小澤森林塾塾長新潟市で講演「森林力を活かした新潟未来モデルの提案」平成24年6月18日

(未定稿)



講演会場・新潟県自治会館


会場入り口で小澤普照著書等の紹介












講演の主な項目は次のとおりです。

@森林力
講演の主旨は全国植樹祭を2年後に控える新潟県がその高い森林力を活かし、かつ森からの情報発信力を高めるための「新潟未来モデルの提案」ということです。
森林力の研究は、過去3年間に亘って、財団法人林政総合調査研究所で行われて来ましたが、平成24年3月30日、研究レポートが刊行されました。レポート名は、「林政総研レポート 72」、「森づくりの価値を総合的に示す新たな指標に関する調査研究」、略称「森林力研究」です。
さて新潟県の森林力は、この研究の結果、総合指数では全国6位と出ました。
因みに上位10道県は、北海道、長野、岩手、宮崎、島根、新潟、秋田、大分、岐阜、熊本の各道県です。
なお、総合というのは、森林自然力、森林地域社会力、森林関連産業力、森林経営持続力、育成林機能保全力の5項目のトータル(平均値)ということになります。
新潟県が総合で上位に位置したのは、森林地域社会力が2位、森林関連産業力が3位と高かったことによると考えられます。
都道府県森林力は、公開されている82の評価因子が使われました。
市町村については、同じく47の評価因子が使われています。

A創造型取り組み事例
各地で活発な動きが見られます。
森林地域では、北海道下川町、高知県檮原町の事例を紹介しました。
森林が都市部の事例としては、東京港の森林地域の自治体と連携して国産材を使うアイデアが浮上しました。
府県規模では、京都モデルフォレスト運動が立ち上がり、府の森林地域全域で、産官学民の連携による森づくり(森林整備)が進められ、さらに国際ネットワーク(事務局カナダ・オタワ所在)に加入し国際連携も可能な状況となっています。

B未来モデルの構築
未来に期待できるモデルが考えられないかということで、開発が遅れている木質資源のうち特にリグニンの開発の現状や資源的にはスギ材が含有量が多く有望であることなどについて解説しました。
接着剤の開発、コンクリート混和剤に加えて、将来航空機や自動車、風力発電用風車製作の資材として期待されるリグニンからカーボンファイバーを製造する技術開発の動向について紹介しました。
また人間のフィジカル面の強化、最近の林業女子力の台頭とも関連しますが、介護・医療などの分野と連携可能なロボットスーツの開発の現状について解説しましました。

C新潟力を引き出すための新潟未来モデルの提案
新潟県を、森林についてもそれぞれ特徴のある4つの地域に分けて今後検討して頂きたい旨提案しました。
下越、経済力のある新潟市と森林地域の連携を行うこと、冬期間も快適な生活・作業を可能とするグリーンエコノミーの具体化モデル地域を形成する。
中越 県内森林の4割強を占める中越地方の森林持続経営のため抜本的なモデル経営、例えば所有林の現物出資などを含む大規模モデルの構築など中山間地域の林業改革を狙う。
上越 人材育成基地、ユニークなNPO法人などの活動を支援する地域態勢づくり、屋敷林・学校林・里山林などの田園景観の持続などを目指す。
佐渡 「トキ」を中心とする生物多様性の島づくり、島林業の中核となるアテビ林業の確立、都会の若者を吸引するグリーンエコノミー型地域活性化策(EVなどの導入)、自給自足型ライフスタイルの体験と関連して長期滞在・2地域居住などのモデル地域化促進策の実行。

D国際共学や女子力と男子力の連携、地域間ネットワークの推進などを視野に入れると、単純な森づくりから夢が大きく広がる「未来を植えよう!」という言葉で締めくくりたい。
ということで講演を終了しました。

(注) 森林力についての研究は、47都道府県及び森林が所在する約1700市町村について分析が行われました。
また、公開されているセンサスなどのデータから森林に関係するものを拾い出し、都道府県82因子、市町村47因子を最高点を100点として指数化したものです。
もちろん、この研究は、順位を出すことを目的にしているものではありません。
このような手法で分析すればこのような結果になりますということです。
したがいまして、より良い分析手法についての議論や森林力を高めるにはどうすれば良いかというような地域政策に反映することなどが期待されます。
なお、研究に直接携わった、(財)林政総合調査研究所は平成24年3月31日をもって解散し、研究業務は、(財)林業経済研究所がすべて引き継がれることになりましたのでお問い合わせ事項がありましたら先ず林業経済研究所と連絡をとられますようお願いします。(小澤記)




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