小澤普照佐渡林業実践者大学学長佐渡市で講演・平成24年8月30日


「森林力を活かした佐渡未来モデルの提案」と題した講演が小澤普照実践者大学学長・森林塾代表によって行われました。

先ず、平成24年6月に開催されたリオ+20(ブラジル)の概要です。

国連持続可能な開発会議(UNCSD)2012年6月20日22日

:リオデジャネイロ

各国首脳(約120か国)、5万人参加(ブラジル政府予想)

会議成果は、

@持続可能な開発及び貧困根絶の文脈におけるグリーン経済

A持続可能な開発のための制度的枠組み(国連中心に特に環境ガバナンスへの取り組みを進める:経済社会理事会の強化)

その他、マルチステークホルダーの認識

日本政府は、自治体や企業と連携しての環境モデル都市への貢献を提唱しました。


次に佐渡の森林力はどうかということです。
以下は全国上位市町村の位置づけを、元林政総合調査研究所によって分析されたもので、同所による報告書及び林政総研レポート72号を参考にしています。

@森林力総合

 岐阜・高山市、奈良・野迫川村、長野・王滝村、静岡・浜松市など

A森林自然力

 福島・檜枝岐村、奈良・上北山村、長野・王滝村、宮崎・西米良村など

B森林地域基本力・文化力

 北海道・札幌市、岐阜・高山市、長野・軽井沢市、広島・広島市、山梨・道志村、

新潟・湯沢町、静岡・浜松市など

C森林産業力

 岐阜・高山市、京都・京都市、静岡・静岡市、静岡・浜松市、広島・庄原市など

D森林経営持続力

 静岡・浜松市、大分・日田市、岐阜・高山市、福島・いわき市など

E森林整備力

 高知・本川村、福井・和泉村、北海道上川町、熊本・五木村、高知・大川村など

平成19年ベースの全国50以内の新潟県の市町村は次のとおりです。

森林力総合  該当なし

森林自然力  魚沼市(20)

森林地域基本力・文化力  湯沢町(7)刈羽村(16)上越市(46)

森林産業力  佐渡市(19)阿賀町(26)朝日村(35)

森林経営持続力 該当なし

森林整備力 該当なし


森林産業力で佐渡市が顔を出しています。

では、佐渡市の森林力に焦点をあて、新潟県内、全国での位置づけについてみますと次のようになっています。

森林力総合         県内3位  全国87位   県内上位 阿賀、湯沢、佐渡

森林自然力         県内3位  全国65位          魚沼、弥彦、佐渡

森林地域基本力・文化力 県内10位 全国222位          湯沢、刈羽、上越 

森林産業力         県内1位  全国19位           佐渡、阿賀、朝日

森林経営持続力      県内3位  全国272位           阿賀、山北、佐渡

森林整備力         県内16位 全国542位          魚沼、阿賀、関川


市町村森林力を分析するため47評価因子が採用されています

評価項目は、次のとおりです。

@森林自然力  森林資源生産力、機能・景観力

A森林地域基本力・文化力  基本力、財政力、生活文化力

B森林産業力  産業力、森林資産保有力(在村者保有力・私有林力)

C森林経営持続力  森林経営組織力、森林育成力

D森林整備力  保安林整備力、育成林機能増進力


因みに都道府県の森林力は次の評価因子によって分析されています。

都道府県森林力82の評価因子を採用。

@森林自然力

 森林自然資源力  天然生林・人口1当たり、人工林1人当たり

 森林自然生産力  単位面積当たり広葉樹・針葉樹生産量

 森林自然機能力  水源涵養力・土砂流出防止力・CO2吸収力

 景観力・保全力   自然公園面積など

 生物多様性力    天然林多様性など

A森林地域社会力  緑化活動力、財政力、史跡・名勝力など

B森林関連産業力  林業力、木材生産力、森林観光力、地産地消力

C森林経営持続力  森林地域組織力、森林技術力・制度力、育成林整備力

D育成林機能保全力 育成林機能増進力、生物多様性力(育成林)里山力

次に全国各地の動きで注目される事例を紹介します。
北海道下川町(地球環境都市及び総合特区同時指定)、高知県檮原町(エネルギー自給100%を目指す)、東京都港区(みなとモデル固定認証実施・全国47市町村参加)、京都府モデルフォレスト運動(府全域で企業・ボランティア・大学などよる森林整備活動)があります。
(詳細は省略)

続いて、未来モデルの構築のために必要なこととは何かについて述べます。

@森林など再生可能資源に高付加価値をつける

  リグニンの開発など

A森林・林業のイノベーション(刷新・革新)

  林業用ロボット開発など

B協働と連携

さらに、新潟県内各地の地域別未来モデルの提案をします。
佐渡以外については、平成24年6月18日に新潟市で行った講演内容を参照してください。

佐渡未来モデルの構築のために次のことを提案します。

「トキ」を中心とする生物多様性の島づくりを目指す。

島林業の中核となる「アテビ」林の造成と活用。

伝統文化を継承する社寺・能楽堂などの建築技法の持続。

自然に親しみ自給自足のライフスタイルを確立する。

グリーンライフスタイルを広めるため長期滞在・2地域居住の実現。

以上のほか、森林資源として大量に存在するリグニンの開発や竹林資源の活性化、さらに女子力の活性化など多くの事柄について佐渡島をあげて議論して欲しいと思います。
ご静聴ありがとうございました。


当日は、このほか佐渡環境専門学校校長〇〇先生の〇○と題する有益な講演がありました。
なお、小澤学長は翌日佐渡市役所を訪問し、甲斐市長さんと面会、佐渡の未来についていろいろお話をすることができました。
市長さんお忙しい中、時間を割いていただきありがとうございました。(小澤普照)


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