局 生活環境部環境保健課 電話 03−5320−4493)
2001年の飛散まとめ・速報
都内のスギ・ヒノキ花粉の飛散は、ほぼ終了しました。
都内各地で観測されたスギ・ヒノキ花粉の合計数をお知らせします。
観測期間は1月4日から5月11日です。
千代田 区 3561個
葛 飾 区 2266個
杉 並 区 3859個
北 区 3187個
大 田 区 3251個
青 梅 市 10537個
あきる野市 10491個
八王子 市 8583個
町 田 市 7552個
調 布 市 3247個
小 平 市 3661個
(奥多摩を中心にごく少量の飛散が続いています。調査等により、速報値が変更される場合もあります。)
さてこの速報値を見ますと区部及び市部の中で飛散数3000個台の市は、スギ、ヒノキ樹木・樹林が殆どないところと推定されます。
7千個以上飛散している市部は、スギ、ヒノキの樹木あるいは森林があるところと考えられます。
全体としては、西高東低となっており、花粉は西風によって、概ね西部から飛散してくるものと推理できます。
慈恵医大チームによればさらに丹沢、相模原等と東京品川との飛散関係を分析していますが、これら地域の相互関係は深いと見られています。
http://www.tky.3web.ne.jp/~imaitoru/rt3days.html
http://www.tky.3web.ne.jp/~imaitoru/030601SL.html
http://www.tky.3web.ne.jp/~imaitoru/032701SL.html
つまり東京都心部の飛散については神奈川県からの飛散もあるということです。
さらに西部の静岡県の飛散量は大変多いものがあります。
http://www.siz.saiseikai.or.jp/~jibika/kafun.html#現在までの総数
ただし、静岡県の飛散と都心部の飛散の相関関係についてはこれらの情報からではわかりません。
次に、もう一つの興味ある事実に着目してみましょう。
同じ区部でも、葛飾区の飛散数が少ないということです。この理由ははっきりしません。
というのは、西高東低の原則を当てはめるのか、あるいはこの地域の花粉を吸収する要素、河川などがあるのかということです。
また、東京の飛散の特徴は、飛散の期間が2月から5月のはじめまでと大変長期にわたることに着目する必要があります。
スギの樹木や樹林が多い、新潟県上越市の飛散状況は総数で、
http://www.pref.niigata.jp/hokanken/kafun/myhtml6.html
約4000個で杉並区とあまり違いはありません。
しかも、飛散期間が短い、さらに殆どは1週間から2週間に集中しています。
このことから、東京の花粉は行き場がない(吸収してくれる地面や水面がない)ということも推定されます。
もしこれが事実であるとすると、都心部の花粉を減らすには、花粉を吸収する工夫も必要なのではないかということです。
ビル等の屋上緑化が効果を発揮するかどうか等の研究も必要でしょう。
飛散の観測地点も増えていますが、神奈川県や千葉県の東京隣接地域等の飛散状況も詳しく知る必要があります。
簡単ですが、現時点での資料からの分析です。
関連情報、ご意見等がありましたら当方にお知らせください。