マレーシアの森林についてご紹介します。 マレーシアというとサバ州やサラワク州の熱帯林に関心を持たれる人が多いようですが、首都クアラルンプルのある半島マレーシアにも多くの森林があります。 通常の森林に加えてゴム林、ヤシ林などの農用林も数百万ヘクタールはあろうかということですから、これを含めたら大変な森林率になってしまいまして、日本の67パーセントを軽く超えてしまいます。それほど緑の多い国です。
半島マレーシアの西海岸のペラ州のマタンで素晴らしいマングローブ林にお目にかかることができました。ここには4万ヘクタールのマングローブ林があります。
このマングローブ林は計画的かつ人工的手法も用いて経営されており、この森林の中には2万人の漁業集落がありますが漁獲量も多く活気のある集落となっています。森林は州に属しており、良質の木炭生産に使われ、まさに共生の森林を形づくっています。
同じく、ペラ州の州都イポーおよび同州内の森林でわが国との2国間森林関係技術協力プロジェクト(JICA)が進行しています。ここでは特にフタバガキ科(いわゆるラワンの類)の樹木、これは価値が高いため激減したのですが、などに重点をおいて復活作戦が行われているのです。
しかも画期的なのは複層林手法によって行うものです。
フタバガキ科の樹木の成育には太陽光が強すぎないほうが良いのです。そこでどの位の明るさが良いかを調べる必要がありますが、このため苗木を森林の中にいろいろな幅の帯状の植栽場所を設定して実験しています。
光の量をコントロールしながら行うこのような森林施業は複層林施業の重要な方法ですが、熱帯林で行われるのは画期的なことであり、これが成功しますと、他の地域の熱帯林についても、持続可能な森林の経営管理に役立つことになり期待が持たれます。
日本から派遣されている森林の技術者の方々とマレーシアのフォレスターの皆様に声援を送りたいと思います。
さてサラワク州の熱帯雨林を見ることにしましょう。先に述べました「森林原則声明」の持続森林の趣旨により、熱帯林については、2000年までに持続可能な経営の確立を図ることを目標に検討が進められています。
伐採量も削減されていますが今後さらに人間の英知を集め、お互いに協力をして持続可能な世界をつくる必要があります。
そのためには、木材生産林については複層林などの新しい技術の導入が必要とされますし、また保護林として種の宝庫である熱帯林を維持することも必要です。
私は、サラワク州の保護林の一つであるムル山を中心に広がる国立公園を訪問しました。ここに入るには、日本からは直行便またはクアラルンプル経由で州都のクチンに行き、さらにミリに飛び、ここで小型機に乗り換えてムルに到着します。ここからはボートに乗りまして国立公園事務所に辿り着くということになります。
ここまでくれば密林の真っただ中、まさに共生の世界が開けます。
アドベンチャー型のエコツーリズムが満喫できます。
ここには世界一といわれる大洞窟(ディヤ・ケイブ)をはじめ洞窟も多いのですが、調査済みのものはまだ三分の一に過ぎないと事務所の森林官が説明してくれました。
ディヤ・ケイブなどはジャンボジェット機なら10機位は楽に入るというほどの巨大なもので、そこに無数のコウモリが生息しており、黄昏時にこの大群が次々と餌を求めて飛び出していく様は、自然の織り成す素晴らしいショウの一つです。
これらの洞窟を、あるときはジャングルの中を徒歩で、またたある洞窟にはボートで尋ねることができます。
さてちょっと気にかかったことですが、われわれのグループは殆どがアメリカやドイツの人、アメリカ人などは、子供連れです。
5月の時期で夏休みでもないのにと思いましたが休暇が特別に与えられるとか聞きました。
公園事務所の話では、日本人も来るが数は少ないとのことでした。
豪雨と雷鳴の中をびしょ濡れになって歩くなどというのは日本人は好まないのかなとも思いましたが、やはり、熱帯林を守るには、森林の持続的経営の定着と同時に、共生や学習の場として生かすために、共に知恵を出して行くことが必要なのではないでしょうか。
昼はジャングルを歩いて汗をかき、夜はビールを飲み交わしながらの国際交流に話の花が咲くという素晴らしい体験ができたということをお伝えしたかったのです。
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