英国ケンブリッジ紀行


2006年12月のクリスマスも間近の日、ケンブリッジを訪れた。
以前、オックスフォードを訪問したことがあり、是非、一度はと考えていたケンブリッジである。
ロンドンからはバスで行くことにして、ヴィクトリア駅の近くにある、ヴィクトリア・コーチ・ステーションから乗車した。
発車後間もなくウェストミンスター寺院、国会議事堂などの脇を通過し、北に向かい、郊外に出る。
田園地帯を2時間近く走ればケンブリッジに到着する。
ケンブリッジの名は、ケム川に掛かる橋から由来するとおり、ケム川に沿って大学が展開し、冬でも青々とした芝生が至る所に広がっている。
一番古いカレッジは、1284年創立のピーターハウスだという。
街の中は、クリスマスを一週間後に控え、大学町の閑静な様子を想像していたが、現実は異なっており、買い物袋を両手にぶら下げた人たちがぞろぞろ歩いている。
もちろん学生さんらしい若い人達も多い。
四つ辻では、楽器を鳴らしながらのパフォーマンスも見られる。
ただし、ケム川遊覧用の名物の平底ボートのパントは流石にお客がつかないようで、空き船がづらりと並んで繋留されている。
この時期は、午後3時ともなれば夕暮れが迫り、クリスマスの飾り付けをした、商店やレストランに灯りがともってなかなか美しい光景である。
北緯52度をやや越えるほど北に位置しているというのに、さほど寒さを感じない。
東京より少し北方という趣である。
世界的にこの冬は暖冬といえるのかも知れない。
年末は、ヨーロッパのスキー場は軒並み雪不足に悩んでいるとのニュースも流れていた。
夕暮れは早く、夜明けは遅い。でも8時ともなれば、何とか朝の気分がする。
戸外に散歩に出る。ケム川沿いに広がる豊富な緑地は、散策に絶好である。
犬の散歩も多い。サンタの赤い帽子を被った人たちがグループで走り回っている。なかなか元気だ。
緑地の中に自転車専用路が設けられ、路面にペンキ表示がされている。
ところで、いくら暖かいといっても、流石に広葉樹は概ね落葉しており、僅かにスズカケの樹に葉がついていた。
その中で、やや遠目では小さな赤い花が咲いているような樹木が見えた。
近づいてみたら、イチイの樹木で赤い実が沢山ついていて大変美しい。
因みにイチイは英語で、yewと綴る。
もちろんモミの木も見られるし、街中の市場には、クリスマス用のモミの木が沢山売られていた。
春になれば、木々の若芽が一斉に芽吹いて素晴らしい景観を醸し出すことは、春の湖水地方などを旅行したときの体験から容易に想像ができる。
新緑のケンブリッジを訪れるのも先の楽しみにしておこうと思いつつケンブリッジに別れをつげた。
以下、写真をご覧下さい。
(2007年1月31日、小澤普照記)



ポプラ







イチイの実



スズカケ



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